研究会レポート1


昨年(’08)の9月に「若城会勉強会」にて発表したものです。

大したものではないので暇な方や興味のある方は、読んでみて下さい。

 

今回、ほんの一例に過ぎないのですが、

「線維筋痛症」で悩んでおられる方々に、是非とも一つの治療方法として、

鍼灸やカイロプラクティックの治療を受けて頂きたいと思います。

ウェゲナー肉芽腫症と線維筋痛症についての一見解

KOさん 女性 35歳 初診日:平成19年5月2日

主訴:顔面から上肢にかけてのシビレと激しい痛み特に首から背中、左手の冷たさで感覚が余り感じない状態。1日の仕事の中で、激しい痛みに耐えるのに全身が力み、その疲労感とで動けなくなる。2・3時間に1回30〜40分程度、横になる事でとりあえず与えられた目の前の仕事をこなしていくのが現状であった。左半身に特に痛みを感じ、歩行時の衝撃で膝も痛くなり歩行困難に陥る。診断で全身の圧痛点18ヶ所に及ぶ。

治療:平成19年5月2日から週2回の間隔で現在に至る。 

ポイント:下部頚椎4・5上部胸椎4・5・6腰椎3・4の変移の調整と鍼により圧痛点の刺鍼。

平成20年6月:圧痛点18ヶ所から4ヶ所へ症状は軽快へと診断される。

ウェゲナー肉芽腫症                                                      

1939年ドイツの病理学者ウェゲナー博士が、鼻と肺の肉芽腫を認めると同時に、全身の血管炎と壊死性半月体糸球体腎炎を示した。三部検例を発表し、世界で始めて独立した疾患として報告された。発熱・全身の倦怠感・食欲不振などの炎症を思わせる症状と、鼻・目・耳・咽喉頭などの上気道及び肺・腎の三つの臓器の炎症による症状が一度にあるいは次々と起こる。全ての症状がそろう時は、全身型ウェゲナー肉芽腫症で、それ以外は限局型ウェゲナー肉芽腫症といわれている。難病申請者が平成5年度で全国に670名で、非申請者と非受診者を含めるとおよそ2〜3倍の数に上ると推測される。原因は不明で、全身の血管炎の一つで免疫異常が関与していると考えられている。最近の研究で、血液中の抗中球細胞質抗体(ANCA)と言う自己抗体をもつことが判明した。また、ANCAのなかでもC(PR−3)ANCAと言う自己抗体が特異的に見出された。これにより発症や進行に深く関与していることが伺われる。つまりC(PR−3)ANCAが、風邪などの上気道感染の後に炎症によりサイトカインと共に好中球を活性化し、各種の悪害因子を放出し血管炎や肉芽腫を発生させる。治療法として免疫抑制剤と副腎皮質ステロイド剤の併用でC(PR−3)ANCAの値を見ながら投与。サイトカイン (cytokine) とは、細胞から分泌されるタンパク質で、特定の細胞に情報伝達をするものをいう。多くの種類があるが特に免疫、炎症に関係したものが多い。また細胞の増殖、分化、細胞死、あるいは創傷治癒などに関係するものがある。 情報提供:免疫疾患調査研究班(難治性血管炎)                                                     

PR3−ANCA

日付

06/4/3 06/4/28 06/6/19 07/3/9 07/6/22 07/7/13 07/7/8 07/10/26 07/12/7 08/1/8 08/2/22 08/3/28 08/5/2 08/6/6 08/7/11 08/8/22

数値/uml

9.9

10

10.1

8.8

9.9

8.4

7.6

7.8

10.8

9.4

8

9.3

7.8

10.5

14.3

8.9

上限値

3.4

3.4

3.4

3.4

3.4

3.4

3.4

3.4

3.4

3.4

3.4

3.4

3.4

3.4

3.4

3.4

                                 

上記の表は、血中のPR3−ANCAの数値を表にしてみたもので、カイロプラクティックと鍼灸の治療により、結論から言うと症状の改善はみられたものの残念ながら、PR3−ANCAの変化は見られなかっかった。誠に残念である・・・

下記の文章は、患者さんによるもので、原稿用紙8枚に渡りこの病気の「辛さ」や「苦しさ」の過去を振り返ったもので、切実と訴えるもので、病気を通して家族との存在と私を含めて、多くの先生方に感謝の念を書き綴ったものを纏めたものである。

「線維筋痛症という病について」                                              

平成17年11月初旬、結婚し生活を始めて同居生活と主人の価値観の違いで、ストレスが溜まり、風邪を引いたきっかけから発病したと、今になって考える。2週間経っても、風邪は治らず1ヶ月過ぎても微熱とひどい倦怠感に苦しむ日々を送っていた。年が明けても症状は、改善されず悪化傾向で、両腕に氷を乗せた様な冷えと痛み、更に左顔面の痺れが現れた。2月に入って左腕から指先にかけて痺れ、夜も寝ることが出来なくなり、日常生活に支障を来たした。この頃には食事も取れない状態で体重も7`減った状態であった。大阪市立HPから大阪市立大学医学部附属HPへと紹介され、精密検査後、「ウェゲナー肉芽腫症」と診断されたが、「痛み」とは、因果関係が認められず、更に検査の日々で「線維筋痛症」と診断されたのは、平成18年7月上旬であった。診断されてもコレで、「痛み」が取れた訳ではないので、苦しみは更に続いていく、そして決定的な薬も無く、「痛み止め」で痛みを抑えるのみであった。医者の勧めあり、マッサージや鍼灸等に通いだしたのはこの頃。近隣の接骨院・マッサージ・鍼灸院・カイロプラクティックと訪ね歩くが、病名を告げるとほとんどが断られる始末、受け入れてくれた整体も効果は全く見られなかった。絶望の中、先生の所を紹介して頂き、井戸に放り込まれた私を救い上げて頂き感謝しています。

線維筋痛症

線維筋痛症とは、全身的慢性疼痛疾患であり、全身に激しい痛みが起こる病気である。症状として、全身や広範囲が痛み、またある部分だけが痛むことがあり、その痛みは軽度のものから激痛まで耐え難い痛みであることが多い。痛みの部位が移動したり、天候によって痛みの強さが変わったりすることもある。重症化すると、軽微の刺激(爪や髪への刺激、温度・湿度の変化、音など)で激痛が走り、日常生活に支障を来たし、自力での生活は困難を極める。随伴症状として、こわばり感、倦怠感、疲労感、睡眠障害、抑うつ、自律神経失調、頭痛、過敏性腸炎、微熱、ドライアイ、記憶障害、集中力欠如、などが伴う事もあり、症状には個人差を呈する。また、リウマチや他の膠原病を併発している場合もある。痛みによって不眠となりストレスが溜まり、それがまた痛みを増強させる場合もあると考えられる。線維筋痛症は男性よりも女性に多く、中高年の方に発病傾向が強く、そのため自律神経失調症や更年期障害、不定愁訴など、他の病気と診断されることも少ない。現在人口の1.66%、約200万人いるのではないかと疫学的に発表されている。(線維筋痛症友の会HP参照)

カイロプラクターとしての自分の役割

カイロプラクティックを通してカイロプラクターは2の仕事があると考える。まず、第1の仕事それは、カイロプラクティックおけるサブラクセーションの存在は、この生業に携わる者、いわゆるカイロプラクターと名乗る人達の根底に存在するものであり、決して、止む事無く生涯を懸けて追求するものであると考えられる。セオリーとして、サブラクセーションを見つけ出すのはX−REYをはじめ、ナーブスコープ、モーションパールペーション・神経学テスト等で導きだした脊柱上の部位をサブラクセーションと断定しアジャストを試みる事が多いと思われる。カイロプラクティックの語源は「手技」であるが故に、最終的にサブラクセーションと断定しアジャストするのは、「手」である。手(指先)で脊柱を丁寧に触診していると「何か」違和感を覚える所が出て、そこで指が止まるはずである。それは、鍼灸師が的確にツボを捉える事と同じである様に解剖学上何も存在しない所に「何かがある」と思われるのである。では、この「何か」とは何か?

東洋医学における「気」のエネルギーの考え方

人体は、左右対称となっておりツボには、「補」・「寫」が存在する。

これは、凹凸の関係であり、一方が出ていれば(満)もう一方は、へこんでいる(減)のである。人体をシーソーの様に見立てていて、常にバランスを取っていると云う考え方である。同じツボ同士、実際に注意して見比べれば左右の出方(へこみ方)の違いに気付くと思われる。また、東洋医学の概念で人体の中には、「気」・「血」・「水」が巡っている。また、「気の滞る所に病気が発生する。」と言うように東洋医学では、「気」と云う言葉のキーワードは、かなり重要であり人体の中に流れる「生命エネルギー」と考えられる。

「イネイト」=「気」

「カイロプラクティック」も「鍼灸」も最終的には何を目的としているのだろうか?

「カイロプラクティック」は、アジャストメントを行うことにより「イネイト」をくすぐり鼓舞させる。また、鍼灸も然りで「気」の巡りを整えることで治癒能力に働きかけるのであると考えられる。また興味深い言葉がある。目崎氏の「臨床カイロプラクティック資料」の中にD.Dパーマーの言葉で「人体は、エネルギーの塊であり、エネルギーが偏り、多すぎるか、不十分な部分が存在する状態が病気である。」と紹介している。

言葉の表現、文化等は違うが目的は同じだと思われる。

「ストレート」or「ミックス」

カイロプラクターは、「サブラクセーションを見つけ出しアジャストメントのみを行う者。」と位置付けされ彼らを「ストレート派?」と呼ばれているらしい。これに対して「他の療法または器具を用いてアジャストメント?を行う。」のが「ミックス派?」と言われているらしい。これは、時代の流れと共に様式や生活形態等は、形が変えわるので、その要望に応えながらカイロプラクティックも形を変えて行かなければならないと思われる。それは、近年複雑で様々な症状を訴える患者さんが増えている事は、臨床を続けておられる各先生方が、一番感じている筈である。この件に関して、賛否両論ではあるが、カイロプラクティックは、臨床から導き確立されて来たものであり、最終的には「術者の志」ではないかと結論付けたい。

考え方によっては、カイロプラクティックを否定してしまう事にもなり兼ねない状況であり、非常に悩んでいた。しかし、一つのアプローチの仕方として、見方を変え鍼灸を用いる事により、カンバンセーションを減らし、その患者さんにとっての真のサブラクセーションを導き出し的確にコンタクトし、アジャストメントを行うことが出来るかどうかが、一番重要であり必要ではないのだろうかと日々考えている。これらを総合し考えるに、カイロプラクティックは、未完成ではないだろうかと思えてならない。それは、他の療法が合わさる事により、今以上に発展して行く様に思えてならない。サブラクセーションを的確にコンタクトし、アジャストメントを行えば、その人の生き方、人生感を変え良い方向に導いて行く可能性を秘めているのも、我々カイロプラクターの仕事ではなかろうか。

 

「若城会」のメンバーは、松岡修造の様に「熱き心」を持った方々なのです。

「難病」だとレッテルを貼られ、病院で匙を投げられ、

絶望の淵に立たされた方、諦めずに「若城会」のメンバーに御相談ください。

 

今、世の中は情報が溢れ過ぎ、何を選択すれば良いのか判らないのも事実。

選ぶ側も選ばれる側も、賢くならなければ成りません。

 

その為にも、我々「若城会」は、世の中の一過性の流行などに左右されず、正しい情報を発信し

藁をもつかむ思いで、来院された方が、笑顔で帰って頂ける様、日々精進を続けております。

 

 

今回、大阪市立大学 医学部付属病院 膠原病内科 杉本直樹先生のご好意により、

資料提供して頂きこの場を借りて感謝いたします。

 

 

                                          平成21年10月

 

 


TOPに戻る      若城会に戻る