故事成語

驥尾に付す
 伯夷(はくい)と叔斉(しゅくせい)の兄弟は、先人の教えをよく勉強する人たちでした。周の武王が自分の主君である紂王(ちゅうおう)を討って王となったとき、「それは天の道に反することで許せない!」と嘆いて、山に引きこもってしまいました。そんな武王がいる周の国には世話になりたくない、という考えから、周の国でとれた穀物を食べずに、そのまま餓死してしまいました。また、孔子(こうし)の弟子たちの中でも、特に顔淵(がんえん)は優秀でしたが、日頃から孔子は 「顔淵は私の弟子たちの中でもっとも学問を好みよく努力する」と誉めていました。

 伯夷叔斉は行いのすばらしい人たちであったし、顔淵も広く学問を学んだ優秀な人でした。ただ、この人たちが有名になって、人々から尊敬されて手本となるような生き方ができたのは、導いてくれる先人に付き従い、先人からよく学んだからです。

 小さな蠅(ハエ)は、自分ではたいした距離を飛ぶことなどできないが、驥尾(きび)<驥=1日に千里も走るという名馬、の尾)にとまっていれば、はるか遠いところにも行くことができます。岩陰に隠れているような才能ある優秀な人物が世に出るか出ないかは、本人の努力だけでなく、出会いや時の運にも左右されるのです。
■ すぐれた先輩について、自力ではできないようなことをなし遂げること。
また、他人と行動するときの謙遜の言葉。

<例> 私は、あの先生の驥尾に付すことで今の地位を築き上げられたのだと感謝している。