故事成語

夜郎自大
 漢の時代、今の雲南省あたりに夜郎(やろう)という国がありました。この国は西南夷(せいなんい)と呼ばれる少数民族が立てた国で、十ばかりあった西南夷の国々の中で最も大きな国でした。すでに強大な国家を作り上げていた漢は、武帝の時代に張騫(ちょうけん)という人物を身毒国(みどくこく=今のインド)に派遣しました。今後の身毒国との交流には立派な交通路が必要であると感じた張騫は、武帝に「途中にある夜郎国と緊密な連絡をとるようにしなければなりません」と進言しました。そこで武帝は夜郎国に使者を遣わしました。

 武帝の使者にあった夜郎国の王は「漢とわが夜郎国とどちらが大きいのかね?」と尋ねたのでした。道路が通じていなくて交流がなかったために、自分の国が世界で一番大きいと思いこんでいた発言だったのです。

 それから、人々は世間知らずのことを「夜郎自大」(夜郎は自らを大なりとする)というようになったということです。
■ 自分の力量もわきまえずに、偉そうに威張っている人物のこと。

<例> あの発言は、まさに夜郎自大以外の何ものでもない。