栴檀(せんだん) : センダン科

万葉名 あふち

 

玉に貫く あふちを家に 
植えたらば 
山ほととぎす 
離(か)れず来むかも

大伴書持 万葉集 17-3910

あふちの花を家に植えたならば、山ほととぎすがいつも来るだろうか。

「玉にぬく」は、あふちの蕾を玉として、かずらや首飾りを糸に通すこと。 大伴書持が久仁京にいる兄の家持に贈った歌である。

 

妹が見し あふちの花は 
散りぬべし 
我が泣く涙 いまだ干なくに

山上憶良 万葉集 5-798

妻が見たあふちの花が散る気配をみせている。悲しみの涙はまだ乾かないのに。

大伴旅人の妻が赴任先の太宰府で亡くなったことを悼んで山上憶良がささげた挽歌。

 

 

 



せんだん科の落葉高木。
葉は鳥の羽のように広がり、初夏、梢に薄紫色の小花をたくさんつける。


冬・あふちの実