●さ入れ言葉

助動詞の「せる」「させる」は
そのまま使うと「〜してもらう」という命令的な表現(使役)になりますが
「いただく」と一緒に使うことによって、こちら側の謙虚な姿勢を表現できます。

何かを「させていただく」という表現です。

五段活用の動詞(「読む」「置く」「歩く」等)には「せる」を、
それ以外の動詞(「受ける」「着る」「建てる」等)には「させる」をつけるのが原則です。

本来「せる」をつけなければならない動詞に「させる」をつけるという
誤った表現が「さ入れ言葉」です。

  ●「読まさせていただく」
  ●「置かさせていただく」
  ●「歩かさせていただく」

これらは、原則から言うと、「さ」は不要で、「読まていただく」と表現するべきです。

ら抜き言葉は「ら抜き表現です!」と指摘してくれるワープロもありますが、
この「さ入れ表現」は全く変換してくれません。
これらの表現は不自然に感じるのが一般的感覚です。

「話す」や「写す」などのサ行に活用する動詞は「せる」がつきますが
「話」「写」となり、
形の上では「させる」がついているような感じになります。
これらの言葉に引きずられたりして「さ入れ表現」になっていくようです。

このさ入れ言葉を使う人こそ、典型的に敬語が弱い人だ
と言えるかもしれません。
 
また、「書かせて」と「書かして」の違いがあります。
本来の言葉は「せる」だから、「書かせる」が正しいのです。
しかし「書かして」も広く使われているので
間違いだと断言できなくなりました。

  ●読ませてもらう、読ましてもらう
  ●受けさせてもらう、受けさしてもらう
  ●考えさせてもらう、考えさしてもらう