▲ HOME
さくらの妄想イラ日記

●日々心意気●

2004年09月分

* 掲示板(直通) *

 

     ■   夏休み特別企画:たとえばこんな幽霊奇談(15)-2  side 王城 9:00   ■

「一緒に寝るか?」
しばらくの沈黙の後、進は突然言った。
指差されたのは2段ベットの上段。
「えっと・・・ここ2段ベットだし。1階の俺のベット空いてるし。問題ないよ?」
大体幽霊が眠れるかどうかも怪しいもんだし・・・。という言葉は飲み込んだ。
「二階で寝てみたいと言っていただろう。」
「あ、うん。」
戸惑っている俺をよそに、進はさっさと自分のベットへと上がっていく。
いくら進がホワイトナイツの中では小柄な方とはいえ、それは身長だけの話で、鍛えられた筋肉は大田原さんとタメをはる。俺はといえば、横幅はないものの、それでも一般男子と比べれば十分ガタイはいいほうだし、何より縦が長い。足を少し折り曲げて眠らないと寮のベットは少し狭い。そんな二人が二段ベットのしかも上段に二人で寝ようっていうのは冗談にしても無理がある。絶対に床が抜ける。
「でも二人じゃ・・・あ!」
そうだ!そうだった!俺幽霊だったんだ。
生身じゃないなら、身体は重なってもすり抜けるからぶつからないし、体重ももちろんないわけで・・・ってことは一緒に2階で寝るのも可能なわけだ。
「うん。じゃぁお邪魔します。」
なんだか変な感じだけど、二階の景色は気になる。
入学した時から大きかったから、二段ベットの1階が俺の定位置だった。
いつも見えるのはベットの床で。小さな進は二段ベットの1階が定位置だったから、おのずと、進の背中を見ている構図になった。
寝てる時まで俺って進の背中を見てるんだ。
そう思ったらなんだか泣きそうになったことがあるのを覚えてる。
そのせいなのか、夢の中でも、追いつけない背中だけを必死で追いかけて走ってた。
精神衛生上良くないよね?ほんと。
だから、一度でいいから、二段ベットの二階で進と同じ景色を見てみたかったんだ。
小さなはしごの階段を昇る。
初めて見る二段ベットの二階部分。
進の横に開いたスペースはほんのわずかで・・・
「うへぇ〜狭い。」
「当たり前だ。」
「男二人は無理がない?」
「む・・・」
「寝返りもうてないよ?」
「確かに・・・ならば俺が下に行こう。」
「いや、いいよ。どうせ、俺実体ないから、進が寝返り打ってもぶつかんないしね。」
「俺は寝返りはうたん。」
「へ?」
「基本的に一度寝たところからは動かんから大丈夫だ。」
「・・・寝てる時まで律儀なんだ。」
硬直したように眠る進を想像してちょっと吹き出した。
「なんだ?」
「なんでもない。」
「なんでもないなら笑うな。」
進の太い眉が不機嫌そうに寄せられる。
「あはは・・・ごめんごめん。」
じゃぁ、遠慮なく。と、ベットにあがりこんだ。
広さは自分のベットと同じ(あたりまえか)だけど、目の前に迫るのはベットの床じゃなくって天井。
電気が近いからか、1階と違ってかなり明るい。
「あはは、天井が歩ける。」
天井に足の裏をくっつけて、てくてくと歩いてみせると、進は何が嬉しいのかと不思議そうに聞いた。
「面白いか?」
「うん。だって、俺の目の前って、進の寝てる床だからさ、蹴るわけにも行かないだろ?」
「蹴られたら困るな。」
まじめに答える進に、また思わず吹き出してしまう。進はといえば、そんな俺を不思議そうに横目で見てる。
それにしても・・・
「明るいね。」
「うむ?」
「もしかして、俺が夜中に帰ってきて電気つけたときって、ものすごく眩しかったんじゃ・・・?」
「いや。カーテンを締めているし、基本的に一度眠ったら決まった時間までは目を覚まさないから大丈夫だ。」
「ならよかった。」
進の隣で桜庭は微笑んだ。

 

     ■   夏休み特別企画:たとえばこんな幽霊奇談(15) side 王城 9:00   ■

「しまった・・・」
進が扉を閉める音と同時に、俺はつぶやいた。
「チャンネル変えてもらっとくんだった。」
でも後の祭り。
チャンネルを変えてくれと言う理由だけで進を呼びもどすのは気が引ける。
でも・・・。
目の前で自分が出ているドラマが始まるのは、正直最悪の気分だ。
だからといって、進と一緒に風呂場に行って他のメンバーみんなに俺のことを気付いてもらえないのは怖かった。
あの商店街の中のように、誰も俺に気付かずに、俺を通り抜けて行ってしまうのが怖かった。
見知らぬ人が自分に気付かず通り過ぎていくのは、アイドルになる前なら当たり前のことで。
むしろ、デビューした頃は、自分にとってはまったく知らない人達が、自分の名前を知っていることのほうが不思議だった。
同じように道ですれ違っても、『アイドルになる前の桜庭春人』なら、誰も知らないから、すれ違った人は『桜庭春人』に目を向けることもしない。
けれど、同じように道ですれ違っても、『ジャリプロのアイドル桜庭春人』には皆・・・とはまだまだ言えないけど、知ってくれている人は気付いて振り返る。
存在していてもそれに意識を向けなければ、それは存在していないのと同じことなんだと思う。
だから、商店街ですれ違った人たちが、俺のことを気付かなくても、まだいい。
だって俺もその人たちのことを知らないし、その人たちにたとえ気付いてもらえなくっても、アイドルになる前と同じ状態に戻っただけだから。
正直、その方が気が楽かもしれない。
でも・・・。
もしも、いつも一緒にいる人たちから気付いてもらえなかったら?
たとえば、いつも俺のことを気にかけて助けてくれる高見さんや大田原さんが俺のことを気付いてくれなかったら?
・・・考えるだけでゾッとした。
存在が否定されることほど怖いことは無いのかもしれない。
いじめで一番聞くのはシカトだというのがわかる気がした。
殴られたり蹴られたりするのは嫌だ。
使いっパシリにされるのも、カツアゲされるのも嫌だ。
ネチネチ厭味を言われたり、悪口や陰口を言われるのだって嫌に決まってる。
人が気にしているコンプレックスの部分を思い切りえぐるような、言葉の暴力は最悪だ。
でも・・・
それでも、それは、まだ自分という存在を認めてはもらえてる。
自分が相手の目の前に居るからこそ行われる事だから。
自分から相手の前から立ち去ることで解消される。
けれど、シカトは違う。
無視するということは、その存在そのものを否定するって事だ。
視ないんじゃない、その存在を無いことにするって事だ。
だから・・・そこに自分はいるはずなのに、そこにいないことにされてしまう。
他者に存在を否定された時、自分が本当にそこに居るのだと肯定できるのは自分しか居ない。
でも、自分というものがいると知っているのが自分だけだった場合、その自分が、自信の無いあいまいな人間だったら、自分がそこにいるとどうして断言できるだろう?
テレビの中にいるアイドルの桜庭春人。
誰からも見えない自分。
本当にここに桜庭春人はいるのかな?
ここにいるのは桜庭春人なのかな?
本当にここに俺はいるのかな?
ここに自分は存在しているのかな?
本当は俺は存在していないんじゃないのかな?
テレビの中にいたのが本物で、ここにいるのは偽者なんじゃないのかな?
俺はここに居てはいけないんじゃないのかな?
だって、俺は誰にも見えないんだから。
この世界に自分は存在していないはずのモノなんだから・・・。

「桜庭?」

名前を呼ぶ声が聞こえた。
「桜庭?どうかしたのか?」
また名前を呼ばれた。
俺はいないはずなのに、誰かが俺の名前を呼んでる。
桜庭なんてものは、もう存在していないはずなのに、なんで俺の名前を呼ぶんだろう?誰が俺の名前を呼ぶんだろう?
呼んで欲しいと思っているから、そんな声が聞こえた気がしているだけなのかな。
だって、俺のことなんて誰も見えないんだから。
俺はここに存在しないはずのモノなんだから。
「桜庭!」
もう一度声が聞こえて、急に、視界に黒い光が見えた。強い意思の光。
「え?」
「どうかしたのか?」
「あれ?」
「何かあったのか?」
「えっと・・・進?」
「他に誰だと言うのだ?寝ぼけているのか?」
目の前で意志の強そうな太い眉がひそめられた。
至近距離に寄せられていた顔が少し離れる。
黒い光と思ったのは、進の真っ黒な瞳で、額があたるかと思うほど寄せられるまで俺が気付いていなかったらしい。
「ぼ〜っとしていたが、テレビを見ていたのではなかったのか?」
「ん・・・ちょっと考え事。」
「そうか。」
進は、眉をひそめたまま、俺のことをじっと見守っている。
よほど俺の様子がおかしかったんだろう。
いつもなら揺らぐことのない進の漆黒の瞳が、不安げな色を乗せている。

『心配かけてごめん』

喉まででかかった言葉が、俺の唇に乗せる前に俺の声で聞こえた。
進が少し首をかしげた。
俺も驚いて、周囲を見回して、そして進の後ろにあるテレビに気付いた。
「ごめん。今のはテレビ。」
テレビの中で俺が俺の声で話してる。
本当の俺なら絶対言い出せないような歯が浮きそうな甘いセリフを相手役の女の子に向けてしゃべてる。
偽者の俺。
「・・・ごめん、進。なんか、自分が出てるドラマ見てたら憂鬱になっちゃてさ。消してもらえる?」
「あぁ。」
進がリモコンを取り上げ電源をオフにした時、メキッと小さな音がした。
「あ・・・」
しまった。やさしくちょっとだけ押すように言うべきだった。
リモコンのプラスチックの部分に亀裂が入り、電源ボタンがめり込んでいた。
まぁ、いいか。テレビ画面は消えてくれたわけだし。
「お前はテレビにも出ているのだな。」
「あ、うん。ドラマにね。ちょっと出ることになってさ。」
「映画にも出るのだと女子達が騒いでいた。」
「あぁ・・・それはこの間撮り終わったヤツ。来月公開だから話題に上ったのかな。」
「今ごろ彼女達はお前を見ているのだな。」
「見て・・・。」
今の俺を見れるのは進しかいないのに、今、どこかで誰かがテレビの中の俺を見てるんだと思ったら不思議な気がした。
本当の俺は、今ここに居る俺のはずなのに。
でも、多くの人はテレビの中の俺だけしか知らなくって、今もその人たちはテレビの俺を見ていて。
でも、ここにいる俺は、誰にも気付いてもらえなくって。
テレビの中にいる俺の方が本物なんじゃないだろうかとすら思う。
『ジャリプロのアイドル桜庭春人』
学校でも、昔はただの『桜庭』や『桜庭君』で。ちょっと形容詞をつけるにしても『アメフト部の桜庭』だったのに、今は『ジャリプロの桜庭』になっている。
テレビや雑誌の中だけじゃなく、日常でも、俺は『ジャリプロの桜庭』で、だからしゃべる言葉も、しぐさも、服装も、なにもかもがアイドルとしてのものを要求されていて、そして、気付いたら、学校の中でもテレビの中の俺を演じようとしてた。
オリジナルだった『ただの』桜庭春人は、いつのまにか、『ジャリプロの』『アイドルの』桜庭春人にとって変わられて。
その虚構の存在は、どんどん大きくなっていって、どんどんオリジナルとはかけ離れた嘘の存在を生み出していく。
『王城のエース桜庭春人』
偽者エース。
本物はパスもまともに受けれないダメ人間で。
どんどん周りの作り上げた偶像の桜庭春人が一人歩きをはじめていく。
オリジナルの俺はどんどん置いてきぼりを食らっていく。
そして、自分が本当はなんなのか、何者だったのか、何が本当で何が嘘なのか、そんなことすら見失って。
何ならできるのかすらわからなくなって・・・。
自分を見失うっていうのはこういうことなのかもしれない。
自分が本当はどんな人間で、何ができて、何ができなくて、何をしたくて、何のために存在しているのか。
それがわからなくなったとき、唯一自分の存在を認めてくれる肉体すら失ってしまったら・・・。
俺はどうしたらいいんだろう?
俺は本当に存在してるのかな?
鏡にすら映らない今の自分。
このまま体に戻れなかったら、本当に俺は消えてしまうのかもしれない。
そして、テレビや雑誌に残されたアイドルの桜庭春人だけが残るんだ・・・。
俺じゃない偽者の俺が、本当の俺になって残されるんだ。

「桜庭っ!!!」
急にすごい力がぶつかってきた・・・気がした。
進がひどく真剣な表情で俺の顔を覗き込んでいる。
「・・・進?」
名前を呼ぶと、
「よかった。」
と、ほっとしたように言った。
「何が?」
「お前が消えていなくなるかと思った。」
「?」
「お前が透けて見えた。」
「え・・・?」
「消えなくて良かった。」
「・・・」
「お前がいてよかった。」
「・・・進・・・。」
進の手が額が俺に触れるように伸びる。
「だめだよ。触れない。」
「あぁ・・・そうか。そうだったな。」
「うん。ごめんね。」
「なぜ謝る?」
「なんとなく。」
「?」
「そんでもって、ありがとう。」
「なぜ礼を言う?」
「うん。俺を見てるから。」
「・・・?」
「俺いるんだよね?」
「当たり前だろう。」
「俺、桜庭春人はここにいるんだよね?」
「そうでなければお前はなんだというんだ?」
進は、俺がいてよかったと言ってくれた。
いてよかったと。
進が俺を見ていてくれる限り、俺はここにいてもいいのかもしれないと思えた。
俺はここにいるんだと思えた。
テレビの中の俺じゃない。俺でいていいんだと思えた。

俺はまだここに存在してる。

 

     ■   夏休み特別企画:たとえばこんな幽霊奇談(14) side 泥門 9:00   ■
・・・夏休みって何日までだっけ?そんな事は忘れました。毎日が夏休みさ!ってなわけで、続きでございます(汗)

「ムキャー、チャンネル変えるなよ〜!」
家に泊まりにきたセナに、新庄さんのすばらしさを見せるべく、プロ野球中継を一緒に見ていたというのに、勝手に母ちゃんがチャンネルを変えたので、俺は抗議の声をあげた。
「野球なんて、後でニュース見ればいいだろ。」
と、母ちゃんはチャンネルを右手に缶ビールを左手にしたまま、言い返した。
冗談じゃない。まったくもって何もわかっていない。
野球中継は、LIVEで見るからこそドラマがあるのだ。
「連ドラなんてビデオ取ればいいだろーっ!」
「うるせぇサル。あたしは、今、桜庭君が見たいんだよ!」
「桜庭!?」
「桜庭さん!?」
サルという母親が言うにしてもあまりの言い様にいつもなら「サルじゃねぇ!」と怒るところだが、『桜庭』という名前に言葉が止まった。
セナと顔を見合わせる。
『桜庭』というと、あの桜庭師匠・・・じゃなくって、桜庭元師匠のことだろうか?
「それっていうと、あのジャリプロの?」
「他にいんのかよ?桜庭春人なんてかわいらしい名前のアイドルが?」
かわいらしい名前かどうかは別として、確かになかなかいる名前じゃぁない。
そんな母ちゃんとの会話の向うで、テレビ画面には病院で会ったのと同じ顔の桜庭元師匠が映っていた。
病院で会った時と違って、柔らかそうな髪はきれいに整えられていて、痛々しいギブスも包帯も無い。
「もう怪我治ったのかな?」
怪我をさせてしまったのを心配していたセナが小さな声で呟いた。
「退院したみたいだとかって、このあいだムサシさんとヒル魔さんが話してたぜ。」
「そっか、よかったぁ〜。」
「ドラマにも出てるし、もう大丈夫だろ?」
指差した先には、桜庭元師匠が微笑んでいた。
テレビの中の師匠は、やっぱりかっこいい。
男の俺でもどきっとするくらいの綺麗な笑顔を浮かべている。
「今、視聴率No.1の人気ドラマなんだからね。見忘れたら、近所の奥様連中と会話続かないくなっちまうんだよ。」
主婦も大変なんだからね。なんて、のんきなヤンママのクセに母ちゃんは言う。
だいたい、その茶髪で十分近所からは浮いてると思うぞ?母ちゃん。
それにしても、テレビの中で、ヒロインにやさしく微笑みかけたり、励ましたりする桜庭師匠は、病院でのあの自信のないヘタレな桜庭師匠とはまったく違う。別人のようだ。
クラスの女子達が毎週月曜日のドラマを見るたびに大騒ぎする気持ちもわかる気がする。
「なんだか、あの日の師匠とは違う人みたいだな。」
「師匠?」
セナが大きな目をこちらに向ける。
「あ、いや、師匠はやめたんだった!元師匠!」
俺は大きな声で言い直した。
そうだ、ファンの子供にあんなヘタレな事を言うヒーローなんてありえない。
俺が目指してた師匠とは違う。
俺が目指してたのは、当然かっこよくてモテるんだけど、でも新庄選手みたいに1つのことに真剣に取り組む、アメフトも上手くて、ファンにもやさしい、努力MAXな桜庭師匠だったんだ。
でも・・・。
テレビの桜庭元師匠はこんなにかっこいいくせに、女の子にもモテモテなくせに、アメフトでもあの王城のレギュラーで、あんな小さなファンまでいるくせに、・・・なんで、桜庭元師匠はあんなに自信なさそうな事を言うんだろう?なんで、あんなに悲しいことを言うんだろう?なんで・・・あんなに辛そうな顔をするんだろう?
思わず無言になった俺を心配したのか、セナが肩に手を置いて言った。
「桜庭さん、元気になってるといいね。」
「あぁ。」
「あの男の子も元気になってるといいね。」
「あぁ。」
俺は大きく頷いた。
昔の俺とだぶるあの子供。
怪我がどんなものかは知らないけれど、あれだけ動ければたいした怪我じゃぁ無いだろう。
早く元気になるといい。できるなら、桜庭元師匠とも仲良くなれているといい。
その気持ちを見抜いたようにセナが言う。
「秋大会には、師匠って思える桜庭さんだといいね。」
「あぁ・・・って!それじゃ勝てねぇよ!ライバル増やしてどうすんだ!」
「あっ、そうか!」
「ただでさえ、あの進さんがいるんだぞ!」
「そうなんだよね〜っ・・・」
「そこで、俺が進さんを倒すとか言えよ。」
「え〜・・・、そりゃ、そうできればいいと思ってるけど、相手はあの進さんだよぉ〜?」
「むっ・・・確かにあの人はかっこいいもんな。」
「うん。何しろ黒美嵯マンだからね。」
「いや、あれは俺達3人のあわせ技だろ?」
「合体ロボみたいな?」
「そうそう!合体ロボ!っていうか**レンジャーみたいな感じだな!」
「それじゃ戦隊モノだよ〜。」
「そんじゃ、仮面ライダーとか?」
「合体はしないでしょ?」
「そっか・・・」
「ちょっと、あんたたち、うるさいよ。桜庭君のセリフが聞こえないじゃない!」
「あ、すみません・・・」
「あ、そういや、あんたアメフトはじめたって言ってたよね?」
「あぁ、はじめたぜ〜。現在努力MAX中さ!な?セナ?」
「あ、うん。」
「じゃぁ、桜庭君と会ったりするの?」
「そりゃそうさ。秋大会には絶対に王城と戦うんだからな!」
「じゃぁさ、サインもらってきてよ。」
「は?」
「桜庭君のサ・イ・ンv」
「何言ってんだよ?相手は息子のライバルだぞ!」
「誰がライバルよ?サルとアイドルじゃ比較になんないって!」
「ムッキャーッ!自分で生んどいてサルとはなんだよっ!」
「だって、サルはサルじゃん。」
「向うはヘタレシーバーで、俺はキャッチの達人だぞーーっ!」
「ばっかねぇ、アメフトなんてどうだっていいの。顔がかっこよくて、どことなく不安げで、いつもニコニコしてるけど、たまに見せる淋しげな笑顔がかわいいんじゃないの!」
「母ちゃん、息子とアイドルとどっちがかわいいんだよ!」
「そりゃ、桜庭君でしょ。」
あっさりと母ちゃんは言い切った。
「男は顔よ!一般人がアイドルにかわいさで勝てるわけ無いじゃないの。」
「ムキャ!そんなことないぞ!まもりさんは優香やゴマキやあややより断然可愛いっ!」
「は?まもり?誰よそれ?」
「まもりさんは・・俺の・・・俺の・・・モキャモキャ・・」
真っ赤になってもじもじと言葉を濁す俺にセナが救いの手をくれた。
「それより、野球の試合終っちゃうんじゃない?」
「あああっ!そうだったっ!母ちゃん!野球っ!野球っ!」
「うるさい!あたしは桜庭君を見るのっ!あぁ〜桜庭くぅ〜んvv」
「だから野球だってば、新庄さんっ!」
「野球見たかったら自分でテレビ買いな!」
「ムキャーッ!」
自分の家とは違う、まるで姉弟のような親子のやりとりにセナは思わず笑ってしまう。
(仲いいな〜。)
そんな3人の向うで、テレビの中の桜庭春人はアイドルらしい微笑みをたたえていた。

 

     ■   9月25日 アイシサーチ様ありがとうございました。   ■
すんません、更新が止まってました・・・仕事が鬼忙しくて(涙)
お世話になっていたアイシサーチ様が閉じられるというのに、お礼すらできないままでいいのか?私っ!?
というわけで、止まってた連続小説もどきガサっとアップ致します。
よろしければ読んでやってくださいませ。

 

     ■   9月12日 夏休み特別企画:たとえばこんな幽霊奇談(13) side 王城 9:00   ■

いつもなら、食事を終えるとすぐトレーニングルームに行って自主練習をする進が、今日は部屋から出ずにいる。
もしかして心配してくれてるのかな?
まぁ、部屋でいてもやることは一緒で、ひたすら背筋とか腹筋とか指たて伏せとかしてるわけなんだけど・・・。でも、傍にいてくれるのはやっぱり嬉しい。
とはいえ、「お前もどうだ?」なんて、幽霊に練習を進めるのはどうかと思うんだけどね。
腹筋しても背筋しても、鍛えるべき体がないんだからさ。
ゴーンゴーンゴーン・・・・
遠くから校舎の鐘の音が聞こえた。
「ほら、進、もう9時だって!風呂入らないと、お湯止まるよ!」
鐘の音を数えて、進に声をかけた。
進は「うむ。」と返事をすると、ついにはじめた指逆立ち(屈伸有り)をやめて立ち上がった。
剥き出しの上半身から、かすかに湯気が上がっている。
鍛えられた筋肉に汗がつたう。
まだ練習し足りないという顔でいる進に、さらに声をかける。
「どうせ、明日も朝から練習するんだろ?今日はそのくらいにしときなよ。」
9時就寝5時起床。
この男は、本当に自分と同じ歳なのか?と不思議になるほど朝が早い。そして夜ふかしはまったくしない。どこのお年寄りか、農村の村人かと思うほどだ。むしろ、最近のお年寄りの場合、もうちょっと夜更かししてると思う。
だいたい、天才にそんなに努力されたら、凡才は追いつくどころかその差を広げられるばかりじゃないか!
そんな、俺の心の突っ込みなんて気付きもせずに、進は俺へと目線を向けて聞いた。
「お前はどうする?」
「へ?」
「風呂。」
こんな時でも進はマイペースだ。
確かに、お風呂は大好きだけど。でも・・・今の俺が水に入ったらどうなるんだ?っていうか、幽霊ってそもそもお風呂に入れるのか?
目玉おやじはちょくちょく入ってたけど、あれは妖怪だもんなぁ〜。
考えた結論は「幽霊がお風呂なんて必要ないだろうからここでくつろいでる。」だった。
「幽霊になって女の子のお風呂を覗くっていうなら多少の幽霊になったお得感はあるんだけど、寮のお風呂じゃそんなのも無いしね。」
「覗く?」
「冗談だって!」
ピキッとこめかみに血管が浮かぶのを見てあわててフォローした。
まったく・・・まじめすぎると冗談も言えやしない。
「そうか。」といいながらも、まだ少し首をかしげながら、タオルを片手に部屋を出て行こうとする進に、俺は声をかけた。
「あ、ちょっと待った、進!」
「なんだ?」
「テレビつけてって?」
「自分で・・・」
自分でそれくらいしろと言いかけた進の声にかぶせるように言い添える。
「スイッチ押せないと思うんだ。」
進は少しだけ黙り込んで、そして「わかった。」とテレビのスイッチを入れてくれた。
もちろん、リモコンを進に壊されないように、横から「そっとだからね!そっと押せよ!」と声をかけた上での事だけど。

<日記>
あぁ・・・ひさびさの日記で、なんか緊張。
ひさしぶりにゆっくり家で休めまして、ジャンプを読み返して思いました。やっぱり、進ってば、この子ってば・・・かっこいい!と思いました。えぇ。嬉しいような、悔しいような・・・ラバっちょの心境。
ちなみに、桜庭を見守る時は、高見さんと虎吉の心境。
微笑ましい気分になるのは、セナとモン太の視点になったときの心境。
アイシ・・・心のビタミン剤。キュンv

 

     ■   9月7日 夏休み特別企画:たとえばこんな幽霊奇談(12) side 賊学 7:20   ■

桜庭春人は今も賊学の部室のベンチの上で横たわっている。
なんだって、こんなヤツを轢いちまったんだ。
葉柱ルイはロニーの運の悪さに歯噛みした。
そういえば、昔万引きをつかまった時も、王城の進にやられたんじゃなかったか?
黒美嵯マンだのと騒がれていたが、ロニーのヤツに言わせるとクリソツだったらしいし、あんな人間離れしたことをやってのけれそうなのは、この近辺じゃヤツか、泥門のアイシールドくらいのもんだ。
そういや、アイシールドと戦うことになったのも、進のヤツが原因じゃなかったか?
どうやら王城は鬼門らしいな。
アイシールドの姿を思い出しながらケッと舌打ちをする。
しかし・・・どうしたもんか。
桜庭の青白い顔を見ながら長い腕を組みなおした。
まったくもって轢いた相手が悪すぎる。
バレれば、チームは出場停止、ロニーは院送り。
死体を隠したところで、ヤクザや家出人ならまだしも、芸能人なんて注目度の高い人間が、1日でも行方不明になれば大騒ぎが起こるに決まっている。
いくら、賊学とはかかわりの無いヤツだとはいえ、いつかはバレるに違いない。
だいたい、なんのかんの言って気のいいコイツラが、殺人だの死体遺棄だのという大それた事をできるわけもないし、そんな罪を秘密を一生抱えてられるわけはねぇ。
それに・・・
ルイは、目の前でうなだれるロニーやその周りでオロオロしながら自分を見守る賊学メンバーを見回し、小さく舌打ちをした。
それに、桜庭がいなくなった時の王城のヤツラの気持ちも、今なら想像ができる。
だが、俺達もロニーを失うわけには行かない。
しかし、このまま桜庭を放っておくわけにはいかない。
どうする?
どうすればいい?
どうすれば、出場停止を免れる?
どうすればロニーが院送りにならずにすむ?
そして、どうすればこの目の前で眠っているジャリプロを・・・いや王城の桜庭を生き返らせることができる?
正々堂々戦いたいとまでは言わないが、こんなことで俺達が他のチームの邪魔をしたと言われたくはねぇからな。
と考えて、俺も甘くなったもんだとルイは自嘲した。
泥門と戦ってから、どうも自分たちはスポ根くさくなっている気がする。
面白くねぇ。
だが、悪くもねぇ。
軽く息を吐くと、くんだ腕を解き、立ち上がった。
「どうしようも、こうしようもねぇな。このままコイツをほっとくわけにもいかねぇだろ。」
「ルイさん!?」
「埋めるんすか!?」
「コンクリに詰めて海に沈めるとか?」
「バ・・・バラバラ死体とかっ?」
「バカかテメェら。」
軽く周囲を睨みつけた。
いつもなら睨めば下を向く瞳が、今日はすがるようにこちらを見返してくる。
ったく、しようがねぇヤツラだ。
そんな中も桜庭は蝋人形のように横たわっている。
「本当に人形みてぇなツラだな。」
さすがは芸能人といったところだろうか?
整った顔。でかい図体の割に、細い体。
これで王城のレギュラーメンバーだというんだから王城のオフェンスもたかが知れている。
そして、ハーフのような淡い色の髪。眉。睫。
瞼の奥には、同じように淡い虹彩の瞳が隠れているのだろうか?
ルイはその死人の横顔に顔を近づけた。

<日記>
あぁ・・・もう・・・WJ。桜庭ってば・・・ってば・・・(涙)
しかも、高見さんと見詰め合ったりなんかして。
そんでもって、やっぱ、やるときはやる進。フィールドではどこまでもかっこいい進。(フィールドの外では?・・・いやかっこかわいいです!えぇ!勿論!)
それにしても、やっぱ、桜庭って、プリンスなんですね。王城の。
見開きの騎士たちの中、パルーンな袖を着てる桜庭を見て、脳味噌でリボンの騎士なラバっこがよぎりました。
タラリラッタラッタラッタ・・・ラッタッタ〜♪
ひさびさの王城過剰摂取に、脳味噌の暴走がとまりませぬ。

 

     ■   9月5日 夏休み特別企画:たとえばこんな幽霊奇談(11) side 王城 20:00続き   ■

大事なエースの拳から血がにじみ出てるって言うのに治療もできなきゃ、その暴挙をとめることもできないなんて・・・ほんと生きてても死んでても俺って役にたたない。
なさけなくて・・・それなのに進がそこまで怒ってくれることが嬉しくって涙がでそうになった。
幽霊に涙が流せるのかはわからなかったけれど・・・なんか鼻の奥がツンとした。
「あ〜〜っ、とりあえず手当て。手当てしよ?って言っても自分の手を自分で治療するのは無理だよな〜・・・学校の医務室まだ開いてるかな?」
「これくらい、どうということはない。それより・・・」
「これくらいじゃないだろっ!」
今度は俺が怒鳴ってた。
「俺の代わりは誰でもできるけど、おまえの代わりは誰にもできないの!進の方こそ、王城のエースだって自覚を持てよなっ!」
「冗談ではない。」
「冗談なんて言ってないって言ってるだろ。俺が幽霊ていうか実体がない状態なのはもうわかっただろ?」
「そんなことを言っているのではない。」
「ならなんだよ?」
「代わりなどと言うからだ。」
「は?」
「代わりが利くというのか?お前の?冗談ではない!」
「けど・・・俺がいても何もかわらないって進だって言ったじゃないか。」
「なんの話だ?」
「泥門戦の後、病院で・・・」
「あれはあの試合に限っての話だ。」
「それで十分だって。」
「何が十分だというのだ!お前のすべてがたったあの一つの試合で決まるわけがないだろう。」
「・・・進にはわからないよ。」
あの一つの試合で決まったわけじゃない。
あの時のお前の一言で決まったんだ・・・なんて。そんなこと言えやしないけど。
自分でもわかってた事。
ただそれから目を背けて逃げつづけてただけだから。
それが・・・あの時真正面から突きつけられただけだという話で。
二人の間にただ沈黙が落ちた。
「ごめん。ほら、なんかさ、さすがに俺も今幽霊なんかになっちゃってネガティブになってるっていうか。根暗になってるっていうかさ。
 その・・・ごめん。今のは八つ当たり。八つ当たりだから。あ〜・・・やっぱ何も食べられないって言うのはつらいよね。
 嫌なことがあったらさ、やけ食いとかしたらスパーッて忘れられるのに、それもできないし。やっぱ幽霊はだめだよね。」
「腹がすくのか?」
「ううん。お腹は空かないね。でも・・・なんとなく食べたい気はする。別にお腹がすくわけじゃないんだけど、カレーが目の前にあるのに口に入れられないのがなんか悔しい。」
「仏壇のご飯は湯気がご馳走なのだと聞いたことがあるな。」
「あ、それわかる気がする。匂いとかさ温度とかはわかるんだよ〜。だからカレーの匂いは解って上手そうだな〜とかって思うんだよね。」
「そういうものか。」
「そういうものみたいです。」
冷えたカレーに顔を近づけて匂いをかいで満足する。
せっかくの福神漬け&ラッキョの歯ごたえが楽しめないのが残念だけどしかたがない。
「ん、おいしい。」
「そうか。」
「うん。」
「なんかなつかしい匂いがする。」
「なつかしい?」
「進はそんな気持ちにならない?」
「あまり。」
「そっか。うちの家って母さんがあんまり家にいないからさ、母さんのご飯で一番記憶に残ってるのがカレーなんだよね。
 ほら、あれって作りおきできるじゃん?」
「うちは家族が多いので残ることがないからわからんがそうなのか?」
「うん。1日目より2日目のカレーの方が美味しいんだよ。具とか溶け始めていい感じでさ。3日目になるとジャガイモが姿を消し始めるんだけど、ルーに溶けたジャガイモというのもなかなかオツなんだよね〜。冷凍保存もできるし。」
「毎日では飽きないか?」
「う〜ん。カレーは飽きなかったかな。コンビニ弁当とか店屋物とかお手伝いさんのごはんはいやだったけどね。」
「よくそんなものばかり食べていてそこまで大きくなれたな。」
「だから縦ばっか伸びたのかも。どうせならもっとがっちり筋肉とかつきたかったなぁ〜」
「それは練習が足りないだけだ。」
「どうせ、練習不足です。進みたいに筋肉オタクじゃないもんね。」
「オタ・・・?」
「考え込まなくっていいから。」
桜庭はくすりと笑った。
カレーの香りの中、桜庭は幸せそうな笑みを浮かべていた。

 

     ■   9月1日夏休み特別企画:たとえばこんな幽霊奇談(10) side 王城 20:00   ■

「進?」
俺の手のひらをすり抜けて作られた握りこぶし。それを握りしめたまま進は無言でそこにいた。
「えっと・・・進、手白くなってるよ。力抜かないと。」
「・・・。」
「進?」
覗き込む。
「・・・?泣いてるの?」
「泣いてなどいない。」
「けど・・・目に・・・」
「これはただの水だ。」
「それって涙って言うんだと思うんだけど?」
「なんで・・・」
「いや、なんで泣いてるのか俺に聞かれても困るんだけど?」
「そうではない!なんでそんなことになっているのにお前はそんなに冷静でいるのかと聞いているんだ!」
「そんなこと言ったって・・・自分じゃどうしようも無いことだし。」
それに・・・進がきづいてくれたから・・・と心の中で言い添える。
冷静なんかじゃないつもりだけど、それでも慌てたり泣き喚いたりしないでいられるのは進が俺の存在を見つけてくれたからで・・・俺がいるんだって気付いてくれたからで。
だから・・・
「泣くなよ〜っ。」
「泣いていないと言っている!」
確かに一瞬泣き出すのではないかと思われた瞳は今はむしろ怒りに染まっていて・・・。
「怒るなよ〜っ。」
「これが怒らずにいられるか!?」
と殴られた。いや正しくは進の拳が脳天から床に叩きつけられた。
床がドシンとなった。床カーペットがひいてあるとはいえコンクリートじたてだぞ?・・・オイオイ。
生身だったら即死かもしんない。
「・・・死んでてよかった。」
「何がいいものか!何を考えてるんだお前はっ!秋季大会はどうするつもりなんだ!お前は王城のレギュラーなんだぞ!自覚はあるのかっ!」
「俺なんかいなくってもなんとかなるって。」
進がいれば。王城のエースは進なんだから。大田原さんも高見さんもいるし、俺が一人抜けたところで王城の土台はゆるんだりしない。
むしろ・・・
「1年で上手いやつ増えてるしさ、俺の代わりなんていくらでもいるよ。ほら、泥門の試合のとき代わりに出たやつなんて初試合でタッチダウン決めたらしいじゃ・・・」
ドンッ
進の拳が今度は壁を殴りつけた。
ミシッという音とともにパラパラと壁から塗装が少し剥がれ落ちた。
「何やってんだよ進!あ〜壁剥がれ落ちてるじゃんか。寮壊すきかぁ〜・・・っていうか血!血が出てるって!」
慌てて血のにじむ進の手をおさえつけ・・・ようとしてすり抜けた。
「あ・・・」
そうだった俺幽霊だったんだ。
「ごめん。役立たずで。」

<日記>
ねぇ、WJ何回読んでもシャーマンキング最終回なんですが・・・ねぇ?おかみさん?ねぇ??
月間に移るとかでもないの?ねぇ?ねぇ?集○社さーーーん!
あまりにも中途半端な終りっぷりに、今まで読みつづけていたのはなんだったの?と刹那さ一杯になりましたさ。
コミック○ンチに移るとかどうですか?ねぇ?続き読ませてくださいよ〜桜庭が頑張っていて浮かれるはずのWJも、マンキンとデスノで落ち込むばかりです。むむぅ〜・・・
アンナさぁ〜〜〜〜〜ん(号泣)

* バックナンバーリスト *

build by HL-imgdiary Ver.1.24