鹿


長皇子の志貴皇子と佐紀宮にともに宴せる歌

秋さらば 今もみるごと 妻恋ひに 鹿鳴かむ山ぞ 高野原の上

長皇子 万葉集 1-84

秋になると、ほらご覧のようにきまって妻恋の鹿の声がひびく山なのですよ。
この高野原の上は。

 
日葉酢媛命陵               佐紀神社

夕されば 小倉の山に 鳴く鹿は 今夜は鳴かず い寝にけらしも

斉明天皇 万葉集 8-1151

 

わが岡に さ男鹿来鳴く 初萩の 花嬬問ひに 来鳴くさ男鹿

大伴旅人 万葉集 8-1541

わが家の近くの岡に男鹿がやってきて鳴く。
初咲きの萩を花妻として、妻問いにきて鳴く男鹿よ。