いちい樫 : ブナ科

万葉名 
伊智比 (いちひ

・・・・  あしひきの この片山に 二つ立つ いちひが本に

あづさ弓 八つ手挟み ひめかぶら 八つ手挟み
鹿待つと わが居る時に さ牡鹿の 来たち嘆かく
たちまちに 我は死ぬべし 大君に 我は仕えむ
我が角は 御笠のはやし 
我が耳は 御墨の壷 
我が目らは 真澄の鏡
・ ・ ・ ・
老ひはてぬ 我が身一つに 
七重花咲く 八重花咲く 申し賞(はや)さね 申し賞さね 

乞食者(ほかびと)の詠める 

万葉集 16-3885

乞食の呼びかけから始まる。牡鹿がやってきて嘆くことには、

「私の角は笠に、耳は墨壷に、目は鏡に・・・、 老いて死んだ我が身がこんな風に珍重されて、 七重八重に花が咲くとはやし立ててください。 」  

ブナ科の常緑高木。万葉集に1首のみ登場。


しゃがの花に包まれたいちい樫倒木
春日大社神苑


 
いちい樫倒木から枝がでて樫の林を形づくっている。 春日大社神苑