故事成語

食指が動く
 楚の国が、鄭(てい)の霊公にスッポンを献上しました。
 子公子家とがさっそくその献上品を見ようと朝廷を訪れると子公の人差し指がぴくぴくと動きました。それを、子公子家に見せて「今までも、指がこのように動いたら、必ずごちそうにありつけたんだ。」と言いました。宮中に入っていくと、ちょうど料理人が大きなスッポンを調理しようとしているところでした。二人はうれしそうに顔を見あわました。

 にこにこしてやって来た二人を見て霊公がわけを尋ねたので、二人は指の話をしました。しかし、その話を聞いた霊公は、意地悪をしてスッポン汁を配りませんでした。子公は怒ってしまい、強引に鍋の中に自分の指をつっこんで、指をなめてその場から出て行きました。それを聞いた霊公は怒ってしまい、「あまりに無礼な奴なので殺してしまえ」と命令しました。

 その計画を察知した子公は、子家に、「先手を打って霊公を殺してしまおう。」ともちかけましたが、反対されました。すると今度は、子公霊公に、「実は、一番悪い奴は子家なのです。」と、ウソの話をもちかけて子家に責任を負わせようとしました。子家は追い込まれた立場になってしまったので、しかたなく子公と手を組んで、とうとう霊公を殺してしまいました。

 食べ物の恨みは主君をも殺してしまうのです。
■ 珍しいごちそうを得る兆し。食欲がわいてくること。物事を求める気持ちがおこること。大切なことを実行しようとすること。

<例> あの人は新たな事業を始めようと、食指を動かしている。