土素人窯の近況


 

 

1.釉薬の調合に挑戦

我が土素人窯においては、市販の釉薬にあきたらず、旨く出来るか分からないが、

4年目にして、ついに釉薬の調合に手を染めてしまった。



立てテストピースの成形完了
まず手始めに釉薬の発色や流れ具合の確認のため、壺の底辺を模して、立てた形状のテストピース作りを行った。

左の写真は成形を完了したところです。

ピースの逆傾斜となった面に釉薬を掛ける予定。

 

表面に印花を押した
 

左のように、テストピースの(逆傾斜の)表面に印花を押して釉薬のとどまり具合を確認出来るような形状にしました。





紅柄と呉須で丸印を書き釉薬との親和性を確認
左下のように、テストピースの印花下部に紅柄と呉須で丸印を描き、釉薬との親和性を確認出来るようにしました。

それに釉薬を掛けたのが左上のピースです。





紅柄と呉須で丸印を書いた
左は印花下部に紅柄と呉須で丸印を描いたものです。


 




釉薬の調合準備
左は釉薬の調合準備を終えたテーブル上の様子です。

 








上のピースに釉薬を掛けた
左は紅柄と呉須で丸印を描いたものに釉薬を掛けた状態です。

 






 

釉掛け後の状況
色々条件を変えて調合するため、たちまち30個あった

テストピースが不足しそうです。




 

本焼き後の状況
本焼き(酸化焼成)後の状況です。条件により色々な熔け具合となった

市販の釉薬を使用しても、土素人窯では釉薬自体が熔けて流れてしまったもの(左上の織部は流れ、その下の織部は流れていない。)や紅柄や呉須を溶かしやすいもの(右下)などがあり、さらに条件を変えてテストを行い、使い易い釉薬を作り出したい。


 


本焼き後の状況
自分で調合した釉薬で確認にしました。左上は飴釉、左下はそば釉、右は織部でいずれも酸化焼成です。

 





紅柄と呉須で丸印を書き釉薬との親和性を確認
自分で調合した釉薬で確認にしました。左は黄瀬戸で右は透明釉です。透明釉は下絵も流れず透明度も満足出来ました。



 



紅柄と呉須で丸印を書いた
左は本焼き(還元焼成)後の状況です。


 




釉薬の調合準備

 自分で調合した釉薬 で白土にかけて確認にしました。左2個は青白釉で右は青磁釉です。青磁釉は少し発色がうすいようです。再度挑戦の予定です。








上のピースに釉薬を掛けた

 自分で調合した釉薬 で赤土にかけて確認にしました。左2個は青白釉で右は青磁釉です。青磁釉は少し発色がうすいようです。再度挑戦の予定です。






  釉掛け後の状況

 自分で調合した釉薬 で赤土にかけて確認にしました。左上は飴釉、左下はそば釉、右は織部でいずれも還元焼成です。いずれも当然だが還元での発色が良くない。特に織部は赤味が出る。還元の窯に入れないようにしょう。

 

 

 

2.灰釉に挑戦

今月(4月)は町の陶芸教室が休みのため、以前通っていた陶芸教室で焼いてもらった

穴窯作品などの素朴な灰かぶりが忘れられず、我が土素人窯のガス窯で灰釉

(はいゆう?、かいゆう?どちらでも良いが、器に灰を塗って)に挑戦してみようと思う。

 

×**  まずは、土灰づくりからはじめてみた。  ***

 

水樋前の状態
昨年、剪定した庭木を石油缶で燃やし、貯めておいた沢山の灰を水に溶かして約1mm目の篩で燃え残りや石などを排除した。

それを複数回繰り返えし、つけもの桶に貯めた。左はその1週間後の水樋前の状態です。

この後に上澄みのあくや燃え残りの非常に細かな木のかけらを柄杓で取り除き、捨てた水に代えて新しい水を補充した。

 

水樋中の状態
水樋(上澄みを取り除き、捨てた水に代えて新しい水を補充)を4〜5回繰り返した状態です。大分澄んで来たのが分かると思います。

そろそろ天気の良い日を選び、上澄みを取り除き、沈殿した灰を取り出して、乾燥させようかと思います。



 

天日干しの状態
本日は天気も良く、早速、上澄みを取り除き、沈殿した灰を取り出して、手板2枚に取り天日干しを行った。




 

天日干し完了
天日干し半日で、大分水分が少なくなった。どうせまた水で溶かして使用するため、この状態で保存する事にした。ちょっとゆるめの粘土のような感じです。

合計で3.5〜4kg程度になった。

 

 

土灰釉にの挑戦
粘土と調合しテストピースにかけて還元焼成してみた。赤と白土では余り変わらず黒っぽい。鉄分が多いようだ。調合を変えて再度テストしたい。

 

 

 

 

3.エクセルでゼーゲル式の計算に挑戦

最近までは上のように納得のいく釉薬を目指してCUT&TRYを繰り返した。

しかし、焼成自体1年に2〜3回程度のため思う結果を得るには時間を要した。

そこで、過去の経験則からゼーゲルさんが発案した計算式を用い試行する事にした。

 

エクセルでゼーゲル式の計算をする

左は、ゼーゲル式を用いて小生が作ったエクセルによるシミュレーションソフトです。

上段の表の左青文字部分に釉薬原料名と混合比率を入力するとほぼ同時に2段目の

表のようにエクセルが自動的に成分重量を計算し、モル補正し、表の最下段のように

赤地白抜きで表したアルカリ成分に対するアルミナとシリカのモル比を求めてくれる。

 

アルカリ成分に対するアルミナとシリカが多いと溶けにくいとのゼーゲルさんの発案を

もとに、最後の図のように縦軸にアルミナ、横軸にシリカのアルカリに対するモル比を

取り、計算結果を赤の球体でプロットして、溶け具合を一目で予想しやすいようにした。

 

非常に扱いが簡単で、原料と比率を変えるとほぼ同時に図にプロットしてくれ、

短時間に繰り返し溶け具合を見ながら試行をできるので大変気に入っている。

今後、これを用いてあらかじめ想定したように焼成が進むか、確認するために使用したい。

 

 

 

 

 

 

 

4.電気釜のマイコン化に挑戦

ネットオークションで新品の2割程度の金額で電気窯を手に入れた。極楽窯と言うそうです。

 左下の写真はその電気窯(平成9年製)で年数の割には使用頻度が少ないようで綺麗です。

200V単相3kWで内寸で30×30×35cmの広さがあり、そこそこの大きさの作品を焼けそう。

 

中古だが電気釜が来た
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この窯は各段階でタイマーの設定を変更して、焼き上がっても自動では停止しない半自動窯です。

今のガス窯は、すべて手動のため、これでも大分楽になる。

しかし、電気窯を使うのであれば、あえてマイコン化して、自動で焼きたい意欲がわいてきた。                     .

会社時代には工業炉を自動化する設計にも携わった経験があり、マイコン化に挑戦したい意欲が出てきた。

早速だが、時計をそばに置き、素焼きをしながら同時にデータを取る事を始めてしまった。

今回の素焼きで分かったが、

  1. 設定温度になればブザーが鳴るようになっているが(故障か?)、音が小さく聞き逃しそう。

  2. 素焼き時のメーカー取説から昇温カーブを作る事が出来た。

     (メーカー取説ではヒータのオンオフ時間で指定しており昇温カーブで表現していなかった)

また、結果として分かった事だが、メーカー取説では大きく安全を見たものとなっていた。

小生のガス窯での経験から考えて、もっと短時間、省電力で焼けそうに感じた。

小生は乾燥焚きに時間を取られたくないため、窯入れ前にかなりな厚ものでも天日で充分乾燥させている。

このメーカーのように乾燥不足による破損を懸念して時間と電力を掛ける必要はないかと思う。

 ・・・言いたいことを言わせてもらいます。メーカーさまゴメン・・・  

 

マイコン化部品の調達
マイコン化のために、左のような必要部品を調達した。         

 

現在の半自動窯では不足する部品(手持ちを含めて)を調達したところ、

これだけの部品を追加する事となった。しめて、約5万円也。

etc.

 

 

 

プロトタイプの製作
一気にマイコン化するのではなく、まずプロトタイプの製作から始めた。.

乾燥/素焼き/本焼き/上絵付け後の焼き付けの4モードを用意した。

左の状態で、ソフトを組み込みシミュレーションし、動作を確認したい。

 

 

 

 

 

 

 

 

パラメータの打ち込み
左は、通電しソフトウェアを組み込み中の状況です。

 

本日(5/16)、初期設定とプログラム制御部分についてパラメータを打ち込む。

何とか一部のシーケンスが進行する所まで確認出来たので、あとは実機に組み込む予定です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロトタイプの試運転
左は、窯にプロトタイプを組み込み試運転を実施しているところです。

本日(5/21)、乾燥と素焼きモードで試運転を行った。

何とか大きな問題は発生せず無事素焼きが完了した。

 

 

 

 

 

 

 

試運転時に気づいた点を以下に列記する。

1.各工程の完了条件に指定温度以上になると警報するように表示灯とチャイムを鳴らす様にしていたが、取説の読み込みが足らず、今回使用したコントローラの出力端子番号とソフトモジュールの割り付けがALM-1が9,10端子、ALM-2が7,8端子のようになっており、てっきり、ALM-1が7,8端子と接続間違いし、機能しなかった。次回までには配線変更の予定。

2.以前にも述べたが、窯メーカーの取説通りでパラメータをセットした為、素焼きに時間がかかった。次回には変更の予定。

3.素焼き終了温度は窯メーカーの取説通り700℃としたが、小生の使用している用土業者に確認したところ強度上、最低750℃との回答があり、次回には750℃に変更する予定。これらはコントローラ自作の強みか?

 

 

ホームページへのアップが遅れたが、素焼き時の不具合も手直しを終えて、無事にプロトタイプでの本焼きを完了した。

 

 

板金加工中
本焼きを含めてプロトタイプでの試運転を完了したことで、ついに実機へ

のコントローラの組み込みを開始した。

左は、最大の難関と思われるコントローラ部の板金加工中の写真です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実機へのコントローラの組み込み
左は、板金加工を終えて実機へコントローラを組み付けたところです。

もとメーターリレーがあった場所は降圧変圧器とSSRの発熱を逃がす

ため、ステンレスのパンチングメタルを用いた放熱パネルを当てました。

 

 

 

 

 

 

 

 

組立て後の最終確認中
左は、すべてのパーツの取り付けと内部配線も終えて、最後の確認を

行っているところです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コントローラの外観写真
左は、ネームプレートを張り終えた外観写真です。

ネームプレートが一部傾いているのは素人作品のご愛敬。

全面には焼成が完了したとき、今のブザーでは聞こえにくいため、

チャイムで知らせるようにチャイムを追加した。

 

 

 

 

 

 

 

 

コントローラの外観写真
左は、炉の本体へコントローラを組み終えた完成写真です。

これで完成!!


平成最終年度の現在まで長期間使用しているが、安定して使用できている。長年職場で覚えた技術が充分役に立っている。(感謝、感謝...)


 

 

 

 


5.伊賀の原土に挑戦

信楽の山一つ越えると忍者の里で有名な伊賀です。此処の原土を購入して花器作りをしてみた。

まずは原土を焼き物に使用できるように粒子を揃え異物を除去するため水簸を行った。


水簸土から出た異物
この写真はその際に出た大昔にこの辺が琵琶湖の湖底であった頃の名残と
思われ、木目があり黒く変色しているが堆積物の木片であろうと思われます。
取り除かねば焼成した段階で、そこは空洞になり泣ける事になる。

 





水簸土の水切り
この写真は水簸の終えた土の水切りを行うため、布に水簸土を入れて木の枝に吊るした状態です。






 

この完成した土をもとに14年目の作品を作る予定です。

 

 

 

 

6.綿花の栽培〜コースターづくりに挑戦

この地は奈良市にある春日大社の元荘園であり、盛んに綿花の栽培が行われてきた土地であり畑の隅に植えてみた。  



綿花の綿が出来たところ
左の写真は綿花の木(草?)です。
成長が早く肩の高さを超えたので摘心したが、脇枝に背を伸ばしても届かない状態となった。

初夏には花も咲き、実がなったのでつむぎ、何かに活用しようとしたら綿の中に種があり簡単には取り出せない事が判明。

 






綿繰り機
仕方がないので近所で織物教室があり、綿繰り機(綿の実から種を取り出す機械)をレンタルで借用し綿にしたが、
次々綿が取れるので、左の写真のような綿繰り機を廃材(道端に捨ててあった木製の椅子などを解体して)で自作してしまった。








糸つむぎ機とかせ繰機
綿の種を播けば当然綿が取れる。取れれば糸にするしかないかと、
左の写真のように糸つむぎ機を自作してしまった。
左の写真は糸つむぎ機から、かせ操機に糸を巻き取り染色前の準備中の状態です。
かせ操機は私が小学生になる前におばあさんからの要求で手作りしたのを思い出しながら自作した。

 





自作機織機
左の写真は機織機です。
すべてが自作です。したがって、使いづらければすぐにカットアンドトライで手直しし、だいぶ使いやすくなった。
綜絖は以前に漁船で使用していたテグスを使ったオリジナルです。
これで染色が終わって出来た糸を使い、機織りをした。







コースター完成
左の写真は完成したコースターです。
「15年目の作品」の座布団に使用しています。









600mm幅の手織り機
左の写真は600mm幅の手織り機です。
深間にはまっています。

 







600mm幅の綜絖
左の写真は600mm幅の手織り機用に手作りした二種類の綜絖です。
上がテグスでこしらえた30目綜絖で、下が20目のアクリル板を用いた綜絖です。








シャトル
現在使用している手作りのシャトルです。上が600mm幅用のシャトルです。
下が400mm幅用のシャトルです。すべて手作りです。


 





綿糸
左の写真は綿から手作りの織り糸です。
糸繰り後に染色した糸です。
右は染色せずの生成り糸、左と中は青と赤に化学染色したものです。








ランチョンマット完成
以前はつたないコースターでしたが、一段腕を上げてランチョンマットです。










テーブルセンター
古布を使用し、裂き織りしたテーブルセンターです。
さらに深間にはまっています。

 







ベスト
古布を使用し、裂き織りしたベスト。
裏地には江戸時代の伊達を取り入れ、着物の裏地を使用しています。








シャトル
上の写真と同じ古布を使用し、裂き織りしたベスト。



 






綿糸
単車の後ろカゴに合わせて作った買い物かごです。
さき織りした布から制作しました。益々はまっています









ショルダーバッグ完成
以前はつたないコースターでしたが、二、三段腕を上げてショルダーバッグです。
さき織ベストの端切れを流用しました。
留め具の前には陶芸教室で作った青い花柄のブローチを付けて飾っています。
ショルダーストラップにはカード織りで手織りしたストラップを用いました。
もう少しミシンの使い方が上手ければ簡単だと思います。
一部手縫いしています。





90cm幅の織機が完成
今までは小物の織物を中心に、制作していましたが遂に
900mm幅の織機の制作を完了しました。
一部には前作の600mm幅の織機での知恵も継承しています。
この織機にするため、新しく天秤を取り入れて、筬を道具屋
を通じてオーストラリアから取り寄せています。
この筬以外は全て自作しました。











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