●マナー・モラル・礼儀

「礼儀」「マナー」「モラル」という3つの言葉の意味の違いがわかりますか?
細かなニュアンスにこだわらずに私なりにおおまかに整理すると

マナー ある事柄に対する行儀や作法。「みんなで決めたこと」
モラル 社会や個人が持つ道徳・倫理観。「善悪の判断の基準」
礼儀 敬いや慎みの気持ちを表す行動や作法のこと。「気持ちを伝える言動」

つまり、敬意表現が使われるのはマナーやモラルではなく
「礼儀」にのっとったものだ
ということがわかっていただけると思います。
礼儀=心づかい、だといえます。
礼儀を態度であらわすと「贈り物」や「切腹」(これは極端すぎますが・・)となり、
言葉であらわすと「敬意表現」となるのです。

マナーは他人を意識しているとは限りません。
ご飯をハシで食べるのは人が見ているからではありません。

モラルは自分自身の意識が大きな部分をしめます。
他人がいてもいなくても正しいことは正しいと判断できます。

ところが、礼儀は対人関係です。
礼儀=敬意表現は、相手に対する心づかいです。
「私はあなたを尊敬しているんだからこの気持ちを受け取って!」
「こちらには慎みの気持ちがあったのにわかってもらえない・・」
などど押しつけるものではありません。

言葉は意図する気持ちが正確に伝わって初めて成り立つものです。
いくら自分が英語をペラペラ話しても
英語を知らぬ人にとっては「音」であり「言葉」にはなりません。
同じように「意味や気持ち」が正確に伝わらないのなら
会話をしている意味などなくなってしまいます。

「こちらには敬意があるのだから、言葉はどうでもいい・・」では
通用しない場面があるでしょうし、
また、へたで無理を感じる敬意表現なら、逆効果です。
使うなら、やはりある程度の知識がなければなりません。
もちろん、聞くほうにもその知識がなければならない、ということです。

礼儀を捨てて挨拶までもやめる人、なんてほとんどいないと思います。
敬意表現は、双方がよく理解して使うのならば、
とても便利な表現なのです。