(あかね) : アカネ科

 

あかねさす 紫野行き 
標野(しめの)行き 
野守りは見ずや 君が袖振る

額田王 万葉集 1-20

天智天皇蒲生野に遊猟したまう時、額田王のつくる歌

あかね色にそまった紫草の野を行くあなた。
袖を振ったりなさったら野守りがあやしむじゃありませんか。あなた。
 

紫の にほえる妹を 憎くあらば 
人妻ゆえに われ恋ひめやも

大海人皇子(天武天皇) 万葉集 1-21

皇太子(後の天武天皇)の答えましし御歌

紫がにおい立つようにように美しいおまえ。おまえが憎いのであればどうして恋などしようか。

河上の ゆつ岩群に 草生さず 
常にもがもな 常処女にて

吹ふきの刀自 万葉集 1-22

十市皇女、伊勢神宮に参りし時、吹ふきの刀自の作る歌

十市皇女は大海人皇子と額田王に生まれた皇女。
天智天皇の皇子大友皇子に嫁したが、壬申の乱で父(大海人皇子)に敗れた。
 


茜は山野に生えるつる性の多年草。赤黄色の根はあかね染めの染料として用いられた。茎は四角で細かい棘があり葉は4枚が輪生する。万葉集では茜そのものを詠んだ歌よりは、茜色に照り映える意味から日・月・照る・紫等にかかる枕詞として多く使われている。
 


2005.5.22 莵田の高城(うだのたかぎ) 
奈良県莵田野町


2002 春日大社神苑

2004.4.25 春日大社神苑