■呼び名については、民俗学者の柳田国男氏が『蝸牛考』の中で、かたつむりの方言地図を使って5系統187種もの呼び方を紹介しています。
【1.カタツムリ系統の呼び名】 標準的な呼び名。カタツムリは、もともと京都付近の方言です。カタツムリの他に「カサツブリ」「カサツムリ」などとも呼ばれます。「カサ」は編み笠の意味で、笠に似た貝、笠を着た虫という意味です。
【2.ツブラ系統の呼び名】 古い呼び名。「ツブラ」とは、まるい物の総称で、人の頭を「おつむ」、丸い土器を「ツボ」、渦巻きを「ツブラ」などと派生しています。タニシのような丸い巻き貝を、ツブとかツボとか呼ぶこともあります。
【3.デンデンムシ系統の呼び名】 本文説明のとおりです。
【4.マイマイ系統の呼び名】 関東地方の方言で、学術上の和名に採用されています。貝の渦巻き状のすじを表す「巻き巻き」からきています。
【5.ナメクジ系統の呼び名】 昔はカタツムリとナメクジを区別せずに呼んでいたことが古い文献からわかります。「ナメ」とはぬるぬるした状態を表しています。最も古い呼び名だと考えられています。
■かたつむりなどの貝は、無セキツイ動物といい、さらにその中でも体質が柔らかい軟体動物と呼ばれるグループに属します。現在、世界に10万種類以上の貝類がいるといわれています。腹足類といってサザエやかたつむりのような巻き貝が全体の約85%を占めています。海水域、淡水域、陸上域に幅広く分布しています。ナメクジは殻をもっていませんが、かたつむりと同じ陸にすむ巻き貝のなかまです。