朝日新聞に関電グループのマレーシアでの植林の記事が載ったので、その中心となっていると思われる滑ヨ西総合環境センターに、メールで質問を送りましたところ、回答がありました。
企業も、植林についてかなり研究を行っていること、インドネシアなどでの違法伐採が非常に深刻な状態であり、先住民が苦しい状態に置かれていること、炭化事業は、よくわからないので別として、関電の計画には、やはり問題があるのではないかと感じました。ただし、私の質問にちゃんと回答をしてくれた滑ヨ西総合環境センターの姿勢は大変評価できると思います。以下に、私のメールと滑ヨ西総合環境センターの回答を載せます。
2回目の質問にも回答が来ました。
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@私の滑ヨ西総合環境センターへの質問メール |
| 私は「世界の森を守れ」というホームページを作成している米澤と申します。 4月29日の朝日新聞朝刊で、貴社の調査の結果、関電グループが、マレーシアの サラワクやマレー半島のパハン州で、アカシアなどの早成樹を植林するという報道が ありました。「利用されずに焼却されてきた木材を炭に変えて二酸化炭素の排出抑制 に役立てる」というのはすばらしいことだと思いますが、アカシアなどの早成樹の単 一種の植林については、@熱帯の多様な生態系を壊してしまい、A森とともに生きて いる先住民の暮らしに悪影響を与え、Bすぐに伐採されてしまうと、二酸化炭素排出 抑制の効果はほとんど見られず、持続可能な森林経営も難しい、などの指摘が、森林 問題に関わる専門家やNGOから出されています。 短い記事でしたので、貴社や関電グループの真意が伝えられていないのかもしれな いのですが、「アカシアなどの早成樹の植林」という報道に不安を抱きましたので、 この点について、よりくわしいご説明をメールにていただけないでしょうか。 この問題については、多くの方の関心があると思いますので、私のホームページに て公開していきたいと思っております。 よろしくお願いいたします。 |
A: 4/29朝日新聞記事の滑ヨ西総合環境センターへの質問の回答について |
| > 米澤興治 様 > > 弊社の事業調査にご関心を頂き、また貴殿の早成樹植林と生態系に関する貴重なご意見を頂き、ありがとうございます。 まず、朝日新聞の記事表現に「来年度からマレ−シアで植林事業を行う」とあるの は、「来年度からマレ−シアで植林事業化に向けて検討を行う」ということです。 昨年度に予備調査を行い、今年度に詳細調査を実施して、来年度から植林事業化の 本格的な検討に入るということです。 > 貴殿の指摘された点は次のように理解しました。 > アカシア等早成樹の単一植栽には以下の問題点がある。 > 1)熱帯林生態系を破壊し、種多様性を維持できない、 > 2)森とともに生きている先住民の暮らしに悪影響を与える、 > 3)短伐期によりCO2貯蔵機能はない、 > > アカシア等早成樹の一斉植林には、生態学的には上記1)、2)、3)の問題点をは らんでいることは、貴殿のご指摘の通りです。現状の植林技術と企業の経済性、及び 現地側(政府、企業、住民)を考慮して、本調査ではそれらの点を少しでも改善する 方策を考えています。 > 上記のご指摘に回答する前に、まず現地の事情を説明しておきます。林業と林産業 は、サラワク州経済の要であり、原油やガスの輸出につぐ産物です。原油、ガスは原 料の輸出でしかありませんが、木材産業は現地が加工技術を加えて付加価値をつけた 製品であり、大きな雇用を創出し、森林地域であるがゆえの産業です。一方、現地が これまでの天然林の商業伐採と、それに続く住民の焼畑地の拡大で、州政府は森林資 源が近い将来に枯渇し、深刻な経済問題になることを認識しています。そこで、広大 に残された商業伐採跡地と焼畑跡地に、商業植林を積極的に行う政策を1990年半ばか ら進めています。 > 弊社の植林事業計画が対象としている場所は、すでに現地の民間企業が州政府のラ イセンスを得て独自に商業植林事業計画を策定し、環境アセスメントを実施しすでに 試験植林を開始しております。そこに、弊社が炭化事業の導入を植林と併せ、CO2削 減のCDM事業としての可能性を提案して、参入が可能かどうか、事業が可能かどうか を検討する調査です。 以下に、貴殿の指摘に回答をいたします。 > > 1)「熱帯林生態系を破壊し、種多様性を維持できない」について 高温多湿な熱帯は生物の多様な繁殖と成長に適した環境ですから、単一樹種の植林 は確かに種多様性を低下させ、病虫害発生などの憂慮すべき点が多く、ご懸念はもっ ともです。 現在、私達が具体的に提案しているのは、アカシアなど早成樹植林区域に隣接して、 在来種のフタバガキ科樹種を主体とした修復植林区を設けることです。 フタバガキ科樹種は自然状態では、常にその根系に菌根菌というカビと共生して生育 しています。すでに私たちは、インドネシアにてこのフタバガキ科樹種に菌根菌をつ けて、大量に健全な苗を育てる手法を開発しましたので、これを適用する計画です。 > 在来種を使うということ、化学肥料を使わず自然状態にある共生微生物を使うこと は、理にかなった手法と考えます。 > さらに、修復植林区には、植栽方法として、農林水産省森林総合研究所の研究者が提 案した伐採や索道によってできた林冠ギャップを利用したギャプ植林の採用も計画し ております。 > このためには大量のフタバガキ科樹種の苗木が必要になりますが、この樹種の開 花、結実周期は数年に1回ですから、天然の実生苗だけを期待していると必要時に苗 木を確保できません。従って、これまで挿し木法による苗木の大量増産技術が、いく つかの企業や研究機関によって研究されてきました。本技術は困難と言われました が、インドネシアやマレ−シアで日本企業の長期の努力で数種のフタバガキについて は、それが可能になり、現地の研究機関からも高い評価を得ています。弊社ではこれ らの技術導入も計画しております。 > 2)「森とともに生きている先住民の暮らしに悪影響を与える」について > 事業計画の対象となっている現場は、住民による焼き畑が繰り返し入っている場所 で、草地または若い二次林が広大に広がっています。主な先住民はイバン族で州内の 30%を占めます。サラワク州政府によって、法的に先住民の既得権は一定面積保護さ れています。この既得権を維持しながら、炭焼き業に住民の参加を得て、その炭の農 業への利用を考えています。この点は、住民の意識感情が大事であり、本事業によっ て地域住民に具体的にどのような利益と不利益があるのかも、今年の調査課題に挙げ ています。 > 先住民や住民と森の関係については国、島、地域によって事情が異なり、山林地ま たはその付近に住んでいるから「森に依拠した先住民」とはいえないように思います。参考までに、弊社の調査経験を述べさせてもらいます。 > 私達が以前からインドネシアのスマトラ島中部のジャンビ州で、大学と植林研究を しています。森林地帯に商業伐採が広がっていますが、現地住民がゴム園をつくるた めに次々と入り、森林はゴム園に変わっています。先住民としては狩猟採種生活をす る少数のオラン-アナク-フタン族(以前はクブ族と言われた)が生活を営んでいます が、地域住民はメラユ族(いわゆるマレー人)が多く、伝統的な共有林管理もなく、 森林を焼き払い周辺は広大なゴム園です。森林修復保全のために研究林にも、次々と 盗伐や火入れが入り対応に苦慮していますが、彼らにとって森林樹木の伐採は手っ取 り早い現金収入であり、その後は比較的収入の良いゴム園をつくりたいために、逆に 森林保全を好みません。現在、大学が中心となって、州政府機関、地域行政機関、住 民との話し合いを行い、対策を進めています。森林を守れば、先住民のオラン-アナ ク-フタン族は生活できますが、多数のメラユ族はゴム園をつくれないので反発しま す。特に近年のアジアでの経済危機は、森林(人工林も)の不法伐採と焼き畑を加速 しています。 > 現在のマレ−シア島嶼部では、現地国の中で先住民、入植者、企業(林業、アブラ ヤシ等)が入り交じり、お互いに利害関係をもち、そこに国内経済事情、国際経済事情が影響を与えて、森林や森林跡地をめぐってダイナミックに動いています。「先住 民」という概念が単純な構造ではないということは、私たちもよく承知しているつも りです。 > 3)「短伐期によりCO2貯蔵機能はない」について > ご懸念はもっともです。伐採すれば、実質の炭素固定は植林した最初の部分の吸収量のみとなります。しかし、今回の提案で、炭にすることでプラスαの炭素固定量が 得られると考えています。 > その点を説明します。現地企業は商業植林によって、パルプチップと合板用材の生産を目的としております。短伐期植林に対するCO2貯蔵機能の期待には次の考えがあります。例えば、パルプ生産用に伐期10年で1万ヘクタールの植林を考える場合に、毎年1000ヘクタール伐採しても、そこにすぐ植林し、残り9000ヘクタールには常に異林齢の植林木が残存し 成長しています。従って、1万ヘクタ−ル全体で見ると、常に一定の植林木が残って おり、これを平均値として炭素蓄積量としてカウントできる、という考え方です。伐採された樹木は、生産物として消費され、特に製紙のように消失の速いものは大気中にCO2として出ていきますから、炭素収支ではプラス-マイナスでゼロになり、初期10年間で成長した樹木の蓄積炭素量を超えることはできません。 > また、用材生産を目的として、20年から50年の長伐期の植林事業の考え方もあります。収穫期間が長い分、初期の蓄積量がパルプ用植林よりも大きくなるでしょう。ただし、一斉植林をする限りは、前記パルプ生産用の植林と基本的構造は変わりません。 > 伐採収穫と炭素貯蓄の考え方については、現在IPCC(政府間パネル)の国際的な科学者協議で議論がされており、今年11月開催予定のCOP6にその結論をゆだねるしかあ りません。 > 弊社は、本事業化調査で、成長期間中に伐採される間伐材と、収穫時や加工時に発生する端材を、これまで放置するか焼却処分していたものを、炭化することを提案し ています。樹木が成長するということは、光合成によって確実に大気中のCO2を吸収> し、樹体内に有機炭素として蓄積します。これを炭化することで無機炭素にすれば、 土壌微生物によって分解されることはありません。炭を燃料としてではなく、現在日 本でも利用が増加している農業土壌改良資材や浄水材として用いれば、樹木に固定さ れた空気中の炭素は確実に残ります。次回の植林時に苗木の植栽に土壌改良として再利用することもできます。この炭の効用については、すでに文献が多数ありますからご参照下さい。弊社は、この炭生産が炭素固定に結びつくだけでなく、焼き畑移動耕作民の定住安定化をはかる地域密着型の事業に展開できないかと考えています。 >弊社は、上記に説明しましたとおり、技術的に生態系にマッチするだけでなく、経済性、市場性、住民の合意性という多面的な要素をひとつひとつ今回の調査で解決方法を見出し、持続的な植林事業の可能性を探ってゆくつもりでいます。 > > 貴殿への回答は以上です。 > > 補足ですが、1990年初めから弊社はインドネシアのスマトラ島で、商業伐採や焼き畑入植後の森林の生態系の回復過程(炭素固定機能も含む)と植林技術の開発を、現地の国立ガジャマダ大学と共同研究を進めており、山地の現場に弊社の研究員2名を派遣しています。研究対象としている樹種は、現地に生育しているフタバガキ科樹種であり、その再生を目指しています。熱帯雨林の減少が大きな問題になっている中で、生物種の多様性を維持することは、遺伝子資源の維持だけでなく、周辺住民の生活に影響することを、私たちもインドネシアでの共同研究の現場で身をもって体験してきました。在来種のフタバガキが生態的にも経済的にも重要ですが、植林技術、コスト、さらに伐採収穫までに数十年の長期を要することから、その単独植林は現地から敬遠されます。 > そこで私達は、アカシア-マンギウム商業植林の中に、フタバガキ樹種の植林を組み入れること、炭化を導入することを提案してきました。熱帯林の減少と植林事業は、現地国においても、地域住民生活とその地域や国の経済発展、そして自然保護という、相反する事柄が複雑に絡んでおり、単純ではありません。 > なお、この場をお借りして、いくつかの日本企業が熱帯雨林の再生技術研究に取り組み、基礎研究に終わらず実用化に近い成果を挙げていることを記しておきます。 > 弊社でお答えできることについては、積極的に回答したいと考えています。 > また、植林-炭化事業については、その基礎的な知見については、弊社の生物環境研究所が調査を実施しており、学会等の発表もありますので、興味のある方には別刷りを郵送いたします。ご連絡下さい。 > なお、今回のプレスリリースについては、ホームページ > http://www.kepco.co.jp/pressre/indexj.htm > をご覧ください。 > 平成12年5月10日 > 株式会社 関西総合環境センター > 以上 > |
以上の回答には、いくつかの疑問点がありましたので、要望も加えて、2000年6月10日に再びメールを送りました。以下はそのメールの内容です。残念ながら現在(2000年7月1日)回答はありません。
関西総合環境センターの回答への疑問点と要望 |
| 株式会社 関西総合環境センター様 HP「世界の森を守れ」制作者の米澤です。 大変ご丁寧な返事をいただきましたのに、お礼が遅くなってしまい申し訳ありませ ん。メールをいただきましてから、私の質問と、貴社の回答を私のホームページに掲 載しております。 貴社の回答を検討いたしましたが、いくつかの疑問点と、貴社への要望があります ので、ご検討いただけないでしょうか。疑問点と要望は以下のとおりです。 (1)> 弊社の植林事業計画が対象としている場所は、すでに現地の民間企業が州政 府のラ > イセンスを得て独自に商業植林事業計画を策定し、環境アセスメントを実施しすで に > 試験植林を開始しております。そこに、弊社が炭化事業の導入を植林と併せ、CO2 削 > 減のCDM事業としての可能性を提案して、参入が可能かどうか、事業が可能かどう か 本格的な検討に入るということです。 > とありますが、 @.現地の民間企業が州政府のライセンスを得たということですが、現地の先住民と の間に問題は起こらなかったのか調査されたでしょうか。(政府は許可しても、現地 の先住民は生活が脅かされ問題となっている場合があります。) (2)> 現在、私達が具体的に提案しているのは、アカシアなど早成樹植林区域に隣接 して、 > 在来種のフタバガキ科樹種を主体とした修復植林区を設けることです。 とありますが、 A早成樹種植林区と修復植林区の割合はどのように計画されていますか。(修復植林 区の割合が少なくては、あまり意味がないと思います。) B修復植林区ではどのくらいの数の樹種を植林される計画ですか。(数十の樹種を植 林して、生態系を回復させる試みもありますが、多様な生態系を回復させるためには フタバガキ科だけでなく、できるだけ多くの樹種を植林することが必要だと思いま す。) (3)> 事業計画の対象となっている現場は、住民による焼き畑が繰り返し入ってい る場所 > で、草地または若い二次林が広大に広がっています。主な先住民はイバン族で州内 の > 30%を占めます。サラワク州政府によって、法的に先住民の既得権は一定面積保護 さ > れています。この既得権を維持しながら、炭焼き業に住民の参加を得て、その炭の 農 > 業への利用を考えています。 とありますが、 C若いとはいえ、二次林が広がっているならば、この二次林を育てていく方が、多様 な生態系を回復するためにはよいと思いますが、いかがでしょうか。 Dサラワク州によるイバンの人々に対する一定面積の保護というのはイバンの人々に とって充分な面積なのでしょうか。居住地周辺の保護だけでは、きれいな水やイバン の人々が必要とする動植物が確保されるでしょうか。どのようにお考えですか。 要望 ・貴社および関電グループは、民間企業であり、利益を度外視したボランティア的活 動をもとめることは無理だとは思いますが、今でも残っている貴重なサラワクの自然 は、今後ますます世界的に価値を高めていくと思いますのでつぎのことを要望いたし ます。 @今後、新たな原生林の伐採は行わないでください。 A、@について、現地政府や現地企業にも働きかけてください。 B原生林保護区の拡張を現地政府や現地企業にも働きかけてください。 C商業的植林よりも、生態系の回復を優先して考え、現地の住民にはアグロフォレス トリーの導入や、エコツアーなども検討してください。 D現地政府や現地企業よりも、先住民の意向を尊重してください。 E現地および日本の森林問題に取り組むNGOからの要望があれば、話し合いに応じ てください。 以上です。 なお、ご回答をいただけましたらその内容は「世界の森を守れ」のホームページに 掲載いたします。掲載内容に問題がありましたら、ご連絡ください。訂正いたしま す。 よろしくお願いいたします。 米澤興治 Eメール k-yone@gin.or.jp URL http://www.gin.or.jp/users/k-yone/ |
2回目の回答が来ました。
関西総合環境センターからの2回目の回答(2000年7月25日) |
| 米澤 興治 殿 大変遅くなりましたが、貴殿からいただいたご質問(6/10付)に対する回答を送付 いたします。 (1)現地の民間企業が州政府のライセンスを得たということですが、現地の先住民 との間に問題は起こらなかったのか調査されたでしょうか。(政府は許可しても、現 地の先住民は生活が脅かされ問題となっている場合があります。) 【回答】 当然そういう事態もあり得ることです。従って、今回の私たちの調査では、植林‐ 炭化事業を導入することが、周辺住民の生業や生活にどのような影響を与えるかとい う社会影響調査を、ひとつの中心課題にあげております。現地のパートナー企業も住 民との協力なしに事業を進めることはできないとの認識をもっています。 (2)早成樹種植林区と修復植林区の割合はどのように計画されていますか。(修復 植林区の割合が少なくては、あまり意味がないと思います。) 【回答】 現在実施しているのは可能性調査です。その中で検討している修復植林計画は、サ ラワク州ラジャン地区において、まず試験的に数百ヘクタ−ルを実施し、苗木の確 保、植栽苗木の活着率、成長予測、病害虫の発生状況、現場へのアクセス、植栽後の 維持管理(除草、除伐、ツル切りなどの保育管理)などの点に留意しながら順次植栽 面積を拡大するというものです。 (3)修復植林区ではどのくらいの数の樹種を植林される計画ですか。(数十の樹種 を植林して、生態系を回復させる試みもありますが、多様な生態系を回復させるため にはフタバガキ科だけでなく、できるだけ多くの樹種を植林することが必要だと思い ます。) 【回答】 植栽樹種は在来のフタバガキ樹種が中心になります。ご存じのように、商業伐採で はフタバガキ樹種が一番多く切られましたし、フタバガキ科樹種が自然生態系の中で も優占種で、フタバガキ科だけでも数十種あります。生態系の維持を考えると、まず 最も減った樹種を補強することは意味があるでしょう。次に多い科には、トウダイグ サ科、カンラン科、フトモモ科、マメ科などがありますが、種子の入手、苗木の大量 生産という点では成功した試験研究機関はありません。フタバガキでさえ、苗木の量 生産のための補強措置として挿し木法がようやく確立してきた段階です。フタバガキ 科だけでは充分とは思いませんが、放置しておけば劣化する伐採跡地林を、とりあえ ず現在保有する技術で少しでも早く回復に着手するという意味では、フタバガキ科の 数種を植林することは充分に意味があると考えます。 (4)若いとはいえ、二次林が広がっているならば、この二次林を育てていく方が、 多様な生態系を回復するためにはよいと思いますが、いかがでしょうか。 【回答】 問題は、二次林がさらに成長し生態遷移する前に、また焼畑が入ってしまいます。 焼畑が短い周期で繰り返されると、土壌が劣化して、二次林樹種でも灌木性種に変わ り、最終的には木本性を養うだけの地力がなく、草原化してしまいます。伝統的な周 期の長い焼畑と、換金作物を目指した周期の短い焼畑では、本来焼畑がもっている意 味が違ってきます。私たちの対象地では、どのような焼畑形態になっているかも調査 するつもりです。 (5)サラワク州によるイバンの人々に対する一定面積の保護というのはイバンの 人々にとって充分な面積なのでしょうか。居住地周辺の保護だけでは、きれいな水や イバンの人々が必要とする動植物が確保されるでしょうか。どのようにお考えです か。 【回答】 大事なことだと思います。これも可能なら調査で考慮したいと考えます。 要望 ・貴社および関電グループは、民間企業であり、利益を度外視したボランティア的活 動をもとめることは無理だとは思いますが、今でも残っている貴重なサラワクの自然 は、今後ますます世界的に価値を高めていくと思いますのでつぎのことを要望いたし ます。 1)今後、新たな原生林の伐採は行わないでください。 2) 1)について、現地政府や現地企業にも働きかけてください。 3)原生林保護区の拡張を現地政府や現地企業にも働きかけてください。 4)商業的植林よりも、生態系の回復を優先して考え、現地の住民にはアグロフォレ ストリーの導入や、エコツアーなども検討してください。 5)現地政府や現地企業よりも、先住民の意向を尊重してください。 6)現地および日本の森林問題に取り組むNGOからの要望があれば、話し合いに応 じてください。 【回答】 1)に関しては、当該事業には原生林の伐採は含まれておりません。また、原生林 保護区、生態系の回復、エコツアー、先住民の意向などに関する点につきましても、 貴重なご意見として受け止めたいと思います。 なお、本事業調査の当社担当者は、いずれも長年、生態学に携わってきた研究者で あり、自然保護に対する理解と姿勢につきましては、基本的に貴殿と共通する部分が 多いものと考えております。引き続き現地の状況を十分に把握しながら事業の実現可 能性調査を進めてまいりますので、今後ともご理解のほどよろしくお願いいたしま す。 以上 株式会社 関西総合環境センター |