故事成語

先んずればすなわち人を制す
 強大な権力を持っていた秦の始皇帝(しこうてい)が亡くなった後、世の中はふたたび乱れてしまいました。世の中をまとめるために、次の王をねらって挙兵を決意した殷通(いんとう)は項梁(こうりょう)に話を持ちかけました。

 殷通(いんとう)は、「私は、真っ先に始めた者が人を制することができる、と考えている。人よりも先に事を起こせば優位に立つことができるし、少しでも遅れると他人に支配されてしまうだろう。俺の部下とならないか。ぜひ一緒に闘おうではないか。今、このチャンスを逃すわけにはいかないぞ。」と言いました。 項梁は、にこやかに「あなたのおっしゃるとおりです」と返事をして、甥(おい)の項羽を室内に呼びました。すると、項羽はたちまち殷通の頸(くび)をはねてしまったのです。

 他人より先に事を起こせば・・と心がけた殷通が、自分の言葉によって真っ先に殺されたのは、皮肉なことでした。
■ 人より先に事を行えば、人より勝ることができる。

<例> この大成功は、まさに先んずればすなわち人を制すの典型ですね。