ベルリオーズ 交響曲「イタリアのハロルド」「ロメオとジュリエット」

 ベルリオーズ 交響曲「イタリアのハロルド」 4部からなるヴィオラ独奏つき交響曲
Berlioz: Harold in Italy
チョン・ミュンフン パリ・バスティーユ管弦楽団 1994年
Myung-Whun Chung Orchestre de l'Opéra de la Bastille(Bastille Opera Orchestra)

1楽章 山におけるハロルド、憂愁、幸福と歓喜の情景 Harold aux montagnes
最初に聴いた時には、忙しく、テンデバラバラのような曲想で、ベルリオーズが躁状態で書き散らかしたかのような楽曲だなあって思っていた。交響曲ともヴィオラの協奏曲とも言われそうだが、交響曲「イタリアのハロルド」~ヴィオラ独奏付きの4楽章からなる交響曲~というのが正式だろう。山におけるハロルド(主人公の名前)の行動や心情が、ヴィオラに託されてテーマが演奏されているのだが、1楽章、最初は瞑想中のようだ。甘い旋律だが、もの悲しい雰囲気で、失恋しちゃったの?と問いかけたい感じ。まさにそうらしいが、ハープの音色がヴィオラの旋律により添ってくると慰めになったようで、明るい旋律に変わる。

ミュンフン盤は、イメージが膨らみやすく、劇付随音楽のようだ。ヴィオラが憂鬱そうな旋律を弾いている時に、バックが気持ちを引き立てるように幸福感あふれる旋律を奏でる。しかし、ちょっと妙に分離されているような気がする。両者に心情が交わってこない。バックはバック、ヴィオラはヴィオラという感じで呼応してこない。録音は、とてもクリアーだし奥行きも十分だ。 ヴィオラの音色が渋すぎなのかなあ。もっと前面に出てきてくれても良いが、弦が力強く、金管が、テンションがあがって舞い上がったようなパッセージを吹いていると、主人公が、ヴィオラだったということを忘れてしまう。

2楽章 夕べの祈りをうたう巡礼の行進 Marche des Pèlerins
まるで葬送の行進曲じゃん。 弦が、何度もよく似た旋律を奏でる。変奏曲のように、フレーズの合間に、「れー れー れー」と、鐘のように鳴らしている楽器はホルンだろう。巡礼の行進なのか、もの哀しい雰囲気が漂っている。何度も繰り返されるので、頭に染みついてくるのだが、半音上がり下りするフレーズで、穏やかなわりには落ち着かないフレーズが続く。ミュンフン盤は、絵画ミレーの「落ち穂拾い」のようなイメージで暗いっ。なんとも、 色合いが渋くて、希望を見いだしたいくせに、ちょと見いだせない。ヴィオラのハロルドは、お弔いにでも参加しているのだろうか。ヴィオラは、あまり主人公的な役回りではなく、行列の1人の参加者的役割になっている。平和的で、明るい色彩が漂っているのだが、インバル盤になると、もはや絶望的という感じになっていたように思う。

3楽章 アブルッツィの山人が、恋人に捧げるセレナーデ Sérénade
セレナードとあるが、冒頭はお祭だろう。すぐに終息して、いろんな楽器が登場してきて、祭りに参加してくる雰囲気だ。穏やかなセレナード的な雰囲気はあるが、こうなると、ますますヴィオラの影が薄くなる。チャイコの弦楽セレナードのように甘くとろけるような旋律ではなく、もっと複雑で、1対1の求愛のメッセージや告白をイメージしたセレナーデではない。村の小さな祭りに参加した人たちの恋のささやき風なのだ。ハロルドは、傍観者のような客観的な視点で描かれている。もっとも「イタリアのハロルド」の曲自体が渋い。主人公でありながら第三者的なんだもん。第一人称的なストーリー展開でないなら、なぜ、ヴィオラを主人公になぞらえたのやら、意図がイマイチわかりかねる。ヴィオラじゃなく、ヴァイオリンで良いのではないのかと思う。主人公にするならば、やっぱりヴァイオリンでしょうね。ヴィオラの妙に沈んだ旋律が、祭りに参加したくても入り込めず、いじけた主人公のような感じがする。失恋し、放浪してて、たまたまこの祭りに遭遇したらしいと解釈すれば、まあ、納得かも。

4楽章 山賊の饗宴、前の情景の追想 Orgie de brigands
次の楽章に至っては、山賊と格闘になって殺されちゃうという悲劇になる。 冒頭のシンバルは、何なんだろう・・・いきなり鉢合わせになって睨み合っているのかしらん。 で、命が危なくなってきて、頭の中で思い出が走馬燈のよう巡るってワケで、前楽章の回想があるのかもしれないね。幻想交響曲だと、断頭台への行進曲があり、ギロチンが落ちるシーンが描かれているのだが、 剣がバチバチと、やり合っているような、弦をこしげて弾いているフレーズがあり、金管が合わさって パンっ。と静まりかえった。やばっ やられたのかなあ。ここで、ご落命だったのかもしれない。でも、再度、弦と金管が、バチバチやっているので・・・戦闘は終わってないようだし。

チューバの音色を聴くと、「怒りの日」で、最後の審判かぁ~とイメージしてしまったのだが、どうも違うようで。う~ん。この楽章を何度か聴いたものの、どのフレーズで落命シーンが描かれているのか、未だ、はっきり判らず。静まりかえったところが、主人公の終焉なのだろうが、ラストは盛り上がって終わるしねえ。よく、わからないストーリーで、イメージが湧きません。
それにしても、何が面白くてこの曲を書いたのやら。ベルリオーズの意図が、よくワカリマセン。ヴィオラを主人公に当てはめて書いたら、結局、悲劇で終わるのかしらん。幻想交響曲の方が、ストーリー性や劇的効果が盛りだくさんで、面白いわ。とも思うし、 しかし、どっちもウジウジした内気そうな男を主人公に仕立てて、派手なオーケストレーションで化粧を施して、結局、悲劇的に終えるストーリーにしちゃうんだから。ベルリオーズさんは、皮肉屋さんと言いましょうか、諧謔的といいましょうか。


■ ベルリオーズ 交響曲「イタリアのハロルド」 4部からなるヴィオラ独奏つき交響曲
Berlioz: Harold in Italy
ジョン・エリオット・ガーディナー オルケストル・レボリューショネル・エ・ロマンティーク 1994年
John Eliot Gardiner Orchestre Révolutionnaire et Romantique
ヴィオラ:ジェラール・コセ Gérard Caussé
モンテベルディ合唱団

イタリアのハロルドは、なかなかに難しい。滋味なヴィオラが主人公だし、はっきりしない、ウジウジした男性が主人公のように思えて、イメージが悪い。ベルリオーズは、快活な楽曲が似合っているのに、なんでこんな曲を作ったのだろうと思ってしまう。しかし、改めて、この楽曲のことを、ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら、構想は、ジョージ・ゴードン・バイロンの長編詩「チャイルド・ハロルドの巡礼」の場面に着想を得ている。

1楽章で独奏ヴィオラが提示する「ハロルドの主題」は、「幻想交響曲」における「恋人の動機」(固定楽想)のように、全曲に形を変えて登場する。物語の舞台は、イタリアのアブルッツィ地方であるが、これは、ベルリオーズがローマ賞受賞でのイタリア滞在の際に訪れた地である。イタリアのハロルドは、1楽章ではヴィオラ独奏が活躍するが、楽章が進むにつれヴィオラの出番が少なくなってゆく特異な構成になっている。しかし、副題に「ヴィオラ独奏つきの交響曲」とあるように、1楽章はソナタ形式、2楽章は緩徐楽章、3楽章はスケルツォ楽章である。また、4楽章は、ベートーヴェンの第9交響曲を意識したかのように、それまでの楽章が断片的に回想されるフィナーレである。

バイロンさんの生涯も、ちょっと調べてみたけれど、イマイチ、ワタシ的には好きになれない放蕩オヤジのようで~うじうじ、はっきりしないのかどうかは、ともかく、楽曲の方も。う~ん。なんどか聴いたけれど、う~ん。「みぃ~どぉ ど ふぁ~し みぃ~そ しぃ~み どぉ~ しら~」というテーマの旋律だけではどうも。視覚情報がないと、ワタシのイメージは膨らまない。ガーディナー盤は、録音状態がとても良く、見通しも透明度も高い。
ゆったりとしつつも、明晰な線で描かれてているようには感じるのだが、聴き手のワタシ自身の、詩心がワカラナイというか、持続しないというか、せいぜい1楽章を聴いて、ほっとしてしまい、あとが、放心状態というか、眠気に誘われてしまうというか、何度聞いても、緊張感が続かないのである。ホント、スミマセン。どうも相性が悪いようで機会を見つけてチャレンジします。一応、ガーディナー盤のCDジャケットをご紹介しておくと、ターナーの絵画です。「チャイルド・ハロルドの巡礼-イタリア」Childe Harold's Pilgrimage. Italy 1832年 英国、テート美術館収蔵 大きくヘアピンカーブを描くように河が曲がっており、その見晴らしの良い高台で、楽器と舞踏するものを伴って、貴族がピクニックを楽しんでいるようです。


■ ベルリオーズ 交響曲「イタリアのハロルド」 4部からなるヴィオラ独奏つき交響曲
Berlioz: Harold in Italy
シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団 1987年
Charles Dutoit Orchestre Symphonique de Montreal (Montreal Symphony Orchestra)
ヴィオラ:ピンカス・ズーカーマン Pinchas Zukerman

ベルリオーズのイタリアのハロルドは、ツマラン曲だと思っていた。しかし、デュトワ盤で聴くと活気があり、歌うように奏でられ、結構、楽しく聴けたというのが率直な感想だ。以前は、ガーディナー盤で聴いたのだが、ウジウジした奴が登場人物だと思えちゃって嫌いになった。ミュンフン盤は、わりとイメージが膨らみやすく、劇付随音楽のようだと感じたが、結局のところ、よくわからないストーリーでイメージが湧かない。ってことで、ほぼ放置状態になってしまった。ストーリーは、解説にあるとおり、バイロンのチャイルド・ハロルドの巡礼って作品をモチーフに使ったようだ。ヴィオラのフレーズが、ハロルドの主題として登場してくるが、その主題が大変美しい。切々と、メランコリックに奏でられて優美だ。
デュトワさんの演奏で聴くと、男性の主人公というより、儚げな女性のようで。ゆったりと美しくフレージングおり、思わず聴き惚れてしまった。やっぱりデュトワは聴かせてくれる。ワタシのツボに、はまってしまった。さりげなく歌い、美しい色彩感あふれるオケだ。渋いヴィオラの音質を、バックがカラフルに彩り、映えさせようとしているのだ。音色はカラフルだし、華やかさが際だっている。また、フレーズが楽しげ。ワクワクした旋律で、これぞイタリア! 幻想交響曲を聴いているかのような雰囲気が出ており、まるで舞踏会シーンのように聞こえてくるのだ。これは、映える。いいっ。

また、2楽章は、夕べの祈祷を歌う巡礼の行列は、聴き惚れた。ホルンの音色の柔らかさ、距離感が感じられ、ホント、黄昏時、行列が通り過ぎているというシーンがみごとに描かれている。音の柔らかさ、音が移動しているようで、このオケの演奏している空気感が、黄昏シーンにピッタリとはまっている。3楽章は、愉快にのびやかに「みっみ れみふぁ みっみ れみふぁっ・・・」と、歌われ、舞曲の雰囲気がたっぷり描かれている。また、穏やかなセレナード主題となり、ホルンの雰囲気がアルプス風だし、ヴィオラのフレーズも美音だ。

4楽章は、1楽章の華やかさが巡ってくる。前楽章のテーマが巡ってくるし、ヴィオラは、確かに段々と活躍しなくなってしまう。まるで、客観視しているというか、主人公でありながら主人公になりきれないようなロマンチストなのか、アクティブさには欠けてて、思いだけが募るような、そんな主人公かもしれない。
でも、あまり鬱々とならず、デュトワ盤で聴くと、劇効果があり、華やか。幻想のように魔女は出てこないが、今度は山賊が活躍するというシーンなのだ。(なんだか聴いてて、さほど変わらないような気がするのだが・・・ 笑)前楽章のテーマをちりばめながら、巧く編集したものだと感心しちゃうし、ベルリオーズならではの華麗さが満喫できちゃう。デュトワ盤で聴いても、さほどスピード感はないのだが、ゆったりしつつも、華麗さは充分に味わえる。


■ ベルリオーズ 劇的交響曲「ロメオとジュリエット」
Berlioz: Roméo et Juliette
ジェームズ・レヴァイン ベルリン・フィル 1996年
James Levine Berliner Philharmoniker (Berlin Philharmonic Orchestra)
メゾ・ソプラノ:アンネ=ゾフィー・フォン・オッター
テノール:フィリップ・ラングリッジ
バス:ジェイムズ・モリス RIAS室内合唱団ルリオーズ 

ベルリオーズの劇的交響曲「ロメオとジュリエット(Roméo et Juliette)」は、1839年に作曲されています。大編成の楽曲で、オケに独唱、合唱付きです。最初に聴いたときは、オペラ、レクイエム、管弦楽曲、劇付随音楽のような感じで、フランス語の歌詞で、めんくらった。ベルリオーズって、ベートーヴェンのちょっと後の人だが、一足飛びに飛んだ斬新さ。今回はご紹介にとどめておくとして、レヴァイン盤のCDは2枚組で、ディスク1と2に分かれ、ロメオとジュリエットが、2枚目に歌曲集「夏の夜」が収録されている。ウィキペディア(Wikipedia)を元に、レヴァイン盤のインデックスにそってロメジュリを簡単に記述する。

◆ 第1部 イントロダクション 序奏部
1  争い、騒動、領主の仲裁 管弦楽のみで演奏される。モンタギュー家とキャピュレット家の対立を描くヴィオラの主題が、次々に他の楽器によって対位法的に受け継がれ、トゥッティに至るまで重ねあわされたのち、ホルン、トロンボーン、オフィクレイドによるユニゾンで奏される「領主の仲裁」(「威厳をもって、すぐに少し遅く、レチタティフ風に」)の音楽へと移るもの。

2  プロローグ コントラルトと小合唱「眠っていた古い憎しみが」
朗誦風の合唱が、物語のあらすじを語る。後に登場する「ロメオひとり」「キャピュレット家の饗宴」「愛の場面」の主要テーマが、木管と弦楽器によって提示されるもの。

3  ストロフ(詩節) コントラルト 「忘れようがない はじめての熱狂よ」
コントラルトが、ハープの伴奏とともに、ロメオとジュリエットの愛を、次の一節を含んだテクストを歌って讃える。「初恋よ、お前はどんなポエジーよりも高く舞い上がるのではないだろうか?あるいはお前は、人間の世界へ追放されたポエジーそのものではないのか、シェイクスピアひとりがその最高の秘密を知り、天国へ連れて行ってしまったポエジーでは?」

4  レシタティーフとスケルツェット テノールと小合唱 「まもなくロメオは物思いに沈みこんで」
テノールと小合唱「マブよ、夢のお遣い」 テノール・ソロが、幽玄な管弦楽法に乗って「夢の使いマブ」の悪戯を軽やかに歌うもの。小合唱「やがて死が統べ括り」では、合唱が、ロメオとジュリエットの死と、両家の和解を予言する。


◆ 第2部 ここから管弦楽のみです。
5  ロメオただ一人、哀しみ、遠くから聞こえてくる音楽会と舞踏会、キャピュレット家の饗宴 ヴァイオリンの半音階的な旋律によって開始され、幻想交響曲第3楽章「野の風景」とも通ずる、田園的な音楽によってロメオの孤独を描きます。「遠くから聞こえてくる音楽会と舞踏会」では、次の「饗宴」で繰り返されるリズム動機が、ティンパニーと、タンバリンの最弱音により繰り返されるもの。チェロのピツィカートによって伴奏されるオーボエ・ソロ、テンポを速め、キャピュレット家での「饗宴」の音楽が華やかに始まります。ヴァイオリンによって提示された主題は、「遠くから聞こえてくる音楽会と舞踏会」の主題と組み合わされる。

◆ 第3部 「愛の場面」 管弦楽のみ
6  静かに晴れた夜~音もなく人影もないキャピュレット家の庭~キャピュレット家の若者たちが、宴の間を出て、舞踏会の音楽を思い思いに口ずさみながら通り過ぎる。という場面です。饗宴の余韻を味わいながら家路を行く、キャピュレットの若者たちの口ずさむ歌。「それでは、キャピュレット家の方々、ごきげんよう 紳士諸君、さようなら!ああ、なんと素晴らしい夜」
愛の場面 交響曲全体の緩徐楽章に相当し、有名なバルコニーのシーンが管弦楽によって描かれる。息の長い主要主題がホルンとヴィオラのユニゾンにより提示され、レチタティーボ風の楽想や、自由な変奏を経ながら何度も現われ、次第に高揚していくもの。

◆ 第4部 「愛の妖精の女王マブ」 管弦楽のみです。
7  マブ女王または夢の妖精 スケルツォ
管弦楽法の創意工夫が顕著な、軽やかで急速なスケルツォ楽章です。

◆ 第5部 「ジュリエットの葬送」
1  キャピュレット家の合唱「花を撒け、みまかれる処女のために!」チェロによる長大なフガート主題が、他の楽器へと次々に受け継がれるもの。背後で、合唱が、ジュリエットの葬送を歌います。「永遠の眠りについた乙女のために花を撒け!われらが愛する妹を墓へ送ろう!」全体にわたってE音が、印象的に反復されるもの。

◆ 第6部 「キャピュレット家の墓地におけるロメオ」 管弦楽のみ。2  祈り、ジュリエットの目覚め、忘我の喜び、絶望、いまはの苦しみと愛しあう二人の死 激しく急速な楽想と、緊張感に静まりかえったような楽想とが、頻繁に移り変わり、サブタイトルに記された「忘我の喜び、絶望、いまはの苦しみと愛しあう二人の死」を描写します。クラリネットソロによる。調性感の希薄な断片的な旋律、フェルマータを伴う全休止が多用された、極めて劇的なコントラストに富んだ楽章です。

◆ 第7部  終曲
3  人々は墓地に駆けつける モンタギュー家の人々の合唱「何だと、ロメオが戻った。ロメオが!」金管楽器のフォルテと、弦楽器のピアニシモが同時に導入する特徴的な開始されます。モンタギュー家、キャピュレット家、両家の合唱が初めて同時に登場し、ロメオとジュリエット、二人の死に衝撃を受ける。

4  ロランス神父と合唱 「かわいそうな御子たちを悼んでわたしは泣く」
ロランス神父のレチタティーフとアリア ロランス神父と合唱「わたしが不思議をといて進ぜよう」ロランス神父が、許されない愛に苦しむジュリエットを助けるために薬を飲ませて、死を装ったこと、ジュリエットが亡くなったと勘違いしたロメオが傷心のあまり自ら命を絶ったこと、目を覚ましたジュリエットが後を追って旅立つこととなった顛末を説明するシーンです。「喧騒」の主題が合唱で歌われ、モンタギュー家、キャピュレット家は互いに罵倒しあいます。ロランス神父の祈り ロランス神父、合唱「黙りなさい」「黙りなさい。あれほどの愛を前に、激しい憎悪をぶつけ合うとは」というロランス神父の声をきっかけに両家の合唱は和解のトーンを見せます。そして、二人の愛の奇跡を讃え合い、その「運命に涙せずにはいられない」と歌うもの。

5  和解の誓い ロランス神父と合唱:「では誓いなさい。神聖な御印にかけて」
最後に「両家は未来永劫にわたって、愛と友情の絆を結ぶ」と誓う。「我々は金輪際、遺恨を捨て、永遠の友誼を、皆で誓い合うのだ!」と。ここでは、小合唱(3声)、キャピュレット家の合唱(3声)、モンタギュー家の合唱(3声)、計9声の合唱、ロランス神父、管弦楽が加わり、荘厳な音響をもって、全曲を結びます。

声楽が用いられるのは、第1部と第4部の「ジュリエットの葬送」およびフィナーレで、残りの部分は、自由に情景を取捨選択し、標題音楽として、器楽のみで表現されています。声楽が用いられる際も、ロメオ役、ジュリエット役、といった中心的な登場人物は登場せず、物語の語り手を兼ねる小規模の合唱、コントラルト、テノール、キャピュレット家とモンタギュー家の大規模な合唱、ロランス神父、といった周辺的な人々の視点を交えながら音楽は進行していくもの。斬新な管弦楽法は、特に、第4部「マブの女王のスケルツォ」で、名人芸的なパッセージを、ナチュラル・ホルンに要求しています。また、前衛性が際立っている部分としては、第6部「キャピュレット家の墓地におけるロメオ」で、フェルマータを伴った全休譜による頻繁な休止、一時的に無調を思わせるかのような和声、強弱の突発的な変化、断片的で意外性に富んだ構成など、当時としては実験的ともいえる響きが頻発します。全部で、7つに分かれており、演奏時間は、約93分です。



ベルリオーズ 交響曲イタリアのハロルド
1987年 デュトワ ズーカーマン モントリオール響 Dec ★★★★★
1988年 インバル バシュメト フランクフルト放送響 De 未聴
1994年 ガーディナー ORR Ph ★★★ 未聴
1994年 ミュンフン ヴェルネイ パリ・バスティーユ管 G ★★★

ベルリオーズ 劇的交響曲「ロメオとジュリエット」
1985年 デュトワ モントリオール交響楽団 Dec 未聴
1995年 ガーディナー ORR Ph 未聴
1996年 レヴァイン ベルリン・フィル G ★★★

ベルリオーズの「イタリアのハロルド」(作品16)は、1834年に作曲されています。ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、4部からなるヴィオラ独奏付きの交響曲ですが、第1楽章では、ヴィオラのソロが活躍するもののの、楽章が進むにつれて、ヴィオラの出番が少なくなってゆくという構成になっています。しかし、副題に「ヴィオラ独奏つきの交響曲」とあるように、第1楽章はソナタ形式、第2楽章は緩徐楽章、第3楽章はスケルツォ楽章です。第4楽章は、それまでの楽章が断片的に回想されるフィナーレとなっています。第1楽章で提示される「ハロルドの主題」が全楽章に登場し、主人公を描写するというアイデアは、幻想交響曲でも試みられた「イデー・フィクス」(固定楽想)と呼ばれる手法です。

第1楽章「山におけるハロルド、憂愁、幸福と歓喜の場面」ト長調
ゆっくりした序奏と、ソナタ形式による活気あるアレグロ主部からなり、ハロルドのメランコリックでもあり、快活な複雑な気分が表されるもの。
第2楽章「夕べの祈祷を歌う巡礼の行列」ホ長調
ハロルドはたそがれ時、巡礼の一行が山の小さな教会で讃歌を歌い、通り過ぎていくのを眺めている。
第3楽章「アブルッチの山人が、その愛人によせるセレナード」ハ長調
舞曲的な性格の楽章で、毎年クリスマスの頃、アルブッチの山中からローマにやってくる牧童が吹奏する民謡を転用しています。
第4楽章「山賊の饗宴、前後の追想」ト短調
山賊の乱痴気騒ぎの合間に前3つの楽章の主題が回想され、ハロルドは山賊の手にかかって命を落とす。最期は、山賊の主題が荒れ狂ってフィナーレとなるもので、独奏ヴィオラは、登場しなくなってしまう。この構想は、バイロンの長編詩「チャイルド・ハロルドの巡礼」の場面に着想を得ているそうです。

 

YouTubeでの視聴

交響曲「イタリアのハロルド」
Berlioz: Harold en Italie, Op.16
Laurent Verney - トピック   ミュンフン パリ・バスティーユ管
Provided to YouTube by Universal Music Group
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=FKP_p_FdAR0
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=GyF-T54sWYU
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=4IvVSQjofD8
第4楽章 https://www.youtube.com/watch?v=vEh1_QGZOyk

Berlioz: Harold en Italie, Op. 16
ピンカス・ズーカーマン - トピック  デュトワ ズーカーマン モントリオール響
Provided to YouTube by Universal Music Group
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=mYkcrXGv0hc
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=hjtRV4gVKcI
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=jdcLwi6zbns
第4楽章 https://www.youtube.com/watch?v=l1cwWrqh67g


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