ベートーヴェン 交響曲第6番 Beethoven: Symphony No.6 "Pastoral"

 ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
Beethoven: Symphony No.6 "Pastoral"
ヨス・ファン・インマゼール アニマ・エテルナ 1999年
Jos van Immerseel Anima Eterna

インマゼールの演奏は、古楽器演奏のベートーヴェンの交響曲としては、わりと後の方、後発組だったと思う。とってもスピードが速くて、当時は、まったく馴染めず、なんじゃこりゃ~ ということで一気にお蔵入りにしてしまった記憶がある。田園といえば、優雅でのびやかな曲である。休日に仕事で疲れたカラダと心を癒やそうと聴く。この1曲で、充電して活き活きと蘇ることができる。なので、当然、穏やかな演奏を求めている。なのに、なんで~こんな快速で、ササクレだった演奏を聴かねばならないの。そりゃー怒るでしょ。時代の変化を感じつつ、田園というより都会の小さな公園じゃん、変なモノを聴いた気がして嘆いた。
まあ、あれから、相当な年月(今、2015年7月だから約15年経過)が経ったけど、今はさほど驚いていない。アハハ~慣れたんでしょうか? 慣れたんだと思う。ホグウッドさんの超快速盤を聴いてしまったら、はあ。こんなモノかと、単純なワタシの脳みそは騙されてしまったようだ。1楽章 「田舎に到着したときの晴れやかな気分」は、とっても慌ただしい。それに音が広がらず、音が伸びない。フルートの響きも、弦の響きも、モダン楽器とは、まーったく違う。平たくノビが足らず、まろやかには溶け込まない。
第2楽章も、ノビが少ないのが顕著で興ざめする。中音域の弦の音が足らないような気がする。そうだ版が違うんだろう~と一応思ったけれど解せない。第3楽章の「田舎の人々の楽しい集い」は、快速である。古楽器の響きって直線的なんです。第4楽章「雷雨、嵐」は、意外と馬力があって、ティンパニーの怪しげな音が聞こえる。当然、ホンモノの皮なんでしょう。
第5楽章は、ホルンと弦が絡む部分は綺麗だが、少人数なので響きが淡泊だ。弦に厚みがないのがうらめしい。資料的価値が高い演奏なのかもしれないが、凡人には、最後まで違和感が残る演奏でした。


■ ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
Beethoven: Symphony No. 6 "Pastoral"
クリストファー・ホグウッド エンシェント室内管弦楽団 1987年
Christopher Hogwood Academy of Ancient Music

ホグウッドの演奏は、意外と楽しむことができた。録音状態は良いし、こんな田園の演奏があったとは衝撃を受けつつ、シアワセ感に包まれ、うるうるときた演奏である。第1楽章「田舎に到着したときの愉快な感情の目覚め」は、メチャ超快速である。速い、速いっ。でも、風の通る田園風景が見えてくるようで爽やかだ。スキップする感覚で、長音の部分にアクセントをつけて、ぐいっと伸ばして気持ちを乗せてくる。木管が登場して加速する。古楽器ならではなのテンポ設定なのかもしれないが、休日に、ゆったり田園でも聴こうかと、この演奏を聴いてしまうと、ちょっとヤバイかもしれない。だって仕事でめまぐるしく働いている延長線上のような感じがするのだ。辺りを見渡して、リラックスする暇は与えてくれない。ハイ、動き回って頂戴よぉ~っという感じで、相当にせわしい。振り落とされないかと心配しつつ、冷や汗をかいて馬に乗っているかのよう。相当に駆け足なのである。田舎に到着したばかりじゃーないの? 休憩している場合じゃないって? 目的地はまだ着いていません。だから先を急ぎますって感じで、ムチを入れら駆けぬけていくのだ。でも、これもありかと思ってしまう爽快さがある。参ったデスね。不思議なことに嫌みは感じない。むしろ気持ちが良い。
総体的に響きが柔らかく膨らみがあり、ギスギスした感がない。これなら、古楽器だからと構えて聴く必要もないし、違和感も感じないかもしれない。低音のゴリゴリ感が欲しい方には、モノ足らないだろうが、こりこりっとした芯はある。
弦の弾むようなテンポの良さに乗せられる。現在、使用されているモダン楽器とは、当然のごとく音色が違うが、木管は違和感がなかったように思う。今頃、何を寝ぼけたことを言っているんだと、言われかねないけれど、この田園の演奏に関しては、古楽器に対するトラウマは払拭されました。超快速演だが、牧歌的で、まろやかさと優美なアンサンブルを聴かせてくれます。特に、第5楽章の「牧歌 嵐の後の喜ばしい感謝の気持ち」におけるホルンの音色は、鳥肌モノで、うるうる~としてしまった。雨上がりの清々しさというより、宗教音楽な響きのように感じる。シアワセ感に満たされて充足しました。古楽器というだけで避けてきたワタシはアホでした。


 ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
Beethoven: Symphony No. 6 "Pastoral"
ダニエル・バレンボイム シュターツカペレ・ベルリン 1999年
Daniel Barenboim Sächsische Staatskapelle Berlin (Staatskapelle Berlin )

バレンボイムの演奏は、ガシガシに縦糸を合わせて、低音をゴリゴリ言わせた田園だろうと想定していたのだが、意外と流れていく演奏で、えっ。流麗さという言葉からはほど遠いが、低弦だけが飛び出て鳴らしているとかはなかった。弦の層がバランス良くまとまっており意外にも良い響きが出ている。残響も適度に良く、特筆する個性は感じられないが至極まっとう。奇をてらうような演奏ではなかった。田舎に到着した時の爽快な気分などの感情は希薄で、なんだか地方に飛ばされた会社員のごとく、つまらなそうなのである。確かにアンサンブルは見事だが、地方に飛ばされた営業所所長が、単身、ポツンっとデスクに座っている感じで寂しそうである。第2楽章の「小川のほとりの情景」では、細やかなフレーズが顔を出しており、こんな音が鳴っていたんだと、驚くシーンもある。均質化されているが、楽器の出入りを制御することで凸凹が見えている。視線は遠い先を見ており、裾野の広い平野部を俯瞰しているかのよう。心情を描いたものではなく客観的。木管は、スマートな綺麗な線で美しい。室内楽的な優しさがある。第4楽章の「雷雨と嵐」は、どどっと激しく重厚さを帯びて演奏される。でも、力ずくではなく、慌て騒がず落ち着き払って、リアル感が薄く面白みは欠ける。ラストの楽章は、ホルンの響きに開放感が感じられず、シアワセ感が漂ってくれない。
絵画的というよりは、セピア色に染まった写真だと思う。どこかで時が止まっており、過ぎ去った場面のなかに入り込んだ感じがする。録音状態は良いし、バランスの整った演奏だが、客観的な演奏に聞こえることが気になる。


 ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
Beethoven: Symphony No. 6 "Pastoral"
クラウディオ・アバド ウィーン・フィル 1986年
Claudio Abbado Wiener Philharmoniker (Vienna Philharmonic Orchestra)

アバドの演奏は、ライブ盤で残響が多めで柔らかく、穏やかに過ぎるぐらいの田園で、天上的な響きがする。歯ごたえのない腰の弱い演奏とも言えるが、美音で彩られた演奏だ。テンポは遅めで、息の長い、ふわ~っとした高音域の響きが広がる。低弦の響きは少なめ。ボリュームをあげて聴かないと音が分離せず、丸くなって焦点がぼやけ、美音だけでやられてしまう。
響きが最優先され、リズムが埋没し、なんとも歯ごたえのない演奏となっている。頭からクエッションマークが飛び出す。最初のひとくち、黄色みを帯びた大吟醸を飲みたいが、最初から最後まで、これではちょっと。メリハリ感に縁がなく、きりりとした辛口ではないので、しまりがなく午睡向き。第2楽章においても、息の長い演奏で色彩感はあるものの、ソフトフォーカスされて永遠に続くかのような錯覚を覚える。第3楽章では、歯切れ良く鳴っているが、残響の多さに驚かされた。第4楽章では、いきなりの嵐に遭遇する。強烈な音の量で、低音は団子状態だが迫力がある。液状化した厚みで、つんざく木管が通り過ぎる。ラストは、意外とさっぱりと終わって、幾分尻すぼみ状態。前半の2楽章で終わってしまった感じで、いたって平和的な田園だった。
ライブ盤で、交響曲全集の1枚だが、田園とのカップリングで、ベートーヴェン カンタータ「海上の凪と成功した航海」と、合唱幻想曲 ピアノ:ポリーニが収録されている。


 ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
Beethoven: Symphony No. 6 "Pastoral"
ギュンター・ヴァント 北ドイツ放送交響楽団 1986年
Günter Wand Hamburg North German Radio Symphony Orchestra

ヴァントさんの田園は、この1986年の演奏と1992年10月ライブ盤(北ドイツ放送響)がある。内声部が強調された演奏で、分離の状態が良い。テンポがきっちり刻まれ、フルートの主題が演奏されているなか、中低音が、パンパンパンパンと通奏低音のような響きが聞こえてくる。緑豊かな田園風景をイメージしているとちょっと違うかも。昭和時代の縁側のあるような家、ちょっと高台から見渡す田舎の風景のような感じというか、小津安二郎監督の東京物語に出ている、笠智衆さんが喋っている台詞のような感じというか。キチンと襟元を正し、畳の部屋で正座して聴いた方が良いかと思われる演奏である。格調の高そうな近寄りがたそうな気がするが、聴いているうちにじわじわ入り込んできてくる雰囲気がある。
各楽器のフレーズが、木管だったら木管のフレーズが異様に浮き上がっているような気がする。まろやかにブレンドされた音響ではなく、木管などの内声部を強調した演奏だ。旋律の構成が分解されている。まるで器楽曲です~という感じで、ワクワクした感じはしないが、これはこれで、佇まいのキッチリした演奏だと思う。雷シーンは、テンポを上げて全奏しており、乾いているがゴツい音がイッパイにひろがって勢いがある。ごごごぉ~というティンパニーと大太鼓の音、金管の歯切れの良い音に、おおっ。
第5楽章は、晴れやかに喜びをもっと大きく表現して欲しいところなんだけど。きっちり、カクカクとした楷書体の演奏だから、仕方ないかしらん。きっちり襟を正した演奏なので、羽目を外した喜びの表現はしない。そのかわり、各楽器のパーツ音は明瞭になっている。これだけ分解しちゃって違和感がないのが不思議な感じがするが、もう少しまろやかに響きを楽しむことに注力して欲しかったかもしれない。この演奏は、プロ向けでしょうね。


 ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
Beethoven: Symphony No. 6 "Pastoral"
ゲオルク・ショルティ シカゴ交響楽団 1988年
Georg Solti Chicago Symphony Orchestra

ショルティの3回目の交響曲全集デジタル盤である。ちなみに、1958年~59年ウィーン・フィル、72年~74年シカゴ響、87年~88年シカゴ響となっている。予想どおり風格がありガッシリした構築性の感じる演奏である。ただ、田園という楽曲としては、あまりガッシリしてない方が良いのかもしれない。(我がまますぎるやろ)主題は、青々とした伸び盛りの植物の揺らぎ、柔らかい田園風景をイメージしたいと思うが、あっさり風味でイメージが膨らまない。一級品のオケだし巧い。でも表情が硬いか。中・低音の響きには適度な硬さがあるが、乗っかってくる弦に弾力性、収縮性が少ない。郭公の鳴き方も速めであっさり。ナチュラル感が薄いのが残念かも。木管の音色に色気が少ないというか、ショルティ+シカゴ響に色気を求めてもなぁ。フルートが単独で吹いているところは、もちろん巧い。でも、巧いのと色気があるのとは違うでしょ。このクラスのオケだと、+アルファを求めちゃうんですよね。
第3楽章は、スケルツォなので、さあ出番ですよの真骨頂。リズミカルでノリノリ。特に、ホルンが小気味良く、合いの手を入れるクラリネットも超巧いし面白い。シカゴ響の本領発揮。リズムの楽しさが満喫できる。オケが生き返った弾み具合だ。
第4楽章の「雷雨、嵐」は、どひゃ~んの迫力あり。切れ味は良し、爆発的なパワー良し、金管の鳴りっぷり良し、ティンパニーの存在感絶大。不気味な嵐とか冬の稲妻ではない。梅雨明け間近、生暖かい風がぶつかる猛烈なゲリラ豪雨に遭ったよう。抒情性や色香、色彩は乗っていないが、ダイナミック叙事詩という演奏である。


 ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
Beethoven: Symphony No.6 "Pastoral"
リッカルド・ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 1987年
Riccardo Muti Philadelphia Orchestra

ムーティの田園は、とてもシルキーな美音で綴られた演奏で、大都会のオアシスのような爽快さが残る。さらっとしたスマートで流麗な演奏だ。音の響きがとても美しく、弦のフレーズが、なめらかでクリーミー。上質のソフトクリームを食べているような感触なのだ。もともと明朗で、すっきりした親しみやすい旋律が続くが、木管がアクセントになっている。低弦が入ってきても、ごわごわした感覚や凸凹した感覚にはならず、極上のシルキーな響きを保つ。何度も同じ主題が奏でられるのだが、飽きがくるどころか耳のご馳走だと叫びたくなってしまうほどシアワセな気分に。第2楽章では、弦のアンサンブルが、ふわっとした空気感を醸しだし、優しい霧に包まれたような雰囲気がある。チェロとコントラバスが奏でるフレーズが、小川のせせらぎを表しているが、まるで、マイナスイオン発生源って感じがする、揺らぎのある弦のフレーズに木管が重なり、霧がしだいに晴れてるかのよう。ヴァイオリンのトリルは、小鳥のさえずりだそうだ。牧歌的で、朝の高原の風景が広がってくる感じがする。この描写は、まるで避暑地のようで贅沢な時間を過ごすことができる。この楽章は、眼を閉じて、ソファに座ってじわーっと聴きたい楽章だ。特に、オーボエやフルートなどの木管群が気持ち良く、至福の時を過ごすことができる。
第3楽章は、美音の塊のような演奏で、柔らかい腰つきで優美だ。牧歌的なホルンの音色が広がってくると、天上の音楽だっと叫びそうになってしまう。もう、何も語らなくても良いぐらいに放心状態になってしまった。第4楽章は、
楽しい村民の集いを突然襲った昼下がりの激しい驟雨の様子を描写したもので迫力あり。どどどぉ~っというティンパニーのロールは、音圧を出してくる。第5楽章は、優美なクリーミーさに舌を巻いてしまった。特に、中音域から低弦の響きに厚みがあり、チェロの美しい響き、ホルンのふくよかさ等、各楽器の美しい音色が充満し、転調していくなかで、ますます鮮やかな色彩をを放つ。
かなり洗練された音で綴られ、次々に展開していく場面が、充足感を生み、とても楽しい。これほど優美に奏でられる田園も、そうそう無いように思います。


 ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
Beethoven: Symphony No. 6 "Pastoral"
コリン・デイヴィス シュターツカペレ・ドレスデン 1992年
Colin Davis Sächsische Staatskapelle Dresden (Staatskapelle Dresden)

C・デイヴィスさんの演奏は、質実剛健というか、あまり歌わない演奏で盛り上がらない。少しフレージングが硬い感じがする。
第1楽章は、弦のフレーズが硬めで、古楽器を使用した演奏かと思うほど古色蒼然としている。主旋律が控えめで奥ゆかしく、木管の響きも前に出てこない。低音のコントラバスの響きのヌケが悪く、もったりした印象を受ける。第2楽章も柔らかい響きで描かれているが、芳醇ではなく素朴。フレーズの膨らみが薄い。第3楽章も覇気がない。ホルンの響きも鳴っています~という具合だし、どこか具合でも悪いのか愛想がない。楽しくないの?(困ったなあ) ハーモニーの美しさが伝わってこない。「雷雨、嵐」の第4楽章は、さすがにティンパニーの音が強めで、他盤とひけをとらない迫力はあるのだが、硬い響きで弾力性がない。こぢんまりしたパーツごとが組み合わさっているのだが、小さくまとまってしまった感じがする。音質もクリアーではなく、響きあうブレンド感は少ない。


 ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
Beethoven: Symphony No. 6 "Pastoral"
ベルナルト・ハイティンク コンセルトヘボウ 1986年
Bernard Haitink Royal Concertgebouw Orchestra (Amsterdam Concertgebouw Orchestra)

ハイティンクの2回目のベートーヴェンの交響曲全集の1枚。記録媒体としてのメディアが、LPからCDに変わる過渡期だったと思う。そして、若い頃に聴いたときはインパクトがなかった。ハイティンクさんって、最後の巨匠的存在として長い間オケのシェフをつとめてこられた方である。でも、なぜか日本での人気が薄い方で、全集好きだと揶揄されたり、中庸ってひとことで片付けられてしまう気の毒な指揮者だったように思う。正直、若い頃に聴いたときは、インパクトがなかった。しかし、抜群の安定感。完成度が高く、後年は、好意的に受け止めるようになった。全体的に均整が取れて整いすぎるほど。硬すぎず柔らかすぎず、弾力性が適度にあり、浮かれすぎず~ 何とも言えない頃合い感がある。音質は木質的で、田園風景にマッチしてると思う。衒いのない演奏で伝統芸術みたい。正調、正統という言葉まで浮かんできちゃうほどの演奏だ。


 ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
Beethoven: Symphony No. 6 "Pastoral"
フランツ・コンヴィチュニー ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 1959年
Franz Konwitschny Gewandhausorchester Leipzig (Leipzig Gewandhaus Orchestra)

かなり古い演奏なのだが、リマスタリングされ1959年の録音とは思えないほど良い状態だ。演奏は、とても厳格な演奏で、肩がバリバリに凝ってしまう。1楽章はリズミカル、3楽章以降は、とても恐くて熱い。質実剛健で、揺るぎない愚直さが感じられる。聴いてても一本気でしょうという感じ。曲線を描かずに、ンチャンチャと裏のテンポが進んでいく。結構速い。主旋律より裏のリズムに乗せられちゃう。あまり弾まないのだが推進力がある。自然と無窮動のように刻まれ、ついつい熱くなってしまう感じだ。2楽章は滋味で、各楽器が主張を持って奏でられている。第3楽章は厳格すぎて近寄りづらい。ギクシャクして、羽交い締めにあっている気分。低弦のボーイングの強くて硬いこと。ひとことで言うならイカツイ演奏だろうか。カリスマ社長社訓のような演奏というか、伝統を守り伝えていかねば気迫に押され、柔らかな開放感のある、光あふれる田園ではない。背筋をシャキっとさせ、正座して田園を聴きましょうと言われているみたいだった。


ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
1957年 クレンペラー フィルハーモニア管弦楽団 EMI
1958年 モントゥー ウィーン・フィル Dec
1959年 コンヴィチュニー ゲヴァントハウス管 Berlin ★★★
1971年 ベーム ウィーン・フィル G
1972年 ケンペ ミュンヘン・フィル EMI
1973年 マズア ゲヴァントハウス管弦楽団 V
1974年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec
1976年 カラヤン ベルリン・フィル G
1977年 ブロムシュテット シュターツカペレ・ドレスデン DS
1977年 ヨッフム ロンドン交響楽団 EMI
1980年 スウィトナー シュターツカペレ・ベルリン De
1986年 アバド ウィーン・フィル G ★★★
1986年 ヴァント 北ドイツ放送交響楽団 R ★★★
1986年 ハイティンク コンセルトヘボウ Ph ★★★★
1987年 ホグウッド エンシェント室内管弦楽団 OL ★★★★★
1987年 ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 EMI ★★★★★
1988年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec ★★★
1990年 ブリュッヘン 18世紀 Ph
1991年 サヴァリッシュ コンセルトヘボウ EMI
1992年 C・デイヴィス シュターツカペレ・ドレスデン Ph ★★★
1992年 ガーディナー ORR Ar 
1999年 バレンボイム シュターツカペレ・ベルリン Teldec ★★★
1999年 インマゼール アニマ・エテルナ SC ★★
2002年 ラトル ウィーン・フィル EMI
2005年 ハイティンク ロンドン交響楽団 LSO

べートーヴェンの交響曲第6番「田園」(ヘ長調 作品68)は、1808年に作曲されています。ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、田園というサブタイトルがあり、5楽章で構成されていますが、それぞれに描写的な標題がついています。
第1楽章 「田舎に到着したときの愉快な感情の目覚め」 ヘ長調 4/2拍子 ソナタ形式
弦のほかは木管とホルンのみが登場し、チェロとヴィオラの5度の保続音のうえにヴァイオリンが第1主題を奏でます。木管の3連符と、ヴァイオリンの経過句でト長調、第2主題はハ長調となります。展開部では第1主題の動機を扱い、転調しつつ、主題の動機を36回繰り返すもの。再現部はヴァイオリンとヴィオラによって第1主題が、第2主題ではヘ長調となり、コーダでは、クラリネットとファゴットの重奏があり、全合奏で終わります。

第2楽章  「小川のほとりの情景」 変ロ長調 8/12拍子 ソナタ形式
チェロとコントラバスのピチカートに、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが小川のせせらぎのように演奏し、第1主題をヴァイオリンが示します。第2主題は、ヴァイオリンが高音域から分散下行、分散上昇し、ファゴットの主題に他の楽器が集まって発展するもの。その後、コデッタを経て展開部に入り、第1主題が転調します。木管が特徴的です。
ヴァイオリンのトリルは、小鳥のさえずりで、コーダに入ると、フルートがサヨナキドリ(ナイチンゲール)、オーボエがウズラ、クラリネットがカッコウを、模倣して鳴き交わす結びとなります。

第3楽章 「田舎の人々の楽しい集い」 ヘ長調 4/3拍子 複合三部形式
スケルツォの楽章で、主部は弦のスタッカート主題に、木管の旋律が絡みます。主部の後半は、オーボエの主題が、クラリネットからホルンへと受け継がれます。中間部では、4分の2拍子でトランペットも加わり、次第にクライマックスを築くと、アタッカで第4楽章へとつづきます。

第4楽章 「雷雨、嵐」 ヘ短調 4/4拍子
ティンパニ、トロンボーン、ピッコロが加わり、もっとも描写的な楽章です。まず、低弦が遠雷のようなトレモロを示し、慌ただしいヴァイオリンの走句を経て、全合奏の嵐となります。一種のトーンクラスター的な不協和音を生じて、ティンパニの連打、管楽器の咆哮、ヴァイオリンの走句が、激しい風雨や稲妻の閃光を暗示するもの。嵐は一時落ち着くかに見えますが、遠くの雷鳴に、突然の稲光のようなピアニッシモと強打が交互に現れ、嵐の猛威は、ピッコロの燦めき、減七和音を伴った半音階句の上下行によって表されます。嵐が収まると、オーボエや、フルートの上昇音型で次に繋がります。

第5楽章 「牧歌 嵐の後の喜ばしい感謝の気持ち」 ヘ長調 8/6拍子
ロンド形式とソナタ形式の混成によるロンドソナタ形式
冒頭、クラリネットの素朴な音型に、ホルンが応え、ヴィオラとチェロによる牧歌に奏でられます。チェロのピチカートの上にヴァイオリンが第1主題を示し、低弦とホルン、木管へと移っていきます。第2主題は、ヴァイオリンで奏でられ冒頭主題が戻ってきます。中間主題は、クラリネットとファゴットで経過句がつづき、フルート、クラリネットのあと、再現部で、無窮動風な16分音符のオブリガート対旋律となり高揚します。コーダでは、第1主題による変奏的展開、第2楽章の小鳥のさえずり、チェロとファゴットでのオブリガート対旋律が再び出ます。


 

YouTubeでの視聴

ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
Beethoven: Symphony No. 6 in F Major, Op. 68 "Pastoral" 
クリストファー・ホグウッド - トピック エンシェント室内管弦楽団
Christopher Hogwood - Topic
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=AcckPAp2C2c
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=F8OzI4Jd2PM
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=H4TtgSFXNR0
第4楽章 https://www.youtube.com/watch?v=i6Y6AJ2tBF0
第5楽章 https://www.youtube.com/watch?v=0vBxET4RGhA

Symphony No. 6 in F Major, Op. 68 "Pastoral"
Daniel Barenboim シュターツカペレ・ベルリン バレンボイム
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=-44Xv2IYlvY
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=r0BUDepQlXA
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=3PImxRkADXU
第4楽章 https://www.youtube.com/watch?v=PGABVR3gJZs
第5楽章 https://www.youtube.com/watch?v=8Wx1FMPjxxQ


Beethoven: Symphony No.6 in F Major, Op.68 -"Pastoral"
シカゴ交響楽団 - トピック  ショルティ
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=nuNQIbzIUnQ
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=hWta4mKT92c
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=IFR9TPPtog8
第4楽章 https://www.youtube.com/watch?v=tZ5OlzsaK08
第5楽章 https://www.youtube.com/watch?v=x24qTbsYUzc


Beethoven Symphony No. 6 in F Major, Op. 68 "Pastoral"
リッカルド・ムーティ - トピック フィラデルフィア管弦楽団 2021年にリマスタリングされている。
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=GL5vYdoQDVY
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=ukLaRHsR8xE
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=ACsZDmTbjWw
第4楽章 https://www.youtube.com/watch?v=D5BYZryUE5U
第5楽章 https://www.youtube.com/watch?v=PU8XqjTQheU


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