室之樹 むろのき
室の樹はヒノキ科の常緑小高木。日当たりの良い丘陵地に自生。葉は針のようで硬い。
樹には香りがある。磯で多くうたわれているのは砂地に生えるはいねずのことか。
いぶき(ヒノキ科)春日神社神苑 2004.3.14
吾妹子(わぎもこ)が 見し鞆(とも)の浦 むろのきは 常世にあれど 見し人ぞなき
私の愛しい妻が見た鞆の浦のむろのきはいつまでも命を保っているのに、妻はいまはもういないことだ。
鞆の浦の 磯のむろのき 見るごとに 相見し妹は 忘れえめやも
鞆の浦の磯に生えたむろのきを見るたびに相見た愛しい妻を忘れることはないだろう。
万葉集 大伴旅人 3-446・447