一ケ月と一カ月
もともと中国では数詞につけて数を数えるときには「箇」を使っていました。ですから、日本で使われていた最も古い形は「一箇月」だと考えられます。のちに、「器が一箇。」というように、言葉が切れる時には「こ」と発音して、「一箇月」のように漢語の名詞に続くときには「か」と区別して発音するようになりました。「箇」を読みやすく仮名にしたものが「一か月」「一カ月」です。”か”や”カ”は小さく書くこともあります。 

 漢字の「箇」「個」「个」は異体字で、3つとも「か」・「こ」と読みます。異体字は同字ともいい、見た目は違っても成り立ちなどから考えて同じ字として扱われる漢字のことです。たとえば裡=裏、嶋=島などです。ですから、「一箇月」「一個月」「一个月」のどれを書いても同じでした。

 「一个月」の「个」の代用としてカタカナの「ケ」を使って「一ケ月」と表記したものがある時期に流行したのがが残り、現在は両方が使われています。結局、どちらを使っても意味の上では違いはないということになります。

■異体字=同字には次のようなものがあります。
(A)常用漢字表の旧字体→新字体
   臺=台 辨・瓣・辯→弁 號=号 雙=双 體=体 餘=余
(B)人名漢字表内の許容字体→掲載字体
  祿=禄 穰=穣 亙=亘 彌=弥 
(C)拡張新字体→正字体
    鴬=鶯 桧=檜 曽=曾 祢=禰
(D)位置を交換した動用字
   棊=棋 讎=讐 蘓=蘇 峯=峰 枩=松 裡=裏 嶋=島
(E)字形の違いが僅かな同音同義のもの
   弍=弐 竒=奇 冨=富 凉=涼 亰=京