ベートーヴェン 交響曲第4番 Beethoven: Symphony No.4

 ベートーヴェン 交響曲第4番
Beethoven: Symphony No.4
カルロス・クライバー バイエルン国立管弦楽団 1982年
Carlos Kleiber Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks (Bavarian State Orchestra)

このカルロス・クライバーさんの演奏は、有名なライブ盤である。録音状態は良いし、テンションの高さ、サイコーっ!と叫ぶこと間違いなし文句なしの太鼓判。ホント、名盤として誉れ高いライブ盤で、テンポの速さと回転度数の高さ、秀逸な録音である。
冒頭、わずか数小節で緊張感が漂い、低弦の音がうねり一気に爆発。ティンパニーと弦のボーイング、低弦の響きが硬めで逞しい。合奏の切れの良さに、木管のタタタ タタタ タタタというスマートな刻みで、やられてしまう。低弦のガシガシっとした響き。コントラバスの低音域に迫力がある。まさに地響きだ。天地がひっくりかえるかのような重戦車状態で突き進み、なぎ倒していくようなパワーがある。そのくせ、しなやかで弾力があって、推進力が増している。爽快感以上の間隔で、これまさに快感だ。木管のフレーズは、もちろん繊細だし可愛いし艶もある。ティンパニーと低弦の威力が聴きどころ。お腹に響いてくる。ざっざっ バッシバッシと突き進む意思の強さ、威厳ある逞しさ。これは、いやがうえでもテンションあがります。

低弦の音が、とても豊かに入っており、堅牢さとバランス感覚、のびやかで明るく、しなやかな歌いっぷり。クラリネットの音色もセクシーだ。第3楽章では、動物的な躍動感にあふれ、しなやかで美しい曲線、硬いティンパニーの響きで締まっている。音階をのぼり くだりするシナの良さは、気持ちが良い。中間部の木管と弦の掛け合いは、恋人たちの語らいのように愛らしい。1つの楽章のなかで、男性的な面と女性的な面を合わせ持って、その対比が極めて明らかに描かれている。とても楽しく聴ける。ラストは、圧倒的な速さで怒濤の流れ、躍動する演奏で、しなやかに、すばしっこく密度の高い演奏で唖然とするほど。やられちゃいます。オリンピック大会で、若い女性の機械体操を見ているかのよう。エネルギーの放出が気持ち良く、これは快感です。(演奏後、拍手とブラボーが、会場いっぱいに飛び交っている。同感。)
ベートーヴェンの交響曲第4番といえば、C・クライバーの赤いオルフェオ盤(ライブ盤)でしょう。ライブ特有のテンションの高さ。 サイコーっ!


■ ベートーヴェン 交響曲第4番
Beethoven: Symphony No.4
コリン・デイヴィス シュターツカペレ・ドレスデン 1992年
Colin Davis Sächsische Staatskapelle Dresden(Staatskapelle Dresden)

C・デイヴィスの演奏は、ボリュームをあげて大型スピーカーで聴く方が良い。熱く、重量感が軽めで柔らかい。全体的に木管の演奏が聴きどころだと思う。冒頭フレーズの裏に流れる「そーっ」という持続する響きと、かぶさってくる弦の響きがあいまって大変美しい。オケのカペレ(ドレスデン)は、極めて美しく、柔らかく、女性的な響きを持っている。弦と木管の響きに絶賛。そして、雷鳴のように響くティンパニーに圧倒される。主旋律の弦に、装飾的に絡む木管というよりは、各楽器パーツが分解されて、そして再度組み立てられる感じ。第2楽章は、カンタービレ調の木管の旋律が大変美しい。
第3楽章は、品良く演奏され、腰の高いスマートな女性のようだ。ご~っと轟音を響き渡らせ、猛者が暴れているかのような演奏を、若い頃は楽しんで聴いていたが、それとは真逆で、するりと手のひらから、こぼれてしまうような細かい砂のよう。薄い衣を着た美女が、横をふわっと通り過ぎていくような、夢の世界、まどろみのようなスケルツォだ。第4楽章は、フルートの美しさが特筆もの。木管と弦の響きの相乗効果、小さな蜂たちが花を求めてブンブン集まっているような感じで、面白い。
ピラミッド型の音の響きではなく、細い、目の透き通った軽めの演奏だ。特に、弦、低弦の響きのゴリゴリ感とか、太くて硬めの響きが好きな方は、ヤワな印象を受けるだろうが、木管の響きが好きという方にはお薦めの演奏である。


 ベートーヴェン 交響曲第4番
Beethoven: Symphony No. 4
リッカルド・ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 1985年
Riccardo Muti Philadelphia Orchestra

ムーティの演奏は、録音状態がイマイチなのが痛い。最終楽章のみ晴れ。でも、スピードあふれて格好良く、色彩感のある弦の響きとしなやかさで楽しい。低弦ゴリゴリ感もあって、八方美人的に多彩で、劇を見ているかのよう。この演奏は速い。超快速バージョンなのだ。ティンパニーのロールと共に木管がペコペコペコと鳴り出すと、即座にG発進である。ぐぐっと加速する。古くさい表現だけどスポーツカー並みだ。弦の切れ、弓のさばきが凄い、すぱっと空気を切っていくかのような雰囲気があって~ しゅぱっ!
しなやかで逞しく筋肉質ときているから最高っ。美しい八頭身、シックスパックの均整のとれた腹筋・背筋を拝ませていただける。ヒョウのように跳躍し、色彩感のある弦の響きで華麗に歌われるって、うっとりですよね。
1982年録音のカルロス・クライバーとバイエルン国立管とのライブ盤と、このムーティ盤と、ワタシ的には良い勝負だと思う。同じように、熱く、逞しく、しなやかだ。ティンパニーの籠もったロールには超がっかりだが、ヴァイオリンの音が、その厚ぼったい空気を切り分けて走ってくるのが凄い。第1楽章だけで夢中になってしまう。これで録音が良ければ最高なのにねえ~。音の躍動感って目では見えないのに、見えるように曲線が描かれていくところが凄い。脳みそのなかで曲線がくっきり浮かぶ。


 ベートーヴェン 交響曲第4番
Beethoven: Symphony No. 4
ギュンター・ヴァント 北ドイツ放送交響楽団 1988年
Günter Wand Hamburg North German Radio Symphony Orchestra(NDR Sinfonieorchester Hamburg)

ヴァントさんの演奏は、総体的に無駄を削ぎ落としたタイトな演奏だ。4番って、英雄と運命の間に挟まれてて地味な存在だが、躍動的で独特の音型の繰り返しにやられちゃう。冒頭、辺りを窺う動物のように腰をかがめ、そろりと進む。で、いきなり疾走。走り出したら止まらない。
ヴァント盤では、動物的ではなく、ピチカートが雨粒のように響く。主部に入って、いきなり疾走するが、ティンパニーは、ドスコイ、ドスコイ状態。弦は透明度が高く、木管には爽快感、清潔感がある。奥のティンパニーだけが異質。第2楽章は、儚い夢だが甘すぎず、クラリネットの清潔な響きとシンコペーションの揺れが心地良い。低弦の泣いているようなカシカシという響きが悲しみを深めている。第3楽章は、勇猛なスケルツォである。管楽器群と弦楽器群の掛け合いで始まる。この楽章を聴くと納得。さすがヴァントさんの演奏だ。ベートーヴェンの響きだ。引き締まった体躯を見ると、ヤワイ楽曲なんぞ聴いてられるかっという恫喝が聞こえてきそう。ラストの楽章は、弦の速い無窮動的な響きが、うねりとなって描かれている。響きはタイトだが、適度に淡さがある。この淡さは、木管によるところが大きいと思う。


 ベートーヴェン 交響曲第4番
Beethoven: Symphony No.4
ヘルベルト・ブロムシュテット シュターツカペレ・ドレスデン 1978年
Herbert Blomstedt Sächsische Staatskapelle Dresden (Staatskapelle Dresden)

ベートーヴェンの交響曲のなかでもマイナーな4番だけど、7番、8番と共に、9番の合唱より好きだ。当盤は廉価版だがお得盤である。ブロムシュテットさんの演奏は中庸だといわれがちがだが、しなやかで弾力があり、適度に硬めに締まってて勢いがある。で、じわじわ~っと熱くなってくる。響きに膨らみがあって、ルカ教会での残響の良さが感じられる。木管の余韻のなかで立ち上ってくる弦の音、残響は多めではないが、引き締まった持続音がある。木管が音を、そろっと置いていくのだが、フレーズ自体に膨らました感覚を感じることができる。色の濃い音ではなく、素っ気ないほどに地味な音だが、ハーモニーのなかで、音が丸く膨らみ、ふくよかさを感じることができる。序奏部分で大いに満足感あり。武士が、いざっ!って気合いを入れて突っ込んでいくような気迫もある。気迫が覚悟に通じてすごみを与える。ティンパニーの響きが、ひぇ~っと、ドンビキするほどの熱さ。もちろん木管群の品の良さに、惚れ惚れである。ティンパニーは、頑張って叩いており、アッハハ~ ティンパニーのすごみ感が爽快だ。気合いが入ってて聴いてて楽しい。硬いのに柔らかいという表現が、ぴったりくる演奏だ。矛盾した言い方だが、これ以上好ましい表現が見つからないですね。
第2楽章は、小さな教会で、祈りを捧げているかのような雰囲気。弦の響きは美術品のよう。リズムが刻まれると、揺りかごのなかで、すやすや眠る赤ちゃんを見ているかのような気分に。第3楽章は、ちょっと、パンチが効いていないかもしれない。もっと躍動感が欲しいかも。まるで、モーツァルトみたいな楽章だった。第4楽章は、2つの躍動するフレーズが印象に残る演奏だ。
後半は、豪壮に鳴らして欲しいし、かといて、優美であって欲しいし、羽が生えているかのようなモーツァルトの楽曲のような可愛さや、繊細で、柔らかい音も欲しいし、木管の合いの手も、可愛く入ってきて欲しいし。え~ そんな要望には、全て応えられませんよぉ~と言われそうだが、でも、この4番は、外側は、ガチガチ、ガシガシしているけれど、中身は、繊細で柔らかいってところがミソ。総体的には、ブロムシュテット盤は、後半がおとなしいし、パンチが効いてないので、そこの点は、ちょっと不満だが、前半2楽章は、とっても美しいです。つくづく、バランスの難しそうな楽曲だな~と改めて感じちゃいました。


 ベートーヴェン 交響曲第4番
Beethoven: Symphony No. 4
クリストファー・ホグウッド エンシェント室内管弦楽団 1985年
Christopher Hogwood Academy of Ancient Music

ホグウッドの演奏は、独特の軽快感とシャープさがあり楽しい。思わずニヤっとしてしまうスピード感だ。古楽器ならではの語り口で、テンポアップの仕方が巧く、加速度が気持ち良い。エンジンのトルク音を聴いている感覚だ。鋭いけれど優しさとノビ感があり、ティンパニーの硬めの響き、木管のしまったスマートな音色が良い。音の伸びた際のストレート感覚、通りの良さが命だろうか。
第2楽章は、ちょっとかったるい。旋律は速めに切り上げ、あまり残響はない。それに金管の割れ音が特徴的だ。第3楽章は、付点のリズム感が弾んで、かなりお転婆風だ。キツいとか気に障るとか、切れがありすぎて怖いというモノではなく、にんまり笑える程度には、余裕のある軽快さ。第4楽章は、真骨頂だろう。
超快速で飛び出して、コースアウトになりそうな勢いがある。クライバーの演奏のように柔軟で、ノリノリ、愉悦感には及ばない。きっとオケのボリューム、重量が違い過ぎるのだろう。適度に重量がなければ、ぐいっと頭をもたげて跳躍するっていうわけにはいかない。その代わりといってはなんだが、スリリングだ。線の細さと超ストレートの感覚は、かなり楽しめる。滑り落ちていくような場面も楽しい。特に、ヴァイオリンの速さには驚かされる。アイススケートというかスキーの滑走というか、そうそう、ボブスレーに乗って、狭いコースを弾丸のように滑り落ちているような感じなのだ。いずれにせよ、ホグウッドの演奏は、4つの楽章の様態によって受ける印象が異なってしまう。向き不向き、得手不得手~という感じだ。


 ベートーヴェン 交響曲第4番
Beethoven: Symphony No. 4
オトマール・スウィトナー シュターツカペレ・ベルリン 1983年
Otmar Suitner Sächsische Staatskapelle Berlin(Staatskapelle Berlin )

スウィトナーさんの演奏は、横の広がり感もあるし、重々しい響きが感じられる安定感抜群の演奏だ。長い序奏部分があり、テンポは遅め。ももももわ~っとした木管の響きのなかで、弦が、ポツン ポツンっと音を響かせているところの静謐感とか、間合いの緊張感が面白い場面である。弦が軋んだ声をあげて、ティンパニーがバンッ! 一発かまされて鞭が入るところ。そして、疾走していくところから面白くなる。(4番ってみんなそうだよね)鞭が入って馬が走り出すリアル感がある。そこから以降は、ちょっとバタ臭い重さがあり、お世辞にもスマートとは言い難い。ちょっとバタ臭く、ドスコイ節に近いかも。腰の太い、バタバタと足を横に広げて不細工に走って行く、後ろから見た馬のお尻がイメージされちゃう。第2楽章も、流麗な感じはしないが、短調に変わった途端に凄みが出てくる。ティンパニーと、低弦のガガガガ・・・という響きが特徴だ。第4楽章に入っても、下半身がごつい感じ。ティンパニーの存在が大きすぎて~ 弦は、もっとガンバレー! かなり筋肉質の男性のような演奏だと思うが、腰が重々しく、八頭身のギリシャの彫刻のようだとは言えない。それにしても、馬のお尻に例えちゃったのは、まずかったかもです。


 ベートーヴェン 交響曲第4番
Beethoven: Symphony No. 4
ハンス・シュミット=イッセルシュテット ウィーン・フィル 1966年
Hans Schmidt-Isserstedt Wiener Philharmoniker (Vienna Philharmonic Orchestra)

ハンス・シュミット=イッセルシュテットさんの演奏は、同じウィーン・フィルでも、1978年のバーンスタイン盤とは雲泥の差。
レニーさんを引き合いに出して悪いが、ホント違う。1966年と古い録音なのだが、なんのなんの~ こりゃ凄いわと唸ってしまうほどデッカの綺麗な録音だ。で、典雅と言って良いほど、優美で格調高く、流麗な響きとなっている。干支が一回りするとこれほど違うのかと驚いてしまった。序奏最後のヴァイオリンの高音域での「しっしぃ しぃぃ~ しぃ~(ごろごろごろ)れぇ~」という間合いの巧いこと。引っ張るなぁとニヤリ。
勢いよくテンポアップして奏でられていくところは、足腰が柔らかく優美。サロン風楽曲のように、爽やかに優美に、かなり美音で演奏される。もう耳が喜んで喜んで~ご馳走だぁ~の世界なのである。まるで美女を奪いにやってきた若い男性が、忍び足~ 駆け足になってきたところで、あー ここで喜びを発散しながら誘拐が成功っ! 駆け落ちしちゃった~という妄想を抱いてしまった。(これは、モーツァルトのオペラの一幕か)まっ こんな風に、ウキウキしながら歌劇を見ているかのような演奏である。一度、騙されたと思ってお聞きくださいませ。


 ベートーヴェン 交響曲第4番
Beethoven: Symphony No.4
セルジュ・チェリビダッケ ミュンヘン・フィル 1987年
Sergiu Celibidach Münchener Philharmoniker (Munich Philharmonic)

チェリさまの演奏は、丁寧で好感は持てる。冒頭から、どぉ~~~持続音を確かめるように、「そぉ~み~ふぁ~れ~ みしどら そぉ~~ 」と出てくる。動物的に抜き足差し足的には始まらない。神秘的で、無音状態になるまでの間合いがある。特に、木管の演奏者は気の毒すぎる。息を吐く時間が長いためか、「うぉん うぉん」って感じで、吐く音の強さに凸凹を感じちゃう。(心臓バコバコなのでは)そこまでして遅く演奏するのもどうか。序奏が終わると、通常運転、普通の速さにはなっている。もちろん速いっていっても快速版ではなく、他盤のように、足をバタバタ広げて走っていく下品さはない。大変綺麗な走り方だ。フルートの美しい旋律は、天井高くに虹が架かるかのよう、宙を舞っている感じ。音質、音色に関しては聴き応えあり。染み入る心地良さがあって、叙情的だ。第3楽章は、テンポが遅めで、ワクワク感がない。躍動感にあふれたフレーズじゃ、几帳面で杓子定規的な演奏だ。演奏のお手本を見せられているようで、確かに綺麗で美意識には恐れいるが、若々しさが欲しいと思ってしまった。ライブ盤なので、最初と最後に拍手が入っている。


 ベートーヴェン 交響曲第4番
Beethoven: Symphony No.4
クラウディオ・アバド ウィーン・フィル 1988年
Claudio Abbado Wiener Philharmoniker (Vienna Philharmonic Orchestra)

アバドの演奏は、ライブ盤である。序奏部は、ようやく起き出したかのように、もっさりしている。そして、勢いよくテンポアップして奏でられていくところはダサイ。音が柔らかく、ティンパニーの叩く音がバタバタしている感じで響く。
木管のフレージングは柔らかいし美音だが、弦のフレージングが紋切り調だ。低音の木管が埋没気味だし、靄がかかったかのように中音域から低音域の音が、明瞭に聞こえてこない。録音状態だと思うが、余韻も残らず堅い。中音域が抜け落ちている感じ。
ウィーン・フィルの典雅な響きを期待していると、がっかりさせられる。響きに潤いがなくカサカサした音だ。歌心に欠け、艶もなく、息切れしそうな木管フレーズじゃ、かなり期待外れでしょう。ラストの第4楽章は、おまたせ~という感じでエンジンがかかる。


 ベートーヴェン 交響曲第4番
Beethoven: Symphony No.4
フランス・ブリュッヘン 18世紀オーケストラ 1990年
Frans Brüggen Orkest van de Achttiende Eeuw (Orchestra of the 18th Century)

録音状態は良い。キビキビと勢いのある演奏だ。さらっとした風合い。序奏部の間合いは長めだが、音自体の持続性が少なく残響が綺麗に減衰していく。低音の響きが独特の重さ。勢いをつけて走って行く姿には、意外なほど硬めの推進力がある。弦の綺麗な残響があり、シャッと切れていく弦の音がスマートに乗っかっている。間合いも美しく感じられる。ティンパニーの響きは、硬めでリズミカル。金管の和音の美しい響きは、独特の光を放っている。素直に綺麗だと思う。熱っぽさも感じるし、フルオケなみの迫力もあるようだ。ドスコイドスコイと鳴っている低音をバックに、ヴァイオリンの高音域のフレーズが颯爽と聞こえ、ムチのようにしなり磨き上げた響きとなって出てくる。ただ、中音域の木管の存在感が薄い。第3楽章は、果敢に挑戦する鋭さ、パンチというより槍で突いてくる感じの鋭さだ。高音域のヴァイオリンと、ウパウパの木管が絡みが悪く、なだらかな曲線が描き切れてず、残念な感じがする。響きに厚みが足らないのは、これは古楽器演奏なので仕方ないのかも。その代わりに、リズム感を取るが、木管のフレーズが、もっと可愛くチャーミングに囁かれたら良いのだが、ちょっと平板な感じがした。
ブリュッヘンさんの演奏は、速い楽章は勢いもあって気持ち良い。第1楽章は勇壮で楽しかった。しかし、緩楽章でもアプローチが同じ。楽章ごとに表情を変えてくれないと、楽曲の楽しさが半減するように思う。


 ベートーヴェン 交響曲第4番
Beethoven: Symphony No.4
ヴォルフガング・サヴァリッシュ コンセルトヘボウ 1991年
Wolfgang Sawallisch Royal Concertgebouw Orchestra

サヴァリッシュの演奏は、重々しい雰囲気で、抜き足差し足、間合いが持たないなあ~と思った瞬間にキレ味よく進む。意外と軽めで推進力があり、中音域の音が、しっかり入っており響きとして厚みがあって嬉しい。見通し良く響いてスッキリ。ティンパニーが、しっかり叩かれ締まる。低弦も重厚で、ごごぉ~っと響くが、テンポ良く進むのでバランスが良い。足腰が柔らかく、弾力性があるのは流石だ。丁寧に繰り返して演奏しているが、嫌みなく聴けるし、マジメな普通の会社員の風合いだが、意外とオシャレで、さりげなく品の良いスーツを着こなしているような、正統で格調の高い演奏という感がする。
第2楽章は、愉悦性の高いリズム感ではない。優美さは少なめ。フルートの響きは美しくブレンドされて出てくる。第3楽章も、流石に巧い。優美に軽やかに演奏されている。もっと、フレーズを膨らませることもできるのに、コクが少ない気がする。豊かな表情であれば嬉しいのに、意外とそっけない。第4楽章は、中音域、低音域にかけて豊かな厚みがある。フレーズの語尾に、もう少し粘りがあれば弾力があったかもしれない。ようやく最後に近づいて~ 燃焼してくる。もう少しはやい段階から、熱く仕掛けておいてほしかったなあと恨み節が出るが、これは欲張りかもしれない。


 ベートーヴェン 交響曲第4番
Beethoven: Symphony No.4
ダニエル・バレンボイム
シュターツカペレ・ベルリン 1999年
Daniel Barenboim Sächsische Staatskapelle Berlin(Staatskapelle Berlin)

バレンボイムの演奏は、序奏部の節を区切って出てくるし、テンポは相当に遅い。神秘的というよりは、ブキミで不穏だ。音が冷たく素っ気ない感じがする。ティンパニーの響きが、ドスン、ドドドドド・・・ ファゴットの響きが前に出てきたら良いのに、バタバタバタと叩かれるティンパニーの音が全てをかき消してしまう。全体のバランス感覚が欠如しているのか、リズムが重すぎ、 弦の響きと木管の響きが薄い。ティンパニーの音が、異常なほどうるさい。カペレ・ベルリンの響きは、木質的というより枯れてしまったかのゆおだ。ヴァイオリンは両翼だと思うのだが、そこに割って入ってくるティンパニーの音が気になってしまった。ピリオドを意識しすぎなのか、フレーズが、完全にぶつ切りで、粗いバタバタした音だ。日曜日の早朝から、お袋さまがバタバタと掃除をしているかのようで気ぜわしい。
第2楽章も、素っ気なく歌わない演奏だ。重い素っ気ない、響かない艶が足らないという案配で、カスカスだ。木管の顔色が青いのか、気分が優れないのか、歌わない木管って全くもって楽しくないデスね。第3楽章は期待したが、音が散らばっている。1フレーズのお尻が、次のフレーズにくっついているような気持ちの悪さ。勇壮なスケルツォな筈だが、勇壮さと可愛らしさの両面欲しい楽章なのだが、無骨、粗野、田舎臭いっていう言葉が並ぶ。うるさいですよぉ~ これ、ホントにカペレ・ベルリンなんですかねえ。


 ベートーヴェン 交響曲第4番
Beethoven: Symphony No.4
レナード・バーンスタイン ウィーン・フィル 1978年
Leonard Bernstein Wiener Philharmoniker (Vienna Philharmonic Orchestra)

レニーさんのライブ盤、ドスコイ状態でバタバタ。全集BOXからの1枚で、いずれの曲も、ゴリゴリ、馬車ウマのような馬力があり、猛烈と土煙をあげて走っていく西部劇のようだ。ジョン・ウェンのようなレニーさん。その土煙やすごい。情熱的なのはわかるが、ここまでドスコイ節で演奏しなくても良いのではないだろうか。これが、ウィーン・フィルなのか嘘でしょう。猛烈な勢いで走って逃げちゃいましたという感じで呆気にとられる。ある意味、これをウィーン・フィルに演奏させちゃったというのは、すごいかも。
熱くて、若々しく、青春時代の若書き風に演奏されてて、すこぶるエネルギッシュ。 ライブ盤特有の燃えあがる演奏を観客の一人として聴いていたら、喜んで拍手をしていたと思う。マグマが噴出する火山の噴火みたいで、これはこれで血湧き肉躍る演奏だ。


 ベートーヴェン 交響曲第4番
Beethoven: Symphony No.4
ベルナルト・ハイティンク ロンドン交響楽団 2006年
Bernard Haitink London Symphony Orchestra

ハイティンクさんの演奏は、バービカンセンターでのライブ盤なので、いわずもなが。ゴンゴンした音が入っているが、一気呵成というか、ぐいーっと突っ走ってしまう。ティンパニーが耳元で響き皮の揺れが見えそう。
録音状態は、想像していたよりは良いが、バービカンセンターでのライブ盤なので、直接音が耳に入ってきてデッドな響きだ。てロンドン響のライブ盤は、録音状態が悪いという印象がワタシ的には強い。この演奏も、耳元にティンパニーが設置されているかのような強烈な音が飛び込んでくる。4番の1楽章といえば、低弦とティンパニーの迫力もあるが、「れぇ~ れぇ~ れっれっ れっれれれれっ・・・っ」て走っていくところ。お武士さんたちが、いざっ!って感じで気合いを入れ、突っ込んでいくような気迫があって、ひやーっ格好良いというのが、ワタシ的な感想だ。しかし、ハイティンク盤は、ティンパニーの迫力は満点だが、ゴリゴリ音でやられると苦笑気味。バレンボイム盤も相当にうるさいが、このハイティンク盤も負けていない。音を叩きつけているが、弾まないのである。撃弾を投下されたようなティンパニー。また、合間に囁く木管が歌わないので、がっくりである。



ベートーヴェン 交響曲第4番
1955年 クレンペラー フィルハーモニア管弦楽団 EMI
1961年 コンヴィチュニー ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 Ph
1961年 モントゥー ロンドン交響楽団 Dec 
1962年 バーンスタイン ニューヨーク・フィル SC
1968年 S=イッセルシュテット ウィーン・フィル Dec ★★★★★
1971年 ケンペ ミュンヘン・フィル EMI
1972年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec
1972年 ベーム ウィーン・フィル G
1973年 ムラヴィンスキー レニングラード・フィル(ライブ)Altus
1975年 クーベリック イスラエル・フィル G
1977年 カラヤン ベルリン・フィル G
1977年 ヨッフム ロンドン交響楽団 Disky
1978年 バーンスタイン ウィーン・フィル G ★★
1978年 ブロムシュテット シュターツカペレ・ドレスデン DS ★★★★
1982年 C・クライバー バイエルン国立管弦楽団 ORFEO ★★★★★
1983年 スウィトナー シュターツカペレ・ベルリン De ★★★
1985年 ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 EMI ★★★★★
1986年 ホグウッド エンシェント室内管弦楽団 OL ★★★★
1987年 チェリビダッケ ミュンヘン・フィル EMI ★★★
1988年 ヴァント 北ドイツ放送交響楽団 R ★★★★
1988年 アバド ウィーン・フィル G ★★★
1989年 プレヴィン ロイヤル・フィル R
1990年 ブリュッヘン 18世紀オーケストラ Ph ★★★
1991年 サヴァリッシュ コンセルトヘボウ EMI ★★★★
1992年 チェリビダッケ ミュンヘン・フィル EMI 
1992年 C・デイヴィス シュターツカペレ・ドレスデン Ph ★★★★★
1999年 バレンボイム シュターツカペレ・ベルリン T ★★
2005年 イン・マゼール アニマ・エテルナ ZigZag
2006年 ハイティンク ロンドン交響楽団 LSO ★★


 

YouTubeでの視聴


ベートーヴェン 交響曲第4番
Beethoven Symphony No. 4 in B-Flat Major, Op. 60
バイエルン国立管弦楽団 - トピック Bavarian State Orchestra - Topic C・クライバー
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=p0s0lULnEGU
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=Jl16rHkKqbs
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=-OAo6zZ3PIE
第4楽章 https://www.youtube.com/watch?v=Bp-rN3I8w5o


Beethoven Symphony No. 2 in D, Op.36
リッカルド・ムーティ - トピック Riccardo Muti - Topic フィラデルフィア管弦楽団
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=LJgSS6I60HE
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=3IODxQ_lmq0
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=y9yI6ZbVQWE
第4楽章 https://www.youtube.com/watch?v=SW5zH5ELCuI

Beethoven: Symphony No.4 in B flat, Op.60
ハンス・シュミット=イッセルシュテット - トピック ウィーン・フィル
Provided to YouTube by Universal Music Group
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=mjPl6nBjKMY
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=dwxPvppgt64
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=zPeoxB-Z7Y0
第4楽章 https://www.youtube.com/watch?v=TZirOkbZeE8

Beethoven: Symphony No.4 in B flat, Op.60
18世紀オーケストラ - トピック ブリュッヘン
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=S9V_7-Fi8aA
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=dy5bGV9C7aE
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=ykfn2h31dFU
第4楽章 https://www.youtube.com/watch?v=FYpQgdj1Yfg



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