●敬意表現の使いこなし

敬意表現をするということは、「対人関係を生み出す言語行為」です。
上司や先輩、お客様、恩師、先生・・、あらゆる人が対象となります。
家庭でも学校でも、言葉遣いにうるさく言ってきたのは
社会生活の中での自分の存在を、しっかり認識するためでもあります。
また、たとえ年下や家族や身近な友人であっても、
「親しき仲にも礼儀あり」と言われるように敬意を表する場面はいくらでもあります。

敬語を使いこなすということは、過去のような「上下関係を生み出す」感覚ではなく
お互いを敬愛する言語行為」だととらえていくべきでしょう。
特別な人間関係の中でのマナーとしてではなく、
日常生活で自然に使えることがもっとも大切です。

使い慣れていない語を無理に使って不自然な表現になっては逆効果です。
さりげなく使いこなすことこそ、敬意表現の神髄」です。

人間関係や立場によって、またそのときの気分や体調によっても
相手の言葉の受け止め方は変わります。
さらに、発音の仕方や顔の表情によっても伝わり方は変わります。
「相手の心に響く言葉」を使える人は本当の意味での話し上手なのでしょう。
くどくなくて、それでいてさらりと丁寧な敬意が含まれている・・・。
そんな会話ができたり手紙が書けたなら、とても素晴らしいことだと思います。

自然な使いこなし」を目指して敬意表現を身につけようとすることは
単に言葉を磨くだけでなく、
複雑な人間関係の中で生きていく自分を生かす、ことにつながると思います。