ぐれる
生活態度が悪くなり不良になること。また、見込みがはずれること。
語源   
<1>ハマグリ説
 二枚貝であるハマグリは、対の殻以外とは決して重なりません。その事を利用して、平安末期の貴族の間で「貝覆い」という遊びがはやりました。今のトランプの「神経衰弱」のように内側の絵柄を合わせていくというルールです。ハマグリが合わないことを倒語にして「ぐりはま」と言うようになり、それが「ぐれはま」と訛って、「ぐれはまる」→「ぐれる」という動詞として使われるようになりました。
<2>繰る説
 繰る、狂う、という表現が変化して「くる」「くれる」と使われていたのが、悪いイメージに合う濁った音で「ぐれる」と表現されるようになり、一般に広まりました。
<3>ぐれぐれ説
 ぐらぐらする、ぐらつく、はずれる、という意味の「ぐれぐれになる」という表現が略されて「ぐれる」となりました。

■「貝覆い」のことを、現在では「貝合わせ」と混同している人がいますが、両者はルールが全く違います。「貝合わせ」は、中世貴族社会で盛んだった「合わせもの」の流れを汲んだ室内遊戯です。左右に分かれてお互いが持ち寄った珍しい貝を出して、形や色彩等を比べて、それらにちなんだ和歌を詠み「貝と和歌との総合で採点される」という遊びでした。持ち寄る貝の種類は、巻貝だろうが二枚貝だろうが形が美しければ何でもよかったのです。一方、「貝覆い」はハマグリだけを用いた遊びで、ハマグリが対の殻以外とは決して重ならない事を利用してぴたりと合う貝を探すという遊びです。この「必ずお決まりの一対」というハマグリの特徴は、貞節の象徴や夫婦和合の印とされ、近世では貝桶が輿入れの調度品として準備されて嫁入り行列の最初に運ばれるようにもなりました。
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