「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

01861976

ベートーヴェン 交響曲第5番
Beethoven: Symphony No.5


交響曲第5番ハ短調 作品67は、「運命」と呼ばれ、クラシック音楽の中でも最も有名な曲の1つです。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
「英雄」の完成直後から、交響曲第4番、フィデリオ、Pソナタ23番の「熱情」、ヴァイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲第4番などを作曲した後に、1808年に田園と一緒に初演されています。
交響曲に初めて、ピッコロ、コントラファゴット、トロンボーンを導入し、「暗から明へ」という構成をとり、激しい葛藤を描いた1楽章から瞑想的な2楽章、3楽章の不気味なスケルツォを経て、4楽章で歓喜が解き放たれるような曲想上の構成をとっています。

第1楽章 ハ短調 2/4拍子 ソナタ形式
「ダダダダーン」という有名な動機に始まり、この動機を元にして第1主題が、ホルンが第2主題の旋律の骨格を運命の動機のリズムで提示することで第1主題部から第2主題部への連結が図られ、運命の動機のリズムが対旋律としてまとわりついていきます。

第2楽章 変イ長調 3/8拍子 変奏曲。A-B-A'-B-A"-B'-A'"-A""-codaから成る緩徐楽章。
第1主題は、ヴィオラとチェロで出る穏健なもので、第2主題は、木管、続いて金管で歌われる力強いものです。

第3楽章 ハ短調 3/4拍子 複合三部形式
チェロとコントラバスによる低音での分散和音のあとに、ホルンによって提示されるスケルツォの主題は、「運命の主題」の冒頭の休符を取り去り、スケルツォの3拍子にうまく当てはめたような形です。チェロとコントラバスが、トリオの主題を提示したあと、他の楽器がそれに重なり、フガートのスタイルをとっています。トリオのあと再びスケルツォに戻り、不気味なコーダから、アタッカで次の楽章に繋がります。ベルリオーズは、この楽章のトリオの部分を「象のダンス」と形容したそうです。

第4楽章 ハ長調 4/4拍子
楽器編成にピッコロ、コントラファゴット、トロンボーンが加わるため、色彩的な管楽器が増強され、他楽章に比べて響きが非常に華やかになっています。第1主題は、ド・ミ・ソの分散和音をもとに構成されたシンプルなもの、第2主題は、運命の動機を用いたもので、続く小結尾主題は力強いもの。コーダでは加速し「暗から明へ」における「明」の絶頂で華やかに曲を閉じます。詳細は、ウィキペディア(Wikipedia)を参照ください。

カルロス・クライバー ウィーン・フィル 1974年
Carlos Kleiber  Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は良い。とても70年代中期とは思えないクリアーさで、 軽快で瑞々しい。ゴリゴリしたベートーヴェンではなく、爽快なテンポで、スイスイ行っちゃう。
カップリング:ベートーヴェン 交響曲第5番、第7番(1976年)

1楽章
クラシックの代表格とも言える楽曲で〜 クラッシックって言えば運命。 運命って言えば、冒頭の、あの、ジャジャジャジャーん。でしょ。って、いうぐらい超有名な曲である。 だが、ワタシは、実際のところあまり聴かない。いったい何年ぶりに聴いたんだろう。
さて、クライバーの運命は、いったいどんな演奏だったかな〜っと、久々に聴いたら、あらら〜
冒頭の「っん そそそ み〜 ふぁふぁ れ〜」 この冒頭が、 メチャ快活で、軽快で新鮮だった。
この冒頭部分は、古い演奏だとメチャくちゃ重いのだが、さすがに名盤の誉れ高い演奏で、サクサク演奏していっており、飽きさせない。
推進力があるというか、切れがあるというか、あまり重々しくなく、艶やかで、柔軟でノビがある。
運命の動機と言われている、ジャジャジャ ジャーん。という主題が繰り返され、頭にこびりついてしまうような、ベタな楽曲だ。チャイコフスキーのような、綺麗なフレーズが流れてくるワケではない。 8分休符の後,唐突に主題が提示さえては、執拗なんだよね。 何度繰り返したら、気が済むのかなと言うぐらい、繰り返される。でも、クライバーさんの演奏では、これが気持ちが良い。結構、あっさり系なのだ。

冒頭の動機が鳴ったあと、ちょっぴり余韻を残して弱音にすぐに変わっているし、ホルンの「どどど ふぁそどぉ〜」から続く、ヴァイオリンとクラリネットのフレーズ、「どふぁみふぁそれれど〜」「どれみれどれどし」「れみふぁみれみれど」っと、流麗に続いているのだ。
なんでも、ガンガンに行かれちゃうと、辟易しちゃうのだが、力の入っているところと、抜けているところの、強弱が絶妙だな〜って思う。 もちろん低弦の力強さ、ティンパニーの叩き具合も良いのだが、弦の柔らかさ、木管の弱音の優しさ。
これが、いいんだな〜 (でも・・・ 軽すぎないかしらん。とも思うんだけどね。)
録音状態も、70年代とは思えないほど、艶のある広がり感のあるもので、鮮やかだ。
リズミカルな演奏が活き活き、瑞々しく感じられるモノとなっている。クラシック臭い、ベタな楽曲が、あれれ〜 すごい新鮮だっ。 クライバーさんの演奏って、このセカセカした現代にマッチしているというか、先取りしているような演奏で、新鮮で、イマフウなのである。

2楽章
チェロの「みぃ〜ら どっどっし らどそぉ〜 しどぉ〜れ みれどみ らど ふぁられぇ〜」という穏やかなフレーズから始まる。
木管の「そらし ら〜 そらし ら〜」が、綺麗に間に挟まって、堂々とした印象的なフレーズが続く。
「みそっどっどれみ〜 どれみ みふぁそぉ〜 みふぁそ〜 みふぁそぉ〜」
クライバー盤は、この堂々としたフレーズも、結構、柔らかい。
なんだか威張り腐った、尊大な演奏もあるのだけど、これはソフト。偉そうには響かない。
常に、低弦が柔らかく、ソフトタッチで描かれており、木管の艶のある、ちょっと遠慮がちに密やかさを持って演奏されているようだ。柔らかいというより、囁きに似た楽章になってて、女性ぽいかな。
弱音の美しさ、リズム主体の面があって、低弦のフレーズより、ヴァイオリンが伴奏する「ふぁふぁふぁふぁ そそそそ どどどど ふぁれれれれ らららら・・・」と奏でているところもあり。 で、低弦独特のゴリゴリ感が少ない。
「どっど れみ〜  どれ みみ みふぁそぉ〜 みふぁっそ〜 みふぁっそ〜 みふぁっそ〜」 は、優美ですね。

3楽章
スケルツォの楽章で、ベートーヴェンって言えば、低弦のゴリゴリ感がたまらん。という方もおられると思うんだけど。クライバー盤は、ゴリゴリ感は少なく、ホルンの柔らかい音が、いっぱいに広がっていく。
「らららら らららら どしらそぉ〜 どどどど どどどど れどしらぁ〜」
コントラバスやチェロの響きよりも、少し腰が高めで、ボリュームをさげて聴いていると、ほとんど聞こえない状態になってしまう。このスケルツォは、他盤で聞いていると、う〜ん。力不足って感じもしないでもないけどなあ。ちょっと変わったスケルツォで、走って、走って〜というワケでもないのだが、地面の底から湧き上がってくるようなパワーは少ない。
まっ いわゆる、象のダンスが軽快で、象ではないんだけどね。まっ、イマフウで良いかも。
これだけ、ホルンが綺麗に決まって流麗だと文句は言えないですね。

4楽章
3楽章から引き続いて演奏され、いきなり強奏で、勇壮なフレーズが出てくる。
「どっみ そぉ〜 ふぁ みれどれどぉ〜 っどっどれ〜 っれっれみ〜」
「どれみ ふぁみふぁそ どぉ〜 どれみ ふぁみふぁそ どぉ〜」
「ど〜そみ〜 れっどれぇ〜 れぇ〜そ ふぁ〜 みれみぃ〜」
「み〜 ど みどそふぁみふぁ〜 れ ふぁ〜れ し〜らそ・・・」
音色が明るくて軽いっ。 明るい音で、一気に花開いた雰囲気があり、華やかで〜
えっ ベートーヴェンで、こんなに軽くて、華やかで良いでしょうか。という感じなのだが、テンポよく、ヴァイオリンの切れのよい音と、ンチャチャ・・・という語尾のフレーズで、やられてしまう。
ホルンの音色が、なんとも〜 軽めの明るさ、彩りの良さがあり、一気に大輪の花が満開になったようだ。
いったん鎮まるものの、あっけに取られている間に、コーダで加速されてしまって、終わってしまった。

谷間を覗き込むような鋭さ、怖さ、厳めしさとは無縁の、リズム命という軽快で、スイスイと進まれてしまう運命である。造形力はあるが、太めの一筆書きとは違い、ピンっと張りつめた、ノリの良さがあり、瑞々しい。このノリノリ感は、いったい、どこから来るのか・・・。
フレーズの終わりに、木管のフレーズがかぶさってきているのだが、これが彩度をあげているようでもあり、ヴァイオリンの艶の良さもあるし。 全体的に、重く沈むようなフレーズではなく、フレーズの最後には、すーっとあがっていく、滑るような転がるような雰囲気で描かれている。
その代わり、ゴリゴリしたコントラバスの存在が、埋没しちゃっている。
このクライバー盤では、低弦の魅力には乏しく、これで良いのかしらん。とは思ってしまうのだが〜しかし、このテンポ取りで行かれちゃうと う〜ん。他盤にはない魅力が生まれる。 ちょっと、あっけに取られましたが〜
まっ これだけ、すかっと軽快に、ノリノリの運命を聞かされちゃうと、絶句ですね。そりゃ〜もう拍手しかないでしょう。

スウィトナー シュターツカペレ・ベルリン 1981年
Otmar Suitner  Sächsische Staatskapelle Berlin
(Staatskapelle Berlin)

ばっちグー!

録音状態は良い。細身で軽量級だが、適度に引き締まっててノビ感もある。リズミカルだし、心地よいふくよかさがある。
交響曲全集からの1枚
1楽章
どどど どぉ〜ん という重さはなく、軽やかだが、引き締まった感じがする。涼しげな音で、シツコクなくさっぱりしている。
ガツンっと一発かまそう〜って感じの演奏ではなく、さらっとしているが、軽やかだが軽やかすぎず、丁寧で清潔だ。
オケ全体の響きとして、いささか薄い印象を受けるけれど、でも、低弦の響きが、ゴリゴリしているわけではないが、しっかりと聞こえてくるし、ティンパニーも引き締まっている。
あまり間合いを入れず、タメずに行くので、聴いている以上に軽量級に感じてしまうかもしれないが、スマートだが、弦はしっかり、しなやかに音型をしっかり描いている。
ホルンの響き「どどど ふぁそどぉ〜」というところは、出だしが一瞬ふわっとしているが、残響は適度だと思う。
収録する際に、直接音を数ヶ所で取ってミキシング調整しているのではなく、マイク1本って感じで収録しているのだろうか、ホールの後方で聴いているような感じがする。
で、弦の柔らかさを、力強いティンパニーの音でフレージングをしっかりと締めている。
ガツガツ、がっつり系の演奏が好きな方には、多少、モノ足らないかもしれないが、暑苦しく、また硬いのは苦手という方には良いかもしれない。

2楽章
弦と木管のコラボが、なかなかに美しい楽章で、木管の色がオケの色として、ふわーっと出てくる。
チェロの「みぃ〜ら どっどっし らどそぉ〜 しどぉ〜れ みれどみ らど ふぁられぇ〜」というフレーズは、木質的で美しい。
フルートの音もシックで落ち着きがあり、弦のフレーズは、しっかりとタメて奏でられている。
「みぃ〜そ ららし どぉ〜」というリズムに、ちょっと粘りが感じられるし、チェロのボンボンっという合いの手は奥で穏やかに響いている。
金管の音も、まろやかに調和されて美しい響きを残しており、計算された残響という感じ〜 響きを存分に楽しむことができる。また、やっぱり、ここでも低弦の響きとティンパニーのロールで締めている。
このティンパニーは、力強いのだが、硬いわけでも、ドスンっと下に響くのではなく、音が上の方に広がるような感じがするのと、低弦とマッチした響きというのか、低弦に寄り添うというか補強のように響く。また、木管の響きは、すーっとしているのだが、裏方に徹してますって感じの控えめさが感じられ、また、無いと困るみたいな存在だ。
音が受け渡しされている場面も、さりげないけど、ハイ、しっかりしているというか。素朴なんだけど、無駄な動きがないというか、あたりまえのことが、あたりまえにできてます〜って感じを受ける。
力強くもあるが、硬くもなく、みふぁそ みっふぁそぉ〜〜 という、ラストの音が、ずーっと持続するのが気持ち良い。

3楽章
低弦の蠢くような響きと木管の弱音と、ふぁふぁふぁ・・・と入ってくるホルンの響きが力強く、とても美しい。
奥まったところから聞こえる低弦のひそやかさ、そして、しなやかさ。そして、強弱の大きさがあるので、とてもインパクトが強い。また、コントラバスのリズミカルなフレージングは、すごい。こんなに弾めるの?と、驚いちゃった。
もちろん、チェロものっかって、しなやかに歌っているのだが、ほほぉ〜 奥の響きを拾い集めたのかな〜と思うほど、弱音で、ばらけずに響いてくるのだ。ここは、スウィトナー盤ならではの最大の聴きどころっ。って感じがする。

4楽章
3楽章から続けて演奏されるが、3楽章が低音の蠢く音が、とっても弱音く、耳に定着していただけに、この楽章の入りは、とってもインパクトがあるのだ。
奥まったところか、どどどどぉ〜っと音が、津波のように押し寄せてくるかのように感じられる。
「どっ みっ そぉ〜 ふぁ みれどれどぉ〜 っどっどれ〜 っれっれみ〜」と、金管のファンファーレ音が、なんとも勇ましく、カッコイイ。ちょっと強すぎるぐらいに、一発目の音が入ってくる。
そして、弦のフレーズ、滑るように落ちてきて、ホルンがまろやかに響く。
フレーズのノビ感が、もう〜最高っと叫びたくなってしまうほど、語尾が、美しく広がってのびていく。
これを美音と言わずして・・・と、入れ込んでしまう。すごっ。
それにしても、3楽章の終わりと、4楽章が続いていることに、はあ、なるほどっ。そういうことか・・・と、ようやくわかるのだ。
金管は、柔らかい 柔らかすぎるじゃんと思うのだが、弦の動きも細かくて速いし〜
えっ ちょっと合ってないんじゃと思ったところもあるのだが、いや〜 このリズミカルさ、金管と弦のバランスが、とっても良くて、モダン楽器で、ゴリゴリな他盤だと、弦が、ほんと、ゴリゴリゴリゴリ・・・と、シツコイぐらいに聞こえてくる旋律が、木管と弦の関係が、よく見えてきちゃいます。(決して、オケの音が薄いってわけじゃないんですよ。)
それに、段々と、オケが燃えてきて〜 それがまた長いっ。ラストはみごとに燃えます。
ライブ盤じゃーないの?と思うほど、オケが燃焼しており、スピードをあげて行きそうになっているのが〜感じられます。

ホグウッド エンシェント室内管弦楽団 1985年
Christopher Hogwood  Academy of Ancient Music

これもありかっ

録音状態は良い。 独特の軽快感があるものの、軽すぎる運命で、どっかに飛んでいってしまうような感じだし、聞こえる筈の音が聞こえず、バランスが悪いかも。
カップリング:ベートーヴェン 交響曲第4番、5番
1楽章
最初に聴いた時は、軽くて、速っ。
でも、何度か繰り返してきくと、スピードに耳が慣れて、さほど速さは感じなくなるのだが、やっぱ軽量級で・・・。
っ ジャジャジャ ジャーん というのが、子供の頃からのフレーズなんだよなあ。
5番は、やっぱり、重々しい扉を叩くのが運命の動機でしょう〜というのが、どうしても染みついてて、昔聴いた演奏の重みのある音が、耳に残ってて剥がれない感じがする。
4番、7番、8番のように軽やかにリズムを刻み、アップテンポして進む楽曲だと、オリジナル楽器の草分け的存在のホグウッド盤も、さほど違和感がない。しかし・・・なのだ。
昔、古楽器演奏が流行り始めた時に、このCDを聴いたことがあるのだが、その時は、ものすご〜く違和感を覚えて、なんじゃこりゃっ。と、完全にお蔵入りしてしまったCDである。
まあ、今聴いても、やっぱり速いですねえ。慣れとは怖ろしいもので、21世紀に入って、十数年も経つと、ある程度定着してきたというか、違和感なく、まずまず聴けます。また、大きな編成ではないので、見通しが良く、弦のフレージングは、良く聞こえてきます。でも・・・というのが、率直な感想になるだろうか。

2楽章
金管の音が、やっぱり耳に障る感じ。
で、一箇所、声が裏返って、ぱふぉ〜って一人飛び出して調和を乱している。
フルートの音は、モダンと変わらないが、金管の音の不安定さ、甲高い声が、どーも苦手だ。
思わず汚いな〜って思ってしまう。弦の音色も、ちょっと冷たさを感じるし、音のピッチが低いのかなあ〜 どこか、ちょっと落ち着かない。で、たらら たらら〜 たらら たらら〜っというフレーズも厚みがなく、弦ならではのフレージングに快感を感じない。中音域の木管にも、まろやかな響きが薄いので〜 う〜ん。なんだか全体的にも層が薄いな〜と感じてしまう。
やっぱり、ワタシ的には重みが、欲しいかなあ。

3楽章
スケルツォ楽章は、スピードを持って走って行くので、確かに気持ちの良いもの。
楽器の間での音の受け渡しも良く見えるし、ティンパニーの響きも、かっしりしているし、木管のフレーズが面白いように聞こえてくる。でも、まあ薄口なので、密度が高かったらわかりづらいアンサンブルの乱れとか、縦のラインが合ってないねえ〜とか、ちょっと雑に聞こえちゃうというか、スムーズには見えないのだ。
やっぱり、トリルとか、まろやかに響いて欲しい。

4楽章
クレッシェンドから、だだだ〜っと音が最終楽章に一気になだれ込んでくるのだが、やっぱり聞こえるべき音が聞こえない箇所があったり、縦のラインが、かっちり合っていないところがあったり。
とーっても不満。また、演奏の粗探しをしている自分に気づいて、ちょっと・・・凹んでしまった。
CDが発売された当初は、やっぱり古楽器 ピリオド演奏に違和感を覚えたこと、そして今聴いても、昔のイメージ、重々しい、運命というイメージが払拭されず、どうも馴染めないまま、このホグウッド盤を聴き終えてしまった。
ティンパニーや、ヴィオラ、ファゴット、そして、金管の音色は、動機を構成する大事な音である。また、和音を構成する重い音でもあったりするのだ。
それぞれの音が、しっかりと組み合わさって、小さなパーツに。そしてそれが組み合わさって、全体を構成する。
この曲自体が、カッチリとした構成で成り立っているので、引き算ではなく、やっぱり足し算なのだから、それなりに〜積み重なっている感じがしないと、どうもしっくりこないようである。

ラトル ウィーン・フィル 2000年
Simon Rattle  Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)

う〜ん。どうだろ

録音状態は良い。推進力のある軽めの演奏だが、リズミカルで野生的、多彩なフレーズが聞こえ、情報量の多い演奏になっている。 2000年12月デジタル・ライヴ録音
カップリング:ブラームス ヴァイオリン協奏曲(チョン・キョンファ)
ベートーヴェン 交響曲第5番
1楽章
このCDが発売された時は、やっぱり話題になっていたように記憶する。
運命が、とっても快速だったこと。ウィーン・フィルで、モダンなピリオドを振ってベートーヴェンを入れる。
これだけでも、結構、衝撃的だったように思うが、なぜ、ベルリンではなく、ウィーンなの?とか、キョンファさんのブラームスのヴァイオリン協奏曲が、ラトルさんの指揮で発売されたことなど〜

もちろん、このCDは単独なので、別に、ウィーン・フィルとのベートーヴェン交響曲全集もあるのだが〜
ラトルさんの振ったベートーヴェンは、どちらかと言えば、斬新すぎて〜 ついて行けない。という感じだった。
で、お蔵入り状態にしてしまった。
う〜ん。ちょっと今後悔しているのだが、困っちゃったなあ。
ブラームスのヴァイオリン協奏曲を聴こうと、久々にCDを聴いてみたのだが、ブラームスも良いのだが、運命に、ちょっと惹かれてしまったのだ。へぇ〜 15年も経って、ようやく良さが、ちょぴっと解ってきたというのか?
ちょっと自分自身も、困惑気味で、自問自答しているというのが、現在の心境だ。
C・クライバーの演奏は、好きなのだが、普段、この楽曲自身あまり聴かない曲で〜 ホント、数年に1回程度しか聴いてこなかったように思う。
で、ラトル盤も、C・クライバー盤に似ていると言えば似ているかもしれない。非常にリズミカルに演奏されている。

速いっというのは速いし、軽さを生むようで〜 その分、ティンパニーの響きを大きくして、かなり締めている。
タタタ たぁ〜 っというところも、怒濤のように響き渡る。まるでストラヴィンスキーの春の祭典並みだ。(って言ってしまうとオーバーなんだけど) 野性的というか、凶暴なのだ。
1楽章の最後、「そそそ みふぁれぇ〜 そそそ みふぁれぇ〜 (バン)」 このフレーズの裏の弦の響きが、同じ音量で絡んでくるし、表と裏が同じで、それがリバーシブルのように扱われている。
また、内声の響きも良くきこえる。木管の響きも、弦よりも良く聞こえるので、静寂のなかの植物の生命のようで〜
セカセカしている分、蠢きのように聞こえるし、切迫感が生まれている。
なんか、新しいアメーバーでも生まれてくるのかのように、聞こえる。

2楽章 
チェロの穏やかなフレーズで始まる2楽章は、とってもシックで穏やかだ。
柔らかく、ふわっとした弦の曲線で、曲が描かれている。
金管が入ってくると。堂々としたフレーズに様変わりするが、その変わり身が、はっきりしてて、小声で演奏される場面との対比が明確だ。で、木管のキュートな響きに、弦は、幾分ふんわりとテヌート気味に、被さってくる。
小声のところは、テンポも極端に遅いし、暗いが、それが躁鬱病の患者のように、うって変わって尊大になる。
不安を煽るかのような弦の響きにも聞こえてくるぐらいだ。
のっぺりしていないので飽きないが、メリハリがあって、面白い対比だが、どこか病的で〜
まあ、まろやかな、大人の楽章だと思っていたが、この盤を聴いていると〜 まるで、思春期の子供のように、あぶなっかしい〜という感じに聞こえる。

3楽章〜4楽章
「らららら らららら どしらそぉ〜 どどどど どどどど れどしらぁ〜」
まろやかなホルンの響きが美しい楽章で、倍音の響きが、残響を残して、ホールいっぱいに広がって〜
う〜ん。美音だっ。
で、結構重厚な響きを持ちながらも軽やかに推進していく。
でも小声すぎて〜 途中で、ボリュームをあげに走らないといけないぐらいになっちゃって〜
そこから、4楽章が、いきなり、 「どっ みっ そぉ〜 ふぁ みれどれどぉ〜 っどっどれ〜 っれっれみ〜」と、歌い出すのだが、ヒスを起こしたおばさんのように、ピッコロが添えられているのだ。
あのぉ〜 ここで、ここまでの高音域の音を飛び出させて歌わなくても・・・と思うんだけど。
ホルンが入ってきたら、そりゃー 美しい音なんですけど。

かと思ったら、歯切れの良いフレーズを続けているかと思ったら、弦をテヌート気味に弾かせてみたり、かと思ったら舞踏風に弾ませてみたり、かなり、場面場面で、多彩に姿を変えていく。
リズム的には、どーも、落ち着きのない、子供のような、飛びはね方かなあ〜と思うなあ。
リズミカルなのは良いけれど、音の伸ばすところと短いところの差が、大きく、振幅の大きい演奏で、また、内声が聞こえるのは嬉しいが、やらせ過ぎかなあ。
へえ〜 ここで、こんな音が鳴るんだっ? と面白い反面、音量が小さすぎて、聞こえてこない場面もあるし〜
特に、ピッコロが、フルートが、これだけ飛び出してくると〜 ホルンの柔らかな音が、負けてしまう。

う〜ん 面白い反面、八方美人的にも、節操がないようにも聞こえてしまって、ちょっとどうかなあ。とは思ってしまった。
確かに21世紀のベートーヴェンだとは思っているし、新しい挑戦をしているのだと思う。
そういう意味では、挑戦的だしスリリングだし、過激っぽくって、一風変わってて面白い。

シプリアン・カツァリス 1989年 リスト編曲ピアノ版
Cyprien Katsaris

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は極めて良い。なにせ痛快っ。耳タコ出来ている、ダダダダーンの運命が、こんなにスピード快速で、軽妙かつ大胆にピアノで弾かれてしまうとは。これは圧巻っ。
ピアノの多彩さを、天才の作曲家と演奏家が合体して作り出した理屈抜きに面白いっ。カップリング:ベートーヴェン運命(リスト編ピアノ版)エロイカ変奏曲
リスト編曲ピアノ版

交響曲のところに、掲載しちゃうが〜このCDは、ベートーヴェンの交響曲を、リストが編曲したピアノ曲である。
なにげに買ったCDなのだが、聴き始めた途端、ワタシは、思わずのめり込んでしまった。
んダダダ ダーン・・・。ダダダ ダーンっ・・・。
この運命の動機冒頭から、迫力もあるし、音の粒立ちの綺麗なこと。
残響も、きっちり綺麗に残っているので、これは良いっ。良いぞーっ。う〜ん。すごいっ。
間合いの取り方も巧いし、文句のつけようがない。

交響曲を、10本の指で弾くという、リストの考え出した企画(編曲)自体は面白いが、実は、あんまり期待していなかったのだ。ラヴェルが、ピアノ曲を管弦楽曲にしているのと逆バージョンである。
どうせ、シンフォニーなのだ。オケの方が良いに決まっている。
オケに勝るものはないのだし、いかにリストとはいえ、密度を感じられないピアノ曲になっているに違いないだろう〜って思ってたんだよね。いや〜 しかし、良い意味で期待を裏切られました。みごとにっ。
それに、カツァリスさんの超テクピアノは、う〜ん。楽しいっ。ホント楽しいです。

打ち込みの強さ、柔らかさ可愛らしさ。旋律の間合いを埋めるかのような左手の動き。
ピアノだから、余韻が、金管なんかの長さと全く違うんで〜 その点、とっても心配しちゃったのだが、心配は無用でしたねえ。
低音の響きなんぞ、ピアノって弦楽器だっけ? なーんて、アホな事をのたまってしまうような、音の響きが充分にあって、音の幅が大きく、弦の揺れが大きく感じられる。
いやホント、格好も良いし、スカッとしているし、スタイリッシュだし。軽妙で楽しい。

それに、ベートーヴェンの主題が、よくわかって良いな〜。というのが1つ。
耳タコできているくせに、ちょっと近寄りがたいイメージを植え付けてしまいがちな、渋面をつくって、クラシックって難しいんだよな〜って言ってしまいそうな、ベートーヴェンの「運命」が、ノリノリだ。
C・クライバーのオケ版も、とても、スピーディで楽しい演奏だが、そのピアノ版って感じがする。
全部の楽章が、すごく楽しいのだが、最後4楽章は、とにかく圧巻!
残響を適度に取って、和音が濁らず、迫力のある左手の響きの重厚さ、右手の素早さ。
このスピードと軽快さ、軽妙さには、ハイ、嬉しいです。あ〜 シアワセ〜

緩楽章の2楽章は、間合いが難しいかな。って思っていたけど、しっとりとしてて柔らかいし、剛柔が、みごとにバランス良く、小気味よい。
オケで聴くときもそうだが、堅牢さを感じさせる部分と、柔らかく抒情的な部分と、みごとに溶け合っている曲だな〜って思うんだけど、その面が、ピアノでも充分に感じられる。
それにしても、耳タコできているような曲だからこそ〜難しいと思うのだが、このカツァリスさんの演奏は、オケに負けてない。
コントラバスの響きには負けるけど〜 ごっつい低音の響きもあり、音の間合いの巧さも感じられる。
ピアノの表情は豊かだし、おおっ。この高音は、ピッコロか。と思わせるような音であったりする。
ピアノの音の残響が痩せてしまい、間合いが空いてしまいそうなフレーズには、ちゃんと音が補強されているようだし、リストの編曲の巧さ。そして、それを演奏しきってしまうピアニスト。
う〜ん。参りました。計算されつくされたプロ、天才たちの創造力には、う〜ん。参りました。
こりゃ〜痛快です。何度聴いても飽きないですね。お薦め。
1974年 C・クライバー ウィーン・フィル ★★★★★
1981年 スウィトナー シュターツカペレ・ベルリン De ★★★★
1985年 ホグウッド エンシェント室内管弦楽団 OL ★★★
2000年 ラトル ウィーン・フィル EMI ★★★★
リスト編曲ピアノ版    
1989年 シプリアン・カツァリス  Teldec ★★★★★
所有盤を整理中です。

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