麦は大麦や小麦、ライ麦、燕麦などの総称だが、万葉集では大麦にあてられる。
馬柵越(うませご)しに 麦食む駒の 罵(の)らゆれど
なほし恋しく 思ひかねつも
万葉集 12-30961360
馬が柵越しに青麦を食べると叱られるように、私があの方と逢ったことで親に叱られた。それでもなお恋しくて、思うまいと努めても思われてしかたがないことよ。
柵越しに 麦食む子馬の はつはつに 相見し子らし あやに愛しも
或る本に曰く
馬柵越し 麦食む駒の はつはつに 新肌触れし 児らし愛しも
万葉集 14-3537
柵越しに麦を食べる駒のように、やっとほんの少し逢えた子が、ふしぎに愛しいよ。