ブルックナー 交響曲第1番、2番 Bruckner: Symphony No.1&2

 ブルックナー 交響曲第1番
Bruckner: Symphony No.1
ヴォルフガング・サヴァリッシュ  バイエルン国立歌劇場管弦楽団 1984年
Wolfgang Sawallisch Bayerische Staatsorchester(Bavarian State Orchestra)

サヴァリッシュの演奏は、録音状態は残響が多めだが、パワーが炸裂し鳴りっぷりもみごと。熱い演奏だ。ブルックナーの初期の楽曲は馴染みが少ないない。演奏会でも、ブルックナー・チクルスとして順番に演奏される頻度が高くなっているようだが、作曲した順に並び替えると交響曲ヘ短調(00番)→1番→0番→2番である。
で、今回は1番を聴いたが、第3楽章のスケルツォが好き。1楽章は長く冗長すぎるの嫌いがある。弱音で行進曲が始まり、細かい動きが密集し、弦のトレモロが、テンポを変えて進む。変わり身が激しく、金管も短く吹かれたり長めのフレーズを吹いたりして登場する。旋律美で聴かせる楽曲ではなく、リズムの変化に聴き慣れないと、ジグソーパズルのピースが、目の前に転がっているだけで終わってしまいそう。

第2楽章は、フルートが3本使われており、穏やかなアダージョの楽章である。サヴァリッシュ盤で聴くと、色彩的に光を感じられ、響きの柔らかさや優しさを感じるものとなっている。断片的な構成なので、ワタシ的にはとっつきづらい楽章だ。
第3楽章は、スケルツォの楽章として、唐突に、らららら らららら らったった たたた・・・と出てくる。勢いがあり、鳴りっぷりも良く豪勢だ。同じフレーズが何度も繰り返され、粗野で原始的だが、インパクトのある金管の咆吼リズムが、癖になりそうな気配だ。サヴァリッシュの演奏は、広い空間に、品よく粗野に荒々しく響き渡っている。そう~品良く荒々しく鳴り響くのだ。優しい響きで丸い響きであるところに特徴がある。

第4楽章は、分厚い金管の響きで始まる。スコアには「運動的に、火のように」と書かれてあるそうだが、まあ、確かに。太く力強い金管フレーズから、軽やかで繊細な弦のフレーズに移るところが、スムーズで流麗。この変わり身の素早さと柔らかさが、まろやかで均質的に整えられている。無骨にメラメラ、ボウボウと火柱が立っているわけではない。色彩的で、華麗さが加わっている。かなり力づくで、強引に頂点に持って行く楽曲だと思うが、この演奏は、音に濁りがなく、ひたむきで清潔で柔らかく、心情的に落ち着きが感じられる。第3楽章と同様に、品の良い無骨さで、なかなか、こんな演奏は見られない(聴けない)かもしれない。下手をしたら異様な楽曲だと烙印を押されかねない曲だと思っているが、サヴァリッシュの演奏は、危ういバランスが美しい。灰汁の強さはそのままに、微妙なバランスでとどまっている。一点の曇りもない~って感じの透明度の高さ、ササクレ感の少ない流麗さでもって、一気に聞かせてくれる演奏で、素晴らしい。


 ブルックナー 交響曲第2番
Bruckner: Symphony No.2
ゲオルク・ショルティ シカゴ交響楽団 1991年
Georg Solti Chicago Symphony Orchestra ノヴァーク版

ショルティの演奏は、メリハリがあって機能的だ。普段は、ブルックナーの4番以降の交響曲ばかりを聴いている。最近、0番など若い番号の演奏会も増えてきたようだ。ブルックナーが好きだという方は、特に男性陣に多いように思う。2番は、牧歌的で優しい楽曲だが、何が言いたいのか簡潔に書い欲しい気分になる。要点の絞れていない報告書を読んでいるようで、まどろっこしい。執拗さが見えてきて、うぷぷ。あまり熱心なブルックナーのファンではないので、特有の改訂についてはスルーしようと思う。
で、ショルティの演奏は勢いがあり、チンタラしたものではないと想定したが、面白く聴けたのは2楽章と3楽章だった。1楽章は、付点のついた金管のパッセージがしつこい。トランペットの3連音符と付点による信号風リズムが現れて、オスティナートを形作るのだが、どう聴いてもしつこい。オスティナートっていうのは、ウィキペディア(Wikipedia)から引用させていただくと、ある種の音楽的なパターンを続けて何度も繰り返す事をさす。ostinato(伊) は obstinate(英)と語源を一にし、「がんこな、執拗な」という意味である。文字通り。納得。

第2楽章は、ウィキペディア(Wikipedia)によると、法悦的な音楽で、後の長大なアダージョの萌芽がここにあると記載されている。弦のオルガン風な響きに導かれ、第1ヴァイオリンが柔和に主題を奏で、対位法的に進む。また、ブルックナー自身の「ミサ曲ヘ短調」から「ベネディクトゥス」が、第4楽章では「キリエ」の主題が引用されているそうだが、ワタシは未聴だ。ヴァイオリンで奏でられるフレーズは大変美しい。後年のアダージョの楽章へと発展しているのかもしれない。しかし、トゥッティになるまでが、やっぱり、少しだれる。

第3楽章は、スケルツォの楽章で、金管が大活躍する。煌びやかで華やかな金管の音が聞こえ、残響が綺麗に残る。ショルティの演奏は、録音状態が良いし倍音が美しい。金管の和音のなかで、弦が奏でられており、キビキビした機能的で勇壮な演奏で、大変気持ちの良いものだった。
第4楽章は、ところどころゼネラルパウゼ(全休止)が現れ、場面転換が行われる。また、信号風のパッセージが執拗に奏でられる。ショルティの演奏は、小気味のよいスピードで爽快に進む。小股の切れ上がった洗練されたスピード感あふれる演奏だ。異なった性格の主題を休止で繋ぎ、執拗な信号パッセージの繰り返しに耐えるには、キレ良く快速で飛ばす、そんな勢いが欲しいと思う。聞き慣れていない耳には、執拗な繰り返しは、やはり修行に近いものだと思うので、最初に聴くには良いのではないだろうか。



ブルックナー 交響曲第1番
1984年 サヴァリッシュ バイエルン国立歌劇場管弦楽団 ORFEO ★★★★★

ブルックナー 交響曲第2番
1991年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec ★★★★


◆ ブルックナーの交響曲第1番(ハ短調)は、ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、1866年に最初の稿が完成しており、リンツ稿(版)と一般的に言われます。その後、何度か改訂され、24年後の1890年の全面改訂されたのは、ウィーン稿(版)と言われます。初期の作曲順は、交響曲ヘ短調(00番)→1番→0番→2番です。

第1楽章 ハ短調 4/4拍子 ソナタ形式
低弦に刻まれた行進曲風のリズムにヴァイオリンが第1主題を、木管による経過を経て変ホ長調の第2主題、第2ヴァイオリン、チェロとホルン、クラリネットへ受け継がれ経過部へ、その頂点で第3主題がトロンボーンで提示されます。
断片が木管へ受け継がれると、一時鎮まって提示部が終わり、管が第3主題を繰り替えて展開部へ。フルート、ヴィオラ、クラリネットが力を弱めて第1主題を奏でます。何度も盛り上がったり、鎮まったり~ (あとは省略)

第2楽章 変イ長調 4/4拍子 A-B-C-A-B 3部形式
低弦音から始まる主要主題は穏やかなもので、ホルン、弦によって対位法的に進行します。フルートによる経過句の後、ヴィオラのアルペジオ、ヴァイオリンによる副主題、中間部は変ホ長調 3/4拍子で、ヴァイオリンによる中間主題。
主部の再現、コーダでは頂点で金管が荘厳に響き、弦に副主題が現れるもの。この楽章のみフルートが3本で活躍し、ファゴットに「旋律らしい旋律」が現れるとのこと。

第3楽章 ト短調 3/4拍子 3部形式
スケルツォの楽章で、トリオはト長調で速度を落とし、ヴァイオリンのスタッカートの動きを伴ってホルンにより主題が出るものです。

第4楽章 ハ短調 4/4拍子 ソナタ形式
16分音符の細かい動きが多用され、金管楽器やティンパニも重要な活躍を見せる楽章です。「運動的に、火のように」と指定され、冒頭から激烈な性格の第1主題が、ヴァイオリンとチェロに第2主題が現れます。コラール風の第3主題、経過部、展開部となります。木管と弦に金管が加わり、徐々に激しさを増してファンファーレ風の移行句をへて再現部へ。第1主題は変形され、ヴァイオリンの第2主題、第3主題、高揚が鎮まると曲はコーダへ。木管中心に第1主題の動機を、金管が第1主題の変形を、激烈に盛り上がって頂点へ。第1主題の断片が力強く奏されるなか、ハ長調に転調して全曲を締めくくります。


◆ ブルックナーの交響曲第2番(ハ短調)は、最初、1872年に作曲されています。ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら、1876年に改訂されて、また、その翌年にも大幅改訂されており、出版する際にも改訂されているようです。

第1楽章 ハ短調 4/4拍子 ソナタ形式
ヴァイオリン、ヴィオラのトレモロの中から、チェロが第1主題を奏で、ヴァイオリン、トランペットの3連音符等の信号が。第1主題が発展し、弱まると、ティンパニーが叩かれ、 休止を挟んで第2主題へ。ヴァイオリンの浮遊するような音型で、チェロが第2主題を提示します。第3主題は、オスティナートの伴奏の上に提示。

金管が、付点リズムの信号動機を奏して頂点をつくり、オーボエ、クラリネット、 ファゴットの小結尾。休止の後、ヴィオラのトレモロが現れ、展開部は主に第1主題を扱いながら高揚し、第3主題の伴奏の音型、第2主題も加わえて、休止の後、再現部へ コーダは、低弦の第1主題の断片を。信号動機が加わってクライマックスを作って、 静まってからチェロが第1主題を、ファゴットとフルートに導かれて、また頂点を作って曲は終わるもの。

第2楽章 (キャラガン1872年稿では第3楽章) 変イ長調 4/4拍子
ロンド形式(A-B-A-B-A-Coda)「荘重に、いくぶん運動的に」と書き加えられた法悦的で妖艶な音楽で、後の最大のアダージョ作曲家の萌芽がここにあるそうです。弦のオルガン風な響きに導かれて、第1ヴァイオリンが、主要主題を奏で、対位法的に進み、木管、ヴァイオリン、ヴィオラ、ファゴットも加わると、半小節の休止があります。副主題が、弦のピッツィカートの上にホルンで現れ、主要主題が回帰してきます。クライマックスのあと、コーダとなり、主要主題を扱いながら曲は静かに結ばれるもの。

第3楽章 (キャラガン1872年稿では第2楽章) ハ短調 3/4拍子 三部形式
スケルツォの楽章で、トランペットとトロンボーンを除いた全楽器で、スケルツォ主題が強烈に提示されます。トリオは、レントラー風なもので、 ヴァイオリンによるトレモロのうえで、ヴィオラが主題を奏します。

第4楽章 ハ短調 2/2拍子 ソナタ形式
長い楽章で、第3主題以降がとても長いもの。弦の刻みに木管が絡む導入で、金管が加わり大きく膨らみます。金管が短く緊張したあと第1主題が奏され、提示部へ。信号風のパッセージと「運命」の動機は、この楽章中の至る所で登場するもの。経過句を経て、弦に明るい第2主題が現れ、第3主題が現れて、信号風のパッセージを伴い「運命」 の動機も奏されます。短い休止を挟んで、静かにコデッタ旋律を奏で、展開部へ。第2主題の再現途中から、悲劇的な性格を帯び始め、信号風のパッセージが力強く吹かれます。低弦にコラール風の旋律が静かに奏でられたり、トランペットがコラール風の旋律を静かに吹かれたりしながら進み、弦の不安定な刻みが奏され、金管に受継がれて速度を落とすと、コーダとなります。版で、かなり構成が変わるので、ここでは書き切れません。ややこしいので、ど素人のワタシは、聴く機会を設けるだけで精一杯で、詮索する気がありません。ご了承ください。(謝)


 

YouTubeでの視聴


ブルックナー 交響曲第1番
Symphony No. 1 in C Minor, WAB 101 (1877 Linz Version, ed. R. Haas)
バイエルン国立管弦楽団 - トピック サヴァリッシュ バイエルン国立歌劇場管弦楽団
Bavarian State Orchestra - Topic
Provided to YouTube by NAXOS of America
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=mPKUjx2-O6M
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=0CbscpnPKZs
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=huzFSjZNuhI
第4楽章 https://www.youtube.com/watch?v=OglZnen2D1o


ブルックナー 交響曲第2番
Bruckner: Symphony No. 2 In C Minor, WAB 102
シカゴ交響楽団 - トピック  ショルティ シカゴ響
Provided to YouTube by Universal Music Group
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=1wUAHSN5OL8
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=nnUPqTR67Hw
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=kcUwU23uTjM
第4楽章 https://www.youtube.com/watch?v=vj_ANtp4iMs


ページトップに戻る