おあいそ
 飲食店などでの勘定(支払書)のこと。または、その支払いの計算を求めて、客が使う言葉。
 もともとは、店の人が使っていました。縁を切ることを「愛想尽かし」というので、店の人が勘定書を出すときに「愛想尽かしなことですが・・」と使ったのが始まりで、客の方から「おあいそ(づかし)をよろしく」と使うようになりました。

 深い関係の店とはツケがあたりまえ、の時代には、すべてのツケを精算することは「もうこの店には来ないよ。愛想を尽かしたよ」という意味にもなったようです。 
丁寧なもてなしをすることを「お愛想」といいます。
古くから基本的に宿などの「接客の場」で使われていたようです。
また、お世辞、の意味でも使われます。

 もてなし、といえば・・・

  学生の頃、友人と四国を旅して「土佐山田ユースホステル」に泊まったことがありました。
  呼び鈴では反応がなく、しかたなく門から足を踏み入れて大きな声で呼びかけました。
  すると、腰が深く折れ曲がったかなり高齢のお婆さんが出てきて、いきなり
  「今日は予約なかったはず・・。どうしても泊まりたいのか?」
  という意味のことを言われてしまいました。
  1ヶ月も前から予約済み。それは、ないでしょう・・・。

  無事に部屋に案内されることになりました。
  木造の大きな屋敷。あまりにも広いので個人の家だとは思えない。
  とても落ち着いた、歴史を感じる畳の部屋。
  のんびりと流れていく時を満喫していると、
  先ほどのお婆さんが蒲団の用意に来てくれました。
  もちろん、学生の私たちは気をつかって、自分たちで蒲団を敷きはじめました。

  そのとき、お婆さんが突然、ものすごい形相で怒鳴りはじめました。
  「このままだと、お婆さんは頭が切れて倒れてしまうのでは・・」と心配したくらいです。
  どうも、シーツにしわが寄っていることがいけないようです。
  乱雑に敷いたのは確かですが、そんなことで、ここまで怒るのか・・

  私たちはとにかくわけがわからないまま、それでも細心の注意を払って
  必死でシーツを「ピーン」と張りました。
  蒲団を敷くのにこんなに気をつかったことはありません。
  その後、黙って去っていったお婆さんの後ろ姿に、
  私たちは不思議な感動を覚えたのです(笑)。
  今から思えば、究極のもてなしだったような気がします。