ずいずいずっころばし
ずいずいずっころばし ゴマ味噌ずい 茶壺に追われてトッピンシャン 抜けたらドンドコショ 俵のネズミが米くってチュウ チュウチュウチュウ おっとさんが呼んでも おっかさんが呼んでも 行きっこなあ〜し〜よ 井戸のまわりでお茶碗欠いたのだあれ 
語源   
<1>大名行列からこどもを守る歌説
 むかし、宇治から江戸に向かう「お茶壺道中の一行」がとてもえらそうにして、通り道の人たちに迷惑をかけるので、その行列が来るとみんな戸をピシャンと閉めて家に隠れていました。同様に、大名行列も前を横ぎったり無礼をすると切られてしまうので、子どもに注意するために作ったものがこの歌だと言われています。

ずいずい=どんどん 
ずっころばし=すっ転ろばし ※注1
ゴマみそずい=ごますり接待 ※注2
茶壺=お茶壺一行、または大名行列
追われて=やってきたら
トッピンシャン=戸をピシャン
抜けたら=一行が通り抜けたら
ドンドコショ=安心してどんどこ大騒ぎ
俵のネズミ=お役人たち
米食って=私たちが汗水流して作り上げた米を取り上げて
チュウチュウチュウチュウ=(役人たちを小ばかにしている)
おっとさんが呼んでもおっかさんが呼んでも=たとえ親が呼んでも
行きっこなあ〜し〜よ=外へ出てはいけません
井戸のまわりで=井戸は罪を背負ったときの身投げの場所でもあった
お茶わん欠いたのだあれ=あわてて茶わん割ったのはだれ!? ※注3

要約すると・・・・
 ある農家でずいきのゴマミソあえを作っていたら、将軍様にお茶を献上する"茶壷道中が"通りかかりました。何をされるかわからないので、家の人たちは急いで奥へ隠れました。静まりかえった家の納屋では、ネズミが米俵を食べる音や鳴き声が聞こえてきます。。井戸端ではあわててお茶わんを割ってしまった音が聞こえてきます。やがて茶壷道中は去って行くから、それまでは絶対に外にでてはいけませんよ。

 前後の意味が全くつながらない部分がありますが、これは子ども向けの歌にはよくあることです。おとなたちが歌っている歌の一部分だけを取り出したりして、意味ではなく「言葉のつながりや語呂の良さ、リズム感を楽しんで」作る遊び歌の手法です。アニメ『ちびまる子ちゃん』のテーマ曲『おどるポンポコリン』の歌詞なども、前後のつながりがはっきりせずに意味がつながらない部分があるのに、テンポと語呂の良さでみんなから親しまれる大ヒット曲となりました。

■注1 古い文献に「虫を捕ったり、ずっころばしを集めたり・・」とあるので、子どもが興味を示す何か?があるのだと思います。方言でしょうか??どなたかご存じの方いらっしゃいませんか?!
■注2 「ずい」は、「どんどん〜する」という意味と、夏野菜の「ずいき」(サトイモの葉柄)と、ごますり接待の掛詞です。
■注3 江戸時代に、ある殿様につかえていた小僧があやまって庭で大切なお茶碗を落として割ってしまったのだそうです。その小僧はその罪を償うために、近くにあった井戸に身を投げたという話が広まっていて、きっと子どもたちには「怖いぞ〜」という脅しになったのでしょう。
■柳田国男氏は『トッピンシャンという文句は東北地方の昔話で語りおわった時に「おしまい」という意味の決まり文句として使われる、「とっぴんぱらりのぷう」などとの共通性がありそうだ』と述べています。

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