山野の陰地に自生する多年草。春から初夏にかけて、薄緑の小さい花が穂のように咲く。
葉で直接布を摺って染める摺り染め染料植物として、万葉時代から使われていた。
山藍の名から藍色に染まるのかと思われるが実際は緑色に染まる。
奈良春日大社神苑 2004.3.14級照る 片足羽川の さ丹塗りの 大橋の上ゆ 紅(くれない)の 赤裳裾引き
山藍もち 摺れる衣着て ただひとり い渡らす児は
若草の 夫(つま)かあるらむ 橿の実の 独りか寝らむ
問はまくの 欲しき我妹が 家の知らなく
万葉集 9-1742
・・・丹塗りの大橋の上を、紅の赤裳の裾を引き、山藍で染めた着物を着てただひとり渡っていく娘は、若草の夫がいるのだろうか、それとも橿の実のように独りで寝ているのだろうか。問いかけてみたいあの娘の家を知らないことよ。
春日大社神苑 2002 京都鞍馬山 2002.11.17