■始まりは「手」を染めるのに終わりは「足」を洗うと表現するのはなぜでしょうか。お隣の中国では「手を染め」て「手を洗」う、どちらも手で表現しています。日本で足になっているのは、やはり別々の語源から生まれた表現がたまたま結びついたと考えるのが妥当でしょう。ただ、単なる偶然だけでは簡単には広まりません。それなりに納得のいく背景が必要でしょう。
そこで考えられるのが次の2点です。「物事を始めるのは手。手を染めて、腹黒くなって、終わりは、からだ全体が抜ける足を洗うという、上から下への流れになっている。」「悪いことに手を染めて、やめるときには足は洗うが、完全にきれいな体には戻れない=汚した手は汚れたまま罪は消えない、という思いを込めている。」こんなニュアンスがぴったりあてはまって、多くの人に使われるようになったのでしょう。