日当たりのよい山野の川のほとりに多いつる性の落葉樹。長く垂れた花房が風にゆられて波打つので藤波と詠まれることが多い。

 

藤波の 花は盛りに なりにけり 平城の京を 思ほすや君

大伴四綱 万葉集 3-330

藤波の花は盛りになりましたね。奈良の都を恋しく思われるでしょうか。あなた。

恋しけば 形見にせむと わが宿に 植えし藤波 いま咲きにけり

山部赤人 万葉集 8-1471

ほととぎすが恋しくなったら形見にしようと我が家に植えた藤は、今波打って咲いたことだ。

ほととぎす 来鳴き饗(とよも)す 丘辺なる 藤波見には 君は来じとや

万葉集 10-1991

ほととぎすが来てしきりに鳴いているというのに、丘辺に咲く藤の花をあなたは見に来ないというのですか。早くいらっしゃいな。