▲ HOME
さくらの妄想イラ日記

●日々心意気●

2004年08月分

* 掲示板(直通) *

 

     ■   8月30日夏休み特別企画:たとえばこんな幽霊奇談(9)side 王城 20:00⇒ 桜庭回想 16:00   ■

やっぱりそうなるよね・・・。
桜庭は進の手が自分の手を通り抜け握りこぶしを形作るのをただ無言で見ていた。
「俺、幽霊になっちゃったみたいなんだ。」
まるでできの悪い冗談。
でもそれは本当のことで。
すり抜けけた進の手を見つめながら桜庭は自分が本当に実体のない存在になってしまったのだと実感する。
まぁ、あの河原にたどり着くまでの間に徐々に気付いてはいたんだけどね・・・。

***side 王城 桜庭回想 16:00

いつもなら必ず追っかけに見つかっては追いまわされるはずの繁華街。
そこをとおりぬけても誰も自分を振り向きもしない。
通り道にあったクレープ屋で買い食いしちゃおうとお店の人に声をかけたのにまるで俺をシカトしてるみたいにこちらを見てもくれない。
繁華街を3分の2くらい歩いた頃にはさすがにおかしい事に気付いた。
だけど、その結論を認めるのは恐ろしくて・・・人ごみの真っ只中に立ち尽くした。
そんな俺の周りを通り過ぎて行く人。人。人。
気付くと真正面に白のジャケットに紫のシャツといういかにもチンプラっぽい人が立っていて、まるで俺の存在がまったく目に映っていないとでも言うように肩をいからせながらまっすぐつっこんできた。
(やばっ・・・ぶつかるっ。)
ぼんやりと立ち尽くしていた俺は避けるのが遅れた。半身と半身がぶつかる。・・・その瞬間チンピラは俺の中を通り抜けて行った。
正面から歩いてきたのに、俺の存在に気付きもせず通り過ぎていった。
「うそだろ〜っ?」
両手で頭を抱えて歩道にしゃがみこんだ。そんな俺に誰も気付かずに、俺を踏みつけるようにして通りすぎていく。
幽霊。生霊。透明人間。
何に当てはまるのか良くわからないけれど、とりあえず自分がもう人間としての実体を持っていないことだけは認めなくてはいけないらしかった。
行くあても無くて、ただ町をさまよっているうちに、気付いたら河原に座り込んでいた。
沈んでいく夕日が黒美嵯川をオレンジ色に染めていく。
夕焼け色に染まっている空と景色を眺めながら、徐々に暗い色へと置き換わっていく景色と同様に気分も暗く塞ぎこんでいく。
誰も気付いてくれない、自分の存在がまったく認められない、それがこんなに恐ろしいことだとは知らなくて。
三角に折った膝を抱きしめた。
不覚にも涙が出そうになった。
幽霊とかが涙を流せるのか解らないけれど・・・。
流したところで誰も見ることはないのだから、我慢することないんだよな・・・なんて思った時、背後から声がかけられた。
「桜庭?」
なんで彼が俺を見つけられたのかなんて知らない。
なんで俺に気付いてくれたのかも知らない。
でも・・・俺がここにいるのだと進が気付いてくれた。それが嬉しかった。

<日記>
うわぁぁぁ・・・桜庭がっ!っていうか、高見さんの桜庭を見守る目が!進への高見さんの心ツッコミがっ!なんだかもう、どんどん高見さんがメインキャラへとのし上がっていくわ・・・もう地味だなんて言わせないわ!先生たちも、きっと高見さんのことお気に入りでしょv
というわけで、なんだか嬉しくて嬉しくて、浮かれついでにお蔵入りしてたイラストを貼ってみたり。冬ソナ最終回の最後の最後のとこを寝て見逃して、悔し紛れに描きました。あんなに笑えるコント・・・じゃなく、ドラマのラストを見逃すとは!No〜〜〜ッ!!!
でも、王城トライアングルラバーズは見逃しませんよ。えぇ!見逃しませんとも!
ところで、進。桜庭あんだけ頑張ったんやし、ちょっとは筋肉ついたと思うので、変わったとちょっとでいいから思ってあげてね?
え?桜庭は桜庭だから、どう変わろうと特別なのはかわらないって?あぁぁ!なるほどっ!もう、心でがっちり繋がってんねんな。そうか、そうか。 (頭のかわいそうな人がここにいますよ〜・・・って!私かっ!)

 

     ■   8月26日 夏休み特別企画:たとえばこんな幽霊奇談(8) side 賊学 7:20   ■

「しかし・・・どっかで見たことあんだよね。コイツの顔。」
横たわった被害者の青白い顔を見つめていたマネージャーが呟いた。
「あ、俺も思ったんすよね。」
「俺も!」
「あ〜、俺、絶対に知ってるんだよ。コイツ。」
「けどよ、うちの生徒じゃねぇだろ?」
「ってことは、どっかのチームのヤツか?」
「それとも、どっかのアメフト部のヤツか。」
「あ〜っ!ここまで出かかってるのに思い出せねぇ〜っ。」
「誰だっけなぁ?」
銀髪の青年が、ロッカーの横にある赤地に黄色い星のマークが入った紙袋をとりあげた。
「もしかして・・・コレじゃねぇの?」
「アーーッ!」
「なんだよ?」
「思い出した!桜庭だよ!サクラバ。」
「ほら、アメリカンバーガーの!」
「あぁ、ジャリプロの!」
「ああっ!桜庭春人か!」
「王城の選手じゃなかったか?」
「そうだ、そうだよ!」
「って・・・それ、マジやばくねぇ?」
一般人を轢いたのでも十分問題だが、芸能人で、さらにアメフト選手・・・しかも名門校の選手とくれば、マスコミにも取り上げられるだろうし、アメフト協会だって黙ってないだろう。
ただでさえ、春に問題を起こして協会受けが悪いのだ。つぶしにかかられるのは目に見えている。
葉柱ルイは、長い両腕を組んで、目の前に横たわる人物に目をやった。
オヤジに頼んだとしても、もみ消せるかどうか・・・。
爬虫類にも似た緑色の瞳が苦渋の色にゆがんだ。

 

     ■   8月25日 オリンピック三昧   ■

毎日毎日オリンピック三昧中でございますよ。
って言っても、朝早いんで、2時までに寝ちゃうんですけどね。
スポーツできる人ってすごいなって思います。
1つのことに打ち込める人って尊敬せずにいられません。
試合には勝ち負けしかなくって。
一番も金メダルも優勝も1つしかなくて。
だからこそ、それを追い求めるんだろうけれど。
だからこそ、その一瞬一瞬に惹かれるんだろうけれど。
でも、胸に輝くメダルは無くても、努力をした彼らのその頭上には、きっと王冠が輝やいているのだと・・・そう思うです。はい。(←くさいこと書いてるのに照れたらしい。)

そんなこんなで、頑張れ!日本!頑張れ!3兄弟!(笑)

◆◇◆ 栄光の掛け橋へと ◆◇◆
「はぁぁっ!?」
「はあぁぁぁぁっ!!!」
いつもの3人組が集まった戸叶家。
小さなアパートが震えるのに十分なほどの大きな声があがった。
既に宵の口は過ぎ去り、深夜と呼ばれる時間帯だったが、声を抑えるなんて事はできない。できるわけがない。
「やりやがった、金メダルだよ。」
「なんだよ、最初の方7位じゃなかったのかよ?」
「普通追いつくか?」
「ぜってー無理だろ?普通。」
体操の結果を見ながら思わず叫んでしまう。
数日前には柔道を見ながら
「足、怪我してたんじゃなかったのかよ!?」
「2つの名前で金メダルとったやつって、何人いるんだ?」
「もしかして、ギネスに載ったりして!?」
「あああっ!っていうか、あっという間に日本2個目の金メダルとってやがる!?」
「すげぇ〜っ。」
と大騒ぎした。
いつもなら、「何がスポーツマンシップだ。」とか言ってバカにして笑って見てたはずなのに。
下手したら、明け方まででも平気でテレビを見つづけて、学校行って寝て、放課後はぶらぶら繁華街で遊んで、誰かの家でテレビ見て、学校行くのが面倒でそのまま寝て・・・そんなことを繰り返してたはずなのに。
今は、なぜか真剣に見てしまう。
そして、なぜか途中で寝てしまう。
「しかしよ、どいつも人前でよく泣くよな。」
テレビの画面には、いくつもの泣き顔。
勝利した選手。
勝利を目前にして鉄棒から落下した選手。
後一歩届かず悔しげに掲示板を見つめる選手。
「みろよ、スゲェ泣き顔。」
「でもよ。なんかわかる気するな。」
「・・・そっか?」
「興味なさそうに言っといて、黒木、お前涙目だぞ。」
「うるせぇよ。眠いんだよ!朝から晩まで練習練習。寝ずにやってられっかよ!」
「それは言えてる。」
「おかげで競技をまともに見れたことがないからな。」
「マンガも読んでる途中で寝ちまうしな。」
「なんで、こんな毎日死ぬ思いして練習してんだろうな?俺達。」
「アメリカくんだりまでしてよ。」
「しかも、トラック押して?」
「徒歩で縦断なんかしてよ。」
「バカじゃねぇの?」
「ほんとバカだな。」
「あぁ、バカだバカ。」
「けどさ・・・バカも悪くねぇよな。」
「悪くねぇ。」
「悪くねぇな。」
テレビの中では、7位のどん底から這い上がって、今誇らしげに優勝台に立つ日本人選手達。
胸には金色のメダルが輝いている。
「だぁぁ〜っ、眠ぃ・・・」
「あ、黒木!寝るなよ。家帰れ!」
「まぁまぁ、いいじゃねぇか。泊めてやれば。」
「って!何勝手に布団引いて寝てんだ、十文字。」
「トガ、おやすみ。」
「おやすみじゃねぇよ!布団足りねぇだろ!」
「あぁ、かまわなくていいから。」
「いつもどおりに、雑魚寝で我慢してやるよ。」
「いいよじゃねぇ!あぁぁ〜もういい!くそっ、電気消すぞ!」
「あ!目覚ましよろしく!」
「何時起きだ?」
「朝練6時からだろ?」
「5時30分ってとこか?」
「ばっか、それじゃあの赤っ鼻チビにまたバカにされるだろうが!」
「4時だ4時!」
「始発がねぇよ。」
「んじゃ、ランニングだな。」
「げっ、学校までかよ?」
「できない距離じゃないだろ?」
「げぇ・・・」
「しゃーねぇな。」
電気とテレビが消える。
耳に残る歓声。
その日の夢の中で、その歓声はあの熱いグラウンドに変わっていた。
初めて受けた、賞賛の言葉。
そして、あのライトを浴びたグラウンドに変わる。
さらに大きくなる歓声。
自分の名前を呼ぶ声。
それは、今まで受けてきたさげすむようなものではなく、
ただ、ただ、賞賛の声。
ただ、ただ、自分たちを認める声。
そして、それは、大きな波になって。
そして、それは、大きな渦になって。
俺達を包み込む。
そこは、大きなドームの中で、大きな歓声を浴びながら、俺達は涙を流した。
◆◇◆ fin ◆◇◆

 

     ■   8月24日 夏休み特別企画:たとえばこんな幽霊奇談(7) side 王城 19:50続き   ■
笑いつづけている姿を見て笑う元気があるなら体の不調もたいしたことはあるまいと安心する。
「で、熱はないのか?」
桜庭の額に手を伸ばし額に手が触れる。
その寸前、桜庭は身をそらした。
「桜庭?」
「あ・・・ごめん。ちょっとびっくりして。」
「すまん。驚かせたか?熱を測ろうと思ったんだが。」
「熱?あぁ、熱ね。大丈夫!大丈夫♪全然ないから。むしろないから。」
手を振って言う言葉は元気そうなのだが、その青白い顔色がその言葉が空元気であることを示している。
「薬を買ってくる。解熱剤がいるか確認が必要だ。額をかせ。」
「いいって。ほんと。薬もいらないから!」
「桜庭!」
「あっても飲めないし。」
「子供じゃあるまいし、いいかげんしろ。」
病人相手に力づくというのは心苦しいが、やむをえまい。
桜庭の肩を床へ押えつけ額に自分の額を合わせた。
いや・・・正しくは、合わせようとした。
桜庭の肩を床へ押えつけ額に自分の額を合わせようとしたのだ。
だが・・・肩へとやった手も、そしてあわせようとした額もすべてが・・・桜庭を『通り抜けた』。
ダンッ・・・と肩へやろうとしていた手が床を打つ。
何が起こった?
その手の下に組み敷いているはずだった桜庭の身体はその存在が霞となって消えたかのようにいなくなっていた。
「桜庭!?」
「・・・やっぱり、そうなるよね。」
身を起こすとそには確かに桜庭が座っている。
「どういうことなんだ!?」
「驚かせてごめん。その・・・俺も良くわかんないんだけど、実体がないみたいなんだよね。」
「どういうことだ?」
「う〜ん。簡単に言っちゃうと、俺・・・幽霊になっちゃったんだ。」
「冗談は聞いていない。」
「冗談じゃなくって・・・俺死んだみたいなんだよ。」
何の冗談をはじめたのか?
声も聞こえる姿も見える。それなのに身体に触れることができない。
ハッ・・・まさか・・・
「これが世に言うところのビックリというものなのか?」
「進。。。それを言うならドッキリだよ。」
「む・・・、そうか。」
「ちなみに、これはドッキリでもなんでもなく、本当のことだから。
 看板とか持って大成功!って言って誰かが出てきて、全部終わりにしてくれたらよかったんだけどね。」
「・・・間違いなく本当のことなのか?」
「もっかい触ってみる?キレイに通り抜けられるよ。」
桜庭が差し出した手に握手をするように握り締めた。
しかし握り締めようとした俺の手は桜庭の手をすりぬけ握りこぶしを作っただけだった。

 

     ■   8月23日 栄冠は君に輝く   ■
高校野球決勝。いい試合でしたね。ピッチャーは連戦で疲れて凄くかわいそうでしたが。。。特に済美は控えピッチャーがいない状況でずっと一人で投げてきてたからなぁ〜。
でも、どちらのチームもみんな頑張ってましたよね。
超乱打線のシーソーゲーム。
ハラハラドキドキでした。
両親が四国人なもので、決勝は済美を応援してたのですが、でも北海道という厳しい環境の中で頑張ってきた駒大苫小牧も準決勝まで応援してたので、もう、決勝戦はどっち応援していいかわからなくなってました。(苦笑)
モン太君がもしもノーコンでなければ、甲子園の地を踏んでたのかもしれませんね。
今はアメフトが一番と頑張っているモンタ君なので、朝練に行く途中とか、家帰ってから電話で、セナに高校野球の模様を熱く語り合ってるんでしょう。

◆◇◆ 栄冠は君に輝く ◆◇◆

「見たか?セナ。今日の高校野球の決勝すごかったよな〜!」
今日のモン太君からの電話は、興奮のせいか挨拶を飛ばしていきなり本題に入った。
モン太君から初めての電話がかかってきた時は、確か食事の最中で、めったに電話のかかることのない僕の携帯電話が鳴り出して、僕も、父さんも、そして母さんも、まるでツチノコでも出たみたいに驚いた顔をして携帯を眺めた。携帯電話のディスプレイには雷門太郎の文字。「まもりちゃんから?」と訊ねる母さんに「友達から。」とほんの少しテレながら、でもほんの少し胸を張って答えたのを覚えてる。そうそう、母さんと父さんはものすっごく驚いた顔をした後、目にほんの少し嬉し涙を浮かべてたんだ。モン太君に出会うまで、学校の連絡網やまもり姉ちゃんからの電話以外で友達から電話がかかってくることなんて、一度もなかったから・・・。
友達からの電話。
きっと、他の人には当たり前のことなんだろうけれど、僕にとっては凄く嬉しいことで。
だから、つい、いつもより少し高くなる声で答える。
「うん、見たよ〜!ニュースでだけど。すごかったね。」
「あの試合展開はすごいよなっ!超乱打線のシーソーゲーム。取って取られて、逆転につぐ逆転!息が止まるかと思うぐらい見入っちまったよ。
はぁ〜。やっぱさ、高校野球はかっこいいよな。
青空の下で追う白球!緑の芝!そして流れる校歌!
これこそ球児の夢だよな〜っ!やっぱ、甲子園は夢の舞台だよ!」
ムキャ〜!という声とともに受話器からモン太君の興奮が伝わってくる。野球への情熱が伝わってくる。
「・・・やっぱり・・・野球が好きなんだね?」
野球に戻りたい?と訊ねる勇気はなくて。遠まわしに訊ねてみる。
本当なら、今頃モン太君は青空の下で白球を追っていたはずで、あのテレビで見た甲子園の地を目指して頑張ってたはずで。
「そりゃぁ、好きさ。なんせ、小学生の時から野球一筋だったからなぁ〜。」
「・・・。」
「テレビの中の高校生のお兄さん達にどれだけあこがれたか。いつか俺もあそこへ行くんだって思ってたもんな。そんで、甲子園で有名になって、ベアーズに入団して、憧れの新庄さんと一緒にプレイするんだってさ。」
小学生。
僕がただ、ランドセルを背負って、泣きべそをかきながらまもり姉ちゃんの後ろを歩いていたあの頃。
あの頃から、もうモン太君は夢見ていたんだ。
プロ野球の選手になることを。
そして、その夢に向かって、ひたすら努力をしつづけて・・・
その夢は入部テストで潰えたように見えたけれど・・・本当はまだ野球がしたいんじゃないのかな?
努力MAXなモン太君なら、本当は野球を続けられたんじゃないのかな・・・
「セナ?なんだよ、黙り込んで?」
「あ、な、なんでもないよ・・・」
あわてて、暗い考えを打ち消す。
だって・・・アメリカでモン太君は言ってくれたんだから・・・
今一番好きなスポーツはアメリカンフットボールだって。
そう言ってくれたんだから・・・
「そういやさ、今日月間アメフト買ったんだけど、もう読んだか?」
「え?あ、まだ・・・」
不意に変わった話題について行くことができなくて、しどろもどろと答えたら、呆れたようなモン太君の声が受話器から飛んできた。
「だっめだな〜。秋大会のトーナメント表が載ってたぞ。」
「ええっ!?」

秋大会。
まだ日差しはきつく、蝉も鳴いているというのに、もう秋大会の準備は始まってるんだ。
どのチームも秋大会に向けて苦しい練習を続けてるんだ。
太陽スフィンクスも賊学カメレオンズもきっと恋が浜キューピッドだって、秋大会を勝ち残るために頑張っているんだ。
クリスマスボウルへ行くためにみんな一生懸命頑張ってるんだ。
そして、それは間違いなく、王城も。
『決勝で待つ』そう進さんは言ってくれたんだから。

そんな気持ちが伝わったんだろうか。モン太君が言った。
「王城とは決勝まで当たらないぜ。」
「え!?ほんとっ。」
「絶対に負けられないな。」
「うん。」
「約束したもんな。」
「うん。」
「よっし!そうだ、セナのとこもファックスあったよな?」
「え?あ、うん。一応あるけど・・・」
なんでと聞き返すより早く、モン太君が答えた。
「よっし、じゃぁ、今からファックス送ってやるよ。各チームの批評も載ってたからそれも送るな。」
「あ、ありがとうっ!」
「んで、一緒に研究しようぜ!
 目指せ!クリスマスボウル!」
いつもの合言葉。
目指せ!甲子園!でもなく。
目指せ!プロ野球!でもなく。
目指せ!新庄さん!でもなくて。
目指すのは・・・
「なんだよ、セナ。乗り悪いぞ〜。一緒に叫べよ。」
「あ、ごめっ・・・ちょっと・・・嬉しくって。」
「は?」
疑ってごめんね。
約束してくれたのに。
一緒にクリスマスボウルを目指そうって。
一緒に誓ったのに。
クリスマスボウルに行くんだって。
「・・・頑張って行こうね、クリスマスボウル。」
「あったりまえだろ!皆で絶対に行くぞ〜っ!」
「目指せ!クリスマスボウル!」
「目指せ!クリスマスボウル!」
僕らは一緒に叫んだ。

夢の聖地、クリスマスボウルに向かって。

◆◇◆ fin ◆◇◆

<日記続き>
高校野球を見ながら思ったんですが、どんなに努力をしても、最後に頂点に残れるのはたった一校だけなんですよね。まぁ、頂点なんだから当たり前なんですが・・・どんなに努力をしても、どんなに頑張っても、優勝できるのはたった一校だけで。アイシの秋大会の開幕式で言われたとおり。求められているのは勝利。ただそれだけ。
でも・・・本当にそれだけなのかな?
まもり姉ちゃんもヒル魔に問い掛けてましたが。本当にそれだけ?
その答えを秋大会で見せてもらえることを期待しています。
(勝手に想像はしてあるんですが・・・そうなってくれたらいいなって・・・そういう予想はあるんですが。どうなるかな〜・・・ドキドキ。)
勝利ではないところにも、君に輝く栄冠はあるのだと、そう私は思いたいです。
・・・え?くさい。いや、まぁ、その、臭いこと言いなんで。そこんとこはいつものことと聞き流してくだはい。

 

     ■   8月22日 夏休み特別企画:たとえばこんな幽霊奇談(6) side 王城 19:50   ■

こうして山盛りに盛られた福神漬けとらっきょを、なんとかこぼさずに、自室にたどり着いた。カレーを手に部屋に入ると桜庭はボンヤリと2階建てベットのパイプに背中を預けて床に座り込んでいた。
窓から差し込む夕日に照らされて立ち上がった前髪が赤く染まっている。
「桜庭。夕飯を持ってきた。」
「・・・。」
「桜庭?」
聞こえなかったのかと大きい声で声をかけると驚いたように桜庭はこちらへ顔を向けた。
「あぁ・・・。ごめん。ありがと。」
「お前の好きなカレーだ。福神漬けとらっきょもある。」
「わっ!山盛り。」
「食堂のおばさんや高見さんたちがお前の好物だからと多めにのせてくれた。」
「あはは・・・のせすぎだって。」
「少しでも気分が良くなったようなら食べておけ。」
「ん・・・。」
部屋の中央に置かれた折りたたみ式の机の上にカレーの皿を置く。
桜庭はその前に座り込みじっとカツカレーを覗き込んだ。
そして、おそるおそるといった様子でスプーンを手にとろうとして、やめてしまった。
「どうした?」
「うん・・・やっぱちょっと食欲ないみたい。みんなには申し訳ないんだけどやめとく。」
「少しでも食べた方がいいぞ?せめて福神漬けだけでも食べたらどうだ?」」
「うん・・・でも・・・きっと無理だから。」
「そんなに具合が悪いのか?」
「具合が悪い・・・って言うのかな?やっぱり。こういうのも・・・」
「?」
入室した時は逆光になっていて気付かなかったが、顔色が青白い。
いやむしろ肌が透き通っているかのようで、存在自体が希薄に見える。
「病は気からと言う。あまり悪い方へ思いすぎず、きちんと食事をとって寝ろ。」
「気から・・・か。」
立てた膝の間に頭をはさみこむようにして桜庭はつぶやいた。
「食欲が無いところにカレーというのは胃に負担がかかるかもしれんが・・・。
 なんなら、何か別の物を見繕ってくる。とりあえず胃に何か入れて、薬を飲め。」
「ありがと。」
少しだけ顔を上げ、こちらに微笑んでみせる。
「笑っている場合ではない。食べるのが無理ならなにか飲み物を買ってこよう。」
「植田inゼリーとか?」
「そうだな。あれならば栄養補給もできるし、ゼリー状だから薬を飲んでも胃に負担がかからない。なにより喉越しがいい。」
「好きだよね、進。」
「? 好きなわけではないが、栄養を手早くバランスよく取るのには便利な食品だと思っている。」
「そういう問題?」
桜庭は何がおかしいのかくすくす笑った。そんな姿になぜかホッとする。
桜庭は笑っている方がいい。
「で、何味がいいんだ?やはり、こういうときはエネルギーinか?」
「ぶっ・・・」
真剣に聞いているというのに桜庭はなぜか噴出して腹を抱えて笑い出した。

 

     ■   8月21日 夏休み特別企画:たとえばこんな幽霊奇談(5) side 王城 19:30   ■

寮に帰り、夕食の時間だと桜庭を食堂へ促した。しかし、桜庭は体調が悪いからやめておくと言う。
やはり事故のせいでどこか傷めているのではないのだろうか?
あいつの笑顔と大丈夫という言葉ほど信用できないものはない。
自分の食事を取ったあと、桜庭の分を食堂のおばさんに用意してもらった。
桜庭の分だと言うと、食堂のおばさんと呼ぶにはまだ少し若いご婦人がサービスだと言ってカツを二枚のせた山盛りのカツカレーをついでくれた。
それをトレーに載せ食堂を横切る。
「あれ?進さっき飯食ってなかったっけ?お代わりなんて珍しいな。」
「いや。これは桜庭の分だ。部屋に持っていってやろうかと思ってな。」
声をかけてきた同学年のオフェンスメンバーに答える。
「え?あいつ今日は仕事だったんじゃねぇの?」
「あぁ、そうだったようだな。」
「寮で夕飯食えるんなら、今日のカレーは結構美味かったから残しといてやったら喜ぶかもな。」
「この間食いっぱぐれて悔しがってたからなぁ。」
「もうロケ弁は飽きたよ〜っ(涙)ってさ。」
「シャケと揚げ物だけは見たくないとも言ってたな。」
「今日のカツがのってるぜ?」
「いいんじゃねぇの?カレーが食いたいって言ってたから。」
「なんなら俺がカツを食ってやるけど。」
「お前、まだ食いたらねぇのかよ?」
「あれだけ練習すれば、この倍食っても許されると思う。」
「確かに・・・」
そんなことを皆が口々にしゃべっていると背後から声が聞こえた。
「こらこら、そんなに食ったら大田原みたいになるぞ。」
「あ、高見さん。」
一斉に皆目礼する。
高見さんは普段どおりの微笑を浮かべ皆に首肯すると、手にした壷を差し出した。
「進。らっきょと福神漬。」
つぼから漬物を取り出しカレーの脇に添えていく。
「たっぷりめがいいかな?桜庭、確か好きだったよね。」
「特に福神漬けはご飯と同じ量でもいけますよ。あいつ。」
「言えてる。」
「それは栄養のバランスとして感心しないが?」
「まぁまぁ、たまには好きなもん食わせてやろうよ。そうじゃないと精神的にも身体的にも身体によくない。」
「はぁ。」
高見さんの微笑みに説得されて俺は頷いた。

 

     ■   8月21日 挿絵足しました・・・アホですね。   ■
なんだか挿絵みたいなのが描きたくなって、19日の日記?に挿絵足しました。
ツン(ツンツン頭の人:仮名)とロニー(62番君仮名)をこの先何回描くつもりなのかと、自分で自分に呆れてます。あはは。
脇キャラ描くのって大好き。

 

     ■   8月19日 夏休み特別企画:たとえばこんな幽霊奇談(4) side 賊学 7:10   ■

「どうすんだよ、このバカ!」
ツンと黒髪を天井へ突き上げた青年が、背番号62番の青年、背番号から通称ロニーと呼ばれる青年を叱り飛ばした。
「だって・・・俺きちんとよけたんすよ?」
バイトをしてようやく買った大事なバイクと皮ジャンがボロボロになってしまっただけでも泣きそうなのに、体中は擦り傷で痛いし、人を轢いてしまったという衝撃にいたっては、自分でしたこととはいえ、現実味を帯びてこず、なんだか悪い夢でも見ているようだ。
ベソをかきながら必死で言い返すと「避けて当たるかバカ!」と全員から怒られた。
「犬は避けたんですよ〜。」
「それで人間に当ててどうすんだ!」
「どうしましょ〜」
「どうしましょ〜じゃねぇ!」
「でもよ、マジで、人轢き殺したら・・・どうなるんだ?」
「そりゃ、ム所送りだろ?」
「未成年だから院送りじゃねぇの?」
「あ、そうか。」
「死刑とかにはならないっすよね?」
「どうだろうなぁ?」
「即、救急車呼んでたら大丈夫だったかもしんねぇけど・・・」
「部室に連れ込んじまったしな。」
そう。気が動転して、ロニーごと轢かれた被害者まで部室に運び込んでしまったのだ。
「つーか、これバレたらどうなるんだ?」
「死体イケとかいうやつになるんじゃなかったっけ?」
「イケって何だよ?」
「イケっったら池だろ?」
「ば〜か、イケじゃねぇよ、イキだろ。死体遺棄。」
「おおっ!詳し〜い。」
「伊達にマガジンとサンデーを読んでないぜ。」
「って、そういう話じゃねぇよ!」
「これバレたらヤバクねぇかって話だろ?」
「そりゃ、ヤバイだろ?」
「やっぱさ・・・秋大会出れなくなるんじゃねぇの?」
「ゲッ・・・」
「冗談じゃねぇぞっ!」
「・・・埋める・・・か?」
小さく囁かれた声に、全員がピクリと反応した。
「埋める?」
「バレねぇように、校庭とかによ。」
「花壇とかか?」
「そんなのしたら犯罪っすよ!?」
「バカ!人轢き殺した時点でもう犯罪なんだよ!」
「バレたら、お前は院送り、チームは秋大会出場停止なんだぞ!」
「もう、それっきゃないだろうが!」
部室の中が騒然となる。
それも当然だ。
仲間が人を轢いてしまったのだから。
この秋大会を控えた、大事なこの時に。
もしも、これがバレたら、試合どころか部の存続すら危うい。
いや、それ以前にロニーの人生はめちゃくちゃだ。
賊学カメレオンズ全員の目線が、部室の中央に据えられたベンチの上へと降りた。
そこには一人の青年が寝かされていた。
様子を見に行った二人が、呆然とするロニーとともに運び込んでしまった事故の被害者だ。
部室のベンチの上にピクリとも動かずに横たわっている。
血の気の引いた青白い横顔は、まるで蝋人形だ。
どこからついた血なのか、その白い顔にわずかに血がついていた。
青白い顔の中、そこだけが鮮やかに赤い。
それが余計に死者の顔を思わせた。

<日記>
オリンピック三昧で眠いです。
睡眠削って何してるんだ私・・・そしてバツ彼を見損ねたと。冬のソナタも見損ねた???

 

     ■   8月18日 夏休み特別企画:たとえばこんな幽霊奇談(3) side 泥門 8:00   ■


練習の最中、いつのまに犬小屋から抜け出したのかケルベロスが正門からテクテクと入ってきた。
「あれ?」
その姿を目に留めたセナが小さく声をあげる。
ケルベロスの身体に何かがついているのだ。
近くに立つ雪さんとモン太君に声をかけた。
「ケルベロスになんかついてませんか?」
「え?あ、ほんとだ。なんだか体が赤い?」
「まさか血!?」
「う〜ん、ありえるな。」
「ケガしてるのかな?」
3人で顔を見合わせる。
近づいて確認したいけど、噛みつかれそうで怖い。
と、背後から声がした。
「え?ケガしたのっ!?セナっ!」
まもり姉ちゃんがあわてて駆け寄ってくる。
「あ、違って、ケルベロスが・・・」
ケルベロスを指さすと、その身体にかすかにこびりついた赤いものにまもり姉ちゃんも目を向けた。
「血?」
「ケガしてるんじゃないかと思って。」
その言葉に、まもり姉ちゃんは小さく頷くと「ケルベロス〜っ」と呼んだ。
右手にはこの間大量に買い込んだプリッツが握られている。
ケルベロスはピクリと耳を動かし、まもり姉ちゃんを認めるとダッシュで走り寄ってきた。
その姿に「大きな怪我じゃ無いみたいね。」とまもり姉ちゃんは僕を振り返って笑いかけた。
モン太君や雪さんも安心したように頷く。
ケルベロスはというと、僕らの心配をよそに、ピタッとまもり姉ちゃんの前に立つと、プリッツに噛み付いた。
バリバリッといきおいよく噛み砕いていく。
同じ事を僕らがしたら、絶対に後ろ足で砂をかけられるか、手ごとブリッツに噛み付くかのどっちかなのに、まもり姉ちゃんの前では大人しい。
気のせいでなかったら、かすかに尻尾が振られた気もする。
あのケルベロスをなつかせちゃうなんて、まもり姉ちゃんってすごい。
そんなケルベロスに「ちょっと身体を見せてね。」と話し掛けながら、まもり姉ちゃんはそっと身体にこびりついた赤いものに触れようとした。
けれど、その手が触れる前に、ケルベロスは身を翻してその場を離れてしまった。
食べ終わったプリッツのカスだけが足元に残る。
「・・・大丈夫だったのかな?」
「う〜ん、でも、まぁ、元気そうだったんじゃね?」
「走れてたし、食欲もあったみたいだしね。」
「きっと大丈夫よ。」
にこっと僕を安心させるようにまもり姉ちゃんは微笑んだ。
「うん。そうだよね。ケルベロスだもんね。」
口に出して、そうかとセナは気付いた。
『あの』ケルベロスが怪我するわけないや・・・と。
そして、セナは思った。
ケルベロスが誰かに怪我をさせてないといいんだけど・・・と。

◆◇◆ 祝 50000hit!御礼申し上げます。 ◆◇◆
あぁぁぁぁっ・・・カウンター50000超えてる!?
あの、あのっ、皆様遊びにきてくださってありがとうございますっ!(恐縮)
こんなだめだめな妄想失踪大暴走な日記しか存在しないあほサイトを、見捨てずにご来訪下さって、本当に本当にありがとうございます!
皆さん、オリンピック見るのにお忙しいでしょうに・・・
(汗)そんな中お越しくださって、本当にありがとうございますっ。
皆さんのご感想を聞くことができないので、来訪していただいても呆れて帰られてるかもしれないんですが(っていうか、間違いなく呆れてはると思うんですが)、少しでも楽しんでいただけていたならば、幸いです。
そして、これからも、遊びにいらしていただければ・・・幸せですv
残暑お見舞いセナぴょんを・・・心からの感謝の気持ちを込めて。

 

     ■   8月17日夏休み特別企画:たとえばこんな幽霊奇談(2) side 王城 18:50   ■

もうじき夜の7時を過ぎようというのに、まだ空は明るい。
地面から昇る熱気も隣に流れる川からの風で緩和されている。
進はランニングウェアのフードをとり除き、汗を腕で拭った。
日に焼けて一段と精悍さを増した頬を風が撫でる。
ざわっと土手に生えた青い葦の葉が風になびいた。
海のようにうねる青い葦の葉に目線を送った進の足がふととまった。
「桜庭?」
まさかと思いながら声をかける。
青い葦の波の中一箇所だけ淡い金色の髪がなびいている。
桜庭の髪は本当は茶色だが、細くて薄い色の髪は夕日をあびると淡い金色に見えるのだ。
淡い金色に光る髪が風になびくのとは違う動きでかすかに揺らいだ。
小さな顔がこちらへゆっくりと向けられる。
やはり桜庭だ。
「今日は仕事ではなかったのか?」
たしか今日の練習はそのせいで休みだと聞いていた。
その問いかけに桜庭はひどく驚いた顔をして、俺の顔を見上げる。
「・・・進?」
驚きと戸惑いとそして最後に浮かんだ嬉しそうな表情にこちらも少し驚いた。
「すごいや。なんで俺がいるの解ったの?」
「いれば解るだろう。」
これだけ目立つ容姿をしておいて何を言うのか・・・。
中学入学当初からもともと高かった桜庭の身長は年を追うごとに増していき今では俺と頭1個分以上の差がついている。
どんなにこちらが成長しようと背が伸びた気がしないのはおそらく傍らに立つ桜庭のせいだろう。
ましてハーフがかかったような彫りの深い顔は、アイドルなどという芸能活動をするほどに華やかで、目立たないわけがない。
なにより漂う空気が『ハデ』なのだ。本人はあまり自覚していないようだが・・・。「なんで俺がいるのが解ったの?」とはあまりにも自覚がなさ過ぎるだろう。
むしろ、「なんでお前がいるのが解らないと思ったのだ?」と聞き返したいところだ。
もしや、土手でしゃがみこんでいたのは隠れているつもりだったのだろうか?
いつものように追っかけと呼ばれる女生徒の集団に追いかけられて、逃げ込んでいたのか?
それにしても、土手の草程度でその長身が隠れるわけはないと思うのだが・・・。
「まったく。何をやっていたんだ。」
「うん・・・ちょっと。」
「仕事でなかったのなら今日の練習はサボリだったということか?」
「いや、仕事だったんだけどね。ちょっと、アクシデントがあって・・・」
「アクシデント?大丈夫なのか!?」
「う〜ん・・・大丈夫なのかどうなのか・・・」
「ケガをしたのか!?どこか痛いところでもあるのか?」
「いや、ケガはわかんないけど・・・とりあえず痛くはないみたい。」
「そうか。だが一応は病院に行ったほうがいいな。」
「あ、たぶん病院には行っても・・・行かなくても一緒だから・・・」
「行く必要があるような状態ではないということか?」
「うん。行っても何かしてもらわなきゃいけないって状態でもないし、何もしてもらえないと思う。」
「そうか。ならばどこも治療の必要はないのだな?」
「うん。それは必要ないかな。」
「それならよかった。」
「よかった・・・のかな?」
「なんだ?やはりどこか痛むのか?」
「ううん・・・。」
ふるふるっと首を振ると桜庭はいつものように笑った。
どこか少し困ったような微妙な笑顔。そしていつものように言うのだ。
「大丈夫。」
どこが大丈夫だというのか?
大丈夫そうには見えない顔で言うのだが、かと言って大丈夫ではないだろうと問い詰める根拠はない。
歯がゆい思いに奥歯をかみ締めた。
「進?」
いつのまにか立ち上がった桜庭が顔を覗き込んでいる。
「あぁ、すまん。なんだ?」
「なんか進の方が痛そうな顔してたから。」
大丈夫かなと思って。そう桜庭は続けた。
自分ではあまり顔に表情が出ないほうだと思うのだが、自分が思うほど感情のコントロールというものはできないものらしい。
「まだまだ修行が足りないな。」
小さくつぶやくと、
「それ以上鍛えてどうすんだよ。」
とあきれたように返された。
「俺などまだまだだ。鍛えるべきところがありすぎる。」
「進がまだまだだったら、俺なんて一から生まれ変わるぐらいの気持ちでいなきゃだめじゃんか。」
桜庭はその自分の言葉に少し驚いたような顔をしてからつぶやいた。
「そっか・・・それなら調度いいのかな。」
「何がだ?」
「こっちの話。」
「それよりさ、進、今日はこのまま寮に帰るの?」
「あぁ。」
「んじゃ、一緒に帰ろ。」
前を歩き始めた桜庭が夕日に照らされて金色に透けるように見えた。
夕焼けの中土手に長い影が1つ伸びていた。

***
王城編です。本当はこれがメインストーリーで、桜庭と進と阿含と雲水しか出てこないはずでした。あ、あと庄司監督か!
なのに気付けば・・・。
まぁ、楽しけりゃいいかぁ〜。

 

     ■   8月16日夏休み特別企画:たとえばこんな幽霊奇談(1) side 賊学 6:50   ■

夏ですね。お盆ですね。お盆といえば幽霊ですね。死鬼ですね。
だからでしょうか?去年の今頃書いていた小説もどきが大量に墓場から甦ってきました。
やたらとアホな王城小説が多かったのはやはり桜庭のせいでしょうか・・・。やたらとエロモードなものがあったのは欲求不満でしょう(苦笑)
しかし、最近どうも王城に偏りぎみな当サイト。オールキャラサイトの名誉挽回をはかるべく、イロイロなキャラが登場するよう手直しつつ、
アップすることにしました。
つーわけで、最近出番復活の賊学メンバーからスタート!
(ゼファーらぶなルイルイ可愛かった。。。)
***

「やっべ、朝連に遅れたらルイさんに怒られるっ!」
背番号62のついた賊学カメレオンズのユニフォームの上から皮ジャンを羽織り、彼はノーヘルのままバイクにまたがった。
青年というにはまだ少年の面影を残している彼の頬に、朝の冷たい空気があたっては流れていく。
空がようやく白んできた、まだ人っ子一人いない町の中。
改造したバイクのマフラーがうなる。
音がひときわ大きく聞こえる。
なんだって俺ってばこんなにまじめに早起きしてるんだろうなぁ?
一般的に言えば、確実に不良というくくりで呼ばれるタイプの自分が、優等生というくくりで呼ばれる学生達よりも早く学校にいこうというのだから笑える。
それもこれも、アメフトと葉柱ルイという存在があればこそだ。
いわゆる不良の溜まり場である、賊学の頂点に立つ存在。
長い腕が繰り出すパンチからは誰も逃げられない。
ジャックナイフの扱いもお手の物だ。
そんな彼が大事にしている3つのもの。
それが、『バイク』、『チーム』、そして・・・『アメフト』。
そう、『アメフト』。
正直、アメフトなんて、賊学に入学するまでその存在すら知らなかった。
だいたい、不良がやるスポーツといえば、ラグビーだろう?と、ついつい、思ってしまうのは、昔やっていたドラマのせいだろうか?
そのドラマだって、正直、不良がスポ根なんてやってられっかよ。とバカにしながら見てた。
まぁ、漫画だったらそういうのも好んで読むけど、それは漫画だからで、スポ根なんてものは漫画の世界だけで十分だと思ってた。
もちろん、勉強なんてバカバカしくってやってらんねぇし、体育の授業なんてプールで女子と合同とかでもない限り誰が参加するかってなもんだ。
だから、まさか、アメフトなんてものを、自分がすることになろうとは思わなかった。
まして、こんな朝早くに朝練のためにバイク転がして、必死で学校に向かおうだなんて・・・。
橋の向こうに賊学の壁が見えてくる。
元は赤いレンガだったらしいが、スプレーやペンキの文字が幾重にも描かれていて今では何色だったのかわかりゃしねぇ。
どこで覚えてきたんだよ?ってくらい、やたら画数の多い漢字が書かれてるのを見るたびに、意外と俺たち頭いいんじゃねぇの?なんて思ったりする。
まぁ、実際は、賊学に入ろうなんて連中は、大抵が偏差値って言葉すら知らないくらい頭が悪い連中なんだけど。
右手にはめた時計に目をやった。
時間は6時57分45秒。
「っし、ギリギリ間に合った。」
信号は赤色点滅。
周囲に車の音は無い。
一時停止の時間を惜しんで、そのまま右折する。
と、目の前に不敵な面構えの犬が見えた。
道の真ん中でのんきに糞をしてやがる!
「うわっ・・・」
思い切りハンドルをきる。
なんとか犬と糞を避け横をすり抜けた。
ほっとしたのもつかの間、目の前にひょろりと高い影が見えた。
「な!?」
ダメだ、避けきれねぇっ!
影が驚いたようにこっちを見た。
バイクは吸い込まれるように影へと向かう。
物体と物体がぶつかる音。
バイクが倒れ、タンクが火花を散らしながら路面をすべった。

***

鳴り響いたクラクションと何かが壊れる音。
気のせいでなければ、バイクのフレームがぶつかり、タンクが路面をすべる時の音に聞こえた。
グラウンドにあるベンチの上で、葉柱ルイは竹刀を握りしめたマネージャーと目を合わせた。
「まさか・・・」
腰を浮かし、自ら様子を見に行こうとするキャプテンを、黒髪をツンツンと尖らせた青年が、右手で止める。
「俺が見てきます。」
そう言って、校門へと走り出す。
その背中を銀色に髪を染めた青年が追う。
かすかによぎる不吉な予感に葉柱ルイは整った眉を不安げにゆがめた。

***
え〜62番君主役の第一回(笑)ですが、これからいろいろな学校が出てきます。脇キャラ三昧です。えぇ、ただのさくらの趣味です。コアです。アホアホです。
賊学の脇キャラが一杯出てきますが、名前わかってるのがルイルイとキカーだけなんで、辛いです。全員わかるといい・・・。
スタメン表欲しいなぁ〜。王城のも欲しいにゃぁ〜。

<日記>
ちなみに今日は五山の送り火を見てきました。
京都人のクセに見に行ったのは初めてでした。(友達の家からものっそい小さく見たことはあるんですが)
とはいても、終りかけで、点火時見損ねて、消えていく大の字を見ただけなんですけどね。えぇ。
ま、浴衣着れたし、いっか!
浴衣大活躍です。普段着でもいいくらいに楽で好きだ。

 

     ■   8月14日あの夏の花火(高1夏)   ■

高校に上がってはじめての夏休み。
同じクラスの連中は、沖縄だ、ハワイだ、グァムだ、バリだ、サイパンだ、モルディブだ、と南の島へと飛び去っていった。
俺はといえば、ぎっちり詰まった仕事のスケジュールと、山のように詰まれた補習分の宿題と、そして、アメフトの練習で、夏休みもへったくれもあったものじゃない。
朝から日暮れまで練習に明け暮れて。
空が藍色に変わり始めた頃、ようやく終了の号令がかけられた。

「ふう〜っ。」
桜庭は額から流れ落ちる汗を右肩で拭きながら、いつもどおりに自主トレに向かおうとする進の背を目で追った。
すでに朝は7時30分から10時間以上を練習に費やしている。
進のことだから、朝練もしていただろうから、もう12時間近く練習しているのかもしれない。それなのに、あいつは、きっと今からトレーニングルームでウエイトリフティングでもして、夕食をとって、またランニングとかに出るのだ。
一体、一日に何時間練習をしたら満足するんだろう?一体、どこまで進んでいくつもりなんだろう?一体、どれほど俺を置いていけば気がすむんだろう?
・・・って、違うか。あいつは、ただ自分に厳しいだけで、自分の中で目指す何かへひたすら走りつづけているだけなんだから。
俺が、勝手に、置いてけぼりにされた気分になっているだけなんだ。
追いつけないあの背中に。
と、その背中が振り返った。
「桜庭、今日つきあえないか?」
「え?」
突然何を言い出すんだ?つきあうって?誰と誰が?俺と進が?え?ええっ!?
心の中で思いっきり動揺してる俺に、進が言葉を継いだ。
「ランニングに」
「あぁ・・・」
どうせそんなことだろうと思ったけどね。つきあうって言葉にドキッとした自分がバカでした。
「いいけど・・・足手まといだよ?」
正直、進のペースについて走れるわけがないことくらい、自分が一番良く知ってる。
そんな俺の気持ちを知ってかしらずか、あっさりと進は言った。
「あわせて走るからかまわん。それに・・・」
「それに?」
という質問に進は答えずに言った。
「それより、つきあえるのかつきあえないのかどちらなのだ?俺の方は頼む側だからお前がいやだというなら諦めるが?」
「イヤだなんて言ってないじゃん。迷惑でないならつきあいます。はい。」
右手を軽く上げ、了承の意を示した。
本当は、もうバテバテで、走る気力なんてコレッポッチも残ってなかったんだけど、でも、進がせっかく誘ってくれたんだし・・・つきあうって言葉ちょっと言ってみたかったんだ。
はぁ〜俺ってけなげだよね?
そんな俺に向かって珍し〜く笑みを浮かべた進は言った。
「じゃぁ着替えてくるといい。」
「へ?このまま走るんじゃないの?」
「いくら夏とはいえ、そんなに汗をかいたまま走ったら、風邪を引くだろう。せめてTシャツくらい着替えて来い。」
「あ、そっか。でも、進は?」
「いつものランニング用のスエットを上から着る。」
「あぁ・・・アレ。」
アレの横で走るのはやだな〜とちょっと思いながら答えた
だってねずみ男みたいなんだもん・・・進。
もうちょっとおしゃれなランニングウェアにすればいいのに。
進らしいといえばらしいんだけどさ。
今度バイト代出たら練習着用のTシャツかなんか買って渡そうかな〜。一緒に二人で見に行ってさ。そしたらデート!もできるし。そういうプレゼントなら進ももらってくれるだろうし。
自分の買った服を毎日着てくれたら・・・嬉しいよね。
なんて考えて、ホストとかに貢いじゃう女の子の気持ちがわかる気がしてきた。
「じゃ、着替えてくる。」
「校門のところで待っている。」
「うん。」
グラウンド整備をかたづけて、ダッシュで替えのTシャツが置いてある部室へと向かった。

***

校門の近くで進が屈伸をしている。
ほんと、どこでもトレーニングを欠かさないんだよな〜。
それ以上強くなってどうするんだ?といいたい。
っていうか、少しはサボってくれなくちゃ、凡人がどんなに頑張っても追いつけやしないじゃないか。心の中でそっとぼやいてから、進に声をかけ、俺達は夕日が落ちていく町へと走り出した。

「あれ?いつものランニングコースの土手にいかないの?」
道をそれていく進に桜庭は問い掛けた。
いつもならば、校門を出て、すぐに黒美嵯川の堤防沿いを走っていくのが進の定番コースだった。でも、今日は堤防横の商店街を抜けて走っていく。
「あぁ。今日は人が多いだろうからな」
「へ?なんかあったっけ??」
答えずにただ進はペースを少し上げた。
あんまり話すと息がつづかなくなるので、桜庭も問い掛けるのをやめた。
ただ黙々と走るだけなら、俺なんて誘わなきゃいいのに。
俺なんかに合わせて走るなんて、ペースが落ちるだけで、練習の邪魔にしかならないだろうに・・・。
だんだん夕日が空から落ちてくる。
それと同じように俺の気持ちもテンションも落ちていく。
「まだ走るの?」
日が落ちて足元が見えにくくなってきたからか、疲れただけなのか、足元がおぼつかなくなってきた。
「進・・・っ」
ちょっと休憩を・・と桜庭が泣きを入れかけた、その瞬間、背後からドーンッという大きな炸裂音と共に光が上がった。
「ふぇ?」
振り返るとそこには大きな光の花。
「あぁ始まったか。」
進が足を止め俺の横に立った。
「もう少し人が少ないあたりで見ようかと思ったんだが。」
「今日って?」
「あぁ黒美嵯川花火大会の日だ。」
空には色とりどり光の花。
「もしかしてこれを見せようと思って?」
誘ってくれたのか?と暗に問い掛けると、
「一人でみるより二人で見たほうがいいからな。」
と答えが返った。
お前と一緒に見たかったからとか言ってくれればいいのに・・・なんて贅沢は言いません。えぇ。言いませんとも。
進にとっては誰でもよかったにしろ、他の誰でもなく、今一緒に見ているのは俺なわけで。一人より俺といることを選んでくれたんだって思えば幸せだよね?すごく・・・。
見上げると空に広がる大輪の花。
「近くで見てもよかったんだが・・・人が多すぎてな。」
「うん。」
あれだけ人がいるところに桜庭を連れて行ったら人に囲まれて花火どころではなくなってしまう。それは進でなくとも想像に難くない。せっかくの花火を見に行って、浴衣の婦女子に取り囲まれて困った顔で笑う桜庭を遠くから見守る気にはなれなかった。
「せっかくの花火だからな。」
「うん。ゆっくり見たいもんね。」
花火が上がる。空に大輪の花が咲く。
「うわ〜っ、すっげ〜〜。」
空を見上げる桜庭の横顔。その横顔を花火が照らし出す。
いつも、どこかつらそうな表情を浮かべている横顔に、今は楽しげな笑みが浮かんでいる。
「綺麗だな」
進の口からそんな言葉がこぼれた。
「うんほんと綺麗だね〜」
桜庭は、空に描かれた花を見つめながら言った。
「あぁ。綺麗だ。」
進は、その花火を見つめる横顔を見つめながら繰り返した。
進も桜庭も、まだその言葉に秘められた思いに気付かないまま。
ただ二人は空に咲き誇る色とりどりの花を見上げていた。

***
宇治川の花火大会に行ったんですが、そこでも上がりました。
メガネ花火!(笑)
写真とり損ねて悔しいです。どうせ上げるならアナウンスしてくれればいいのに!
「え〜今から上がりますのは、スターマイン、5号玉、3号玉、1号玉、そしてメガネ花火。夜空に輝く美しいメガネキャラの世界をご堪能下さい。」
え?何か間違ってる?あぁ!そうですね!メガネ花火じゃなくって、『高見花火』ですね!え?『眼鏡美麗部長花火』?やっぱ、高見さんですって!え?『眼鏡っ娘花火』?う〜んそれも捨てがたい。
眼鏡かぁ〜、メ・ガ・ネvvv

 

     ■   8月13日 ヒルマモ(ラスベガス編)ケルベロス視点   ■

ここはホテルの一室だ。
何故こんなところまで連れてこられたのか?と思わなくはないが、この熱い国は肉が豊富なので居心地は悪くない。
人間どもは何が嬉しいのか海でも牧場でもそして長い長い道を行く間も死にそうな顔をしながら「レンシュウ」とやらをしていたが、俺様はトラックの荷台で昼寝したり、お気に入りの膝枕に身体をなでてもらったり、気が向いたら灼熱の道の上を走る人間どもを追い掛け回したりと充実した毎日を過ごしていた。
そしてどうやら最終目的地らしい場所に到着したのが今日の夜のことだった。
ケバケバしいネオンが煌めく町。夜だというのに昼間のように明るいその町の中心部に建てられたこのホテルは、なぜかホテルの前に海と海賊船が在った。ちなみに近くには火山があって何十分かおきに噴火している。激しい山もあったものだ。
一体この町はどういう町なのか?とさすがの自分も少々戸惑わずにはいられなかった。勿論周りの人間どものように「うわ〜!」だの「は?」「はぁ?」「はぁぁ〜っ」だのとわめいたり、態度には示したりはしないが、今同室で眠る男が不意に打つバズーカ並には驚いた。
そんなこんなでホテルとやらにたどり着くと、人間どもは倒れこむようにホテルのベットや床に崩れ落ちた。
それは、俺をケルベロスと名づけた男も例外ではなかった。
かすかな物音に俺はピクリと耳をそばだてた。

主というわけではないが、今同じ部屋で眠る男にはいつもの飯の恩が在る。眠りくらいは守ってやる必要があるだろう。のそりと起き上がり、ドアの方へと近づく。
と小さく開いたドアの隙間からかぎなれた香りが流れ込んだ。
やさしい花のような香り。
人工的なものではなく、体から自然に香るのであろう、その匂いは嫌いではない。むしろ、好きな香りだ。あの香りを嗅ぎながら眠るとなぜかぐっすり眠れる。
あの人間の香り。
かすかに汗ばんだ香りが混ざっているが、それは”彼女”が恐らくホテルに到着した時のままの姿でボール遊びをしている人間どもの世話をして回っているからだろう。
毎日・毎晩ご苦労なことだ。
「し〜っ」
と指を口元に添えながら彼女は入ってきた。
俺は吠えようと開きかけていた口を閉じると、彼女の傍で立ち止まり、敬意を込めて数回尻尾を振った。
彼女は微笑むと、そっと頭をなで、小さな氷の塊をくれた。
「喉渇いてるでしょう?」
この人間は本当に気が利く。日中人間どもを追いかけて走り回ったもので、喉が渇いていたのだが、いつもなら水やエサを忘れない男が部屋に入った瞬間にベットへ倒れこんでしまったもので、俺の喉は渇いたままだったのだ。
俺はヒンヤリした氷を満足げにガリガリと噛み砕いた。
彼女はそんな俺の横を通り抜けると、ベットに倒れこんだ男の足元にしゃがみこんだ。
肩にかけていた大きなカバンと手に持った白いタオルを床に置く。
チャック式の蓋が開く音が聞こえると湿布や薬の匂いがプ〜ンと漂った。
いつものように治療をはじめるらしい。
空を飛ぶ鉄の塊に乗って見知らぬこの土地にやってきてから毎日続けられているこの作業。
いつもなら、治療中の足を動かしては彼女を困らせる男も、今日は身じろぎもしないで眠ったままだ。
どれくらいたっただろうか、治療が終ったのか床に置かれたカバンの蓋が締められた。
足を拭いて汚れたのか、白かったはずのタオルは黒く汚れている。
そのタオルを持って彼女は部屋の隅にある小さな部屋へとはいっていった。水の流れる音がする。
小部屋から彼女が出てきたときにはタオルは再び白くなっていた。
かすかに石鹸の香りがするのが鼻にくすぐったい。
彼女は濡れた白いタオルを手にベットの上で眠る男の顔を覗き込んだ。
眉間に皺を寄せたまま眠る男の額に塗らした白いタオルをあてる。
汗と土埃で汚れていたのだろう、タオルが額に当てた所だけまた黒く染まった。
「お疲れ様」
彼女がその言葉を送った相手はまだ眠ったままだったがその眉間からは皺が消えていた。
と、タオルを握った彼女の手を、男の手が掴んだ。
「え?」
戸惑ったように彼女が男の手から自分の手を放そうとした。その時、男の口から小さな呟きが聞こえた。
「行くぞ、クリスマスボウル。」
いつも男が栗頭と一緒に叫んでいる呪文だ。
それを聞いて彼女はそっと自分の手を掴んだままの男の手にもう1つの手を重ねて言った。
「うん。全員でね。」
男からの応えは無い。
どうやら、寝言だったらしい。
だが、彼女はそんな男に向かってふわりと微笑んだ。
それは見逃した男が気の毒なくらいにいい笑顔だった。

******
アップしそこねてたのを発見。
今更ですが、ヒルマモラスベガス編です。あは(←笑って誤魔化す気です。だって・・・載せたつもりだったんだもん/汗)
5月17日の日記&イラストをご参照下さい。って!ほんと、すごい前に描いたんだな〜(汗)

なんだかいろいろ書きかけのものを発掘中です(苦笑)。お盆だからいろいろパソの墓から甦ってくるようです。

 

     ■   8月10日 HANABI   ■

部室の外からドーンと大きな音がした。
「ヒル魔さん!?」
思わず叫んで部室のドアを開けると遠くに花火が上がっていた。
「あれ???」
「なんだ?糞チビ」
頭上から声がする。
「え・・・」
見上げると部室の上に細長い影。
「なんでそんなとこに上がってるんですか?ヒル魔さん。」
「あぁ?花火見てるに決まってんじゃねぇか。で、お前はなんで俺の名前呼んでやがったんだ?」
「え・・・あ・・・てっきりバズーカの音がしたと思ったんで・・・」
「バカか。花火とバズーカじゃ、音が違うだろーが。」
そんな聞き分けできませんってと思わず心で言い返した時、ひゅるるるる〜〜っと、次の花火が上がる音がした。
次の瞬間、ドーーンという炸裂音とともに、色とりどりの花が空に咲き誇る。
「た〜まや〜〜」
花火の光で明るく照らされた部室の上には、ヒル魔さんの金色の髪と、栗田さんの大きな体が見える。
栗田さんが乗っかって部室つぶれないのかな?
一緒に部室を飛び出たモン太君と目を見交わす。
そんな僕らの心配をよそに、栗田さんはニッコニッコしながら
「綺麗だよ〜みんなもおいでよ〜!」
と僕らを誘う。
ヒル魔さんも細長い指で、くいっと僕らを招き寄せるしぐさをして言った。
「おい、お前らもとっとと上ってこい。見たくねぇならいいけどな。」
「見たいっす!」
「あ!僕も僕もっ。」
よじ登るとそこには黒ミサ川とそしてその上に上がる花火が見えた。
「はぁ、やっぱ基礎がしっかりしてる建物は違うな。こんだけ乗っても揺れやしねぇ。」
「100人乗っても大丈夫♪ってか?」
「どこの物置だよ。」
「フムン」
振り返ると、いつも間にか、みんな部室の上によじ登って来ていた。
ほんとに、これだけの人数が乗っても揺れもしないなんて、すごい。
ムサシさんの言っていた基礎の大切さを実感する。
ドーン・・・
おなかに響く音が聞こえて、次の花火が空に上がる。
「わぁ〜綺麗。」
手をたたいて喜ぶまもり姉ちゃんにヒル魔さんがあきれたように言った。
「スカートのくせによじ登ってきやがった。」
「いいでしょ。私だって見たいんです〜っ!」
まもり姉ちゃんがスカートを抑えながら言い返すと、ヒル魔さんは眉間に皺を寄せた後、
「邪魔だ、てめぇはそこで座ってろ糞マネ。」
と床を指差した。
「○マネじゃないって何度言ったら・・・!」
と怒るまもり姉ちゃんを無視して、ヒル魔さんは栗田さんへも「座れ糞デブ」と座らせて、自分もさりげなく座る位置を変えた。
あれって・・・下からまもり姉ちゃんのスカートの中が覗けないようにしたんだよね?
何のかんの言ってやさしいんだ。と笑っていると細い腕に引き倒された。
「なに笑ってやがんだ。この糞チビ!」
耳に噛み付きそうな距離でヒル魔さんが言う。
「あ!セナをいじめないでよね。」
「いじめてないだろうが!」
ヒル魔さんの斜め後ろに座ったまもり姉ちゃんが、僕の首に巻きついたヒル魔さんの腕をひっぱる。そんなまもり姉ちゃんの方へ首を回し、ヒル魔さんが怒鳴り返す。そして、僕はというと、いつものように始まった二人のケンカを止めようとあたふたしてしまう。
「あ・・・あの・・・」
ほんと、なんでいつもこうなっちゃうんだろ?
仲がいいんだか悪いんだか、ほんとわからない。
「ほれミロ、特等席だぞ。」
ヒル魔さんの長い指が差した先に大きな花火が上がる。
「うわ〜っ、綺麗・・・」
本当にそこは特等席で、上がる花火が川面に映るのまで見えた。
「どうだ?ホントに特等席だろうが。」
得意げにニヤリと笑ったヒル魔さんの顔が花火に照らし出された。
「はい。」
引き倒されたときに掴まれた手はまだ僕の手の上に重なっている。
みんなが詰めて座るたび僕の肩がヒル魔さんの腕に触れる。
「おい?お前顔真っ赤だぞ。」
「え・・・エエッ///」
思わず両手で頬を覆った。顔が熱い。
ヒル魔さんの顔が恥ずかしくて見れないでいたら、
「ヒル魔だって真っ赤だよ。」と栗田さんが笑って言った。
見上げると、本当に赤かった。
「あ?」
ヒル魔さんが軽く顔をしかめた。
「だって、ほら、赤い花火。」
栗田さんの指差す先に赤い花火が上がっていた。
白い花弁と赤い花びらが黒い夜空に広がる。
「デビルバッツの色だね。」
雪さんが言った
「僕もあんなふうに輝きたいな〜。」
「あぁ?お前は十分輝いてるだろ。」
「ハゲ〜〜ン・・・」
あぁっ、ヒル魔さんってば、また言っちゃった。
でも、雪さんもすっかり言われなれてきたのか立ち直りは早い。
額を軽く脱ぐってから、花火の上がる空を見上げて言った。
「そうじゃなくって。派手にね、ドカンとね、ぶちかましたいなって・・・。」
その言葉を聞いてみんなが頷く。
「だな。」
「うん。」
「そうだね。」
「だが、あんなもんがデビルバッツと思うなよ。」
「へ?」
「アレを見ろ。」
「へ?」
みんなが指差された先を見た。まだ何も上がっていない黒い空。
と、ドドンッと音がした。打ち上げられる白い煙
そして・・・
「はぁ?」
「はあぁ!」
「はあぁぁぁ!?」
「えぇっ!?」
「ウソッ!!!」
「どうやって?」
「YA〜HA〜〜〜!!!」
「たーまやーーーっ」
輝く空にはデビルバットが飛んでいた。
「一体どうやって・・・」
「また誰かに無理やりやらせたんでしょ!?」
「花火師に去年間違って花火上げ損ねて花火大会の後に3発ほど横流ししただろって囁いただけだろ。」
花火師って・・・学校以外の人にまで脅迫手帳って有効なんだ!?
そういえば、以前は消防士さんがはしご車出してくれたっけ・・・?
ヒル魔さんの影響力の広さに感動・・・というか恐怖というか・・・を感じてしまう。
そんな中、ぜんぜん恐れもせずに、にっこにっこと栗田さんが笑って言う。
「でも、よく作れたね〜」
「ふん。泥門デビルバッツに不可能はない。」
ニヤリと笑うヒル魔さんに本当にこの人なら不可能な事ってない気がした
これから、何校もあたって戦っていく秋大会。
そしてその先にあるクリスマスボウル。
そこにたどり着くには、ルイさんのいる賊学や、コータロー君がいるスパイダース、番場さんのいる太陽スフィンクス、キッドさんのいる西部ワイルドガンマンズ、そして・・・進さんのいる王城に勝たなくちゃいけない。そう、あの王城に。
でも・・・、うん、でも、不可能はない!よねっ!?
ヒル魔さんと一緒なら、みんなと一緒なら、きっと・・・きっと・・・!
「行くぞクリスマスボウルーーー!がんばるぞーーーっ!!」
「わ・・・栗田さん暴れたら落ちる〜〜っ」

空に浮かんだデビルバットが笑って見えた。

***
花火小説もどきの元が見つかったんで、修正してアップ。
きちんと書いたやつは見つかんなかったんで、直したものの、記憶が定かでないので、なんか変な感じになっちゃいました。あは。でもまぁ、また無くすとショックなんで、このままアップ。あははん・・・

***
今日は宇治川花火大会です。
ちなみにこの間は大雨の中、亀岡の花火大会に行きました。
晴れ女を自認するわたくし。
警報がでていたにもかかわらず、亀岡到着時には、晴れました。
モゼりやがってと、ひさびさに言われました。
いやぁ〜・・・モゼって便利だ。モゼモゼ。

で、そんなことはどうでもよくって、亀岡の花火!
高見花火があがりました!
何かって?
め・が・ね v
眼鏡花火ですよ!
あがった瞬間、なんじゃこりゃ?と思いました。だってなんで花火で眼鏡?
作った人は絶対にめがね好きオタクだと思いました。
眼鏡キャラ好きオタクだと!
眼鏡っ娘なのか、どこぞの眼鏡美麗部長なのか、高見さん
なのか、その人の本命はわかりませんが、きっと眼鏡好き・・・同士よ!!!
写真とっときゃよかったと本気で思いました。宇治川でも上がらないかな?めがね・・・vvv
いっそ高見さんそのものでもいい・・・あがるといい・・・。馬とか騎士とかデビルバッツとか龍とかがあがるといい・・・桜庭もいいな〜いいな〜・・・
どこかの花火師を捕まえて、脅して作らせるか!?
(↑だれかこの人止めてください。)

 

     ■   8月6日 やっぱゆかたはいいね〜v   ■
昨日の日記書いて、きづけばまもり姉ちゃんを描いてしまった。あぁ・・・ゆかたはやっぱいいにゃ〜。着たいな〜。
まもり姉ちゃんは、きっと毎年セナにゆかたを縫ってあげて、一緒にお祭りにいってたんでしょうね。
行く前にはかならず虫除けスプレーとか振り掛けてくれて、夜店でセナの分も金魚とかとってあげるのですね。
そして射的場ではヒル魔が景品を全部ゲットしてお店の人を泣かしてるの。そんで新たに奴隷が作られていくのだ。
そしてその横では、めちゃくちゃじんべぇが似合ってるムサシとか、イカ焼きタコ焼きわた飴りんご飴を両手に持った栗ちゃんが見守ってるの。
そんで、神社の裏では3兄弟がハァハァ言いながらヤンキー同士でにらみ合ってたりすんの。
石丸さんは、兄弟にたかられて、自分のお小遣い分のバイト代を全部、使ってあげちゃっててるの。
そして、勿論、モン太君はチョコバナナを齧っていると!
あぁ・・・泥門夏祭り。いいなぁ〜・・・。
ちなみに、まもり姉ちゃんには、今年あたいが購入したたゆかたを着てもらいました。(模様はかなり適当ですが、まぁこんなかんじ)
選んでくれた友達たち曰く。
「やっぱ、**さんは赤が似合うよね。」
「ただ赤だときついんだけど、この桜柄がね。**さんに似合うよね。」
「そうそう。なんか桜ってかんじだよね。」

**は本名が入ります。
友達たちは全員パンピーで、私のペンネームは一切知りません。普段の服も別にいつも赤とかピンクを着たりしてません。いろいろ着るし、むしろ緑が一番多い・・・と思う。
なのに、なんで桜ばかりすすめられるのか?
そういや、以前、桜茶犬のストラップをもらったな。
そんときも「なんか桜犬って思ったら、**や!と思ってさ。あげなと思ってん。」とか言われたな。
そういや、桜とかさくらんぼ柄のハンカチとか鈴とか手鏡とかももらったな・・・なんでだ?集めてるといった覚えもないぞ??

ペンネームを知る知人曰く『名は体をあらわす』。
このペンネーム使い始めて長いからかなぁ〜。

>ドラマ『バツ彼』を見て
陽平と恭介。
なんでか、この二人のホモ話に見えてしかたがない。
ヒロインが地味だからか・・・???
いや!やたらとこの二人が仲良くケンカしているからに違いない。
トムとジェリー〜♪なっかよっくケンカしなっ♪ってなくらいいつでも仲良くケンカしている。
・・・ってことはトムとジェリーもホモなのか・・・?
(さくらさ〜ん、一人つっこみ一人ボケはやめましょうね〜!)

よかったら見てみてください。
キャストは地味ですが(苦笑)いがいと面白いです。
恭介→洋平の片想いとみせかけて、実は両思い。洋平が常識に囚われているので自分の気持ちに鈍感なだけ。という感じの色眼鏡をかけてから、どうぞ!
勝手に設定最終回としては、それぞれの子供を連れて二人が一緒に住むことに。そして、将来的には子供同士が結婚して、二人も一緒に結婚式を・・・。
章子と夏樹もお祝いに駆けつけて・・・田辺さん号泣・・・
って!どこまで話をすすめるねん!
田辺さんがかわいそう過ぎるよな・・・いい子だしな・・・うむむ。

今回は夕飯に誘う陽平の姿に、実家に帰った妻を迎えに行く姿に見えました(苦笑)
不器用な陽平が進で、素直じゃない恭介が桜庭というのも・・・(よほど進&桜庭のラブ話に飢えているらしい。
でも、キャラちがうか〜・・・でも陽平=進はいがいと面白いと思うんだけどな・・・)

そんなかんじで。 →どんなかんじだ?

 

     ■   8月3日 ぎゃ・・・泥門メンバの花火小説が消えた・・   ■
昨年花火萌えをしたときに書いて書きかけになってたのをこないだまとめたはずなのに、どっかいった。
パソが死んだときに消えたのか???
泣くに泣けません。つーかなきます。あ〜・・・
セナのイラストも描きかけだったのがみつかりません。
なんでだ?なんでなんだ!?
いろいろブルーです。
何が一番ブルーかって、ここ数年連続で見に行ってた淀川花火を忘れてたこと。しまった・・・せっかく浴衣買ったのに・・・なんで忘れてたんだ!私のバカバカ!
せっかく泥門カラー(赤と黒)の浴衣なのに!

そういえばm泥門カラーの浴衣を買ってんと黒うさどんに言ったら「それはもうイベントいかないと!」と言われました。そうか、そういや、そういう手があったな。

でも、無理そうなんで、まもり姉ちゃんに着せてみよう〜v ←ブルーだったのが浮上。まもり姉ちゃんって偉大だ。

 

     ■   8月2日 先週のマモリ姉ちゃんの突っ込みとうって変わって・・・   ■
今度は高見さんのボケ(いや突っ込みか)
大好きだ・・・アイシールド21。くっ・・・
そして、怒る猪狩君と、バカと言われても平気で鼻をほじる大田原さん・・・大好きだ。
なにより小さなコマながら突っ込みを入れる元気をとりもどしたらしい桜庭が。。。(涙)
高見さんに突っ込むなんてすっかり男前になって。。。(←突っ込み違いです。)

そんなアホなことはさておき、足が速かった頃の高見さんと鬼兵氏が知りあいだといい。タッチフットとか一緒にやってたらいい。いい・・・(←いろいろ萌ている模様です)

軍ちゃんも今日は溝六の夢を見るといい。懐かしい死の行軍の夢をみるといい・・・。そして泥門戦で出会う二人。あああああっ・・・(萌)

まいった、鬼兵さんといい軍ちゃんといい、渋キャラに弱いんだってば!

そしてキュートキャラにもよわいんですってば!
コータロー〜vvv
出てきましたね〜!あのこってばかわいかっこいいですね〜v

あ〜も〜今週号はリンゴのように甘酸っぱい青春の味だよ。(先週のまも姉ちゃんもキュートだったにゃ〜vvv)
そういえば、今日は長野みやげでリンゴゴーフレットをもらった。
「長野でリンゴとはまんまだねレディー」
いや、ほんと、そのまんま。ナイスタイミングでもらえたもんだ(笑)美味しかったです余。

>今週のワンピ
ネタバレたらいかんので多くはかたりませんが、ウソップは最高だと思います。大好きだ。
そんでもって、サンジ。やっぱゼフにあの言葉いわれつづけてるから敏感なんだね。なんかひさびさに心の中でゼサの琴音が鳴り響いたよ。あぁ・・・ゼフ・・・vvv(←そうくるか!)
でも、最後まで口出ししなかったゾロがやっぱり大好きだ。

そんでもって恋次大好きだ。死ぬな・・・死ぬなよ・・・
Lも無事だったんだ!死ぬなよぅ(涙)

でも、黒うさぴょんはきっといまごろ嬉し死にしてるに違いない・・・眼鏡美麗部長すっかりしっかりはっきり出てきたね!おめでとう♪

* バックナンバーリスト *

build by HL-imgdiary Ver.1.24