筋肉-関節連動論    


捻挫による膝痛と外反母趾の関係考察

臨床上において、膝痛は、L4を中心とした腰椎及び仙腸関節、

それらに付随している周辺の筋肉を調整することにより、

膝痛のおおよそ6~7割近くは、減少ならびに消失が診られます。



これは、何らかの理由で膝の中心に体重が乗らなくなり、

動作時の膝周辺の筋肉の使用に不均等な力が掛かると考える事が出ます。

では、何らかの理由とは?人間は、二本足で立ち「バランス」を取りながら動いています。

また、人間誰しも「痛い」のはイヤですから、

「痛み」を避けるのは、人間の本能であり、至極当然の行動なのです。



例えば、「腰痛」や「ぎっくり腰」を起こした時に身体をよじったり、

前かがみになったりと、少しでも痛みを感じない様な楽な姿勢を無意識にとります。

やがて、時間と共に脳内から痛みを止める物質が出るので、

安静にしていれば痛みは治まってきます。

でも、痛みが止まっても腰は治ってないのです。

更に、身体をよじり、曲がった状態で固定しているので、

痛みが引いてもその状態のままなのです。

実は、「ぎっくり腰」や「腰痛」が癖になると云うのは、

庇う事で身体をよじって曲がった状態で固まる事で癖となるのです。

そしてこれがベースとなり次の痛みが始まるのです。

 

つまり、身体をよじる事で骨盤自体も、歪んでしまうのは想像できると思います。

この骨盤の歪みが「膝」にかかる重心をズラし、

それを補正しようと「膝」の周りの筋肉が変な方向に引っ張り、

一方向にしか可動しない「膝」を捻った状態で、

長年使い続けると、膝は片磨耗を起こしてしまうのです。

更にこれ以上、磨耗しないように「防衛反応」で必要以上に水を溜めるのです。

                   これが膝に水が溜まる理由なのです。                                                



ですから、カイロプラクティックでは、膝痛は腰周辺を整えるのが第一と考えるのです。

では、膝痛のおおよそ残りの3~4割は、

他からも少なからず膝に影響を与える原因が有るのだろうと考えられます。



人間が発する痛みや凝りなどの原因は、常に一箇所ではないと言う事です。

「肩こり」は、肩だけでなく「顎」や「首」、「腰」等と起因場所は、その人によりけりなのです。

これは、簡単な話で一人ひとり身体の動かし方は、それぞれに違うのは、当然な事です。

という事は、バランスのとり方や重心や、

筋肉の負担の掛かり方は、一人ひとり違っているのは、当たり前なのです。

個々で影響を与える箇所や割合も違うので、

細く診ていかなければならないのは当然の事となるのです。 



人間の動き(歩く・走る)を観察すると動作は、

股(球体)関節、膝(蝶番)関節、足(複合)関節の一連で動きを成しています。

この3つの関節が正常に機能していれば問題は起きないと思います。

               更に注意深く観察を進めると、ある事に気がつきました。                             



それは足首の関節です。

ここは複雑な動きをするし、体重が掛かる所なので一番怪我の多い所なのです。

理由として、スポーツが挙げられます。

中・高校生のクラブでのスポーツ障害のなかで「足関節捻挫」がダントツなのです。

(日本スポーツ振興センターより)

2005年

捻挫の割合(%)

バスケットボール

50.3

バレーボール

37.5

 サッカー

30.0



 仕組みは、捻挫する事により痛みで足首の周囲の靭帯が強固に固めてしまい、

その後の足関節の可動範囲は変わってしまうのです。

それを補おうと下肢の筋肉が頑張り、筋肉はすぐに疲労を起こしやすくなり、

怪我以前の様には動けなくなるのです。常に関節と筋肉は常に連動しているのです。

また、注意深く観察していると関節は別の役目もあるのです。  

関節は「動き」だけでなく「体重」や「衝撃」の「力」も掛かってくるので、

逃がす役目もあると考えられます。

見方を変えると関節の可動範囲が、大きければそれだけ、

掛かる負荷や圧力は逃がしやすくなると想像できないでしょうか?



また逆に言えば、可動範囲の一番狭い所に負荷や圧力が集まると連想できると思います。

可動範囲の一番狭いのは、「膝」です。

つまり、ここに「余分な負荷や圧力」が集まって来ると考えられます。

実際に「膝痛」を訴える患者さんのほぼ全ての方に、

足関節の可動(内・外旋、底・背屈)に制限や左右差が診られるのは事実なのです。

足関節の可動範囲

屈曲(底屈)約45°

伸展(背屈)約20°

回内 約20°

回外 約30°

内転 約20°

外転 約10°



過去に「捻挫」し現在、「膝痛」を患っている方、

一度自分の足首を内回り・外回りとグルグル回してみてください。

ぎこちなくスムーズに廻らなかったり、

回転させるスピードに左右差が出たりする場合は、足首の調整をお勧め致します。

                       


    足の構造

前距腓靭帯は、距骨が前方に滑らないように繋ぎ止めている靭帯。

踵腓靭帯は距骨が内側に傾きすぎないように制限をかけている靭帯で、

その内側の靭帯はその形状から三角靭帯と呼ばれていて、

脛骨と腓骨をつないでいる靭帯を遠位脛腓靭帯と言います。

足の裏は外には向きにくいという足の構造上、

捻挫するときは大抵、足の裏が内側後方を向くような形で捻るので、

外側の靭帯を傷める事が多い。

以下は、参考程度に捻挫による怪我のグレードを表に表して見ました。(スポーツ障害NAViより)

 

 

グレードⅠ

グレードⅡ

グレードⅢ

前距腓靱帯

部分断裂程度まで

部分断裂~完全断裂

完全断裂

踵腓靱帯

正常範囲

正常範囲~部分断裂

完全断裂

圧痛

軽度あり

限局的な痛み

強い痛み

腫張(腫れ)

軽度あり

明らか

強い痛み

荷重

かけられる

痛みを伴う

不可能

歩行

問題なし

多少困難

困難

皮下出血(内出血)

なし

伴う事が多い

伴う

 


外反母趾の考察

 外反母趾を患う主な原因に、ヒールの高い靴を指摘されますが、

中には男性や、低年齢の子供にも外反母趾が見受けられる事があります。

女性の多くは、骨格の構造上、骨盤の広さから股関節の内旋(内転)が起きやすく、

筋力の衰えと共に、内股になり外反母趾になると唱えている方が多いのです。



では何故、一部には男性や子供に出来るのでしょうか?

これは、注意深く動作を見ていくと「膝痛」と

同じで「捻挫」が原因の一つとして大きく関与していると考えられるのです。

実際にこれも自分で確かめてください。

両足でしっかりと立ち伸ばした状態で「膝」を内側に向けると、

足の親指の外側に圧力が掛かる事が解かると思います。



構造上からも伺えるのだが「股関節」からの内転する(内側に回す)力につられ、

足関節も一緒に内旋し足の親指の外側に圧力が集まってしまうのです。

また、見方を変えるとほぼ全ての方で、

外反母趾が出来ている部分の親指の付け根の所を見ると、

タコが出来ているはずです。

これはその部分に体重が掛かり、圧力が集まっているのです。

そして、ここが中心軸となって内旋していると考えた方が、理解しやすいと思います。

これが、外反母趾の仕組みです。

つまり、足関節が固定される事でタコが親指の付け根にでき、

外反母趾を助長させていると考えられるのです。



外反母趾の患者さんは足関節の可動(内・外旋、底・背屈)に

制限や左右差が診られます。

 

 

 


股関節と坐骨神経痛との関連 

 臨床上、たまたまの発見は、良くある事で坐骨神経痛の治療していた時に、

足の3つの関節(股・膝・足首)に可動制限がある事に気が付いたのです。

特に股関節の内旋・内転(内側へ回す)時に抵抗感(つっぱりや痛み)を訴える人がいます。

坐骨神経痛を患っている人は、特に鼡径部に抵抗感がある様なので、

股関節周りと鼡径部の圧痛(触って痛い所)部分を緩める事により、

症状の緩和が見受けられます。

長い間、腰痛を患っていると、変なバランスを取りながら、

動いているので関節の中心から使う事が出来なくなっている様です。

臀部から下肢(お尻周りから下)の筋肉が過度の緊張を起こし

坐骨神経を圧迫し症状として感じる様です。




 足関節の調整法 

 運動するにあたり、怪我は付き物である。

たかが「捻挫」、されど「捻挫」なのです。



捻挫や怪我は、固定化し無意識に動かさなくなるので、

これを動く様にする時には、大概の人は痛みを感じ事があります。



スポーツ選手は、怪我で手術前のような身体の動きや、

タイムなどの記録や結果が出なくなり、

選手生命を断念せざる終えないとお考えの人、

今一度、身体の動きを含め、

四肢の細かい動きをチエックしてみて下さい。

もしかしたら、もう一度復活できるかもしれません。



仰臥位にて足関節を両手で包み込む様に持つ。

下方への牽引により、距骨と脛骨(距骨滑車面)の間に隙間を作る。

牽引しながら、低屈・背屈・内外の側屈。

(踵、支点)最後、内外の旋回。

(踵、支点)膝痛の場合は、腹臥位にて膝裏の筋肉の状態を確認。場合により調整。

可動範囲の確認とそれによる痛みや違和感の確認。

 


手首の考察 

下肢に於いて、足首の怪我は小さくても、

後々とても重要な事に繋がると思われます。

実は、上肢も下肢同様に構造上同じと考えられるので、

手首も同じく動作時には、重要なポイントとなります。

上肢の動きで「手関節」・「肘関節」・「肩関節」と連動する事は、

下肢と同じ説明になります。



手首の動きに、何らかの障害が起きれば、動作に制限が生じるので、そ

この部分を庇う動きを無意識のうちにしてしまうのです。

庇った動きのしわ寄せは、可動域の一番狭い所の関節、

つまり「肘」に集まると考えられるのです。

「テニス肘」は、この典型だと考えられます。

これと同様にゴルフで肘を痛めている方も手首は、

やはり固く可動域に制限が診られるのです。

では、テニス肩の方はどうでしょう?



これは、他の要因がプラスされている様に考えられるのです。

理由の一つに肩鎖関節(肩甲骨と鎖骨の合わさっている所)の歪みでこれは、

脊柱の歪みから来るものがほとんどです。

歪の出方は、中心(脊柱)から遠ければ、遠いほど大きく出るものなので、

脊柱からの調整が必要となります。



この考え方と同様に四十肩、五十肩に於いては、

脊柱の調整と共に肩鎖関節と手関節の複合的な調整が必要と考えられます。 

臨床上にて手に於いては、「バネ指」・「ガングリオン」・「腱鞘炎」も、

やはり手首に可動制限が見受けられます。

ここを調整しておくと症状は早い段階で改善できます。

また、頚椎の矯正をする時に、首の周りの筋肉が

固すぎて矯正できない時があると思いますが、

そんな時は、手首を緩めてからもう一度矯正を試みます。

そうすると、大概すんなりと矯正が完了するはずです。

 

 


総論

人間の動き・動作は全て連動し一つの動きと成しえる為、

いかに各関節が常にスムーズに動かす事ができるかがポイントとなるのです。

また、筋肉が固くなれば関節を締め上げ関節の可動域を

制限させてしまうという事も解かったのです。



更には、身体を緩めるのに筋肉を緩めるよりも、

関節を緩めた方がより早くに筋肉が緩む事も経験上解かってきました。

これは、筋肉が緩むと即、痛みを含め不快な症状が緩和すると云う事から、

関節を緩めた方が症状に於いて改善する率がより早く、短時間で完了するのです。



人は、常に動いています。

つまり動作は、「流れ」を作っています。

この流れは、人間の身体、筋肉や関節のみならずは、

これらを統括している「見えないエネルギーの大いなる流れ」があるのです。

東洋医学では、「気」・インド伝承医学アーユルヴェーダでは、

「プラーナ」とそして、「イネイト」と色々な表現で表しています。



「見えないエネルギーの流れ」と云うのは、

生きている以上存在するので、この流れを常に意識し治療に繋がれば、

かなり高い確率で治療効果が出ると確信しています。

この方向性で取り組んでいる事象が自律神経失調症を始め、

パニック症・うつ病や統合失調症等いわゆる、

精神的な事柄に関わる症状にも効果が出てきています。

この「エネルギーの流れ」を応用し、微に細に渡り調整を成す事が出来れば、

諦めかけていた症状も快方に向かうと云う事が可能になりのです。

更に、「身体は治る。」と自覚すれば自信も向上し、

物事を前向きに捉える事ができる様になるのです。

つまり「病は気から」の諺がある様に、

心(魂)に影響を与える事も可能であると考え実践してきました。

その人の人生感にも影響を与える事が出来ると、

その最たるものがカイロプラクテッィクであると確証しているのです。

 


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