おやつ
食事の時間以外の間食のことをいいます
語源   
 昔、午後2時頃から4時頃までの時間を「八つ刻(やつどき)」と言っていました。江戸時代中期頃までは一日二食だったため、「八つ刻(やつどき)に小昼(こびる)」といって間食をしたことから、この時間の間食のことを「おやつどき=おやつ」というようになりました。ただしその後、この時間の食事は正式な食事の習慣として一日三食になったので、今のおやつの意味あいとは違います。一日三食が定着するようになってから、午後三時前後にとるようになった間食を「おやつ」というようになったのが現在のおやつの意味です。明治5年に時刻制度が変わってから、お三時(おさんじ)というようになった地方もありますが、ほとんどがそのまま「おやつ」を使っています。「お」は接頭語になるのですが、京や大坂では「八つの刻」に本願寺が太鼓を打ち鳴らしていたので、寺に対する敬意がこの言葉に含まれている、とも言われています。

■日本では、明治5年以前は不定時法を用いていました。この時刻制度は昼、夜の長さをそれぞれ6等分して1刻(いっとき)としましたが、季節によって昼と夜の長さがちがいますので1刻の長さも変化しました。 例えば、夏至の頃には昼の一刻が2時間40分、夜の一刻が1時間20分となります。同じ一刻でも季節や昼夜で違うのです。時刻の数え方や和時計の表示も次のように表現していました。十二支の「えと文字」を時刻にあてて、子(ね)−九ツ、丑(うし)−八ツ、寅(とら)−七ツ、卯(う)−六ツ、辰(たつ)−五ツ、巳(み)−四ツ、午(うま)−九ツ、未(ひつじ)−八ツ、申(さる)−七ツ、酉(とり)−六ツ、戌(いぬ)−五ツ、亥(い)−四ツと、それぞれの数字にあてられていました。日の入りの頃を暮れ六ツ、日の出の頃を明け六ツといいました。一ツ、二ツ、三ツは用いられませんでした。
 ■有名な落語「時うどん」(関東では「時そば」)で、この時刻が登場します。夜の屋台でうどんを食べた熊さんが支払いの時に一文銭を一つ、二つ・・と数え、八つめを数えたときに「今、何時(なんどき)だ?」と屋台のおやじにたずねると「へい、九つで。」と答えます。そのまま「十、十一、十二。これで十二文。」と支払いを一文ごまかしてお客の笑いを誘います。この落語の九つは真夜中の12時頃になります。おやつどきの午後3時は、正午の頃(九つ)の一刻後、つまり八つのころとなります。
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