山法師(やまほうし) :  ミズキ科 

万葉名 : 柘 (つみ) 


仙柘枝(ひじりのつみのえ)の歌三首

霰降り 吉志美(きしみ)が岳を 
(さが)しみと 
草取りかねて 妹が手を取る

万葉集 3-385

この夕 柘のさ枝の流れ来ば
梁は打たずて 取らずかもあらむ

万葉集 3-386

この夕暮れ、もし仙女に化身するという柘の小枝が流れてきたならば、
簗は打たないで、柘の枝を取らずしまいになりはしないだろうか。

いにしへに 
梁打つ人の なかりせば
ここにもあらまし 柘の枝はも

万葉集 3-387

いずれも、万葉の頃の吉野の拓の枝伝説に基づくもの。


 


拓は普通野生の桑「山桑」を当てるが、山法師の古名に山桑があり、拓を山法師と見る説もある。

丸いつぼみの集まりを坊主頭に、白い総包を頭巾に見立てて山法師と呼ぶ。 山野に自生する落葉高木。5・6月ごろ小枝の先に長い花柄を直立させ、頂に純白の4弁の花をつける。が、花弁のように見えるのは正しくは総包片 であり、本当の花はその中央にある黄緑色の部分で、20−30の小花が球状に集まっている。

 


矢田寺(金剛山寺)
2005.6.12  矢田寺(金剛山寺)