エフェクターの種類と効果
ここでは、たくさんあるエフェクターの種類と効果を分けて見ていきたいと思います。
ちなみに、ブログ記事「エフェクターの選び方 Vol.1」と内容はほぼ変わりません。
ダイナミクス系:信号を増幅するエフェクター
■
OverDrive オーバードライブ
オーバードライブとは、「過入力」「働かせすぎ」という意味です。
もともとは真空管アンプに「Volume」がついていなかったころ、Gainを上げて真空管を歪ませていたのですが、その結果としてアンプに過度な負担がかかり、故障の原因にもなることから、「働かせすぎ」という意味の「Overdrive」が使われていました。
これをシミュレートした
BOSS OD-1 OverDriveが有名になり、定着したといわれています。
、一般的には比較的マイルドでゲインの低い歪みをこう呼びます。
一般的なコントロール:LEVEL、TONE、DRIVE
サンプルサウンド:
クリーンサウンド コード弾き ドライブサウンド コード弾き クリーンサウンド 単音弾き ドライブサウンド 単音弾き
■
Distortion ディストーション
ディストーションは「歪み」という意味をもちます。
この呼び名が定着したのは、MXRのDistortion+の功績でしょうか。これはBOSS OD-1とならぶ歪み系エフェクターの金字塔ですね。
オーバードライブよりもゲインが高く、ジャキジャキな歪みが特徴です。
一般的なコントロール;LEVEL、TONE、DRIVE
サンプルサウンド:
クリーンサウンド ディストーションサウンド
■
FUZZ ファズ
「毛羽立った」という意味を持つファズは、「最初の歪みエフェクター」といってもいいほど、古い歴史を持っています。
ファズは基本的にトランジスタを使った非常に単純な回路で構成されます。そのためか、原音に対してのかかりが激しく、プツプツとした独特のサウンドになります。そして、非常にピッキングなどの「粗」が出やすい代わりに、反応がいいものが多いですね。
さらに原音に対して1オクターヴ上の音を追加して派手な音をだすオクターヴファズというのもあります。
一般的なコントロール:LEVEL、FUZZ
サンプルサウンド:
クリーンサウンド ファズサウンド オクターヴファズサウンド
■
Compresser コンプレッサー
コンプレッサーは「圧縮するもの」という意味です。音を伸ばしたり、逆にパキパキにしたりできますね。
原理としては、いったん波形を圧縮して、時間的な波形変化を抑えます。そして、その音をブーストすることで、より長いサスティンを得たり、より粒そろった音にすることができます。この部分は上記の歪み系とよく似ています。
最初は音の変化をあまり感じないので、非常に地味に思いがちですが、その効果は曲に乗ったときに発揮されまず。
あまり練習では使わない方がいいかもしれません。ピッキングが多少乱れても綺麗に聞こえてしまうので・・・。
一般的なコントロール:LEVEL、ATTACK、SUSTAIN
サンプルサウンド:
クリーンサウンド
コンプレッサーをかけたサウンド
モジュレーション系:音を揺らすエフェクター
■
Phaser フェイザー
エディ・ヴァン・ヘイレンの使用が一番有名かと思いますが、スピーカーを回転させて独特の効果を生み出す、ロータリースピーカーの音をギターでも使えないか、として考案されたものです。音がゆらゆらとして、非常におもしろいですね。
一般的なコントロール:RATE(SPEED)、DEAPTH
サンプルサウンド:
クリーンサウンド
フェイズサウンド
■
Tremolo トレモロ
音が途切れるような極端なゆれを作り出します。
ですが、浅くかけるとフェイザーよりもロータリースピーカーっぽいサウンドになります。
サーフミュージックなんかでよく使われますね。ノスタルジックな感じが出ます。
一般的なコントロール:RATE(SPEED)、DEAPTH
サンプルサウンド:
クリーンサウンド
トレモロサウンド
■
Chorus コーラス
非常にうねりが薄く、残響も短いので、まるで合唱しているような音の厚みと広がりを作り出します。
元々はRoland Jazz Chorusというアンプ、およびそのアンプからコーラス回路を取り出したBOSS CE-1 Chorus
Ensembleというエフェクターからその効果は広まりました。
一般的にはクリーントーンにかけて使われることが多いですが、Queenのブライアン・メイは歪ませてコーラスをかけたりもしていますね。
ちなみに、本当に微妙にチューニングをずらしたギターを、原音に重ねるとコーラスのような響きを作ることもできます。
一般的なコントロール:RATE(SPEED)、DEAPTH
サンプルサウンド:
クリーンサウンド
コーラスサウンド
■
Flanger フランジャー
より強いうねりをかけて、独特のサウンドを作り出します。
特に歪み系のペダルと組み合わせると、ジェット機が離陸するときをイメージするようなサウンドになります。
よく使われるので聞いたことがある方も多いと思います。
一般的なコントロール:RATE(SPEED)、DEAPTH
サンプルサウンド:
クリーンサウンド
フランジャーサウンド
歪み系+フランジャーによるジェットサウンド
アンビエンス系:音を残響させるエフェクター
■
Delay ディレイ
いわゆる「やまびこ効果」を再現した、非常に奥が深いエフェクターです。
アナログとデジタルの2種類があるといっていいと思います。
アナログ回路を使ったアナログディレイは、暖かみのある残響を作る反面、残響の時間がアバウトにしか設定できない、という短所があります。逆に、デジタル回路を使ったデジタルディレイは、非常に正確な時間を設定できる反面、どちらかというと硬めのサウンドになってしまいがちです。
最近はモデリングの技術が進歩していて、アナログっぽい暖かいサウンドをデジタルで正確に制御する、ということもできますが、やはり本物のアナログディレイの音とは違った音になってしまいます。そのあたりは好みでいいかと思います。
一般的なコントロール:TIME、FEEDBACK、LEVEL
サンプルサウンド:
クリーンサウンド
ディレイをかけたサウンド
■
Reverb リバーブ
ディレイがやまびこ効果だったのに対して、こちらは「反響効果」をシミュレートしたものです。カラオケのエコーは、この分類ですね。
もともとは、アンプの中にリヴァーブユニットというのがあって、バネのゆれによって作り出されていました。
ストラトタイプのトレモロがついてギターをお持ちの方は、ボディに耳をつけて、コンコンとたたいてみてください。音が反響しているのが分かるかと思いますが、それと同じです。
現在ではデジタル回路によって、小さな部屋から大きなホール、野外スタジアムの反響などもシミュレートできます。
一般的なコントロール:TIME、TYPE、LEVEL
サンプルサウンド:
クリーンサウンド
リバーブをかけたサウンド
フィルター系:音にフィルターをかけ、一部の帯域をカットすることで面白い効果を得るエフェクターです。
■
Wah Wah Pedal ワウペダル
これはもともとトランペット奏者のクライド・マッコイさんがやっていた奏法をギターで真似しようとしたものですね。
カントリーギタリストで、グレッチやギブソンのモデルでも有名なチェット・アスキンズさんが作ったのが最初だと言われています。
ボブ・マーリーのリズム的な使用や、ジミ・ヘンドリックスの感情的なワウプレイ、マイケル・シェンカーのワウペダルを固定して独特のフィルター効果を得た音などが有名ですね。
一般的なコントロール:ペダル
サンプルサウンド:
クリーンサウンド
ワウサウンド
■
Auto Wah オートワウ
基本的な効果はワウペダルと同じですが、ペダルを踏み込む効果を自動的にやってしまおう、というのがこちらのオートワウです。
速弾きにつかったりするとおもしろいですよ。基本的にピッキングでコントロールするので難しいです。
一般的なコントロール:WAH、SENSITIVITY、UP/DOWN
サンプルサウンド:
クリーンサウンド
オートワウサウンド
無理やりワウペダルを使って弾いたサウンド
その他:
■
Pitch Shifter ピッチシフター
音程そのものをいじくってしまうエフェクターですね。
ペダル式のものなんかは、アーミングの効果なんかも出すことが出来ます。
特にDigitechのワーミーペダルは変態系ギタリスト必須の道具ですね。
また、原音に対して何度上とか下とかの音をミックスして、擬似ツインギターにしたり、1オクターヴ上の音をミックスして12弦ギターにしたりと、いろいろな使用法があります。
一般的なコントロール:PITCH、LEVEL、KEY
サンプルサウンド
ドライブサウンド
ピッチシフトでハモリ→ペダル操作
■
Ring Modulator リングモジュレーター
原音に対して、ある周波数の波形を加え、さらにフィルターをかけることで、金属的なサウンドを作り出すエフェクターです。
加える波形の周波数をペダルで調整できるものもあります。
音程感がなくなるので、イントロや局所の飛び道具としての使用が一般的です。
一般的なコントロール:DIRECT、EFFECT、FILTER、PEDAL
サンプルサウンド:
クリーンサウンド
リングモジュレーターサウンド
・・・と、ここまでは代表的なエフェクトをいくつか見てきました。
さらに詳しくエフェクトのことを知りたい、という方は、「
特集記事」から「
基礎編シリーズ」や「
エフェクターの選び方」シリーズをどうぞ。
それでは、「ギターを弾くための基礎知識」はここまでにしたいと思います。