生駒山越え

夕されば ひぐらし来鳴く 
生駒山 越えてそ吾が来る 
妹が目を欲り

万葉集 秦間満(はたのはしまろ)  15-3589

夕方にひぐらしがきて鳴く生駒山。その生駒山を越えて私は来たんだ。ただただ妻に会いたくて。

秦間満は遣新羅使の1人。出航を控えて、難波津で待機中の作者が
わずかな時間を利用して都に残した妻に会いに帰った時のもの。

妹に会わず あらば術なみ 
岩根踏む 
生駒の山を 越えてぞ吾が来る

万葉集 15-3590

いとしい妻に会わないではどうしようもないから険しい岩を踏んで生駒の山を越えてきたんだ。 これもやはり遣新羅使の歌。
 


 

大阪平野と奈良盆地を隔てる生駒山地。主峰の生駒山は標高642m。
古くから暗がり峠越え、信貴越え、竜田越えなどの道が開かれた。
遣唐使、遣新羅使、防人などは、大和から生駒山を越えて難波津へ向かった。


東大寺2月堂より大仏殿・生駒山を望む


東大寺2月堂より生駒山夕暮れ


奈良市・開化天皇陵の後方に生駒山を望む