赤血球製剤の使用について

急性あるいは慢性の出血に対する治療および貧血の急速な補正。 末梢循環系への十分な酸素の供給と循環血液量の維持。


1.内科的適応

慢性の場合はHb値g/dlを目安にして輸血を行う。
ただしそれ未満であっても輸血を必要としない場合もある。 検査値のみならず循環系の臨床症状を注意深く観察し、さらに日常的 活動状況をも勘案して適応を決定する。


2.外科的適用

  1. 術前投与
    全身状態を把握して、心肺昨日、原疾患、年齢などを考慮して必要の有無を決定する。 慢性貧血に関しては内科的適用に準じる。 栄養障害による低蛋白血症は、術前の積極的栄養管理(中心静脈栄養法、経腸栄養法) により是正する。
  2. 術中投与
    • 全身状態良好な患者で、循環血液量の15〜20%の出血;
      細胞外液系輸液薬を出血量の2〜3倍投与。
    • 循環血液量の20〜50%の出血量;
      細胞外液系輸液薬と共に赤血球濃厚液を投与。膠質浸透圧を維持する必要があれば、 まず人工膠質液(HES,デキストランなど)を投与。
    • 循環血液量の50〜100%の出血量;
      細胞外系輸液薬と赤血球濃厚液に加え、適宜等張アルブミン製剤を投与。
    • 循環血液量以上の出血(24時間以内に100%以上);
      上記の他、凝固系や血小板数の検査値および臨床的な出血傾向を参考に、 新鮮凍結血漿や血小板濃厚液の投与も考慮。  
      L-R …細胞外液系輸液薬(乳酸リンゲル液・酢酸リンゲル液など) RCC …赤血球濃厚液またはMAP加赤血球濃厚液 人工膠質液 A-C …人工膠質液 HSA …等張アルブミン(5%人血清アルブミン、人加熱血漿蛋白) FFP …新鮮凍結血漿 PC …血小板濃厚液
  3. 術後投与
    バイタルサインが安定していれば、原則として細胞外系輸液薬のみを投与。 急激に貧血が進行する場合、外科的処置と共に早急に行う。