おけら  :  キク科 

万葉名 宇家良うけら


恋しけは 袖も振らむを 
武蔵野の 
うけらが花の 色に出ずなゆめ

万葉集 東歌 14-3376

 

あなたが恋しく思ってくださるのでしたら、私から袖を振っておこたえします。武蔵野のおけらの花のように。
恋しあっていることをそぶりに出して人に知られないようにしてくださいね。

清楚なおけらの花に偲ぶ恋を託している。

わが背子を 何どかも言はむ 
武蔵野の 
うけらが花の 時なきものを

万葉集 東歌 14-3379

わが背子を何といったらよいのでしょうか。うけらの花のようにいつもいつも恋しいものを。

 



 

 

 




 


日当たりの良い山地に自生するキク科の多年草。万葉名の「うけら」がなまって「おけら」となった。
十月ごろ、アザミのような紅味がかった淡い白の花をつける。若芽は食用に、根は胃の薬に使われる。

京都の八坂神社では大晦日と元旦早朝におけら参りが行われる。乾燥させたおけらの根をかがり火にくべ、吉凶縄に移して持ち帰る。
この火から移して雑煮をたいて元旦を祝う。

 

うけらの花 自宅

うけらの花拓。花の総包には魚の小骨のような刺がある。