どすをきかす
すごみ、恐さを出して、威圧的な態度をとること。
 「どす」とは、短刀やあいくちなどの小刀のこと。「どす」というのは、「脅す(おどす)」から「お」をとった隠語。人を脅すために使う小道具だからです。

 
人を脅して怖がらせるときの野太い声を 「どすの利いた声」
懐(ふところ)に短刀をしのばせることを 「どすを呑む」 などと使います。

 どす、といえば・・・

  私は一度だけ、人が「どす」で脅されるのを見たことがあります。
  それも職場で、です。
  上の説明では小刀と書きましたが、そのときの実物は、かなり大きな物でした。

  もめた内容はさておき、ある青年が「いったいどうするつもりや!」と怒鳴るやいなや、
  木製の机の上に「ドン!」とドスを刺したのです。
  それは、私ではなくAさんにむけられたものでしたが、
  そのときの状況は「身体が固まる」という表現がぴったりでした。
  全く身動きできませんし、おそらく呼吸もしていなかったのでは?と思います。
  現実に戻るまで、いったいどれくらいの時間が経ったでしょうか・・。

  Aさんは、真っ青になって「ちょっと時間をくれ」と言い、その場を立ちました。
  そして、私とともに別の部屋に入ったとたん、たばこを吸い始めました。
  が、その吸い方の激しさといったら・・・。
  (きっと、味わいなんてとんでもない、ただの煙以外の何物でもなかったと思いますが・・・。)
  みるみるうちに灰皿が山盛りになっていきました。
  この人には、こんなに肺活量があるのかと驚くくらいすごい吸い込み方でした(笑)。

  後々、Aさんが思い出話の中で
  「あのとき、寿命が5年は縮まったなあ」とおっしゃっていたのは、
  さもあらん、と思う体験でした。