「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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ブルックナー 交響曲第8番
Bruckner: Symphony No.8


テンシュテット ロンドン・フィル 1982年
Klaus Tennstedt    London Philharmonic Orchestra

ひぇーぇぇ〜

録音状態は、まずまず。キリキリした緊張感と、荒野を彷徨う魂のようで、これでは、とっても天国には行けません。追いつめられて、崖から突き落とされた気分・・・。
(ノーヴァク版)
1楽章
テンポは、ゆったりしているが、幾分、神経質って感じのキリキリした緊張感の漂う演奏となっている。
「ソソソソ・・・・ それ〜ど みれ ふぁ〜 みー みふぁっ らっしどぉ そ〜ふぁみれ どど れれ〜ど」
低弦の厳しい音が鳴ってきて、ふわっとした感覚が無く、げっ 冒頭から、このキリキリ感で行くのかあ。と、ちょっと引いてしまった。
鋭敏というか、鋭さがあって、擦れた声で呻くように始まっている。ヴァイオリンのフレーズが始まると、また一層激しく緊張感が高まり、ひーっ シンドイ。
ワタシ的には、ちょっと間の抜けた、ふわっとしたフレージングの方が、よいかもしれないなあ〜っと思うぐらい、ちょっとアプローチ的には、殺気だった感じがする。不気味さが出て、何事が始まるのか、と恐れてしまった。
そのくせ、演奏自体は、どこかアンサンブルがタイトではないというか、パーツがしっかり詰まっていないというか、引き締まっていない感じがするので、なーんか変な感じだ。
それに、なーんか、劇的に振りたいのかしらん。って感じのする場面もあって、よく解らないのである。

まっ ワタシ自身は、テンシュテットさんの強烈なファンってわけではないが、テンちゃんって、すごく怖いんである。何気ないフレーズがピリピリしてて、ホラーみたいで、青ざめてしまう感じだ。
楽器の使い方が、ティンパニーなんぞ、タイトな響きでガツンっと入ってくるし、金管のフレーズも、ふわっとした空気感が無く、おっそろしいストレートな感じで、厳しい、割れ音的に出てくる。
弦も、なかなかに厳しいし軋み感を醸し出す。
録音状態が、さほど良いわけではないので、叩きつけられた音が、余韻なく、狭いところで響いており、音質が硬めで、柔らかくなく、キーっとした絞り出した音だ。う〜ん。このセッションした時の空気感なのかもしれないが・・・ どーして、こう突き詰めた感じのブルックナーになるんだろ。
繰り返して、何度か聴いてみたが、う〜ん。ちょっとシンドイ。
ブルックナーには、やっぱ残響が欲しい気がする。

2楽章
「れっ ふぁそら ふぁ れっ ふぁそら ふぁ れっ ふぁしどどれ・・・」っていうフレーズが続くが、 余裕がないっていうか急かされて出てくる。前につんのめってくる感じがあって、テンポをあげてくる。
どーして、こんな余裕なく、フレーズを繰り出してくるんだろう。
金管なんぞ可愛そうに、最後の一音を吹いている暇を与えられず、「れ〜みふぁらふぁ れ〜みふぁ らふぁ」「っ れどしらそ っ れどしらそっ・・・」「ん〜タタ タタっ」というフレーズから、音がこぼれ落ちてしまいそうになっている。
フルートのフレーズになると、ほっとするし、ホルンの奥からの響きは柔らかいのだが、駆け足で、せっかちに、あっという間に過ぎ去って、また強烈な前につんのめっていく感じがする。
弦の悲痛な落ち方といい、テンポを速めにして、せっついた切迫感は、感覚的に良いものではない。
どこか、暗くて乾いているくせに、じめっとした感覚があり、繰り出しの速さ、押し出しの強さ、バババ バババっと、音を散らかして、そして、音が勝手に落ちていく感じがする。
音と積み重ねて構築していくというよりは、音が壊れて、崩壊するような〜
う〜ん。そんな感じを受けるなあ。
他盤でも、こんな感覚になったことがあるが、テンシュテットさんにとっては、いつものとおりって感じで、さらり〜って演奏されているようにも感じる。う〜ん。困ったなあ。

3楽章
大変美しい筈の楽章だが、柔らかい和音というよりも、擦れて痛々しい感じを受ける。
怪我をして、倒れそうになった兵士のようにも感じるし〜 冷たさが感じられて、う〜ん。
悲惨な感じさえする。
確かに「し〜ど〜れ〜れ み〜ふぁ〜そ〜ら〜どぉ〜」という上昇の音が奏でられているのだが、とっても天使の待つ天国行きという雰囲気ではない。
傷つき、倒れそうになりながら、朦朧として歩みを進めているような・・・ 目がうつろなんである。
ハープの音も入ってはくるのだが、あー なんて痛々しいんだろう。
まるで、八甲田山死の彷徨みたいな映像が浮かぶ。こりゃ、どひゃーん。である。とんでもない世界だ。
いつものブルックナーの美しい、神々しい、天国行き切符は、どこへ、いってしまったのだ。
荒野を彷徨う魂なのか、傷ついた兵士なのか、あらら〜 これには参りました。
まるで別世界の、荒れた土塊のような、荒野をさまよい、もう耐えられません。
どうぞ神さま、ワタクシに死を。って感じだ。あーあっ。息も絶え絶えに、果てには死が待っていますという世界観が描かれている。もはや死しか感じられない、カタルシス感だ。

4楽章
「そっそそそっ そぉぉ〜 しっしぃ〜 どっれ〜みぃ〜れっ みっれ みっし そぉ〜っ そっ ふぁっそらぁ〜」
この楽章は、もう凄い、うってかわって生き返って、バリバリいってくる。
髪の毛が逆立ちしてて、怒った神々がシコを踏んでいるかのようだ。
重低音の響きは、まずまず力強く感じられるが、粗野で、荒々しい。
で、間に、美しいフレーズが入ってくるのだが、このフレーズは、擦れて、疲れ果てて、あまり美しくないのである。主題の変わり身 主題のギャップに、ころり〜と行かれてしまうのが、ブルックナーの面白いところだが、金管のフレーズで、ぱぱぱぱっ パパパっっと、パパパぁ〜〜っと鳴ってきて、スゴミはあるが、ヴァイオリンの高音域やフルートの響きは、どこか野暮ったいし、緩く感じられる。

で、荒々しさだけがインパクトあるものに聞こえてくるため、すっぽりと、時空間に、隙間が空いてしまう。
和音の美しい重なりが、あまり見えてこないのは、どうしてだろう。
勢いはあるし、攻撃的で、とっても鼻息が荒い。
テンションだけ高く、エネルギーは全開で、ぶっ放されているものの、カタルシス的な美しいフレーズには、う〜ん。これでは感情移入ができないですねえ。
それどころか、うるっとくるような、潤い感のない世界は皆無で、ざっくりとえぐられた穴に追い込まれて、落ちた気分になる。

決して、ザッハリッヒな、無機質的な演奏ではないのだが、ある意味、正反対の世界が描かれている。
天上の世界を描いているのか、地獄絵巻を描いているのか、テンシュテット盤で聴くと、この2つの世界は、ほとんど紙一重なんだと諭されているみたいで〜 ドヒャンなのである。
ワタシ的には。とても厳しい、切り崩した崖っぷちに立っているかのような気分で、さあ〜飛び降りろぉ〜と追い込まれてしまう。(きっと、人間できてないからだわ・・・と思いつつも)
このプレッシャーに耐えかねて、頭を抱えて、ぎゃーおーっと叫び、崖から飛び降りたくなるんである。
う〜ん。これほどの荒野では、涙も出ません。
殺伐としてて、やっぱ、テンちゃんは、容赦なく迫ってきて、どうかご勘弁を。と言うのに、ワタシを崖から突き落としてしまいます。やっ やっぱり、怖いですねえ。
凄い独特の世界が広がっており、まるで地獄で、生け贄に捧げられるのを待っているかのような気分。

ジュリーニ ウィーン・フィル 1984年
Carlo Maria Giulini  Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)

はぁ?   さっぱりワカラン    もはや〜これまで。

録音状態はイマイチ。すかっとしない。カスカス感があり、超遅めの演奏で、2枚組となっている。緩楽章は良いのだが、しかし・・・ もはや限界を超えた感じ。ノヴァーク版
1楽章
「そぉ〜〜〜  そらぁ〜どぉみぃ〜れ ふぁ〜みれら〜 (ら〜み〜)」
  「みっふぁ〜 ふぁらぁ〜 しどぉ〜しどれぇ (そぉ〜ふぁみみ)
ジュリーニ盤は、いまいち録音状態が良くない。木管の音も、甲高いというか音が浮いているような感じで、場違いな音なのだ。金管だけが、どっと飛び出して、はぁ?
なんだかオケのバランスが悪いのだ。ライブ盤? 違うよねえ〜 ホールトーンが、あまり感じず、薄い。

それに、超遅いフレージングとなっており、なんだか別の曲を聞いているかのような感じで〜 晩年の遅さが表出し出した頃なんだろう。
ヴァントさんの演奏のようなタイトな演奏も、ちょっぴりツライ時があるが、う〜ん。ジュリーニ盤を聴いているうちに、あのタイトな演奏の方が、懐かしく思えたりする。相当に、ワタシも天の邪鬼だが、そう思ってしまったのは事実である。
まあ、すごいゆったり〜 巨匠風の演奏で、粘りに粘るというか〜 長い。だから・・・CD2枚組になっているのである。
う〜 ごめんなさい。ワタシには遅すぎて、ちょっと耐えがたい。
ティンパニーの間の抜けた叩きで、頂点を迎えるのだが、足腰の弱いおじいちゃんが、よろよろ〜 階段を上っていくような感じに思えて、頂上にて倒れないかと心配しちゃうほど。ちょっとツライ。

2楽章
「れっ ふぁそらふぁ れっ ふぁそらふぁ れっ らしどそ らっ」
「どしらしど どしらしど れどしどれ れどしどれ みれどれみっ」
なんとも遅いので、浮遊感ってものはないし、残響の美しさというより、音が、しゃちこばって置いて行かれる感じで、あまりまろやかに、推進していくという感じはない。
フレージングの流れる美しさが消えてしまっており、よどみはないが、音が1つ1つ落ちていくような感じがする。
で、木管の音色が、どうもワタシには合わない。耳に障る。
もっと軽やかに〜と思うが、これが、晩年のジュリーニさんの特徴だからねぇ。
音の絡みつくような、ねっとりした感じが少なく、まろやかに音がハーモニーを描き出せていない。
音が単体で、パラパラと存在しており、置かれて描かれているような感じだ。
そうだな〜 パレットに絵の具を出して、綺麗に混ぜて使っておらず、単体の各色を、そのままキャンパスに塗って絵を描いているかのような感じだ。音の混じった美しい響きは、どこへ行ったのだろう。
う〜ん これが、レコード・アカデミー賞受賞しているんだが、ワタシ的には、うそでしょ〜って感じだ。

3楽章
ここだけは〜 う〜ん 絶句。遅いのがさらに遅い。
テンポの遅いのが生きているというか、ここだけ別格で、天上世界が描かれており。うっとり〜どっぷり〜
ただ、音質が割れているような、音が裏返っているような、音が丸く球体のように、ふわっと浮いているかのような響きがないので、そこがもったいないかな。とは思う。
退廃的な香りのする、デカダンな巣窟のような、夢幻の世界かもしれない。
でも・・・。
やっぱりワタシ的には、間が持たないというか〜 退屈しますねえ。どうしてなのだろう。
音の持続がないからかもしれないのだが、あまり美しいとは思えない。音の消え入りそうなところが、儚さを感じるのだが、ワタシの今日の体調が許さないのだろうか。
超・・・イライラしちゃう。
弦の響きが、ワタシの耳には高い〜 高すぎて落ち着かないというか、きっと、耳が悪いんだと思うが、オーボエの音や弦の音が、浮いているというか、飛び出ててバランスが悪いように思う。
シックに、落ち着いた色彩ではない、カラフル過ぎなのかな〜 どうも、美を感じないし、これだけ遅いと限界をもはや超えているし〜 単なるワタシの好みだと思うが、凡人のワタシには、もう無理です・・・。スミマセン。

4楽章
「そぉぉ〜 しっしぃ〜 どぉ〜れ〜れっどれし そぉ〜 そっそふぁそ らぁ〜」
チューバの音と、タラン タラン タランと奏でていく弦のフレーズ
ティンパニーのドロン ドロンっと鈍い音で叩かれており、   金管の咆吼が、音割れた感じと、ばらけて縦線がずれている。
で、力任せに、バンバンバンバン・・・と行進して、金管パワーが炸裂する。
なんか、単純な曲そのもの〜という演出で、ちょっと、引いてしまった。
その後、緩やかになる場面、「らぁ〜 し〜れ どふぁみっ れぇ〜ど し〜ら そら れ」 というフレーズからは、やっぱ美しい世界が描かれている。
立派な4楽章には聞こえるが〜 音の響きが、カスカスしてて、ホール感が少なく、とっても聞きづらい。
総体的には、1楽章から続けて聴くには、限界を超えているというか〜 これでは普通には聴けない。

それに、ホントに、これウィーン・フィルって感じで、演奏している方も疲れてません? 限界超えてると思うし〜 響きに厚みが感じられず、もはや〜 疲れしか感じない。聴いている方も体力持ちません。
縦、横線の密度も、もろい感じがするし、最後は、もう崩壊状態で、疲労感しか残らない。
この曲を良いという方は、3楽章しか聴いてないなど、ピックアップしているのでは?
ワタシ個人の意見ではあるが、録音状態が悪いし、メリハリのない密度の薄い、響きを感じることができず、しまりのない冗長な音楽に、聞こえなくもない。ワタシ的には。とんでもト盤だと思っちゃいました〜 スミマセン・・・

レーグナー ベルリン放送楽団 1985年
Heinz Rögner    Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin
(Berlin Radio Symphony Orchestra)

いかすぜっ

録音状態は良い。テンポは快速で、驚かされてしまうが、聴いているうちに、柔らかい残響があり、すっきり見通しが良く、とっつきやすい感じがしてくる。(ハース版)

1楽章
レーグナー盤は、メチャンコ速い。快速、快速っ!
しかし、解りやすいというか、とっつきやすいというか、すかっとした軽快なマシーンのようで、痛快である。
ブルックナーは、かくあるべき という感じの方には、向かないと思うけれど〜
解りづらい。重くて、かったるい。なんだか、ケッタイな長大な曲だ。と思うならば、一度お聞きになっても良いかな。と、ワタシテキには思う。ブルックナーの曲は、聴くことも増えてはいるけれど、長大すぎるのと、同じフレーズが続いて、鬱陶しいという気にもなってしまうのだ。
他の盤を買って聴いてみたものの、なーんだか肌に合わないってこともある。
ひとことで言うと、やっぱ、解りづらいということだが、正直言って、他の盤で、う〜ん。なんだか言いたいことがワカラン。という時には、ワタシは、このレーグナー盤を聴いてみることにしている。

確かに、スピードは速め。しかし、透明度も高い録音だし、スカスカした音ではなく、音響は良い。
教会で録音したのかな〜という、奥行き感と、柔らかい響きがある。
で、フレーズは、レースのような軽さを持ちながら、スカスカした音ではないし、幾重にも重なった音のフレーズが、適度に間引かれているというか、見通しが良いのである。
多分、重厚で恐ろしく響く金管の響きが、少し明るめで、軽いのが、良い方向に働いたような気がする。

うぷぷ〜っとなるような、長大で重いブルックナーの交響曲。
何が言いたいのか、よくワカラン。と言いたくなるような、かったるさ。鬱陶しなあ〜 ハッキリ言って欲しいなあ〜と、まどろっこしい感じが少ないのが、レーグナー盤だと思う。
その意味では、超初心者向けだと思うし、若い人向け。とも言える。
でも、超苦手で、1度聴いただけで、もう聴かない〜というよりは、聴く方が良いワケで〜 なんだか初心者向けのような気がするけれど、とっかかりに聴くには、また、耳を洗う場合には、ワタシ的にはお薦めである。久々にブルックナーを聴こうかな。という時には、取り出して聴いてみる。
で、他の盤に手を伸ばして、浮気をしていくんだけどね。決して、これが決定盤です。とは言えないけど。
でも、親しみやすいのだ。

特に、2楽章は、スケルツォになっているけれど、これが超速い。
まあ、イワユル、空を飛ぶ飛行機に例えると〜 グライダーなみに軽量級。
快速で、しゅる〜っと、さぁ〜っと通り過ぎてしまうような面白みがある。
えっ これが面白いか。って思う人もいるかも知れないけど、ン チャチャチャチャ〜 ン チャチャチャチャ〜 と、同じリズムを刻まれていくなか、印象に刻まれ、残像のように耳に残り、この楽章が面白いと思うことに繋がるわけで、この速さは、一種の中毒になってしまうわけである。
「ん〜 チャララッタ  ん〜 ちゃら らら ん〜チャラ ララ・・・」と、延々と続くのだが、今時、この音型で、1つの楽章ができあがってしまうなんて、単純じゃないだろうか。
単純なモノは、直ぐに飽きられる。スグに面白いと思うものは、スグに飽きられる筈なのだ。

まっ しかし、多くの楽曲のなかで、超シンプルな音型だけで構成された8番の2楽章。
それも、ブルックナーが最後に自分で完成させた長大で、重厚な交響曲なのだ。
そのくせ、超シンプルな楽章が、すっぽり2楽章に挟まっている。
1楽章と3楽章に挟まって、窮屈な気分を、ときほぐすような楽章で、アコギな考えをすると、おいおい、馬鹿にすんなよぉ〜と言いたくなるほど。
だって、素人の耳にも、すぐに染みつくんだもん。
単純だけど、機械的な、無窮動が面白くて、すぐにテンションがあがってくるのは、現代人だからこそかもしれない。

本来は、もっと、ゆったりと〜 同じ音型を、音を変えて、少しフレーズを変えて、これを襞のように幾重にも重ねて織り込んでいく。織り込むことで、重厚で揺るぎのない構造物を建てていく。
なんとも、ひねくれた〜 いやいや、考えてある楽章でもあるんだろうと思うのだ。
いっけん単純だけど、こりゃ〜計算尽くなのだろうと思うのだ。また、皮肉っぽいなあ。とも思う。
で、まるで、スペイン バルセロナのガウディの聖家族教会のような、ゴテゴテ的の装飾的な建物ができあがっているかのように見えて、結構、皮をめくっていくと、シンプルだったり〜 
部分的にみると、パーツ、パーツは、面白い意匠をしているのかもしれず。これが、また面白い。という人もいるんだろうな。と思う。
まっ それは好みであったりするし、他盤こそ、曲の本質だ〜っと叫ぶ人もいるとは思うけれど、まあ。
この快速さには、驚かされて〜 ひぇ〜っと思うかもしれないが、ワタシ的には、他盤で聞くと、解りづらい。混濁してて汚い。何もこんなに力づくで納得させなくても〜と感じるときは、レーグナー盤をお口直し的に聴いて、頭や心を、すっきりさせている。
あっ、曲の本質を表しているとは、思いません。
もっと悲痛で、悲しみを通り越して、それを包含するかのような、もっと、もっとデカイ宇宙的な音楽でなくっちゃ〜ダメだよな〜と思います。でも、レーグナー盤は、哲学的で、カオス的で、頭を抱え込んで改悛に満ちあふれたような、そんなアプローチではないんだと思います。

まるで、走馬燈のように、あっという間の人生。いったい、なんだったんだ〜と思いつつも、夢幻的で、淡い恋心を抱かせる青春時代のような〜 ちょっぴりほろ苦い、そのくせ、全否定しないで、前向きにとらえられる、爽やかな感情が残っているような。
淡くて、儚い、夢のように、あっという間に、通り過ぎちゃったな〜と、結構、シアワセだったよな〜と、このレーグナー盤を聴いていると、そう思えるんですね。
これが、否定的には鳴ってしまうと、確かに、1つ1つ積み上げてきたはずなのに、どっかパーツが抜けちゃって、ガラガラガラ〜っと、瓦解する怖さがあるわけです。
でも、レーグナー盤 そう、風のように生きてきましたって方の雰囲気が漂ってますね。
その風は、ちょっぴり暖かみのある風で〜 ワタシテキには、肯定的に感じられ、許容できるし好きです。
スウィトナー シュターツカペレ・ベルリン 1986年
Otmar Suitner  Sächsische Staatskapelle Berlin
(Staatskapelle Berlin)

昇天しちゃいました

録音状態は良い。 ベルリン・キリスト教会での録音で、残響がほどよく入っていて良い。金管の咆吼場面では幾分飽和状態になっているものの、神の啓示を受けるかのような光降り注ぐかのような楽章もあって、ある意味、比較できない。(ハース版)2枚組BOX
1楽章
さすがに、ちょっぴり古めかしく聞こえてきちゃうが、教会での録音なので、ほどよく残響が入っている。
スウィトナーさんの振るブルックナーは、ちょっぴりかすれ気味で渋いっていうか、細身だ。
「そぉ〜〜〜  そらぁ〜どぉみぃ〜れ ふぁ〜みれら〜 (ら〜み〜)」
「みっふぁ〜 ふぁらぁ〜 しどぉ〜しどれぇ (そぉ〜ふぁみみ)
「どどぉ〜 れれ〜そ〜ら しどどぉ(そぉ〜らそみ)」

何度か聴いていると、まるで歌うようなフレーズで、柔らかく、そのくせ渋く流れるようなフレージングでやってくる。さりげなくアクセントが入ってて、さらっと歌う。
で、ティンパニーの音は大きく入っているのだが、そんな重々しい感じがせず、ガチガチの無骨さではなく、あくまでも爽やかな雰囲気で若々しい雰囲気を保っている。なんていうか、流れを感じるのだ。
う〜ん。テンポは少し遅めだが、遅さを感じさせない微妙な流れがあって、高い視座から見ると、ゆるやかな潮目が、明瞭に見えてくるような感じで、あんまりハッキリと、ギアを入れ替えるような感じでは 、テンポを変えないんですよ。で、気持ちよく感じるんです。

特に、ヴァイオリンなどの高い音域の弦と、底辺に流れていく弦の揺らぐ音が気持ち良く。
清流の流れ的に、あくまでも瑞々しく爽やかだ。で、ティンパニーの叩きが徐々に大きくなるにつれて、自然と高揚していくのだけど、すわーっと自然な感じで乗せられちゃうんである。
基本的に、フレージングは歌謡風なのかもしれないのだが、次々にフレーズがやって来るので、テンポが良いように感じちゃうんだろうなあ。
これは指揮者の作戦勝ちって感じだろうか。大まかなプロットがあって、その語り口が巧いっていうか、ストーリー性を自然に感じることができる。巧いなあ〜 この持っていくところが・・・。
もう少し低弦の響きが、こもらずに入ってきたら、もっと爽やかで瑞々しいのかもしれないが、ワタシが所有しているのは、国内盤でちょっぴり古いので、リマスタリングされた盤があれば欲しい。って思う。

2楽章
1楽章に続き、教会での録音だけに浮遊感がある。
「れっ ふぁそらふぁ れっ ふぁそらふぁ れっ らしどそ らっ」っていうフレーズ や、特に、金管の「どしらしど どしらしど れどしどれ れどしどれ みれどれみっ」場面になると、弦の透き通るような音色のうえに、この世のモノとは思えないような浮遊感漂う音色になっている。
間接音の方が、たっぷり入っているので、かなり好みが分かれてしまうかもしれない。
透明度というより、バンダのような雰囲気があって、高い天井から音が降り注ぐような感じだ。

歌うような旋律が流れてきて、う〜 足元が浮いてくるような感覚が、まるで宗教画を見上げているかのような錯覚に陥る。音を積み重ねるというよりは、降り注がれる音を見ているかのような〜
う〜ん。これは凄い世界だ。
「れみふぁ みふぁそ らしど そらし どしらしど どしらしど れどしどれ れどしどれ〜」
ぶっとい金管のフレーズも芯が抜かれて、恍惚感さえ与えてしまう。
う〜ん。
しかし、これって変な感じもするんだけどなあ。マイクは何処に設定されていたんだろう〜って、なんか不思議な感じがするのだ。ティンパニーの音は、キチンと入ってくるのだが、どこか芯が無い。
う〜ん。これは困っちゃった。音響に関しては、この世のモノではありませんね。軽やか過ぎるのか、音に重さが感じられる無重力の世界に放り込まれた感じがするのだ。
ある意味、これが非常に心地良いものの、どーしても硬い面が欲しいっ。っていうのは、無いモノねだりなのだろうか。
金管の音の迫力が、高みに昇っていく弦のフレーズに金粉を振りかけていくかのように、音の高みを感じさせるのだが、硬質感のある構造物や、彫像のような彫りの深さを明瞭に鳴らすタイプではない。
楔を打ち込まれていくのもツライものだが、スウィトナー盤は、形がもう既に失せてしまってて、大変美しい光を仰ぎ見ているかのようだ。ひぇ〜これは凄い世界です。

3楽章
8番の白眉である3楽章、テンポをゆったりさせながら、透き通るフルートなどの木管と、木質感の弦の響きに、やられてしまう。
2楽章とは違って、安定した木質的な響きとなっており、オケの美音が甦っている。
「し〜ど〜れ〜れ み〜ふぁ〜そ〜ら〜ど〜 ふぁ〜 み〜 み〜 れぇ〜 ど〜」
スウィトナー盤は、小編成のオケのように、あまり厚みのない響きで、重みが少なく、見通しの良いフレージングで、余韻を楽しむかのように演奏されている。
それに、高音域の聞こえ方が、かなり上空を通過している感じで、成層圏まで達しているような感じで、なーんか、他の盤とは比較にならない感じがする。
1本のマイクが天上から吊られているかのように感じる。 恐らく、楽器のそばに置かれたマイクの音ではないんだろう。チューバが入ってくる場面では適度に恰幅もあるのだが、録音にはちょっとクセを感じるかもしれないものの〜 う〜ん。2楽章に続き、天上音楽には変わりない。ホント、神さまの世界に行っちゃった感じだ。

4楽章
「そぉぉ〜 しっしぃ〜 どぉ〜れ〜れっどれし そぉ〜 そっそふぁそ らぁ〜」
冒頭のチューバの音と、ティンパニーの音は、しっかり入っているが、キツクなく、あくまでも柔らかい。
金管の咆吼が、少し割れた感じがするのと、タラン タラン タランっ ダンっ。というティンパニーが、んっと詰まるように一瞬遅めだ。
さすがに、金管パワー炸裂場面では、ちょっと録音が飽和状態になるのが悲しいが、その後、緩やかになる場面、「らぁ〜 し〜れ どふぁみっ れぇ〜ど し〜ら そら れ」 というフレーズからは、やっぱ美しいですねっ。テンポはちょっぴり遅めだと思うが、室内楽的に響く場面だと、濁りのない清楚で、清らかな弦の響きが聞こえてきて頭を垂れる心境になって〜 涙もの〜絶品。
フーガの部分というか、コラール風の最後に至るまで の過程は、神さまの啓示を受けるような感じになって、ティンパニーを聴き、小鳥のさえずりに耳を傾け、人間界と天の世界の狭間に立っているかのような気分になっていく。

霞を食べている仙人のような気分というか、神さまの啓示を受けるというか、もはや別世界行きの8番なのだが、スウィトナー盤は、神からの光を浴びている気分になる2楽章と、3楽章が白眉である。
今となっては、ちょっぴり、テンポが遅めかな〜とは思うのと、音の厚みが薄いこと、透き通った感じはするが、もう少し推進力があっても良かったかな〜とは思う。
4楽章は、谷底にいったん落とされるかのような厳しい、怒りのような世界は、迫力には欠けてしまう。
しかし、それを補うだけの世界を描けているし、演奏が、どうのこうのと言っている自分が馬鹿らしくなっちゃう〜
理知的に聴くというよりは、一種のテレパシー状態っていうか、体験、カラダで感じる世界が広がっているような感じなので、ハイ、もはや言葉は不要でしょうか。

カラヤン ウィーン・フィル 1988年
Herbert von Karajan  Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)

げっ ぞっ


録音状態は良い。ただ、金管とティンパニーが、異様に飛び出してくるので驚かされる。テンポは遅め。最後は、まるでSFXのギリシャ神話を題材にした映画を見ているようで、ちょっと〜 引いてしまった。(ハース版)
1楽章
テンポは、かなり遅めで、ゆったりしているが、幾分、とぎすまされた鋭敏な感じで始まっていく。
木管と低弦の響きが絡み合っているが、ブルックナーの原始霧という、ふわっとした感じでもなく、結構、鋭い。キツイって感じもするぐらい。
「ソソソソ・・・・ そら〜 ど みれふぁ〜 みれれ〜」 ドロドロドロ〜 「られれえ〜」
底力があり、ウィーン・フィルかと思うほど、荒々しい。
特に、ティンパニーの重い響きが印象に残る。
ただし、強さを強調する面と、弛緩する面と、交互にやってくるような楽曲で、ゆったりしてて〜 まどろみのような面もあるけれど、自己陶酔的に聞こえてしまう。
これが、カラヤンらしい と言えば、らしいのだと思うけど。
録音状態は良い方だと思う。金管の鋭い響きが、耳に突き刺さるように聞こえてはくるが。

それだけに迫力は、感じられるのだが、重厚で柔らかなオルガン的な響きとは、ちょっと違う。
たっぷりとした息の深さ、いや、たっぷりし過ぎるかのような長めの音が残る。
それが心地良いかと言われたら、う〜ん。
音の響きが、特に、金管の音色がキツク感じてしまうのだが、ワタシだけだろうか。う〜ん。
刺々しい山々を見ているかのような、谷底に突き落とすかのようなティンパニーが、ところどころ雷鳴のように響くし、、、しかし、強さと弱さ、とげとげしさと、まどろみ。そのコントラストは、キツメに感じる。
ドラマティックだと言えばそうなのだが、どこか柔らかい、包み込むような雰囲気には、ちょっと離れているかも。もしかしたら、録音のバランスが悪いのかもしれないのだが、まるで、R・シュトラウスの「アルプス交響曲」のような〜 いや、そこまでのストーリー性は、もちろん、ないんだけど。

2楽章
「れ〜ふぁそらふぁ れ〜ふぁそらふぁ」と始まる美しい楽章で、これは、さすがに、ゆったりしているものの、ウィーン・フィルの美音が響いている。
しかし、テンポが超スローなのだ。えっ うっそ〜と思うほど、遅い。
レーグナー盤を聴いた後に、このカラヤン盤を聴いてしまうと、もしかしたら、倍ほどの長さになっているんじゃーないかしらん。と思うほど。 同じ音型が繰り返される楽章なので、う〜 ちょっと、かったるい。
特に、ゆったりした場面になると、、、うぷぷっ。これは、ちょっと痒いっ。
もっと、速めに、スイスイ行って欲しかったよなあ。これじゃ〜レーグナー盤とは正反対で、これも、あっけにとられてしまう。 それにしても、この2楽章でも、ティンパニーさんが、暴れ調子で鳴ってしまってて、なんか変だ。

第3楽章
冒頭より、遅めのテンポで、低弦の呻くような音よりも、高音域のヴァイオリンの音色が、ややキツメで、磨き抜かれた銀食器のように輝いている。
う〜ん。これ野暮ったいと称されるブルックナーの楽曲かと、ちょっぴり驚いてしまった。
アダージョの楽章だが、スケールを大きく見せ、透明度を高めているような弦の音。
「しどれみふぁそらど ふぁぁ〜(ハープ) み〜 み〜 れ〜 ど〜」
すーっとした絹糸のような弦の響きが、ハープの音色と、ねっとり絡み合ってくる。
高みに登ろうという意思はあるのだけど、ただ、やっぱテンポが遅めで、う〜。

止まりそうなテンポで、喘ぐように揺らぐし、息を詰めたような緊張感よりも、むしろ、弛緩しそうな、ちょっぴり退廃的な美意識が漂っているような気がする。
枯れた音色というよりも、うっとりと美に憧れた、仮想空間的な彼岸のようで〜 はあ、ちょっと〜
やっぱ3楽章の冒頭で、好みがハッキリと分かれちゃうよなあ。
10分も聴いていると、ウィーン・フィルのチェロや木管の甘い音色。
「そ〜し しらそ どぉ〜それどしど そ〜」弦の音色や、ホルンの音色など、際どい。
「みぉ〜みれ〜ど ふぁ〜 らどぉ れみ ふぁ〜み ふぁみれど し〜れふぁ〜」 
際どすぎるほど甘くて、わ〜 ヤバイ。
わっ 甘いっ。甘過ぎる・・・。と、思わず、引いてしまっちゃった。

陶酔感のある、ぼわ〜っとしたブルックナーで、原始霧が、まるで、ワーグナーじゃん。
テンポが、ほとんど止まるかのような遅さで、夢幻的で、かつ陶酔的であり、美音にすぎるほどの甘さがあり、別世界に飛んでいく浮遊感がたっぷり。
地に足の着かない、ふわーっとした、恐ろしく、空中へ、吸い取られるようなヤバイ感じになる。
天使のような悪魔のような、いやいや、天使だろう〜と思いなおし、ハイ、そのまま、手を取られちゃうと、いっちゃうぜ〜 カラヤン、ウィーン・フィル盤は、そのまま昇天できちゃうような楽曲になってます。

ガッシリとしたブルックナーを聴きたい向きには、こりゃなんじゃー という感じだろうなあ。(笑)
ところどころ、音を大きく出す場面があり、やや誇張的かなあ。って思うが、むしろ強調されて、わかりやすいと言えばわかりやすいかも。
まっ SFXで描かれたギリシャ神話の世界で、ゼウスさまが怒っているかのような感じですかねえ。
例えは悪いが、2010年の映画「タイタンの戦い」で、リーアム・ニーソンが演じていた、神々の世界のようで〜  神々を描くとは暴挙だろう〜と思いつつ、嘘くさいのだが、作品としてのデジタル感は、圧倒的であるとも思うし。しかし、この昇天しちゃうような世界は、すごいスケール感で、デジタルのような、くっきり、はっきり 、輪郭がキツメに描かれている。

4楽章
同じリズムを繰り返す4楽章は、ハイ、これも迫力あり。
タラン タラン タラン タラン・・・ ぶほぉ〜と鳴り響く金管群。そして、どろどろどろ〜 っとロールする、ティンパニーの音も豪快で派手。特に、金管が、金ぴか、キラキラしている。
SFXで作られた、ギリシャ神話を題材にした映画でも見ている気分である。
アナログではなく、完全デジタルで、細部までクッキリ。嘘くさい世界を、虚像を、これでもか〜と圧倒的なスケールで描いていく。
合いの手の弦が、これまた美しく輝いているし〜。すごいよ。この派手で、豪華で、ゴージャスな響き。
また、迷いのない強靱で、人を押し付けて、ひれ伏させてしまうかのようなパワー。
う〜ん。すげ〜 既定概念を覆すような、カラヤン最晩年の盤である。
最晩年で、この演奏だもんなぁ。普通は、枯れるでしょ。枯れる筈・・・だと思いこんでいるのに、虚飾を捨てさるどころか、う〜ん。わしゃ〜 ゼウス神だもんね。というような演奏だ 。
テンポの遅いのは、ちょっといただけないのだが、このゴージャスさには参ってしまう。
この盤が、スペシャルA級と言うか、ここまでやるか〜と、思わず笑ってしまうB級作品的な娯楽作品と言うかは、う〜ん。好みの問題だが、、、ワタシ的には、さすがに演出過剰だよなあ。と、思ってしまう。
しかし、ここまで圧倒的に作り上げていく手腕は、カラヤンは、やっぱスゴイと思ってしまう。

1988年の録音なので、カラヤンさんの最晩年の録音になるのだが、う〜ん。しかし、さすがに、この方の美意識が、ここに結集しているような気がする。良い意味でも悪い意味でも。すげっ。
はい。恐れ入りました。ようやるわ。
堅牢な感じもするが、どちらかというと、てかっとした美しい感じに仕上がっているように思う。
硬いのだけど、光沢のある硬さで〜 これはこれで、大変な完成度ではないだろうか。
でも、好みではないんだなあ。しなやかさに欠けているというか、密やかさとか、慎ましさとかには、どうもご縁がなく、和音の響きが強い。強引さを感じてしまって。
ちょっと引いてしまった。こりゃ ちょっとなぁ〜 スミマセン

マゼール ベルリン・フィル 1989年
Lorin Maazel  Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

あちゃ〜


録音状態は良い。硬質でとぎすまされたパワフルな演奏。
特に、金管とティンパニーの乾いたド迫力の打音には、のけぞってしまうが、他を寄せ付けない気迫あり。(ノヴァーク版)1999年に、バイエルン放送交響楽団と録音している。
1楽章
ベルリン・フィルと録音したマゼールさんのブルックナーである。
総体的には、幾分硬めで、硬質的なイメージを与え、引き締まっている。
鳴りっぷりも良いが、色彩的というよりモノトーンで、余計なモノが付いていませんという感じの無駄の感じさせない演奏に聞こえる。
ためて盛り上げていくタイプでもないし、妙なレガートも無い。で、ことさらにドラマティックに演出しているワケでもないし、劇的には鳴らないが〜 どこか、妙に引き締まった、そのくせ虚無的でもない、静謐さも持ちあわせており、う〜む。結構、マイナーな存在の盤だが、意外と良いと思う。
テンポは揺れないし一様に思うのだけど、でも、サイボーグ的でもないし。かといって、力でぐいっと押してくるパワーも感じられるのだ。

ぶっとい音色の金管の響き、色彩的ではないが、低音のしっかり硬めの音色が、黒光りしているかのようだし、木管が、静謐さのなかで、囁きのように吹かれているのは、かなり印象的だ。
弦のピチカートも、ゆったりした息の長さも、よく硬めに響いている。
マゼールさんのことだから、何かやらかすだろう〜っと変な期待をしていたのだけど、いや〜 結構、正攻法で、壮麗で荘厳な印象を与えるモノになっている。
熱いワケでもないのに、しっかりとしたピンと張りつめた気合いが入っているというか、やっぱオケが巧いんだよなあ〜と思わせる、きちんとした演奏。(いや、きちんとした演奏というのは、ベルリン・フィルには失礼な言葉だと思うが)、丁寧で、アンサンブルのみごとさ、緩急のつけかた、重層的な重みと、カッシリと引き締まった型のなかでも、特に激しく鳴るところ、弦だけで静かに鳴るところとか、みごとなのだ)
で、特に、ティンパニーの鳴りっぷりが、印象に残るんだなあ。
これでテンポを変えると、怒濤のごとく、迸ったエネルギーに変わるのだろうが、これが、結構インテンポ。
走り出したいところで、ぐっと引き締めて行くところが、まあ。憎たらしい。

静かにティンパニーが鳴り始め、弦が、たらら ららら たらら ららら〜と繰り返すなか、ティンパニーが厳しく打ち込まれて、タタン タタン・・・と、絡んでくるところは、メッチャ ぞくぞくとしてくる。
鳥肌ものの感覚になってて、石造りの堅牢なゴシック様式の教会が聳えているかのような鋭さ、荘厳さを描いていくのだ。妙な柔らかさはない。結構、厳しいし、険しく、他を寄せ付けないような威厳のようなモノも感じる。おおっ こりゃ〜スゴイ。
軽めの代表格はレーグナー盤だが、重厚でありながら硬めに、そのくせ重すぎず。
歌わずに行きながら、引き締まった型で感動を与えてくれるところが、う〜ん。みごとだと思う。
繰り返して聴ける盤だと思う。

2楽章
冒頭の弦の音色の美しいこと。奥行きがあり、決して急がず、慌てずテンポを刻む。ホント、刻むという言い方がふさわしいようで、そのくせ語尾は明るく、色彩的だ。このテンポの刻みが、天才的だと思っちゃう。
ここでもティンパニーは、うん。巧いよなあ。巧いというより、印象に残る。
ただし、中間でのテンポは、速め。えっ・・・。
なんと、憎たらしいメリハリのつけた演奏で、ふむ。なるほど。最初は飛ばさないワケね・・・。
木管と弦、金管、ティンパニー 各セクションが有機的に絡み合っているのではないだろうか。
巧いソロのように聞こえるフレーズ、
「れ〜ふぁそらふぁ れ〜ふぁそらふぁ」と始まる美しいフレーズのなかで、バックになる弦が、しっかりと聞こえてくるんだよなあ。木管のフレーズも、レースのように聞こえてくるし。
残響が多めでもないのに、金管が重くなったり、軽くなったり〜 色彩が綺麗なのだ。
重いオモシのような存在の時もあるし、レースの襞のように色づけする役割にまわったり、う〜ん。
やっぱ金管巧いよなあ。重厚なフレーズだけでの金管の役割じゃないんだろうねえ。
音の襞が、決してヴァイオリンだけというわけではなく、各楽器の役割が、レースの襞のように重なっているのである。
楽器によって、役割が決まっているというより、各楽器それぞれが、全体の襞にもなりうる。という見本のような気がする。楽器によって、ワタシ地面、ワタシ柱、ワタシは梁、ワタシはお飾り。という役割を与えられがちなんだけど、これは違うねえ。 各楽器で、それぞれのフレーズで役割分担が変わっているようなのだ。
これは、一本調子ではないってことかなって思う。

3楽章
引き締まった感覚は、この楽章でも健在で〜 緩い感じの楽章で、独特のアダージョだと思っていたけれど、なかなかに硬めで、暗めである。
「しどれみふぁそらど ふぁぁ〜(ハープ) み〜 み〜 れ〜 ど〜」
「どぉ〜 どみそ どみそ みそ どみ そらそふぁらし ど〜」
ヒンヤリした敬虔さというか、わずかな光のなかで、膝を折って祈るような姿がイメージされちゃうのだ。
で、線が細いイメージはなく、頑なで、ストイックな黒衣の僧が佇んでいるかのような〜 う〜ん。
うまく言えないけれど、だれないところが、弦の張りつめた感覚は、すごいなあ。って思う。

4楽章
硬めの弦の機能的で金属的な輝かしさ、金管の鳴りっぷりの晴れやかで輝かしいこと。
そこに、ティンパニーの硬めの乾いた打音が〜 うぎゃ〜 炸裂してて〜 思わず、にやりとしてしまう。
う〜ん。最後は、圧倒的で、すげっ。
思わず、のけぞってしまった。
やーーっぱり、最後は、マゼールさんだ。圧倒的パワーで、炸裂しちゃってますねえ。
なにを置いても、ティンパニーでしょう。これは!
ミリタリー風に威風堂々。圧倒的にパワフルで、他を寄せ付けない重戦車部隊が、けたたましく攻め込んでくる感じである。
でも、緩やかに流れるフレーズもあって、いやはや、すげ〜 綺麗なんだよなあ。
「どそどそどそ」
「どどぉ〜 どどぉ〜 どどぉ〜 どれみ〜 れ〜 れれ〜 れれ〜 みふぁ〜」
「みっみふぁそ ふぁふぁっふぁそら〜 し〜ら〜し〜らぁ〜」
いやいや、ホント、辺りを振り払って、なんて圧倒的なスケールで描いてくるんだろ。
カラヤン盤だと、嘘くさくキラキラ金ぴかに、ローマ軍団かギリシャ神話風の、ちょっとクラシカルな行進風で、華麗やって来るのだが、このマゼール盤は、もっと現代的な軍隊的である。
戦車軍団って感じの重油クサイ行進なのである。そのくせ、B級ぽく鳴らないのは、締まっているからだろうか。緩やかなフレーズが、なんだか癒しに聞こえてきくるぐらいである。

いやいや、ホント、圧倒されました。これは、やられます。
ここまでやるかぁ〜とは思うのですけど、いや、これは一度聴いてみないと。もったいない。
天国風のブルックナーとは、まったく正反対の方向性だが、好みは分かれるとは思うものの、引き締まったパワーで、完成度も高い。
気迫のこもった鬼のようにカッとした面と、緩やかだが硬質の美しい輝きが交互に訪れる。
両極のコントラストの強い演奏で、中庸なブルックナーが好きな方には、どうかな〜とは思うが、これだけ、輪郭をしっかり描き、ぐっさ〜っと、えぐり出してくるような彫りの深い演奏は、みごとかも。
あまり、アクドサ、えぐさは感じないし〜 一度、どうぞ。

クルト・アイヒホルン リンツ・ブルックナー管弦楽団 1991年
Kurt Eichhorn  Bruckner Orchester Linz
(Bruckner Orchestra Linz)

切なくて泣きそう

録音状態は良い。重厚でまろやかな響きがあり、羽毛のように軽やかで包まれつつ昇天させられる。硬くて峻厳な楽曲にはなっておらず、これは好みが分かれるかも。
(ノヴァーク版1890年)
1楽章
録音状態は良い。まろやかな残響があり、ほんわかしている。
音量も申し分なく、ホルンの響きも良いし、たっぷり鳴っているんだけどなあ。
「れっれ〜 そしれみふぁ〜そ (どどどそど〜) ふぁ〜 らそふぁ そそそ ふぁみれ〜 れ〜みれどし〜」
と、ティンパニーを交えて弦と金管が咆吼するようなところも、う〜ん。まろやか。
重量感もありながら、ソフトなところが、結構、気に入ったりもする。
ワタシ的には、柔らかさが好きなモノで〜 ブルックナーの響きが、重層的で、総体的に柔らかなところが、好きなのである。
ピチカートのように「みれどしらそ そふぁふぁみら・・・」と落ちていくところは、う? 金管の一音の音が、あまりクリアーじゃないのだなあ。ちょこっと、曖昧な〜 気がする。
ぼわ〜っと響いているとこは良いんだが、他盤と比べちゃうと、ホルンの弱音も綺麗なのだが、シーンとした冷たい感じのなかで、クリアーに明晰に、ツーンとした響きが好きな方には、緩いっとされてしまうかもしれない。
まっ アイヒホルンさんの演奏は、柔らかな響きが、特徴なので〜 この点は好みである。
それに、険しさや峻厳な雰囲気、構築性、厳格な〜という点では、ちょっぴり落ちちゃうかもしれない。
金管が、ところどころ、う〜ん。合ってないというか、ちょぴっと、ばらけているような。
しかし、このシャワーのように、広がってハジケテ出てくるところは、綺麗だと感じさせるモノだ。
 
で、版の違いなのか、いつも聴いているのと、ところどころ、ん? と思うところがあり、音が薄いような気がしちゃうのだが、気のせいかなあ。
スコアを見て、研究をしたワケじゃないので、なんとも。演奏家さんや専門家さんに聴かないとワカンナイのだが、最初の版は、1887年、で、それを自身で改訂したのが第2稿1890年版と言われている版である。
次に、お弟子さんが作ったハース版が1つ、ノヴァーク版は2つある。几帳面なノヴァークさんは、ブルックナー本人の作った87年版と90年版を、それぞれ2つとも改訂しちゃったらしい。
(あらまっ ノヴァーク版って2種類あるんだ〜)

本人が改訂魔だとしても、後から他の人も改訂するので、ややこしくって〜 
なーんか、ブルックナーを聴いてややこしい。まどろっこしい。全部同じに聞こえちゃうし、それを改訂したって、長大な曲だし、う〜ん 余計、どこがどう変わったのか正直なところワカリマセン。

2楽章
「れ〜ふぁそらふぁ れ〜ふぁそらふぁ」と、結構、勢いがあり、シルキーな感じである。
付点のリズムが、始まる美しい楽章で、クセになりそうな面白い楽章だ。で、まあ、速めだが、金管が、ちょこっとバラケタ印象を与えてしまう。
切れが良いのか、悪いのか。もっと、スッパリと切り込んでくれ〜という向きには、ダメかもしれないけど。
しかし、響きは、まろやかで色彩的、柔らかいソフトフォーカスタッチのような感じもするし、氷をクラッシュさせたような煌めきも与えるが、温度的には暖かさがある。
音色が、明るめ。特に、金管の音の出てくるところが、ふわっと、はじけているような〜 シャワーのように広がってくるような気がする。
で、険しい、うねるような動物的ともいえるような感じより、がっついた動きというよりは、軽やかで、布がはためくような感じだ。
重量感はあるが、エッジの鋭い感じでも、ゴツゴツした硬い、角のあるモノではない。
それに、ガッツさよりも包み込む感じだし、羽毛布団のように厚みはあるが、重たく、硬くないのである。
まっ これが特徴だろうか。

3楽章
柔らかい雰囲気が、たっぷりと暖かく響く楽章で、これは昇天させれるレベルだ。
ハープの音も柔らかく、綺麗に録音されていて、奥行きのある残響があるため、これだけで、結構、うっとりとさせられてしまう。 テンポも緩めで、良い意味で弛緩させられて〜 包み込まれ、この楽章だけで充分です。という気分になってしまう。
「しどれみふぁそらど ふぁぁ〜(ハープ) み〜 み〜 れ〜 ど〜」
ふわ〜とした、木綿糸のような、そのくせ、羽毛の感覚のような、ソフトな響きになっている。
ホルンの「ふぁ〜ふぁ みれ そ〜しれ みふぁ そ〜そふぁみれ ど〜みそ」
なんとも、半音のニクイことこのうえない響きで、うん。光沢のあるシルキーさではないなあ。やっぱ羽毛系だと思う。
カラヤン盤のような、ちょっぴり冷たいが、艶のある光沢ある響きとは、まったく違う。ありゃ絹糸系だが、このアイヒホルン盤は、太めの厚みのある響きだが、柔らかい。
なんて、柔らかい音なんでしょうねえ。ホールトーンも充分あるし、薄い膜の球体系。
テンポは遅めだが、ネッチリ系でも、ねっとりでもないし、独特の世界だと思う。
軽さはあるのだが、レーグナー盤のような快速盤ではないし。なんとも言えない世界だ。

4楽章
重厚な柔らかい音で、タラン タラン タラン タラン・・・ 
「そぉぉ〜 ししぃ〜 どっ れ〜どれ〜し そぉぉ〜 ふぁっそらぁ〜」
同じリズムを繰り返す4楽章は、ハイ、これも迫力あり。
ティンパニーの音は、歯切れが良く、パンパンっ と入ってくる。金管のバックに入ってくる弦の柔らかいが、しっかりした音がブレンドされてて、厚みが一層増しているようだ。
シャキシャキ感ではないのだが、歯ごたえあり〜って感じで、音量も適度で〜 
トランペットのファンファーレは、軍隊的は、イカツイ系ではない。咆吼のようなフレーズが、空に弧を描いて飛んでいく天馬のようでもあり・・・。(ちょっと褒めすぎかな)
色彩は、柔らかい中庸系で、ざくざくに刻まれたフレーズではない。
間奏のように入ってくるフレーズは、ちょっぴり弛緩しちゃうが、これぐらい弛緩しないと、もしかしたら長大な楽曲だけに、緊張を持続させ、耳もモタナイしれない。
(あっ かったるい〜という意味ではなく、ほっと、ほぐして休ませてくる暇があるって言う意味ぐらい)

コラール風の行進曲は、ちょっぴり軍隊的で、テンポが速くなっていくが〜 悲痛な感じを与えていない。
豊穣感のある祝祭的風であり、楽想としては、ちょっぴり違うかもしれないんだけど・・・。
死の行進曲って感じじゃーないのである。
う〜ん。このアイヒホルン盤の8番で、そのイメージを湧かせろと言われても、かなり無理っぽい。(笑)

聖者の行進というか、聖職者の行進みたいだし〜 低弦の響きと、まろやかな金管の響きが、自然観を描いているような。う〜ん。なんともソフトで、宗教的でさえ感じる し〜 シアワセ感たっぷりの演奏になっているのである。
咆吼するような場面でも、うるさく鳴らない。曲線を描いて包まれるような〜 こりゃ、やっぱり昇天です。
最後だけは、かなり意識したのか、峻厳なイメージで終わっているんだけど・・・。
これを聴くと、8番のイメージ変わっちゃうかなあ。
峻厳でなくちゃ〜 宇宙のカオスものだよぉ〜 これでは、いかにも緩いという人もいるかも。
いやいや、柔らかく優しいのが良いんだ。という人もいるだろうし〜 
結構、評価が分かれちゃう盤って感じですね。ワタシ的には、悪くない。いや肯定的にも思えますねえ。
(自分が、自分に甘いからかも〜しれませんが〜)
ハイティンク ウィーン・フィル 1995年
Bernard Haitink  Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)

ふむふむ。

録音状態は良い。柔らかく、まろやかな響きで充満している。
硬めがお好きな方には、あまり向いていないが、純粋無垢的な演奏で、そこが、個性になっているように思うが、いささかイラチなワタシには、どうも・・・ 2枚組(ハース版)
1楽章
ハイティンクさんのブルックナーは、コンセルトヘボウ、シュターツカペレ・ドレスデンなどの録音があるが、ウィーン・フィルとのこの盤は、結構、名盤との誉れが高いものだと思う。
以前、2015年10月、ロンドン響と来日された際に、ブルックナーの7番を拝聴したのだが、どういうのだろう、あまりの自然体に、少し拍子抜けしてしまった感もあった。ゆったりと進んで行くテンポがあり、弦の響きは、しなやかさを持っており、木管フレーズは美しく浮かんでいく。という感じだったように思う。
年月が経って改めて振り返ると、そうそう、やっぱ、その自然体が良いんだよなぁ〜っと戻ってきそうな感じがするところが、意外と、ハイティンクさんの良さのようだ。

あまり最初に聴いても、インパクトが残らず、すっと聞き逃してしまいそうなのだが・・・ ある程度の年齢にならないと、後ろを振り返るってこともしないし〜  そこは、生き方と同じで、その時には気づかないので、なかなかに難しい。
さて、そう言いつつ、このハイティンク盤を聴いてみたのだけど、う〜ん どうなんでしょうねえ。その自然体ってことが、自分自身、わかっているのかどうか、とっても怪しいなあ〜。
VPOとのこの盤は、すごく柔らかい音で綴られており、荘厳ではあるが、素朴だ。
録音状態は、最善とは思えない感じで、どこかソフトフォーカスがかかった感じがする。で、金管の咆吼、低弦の厳つい響きと、ドスンっと響いてくるティンパニーが、渾然一体となる場面が、どこか、もわっとしたままになっている。
ボリュームをある程度あげないと、少し不満が残る。
ガツンっと、一発かまそう〜なんてことは、お考えにならない指揮者なので(←勝手な推量だが)、あるがままに〜と、流れてしまう。しかし、ブルックナーの楽曲は、同じ音型を執拗に繰り返すというのが特徴なので、ある意味、飽きないのも大事なのかもしれない。(アハハ、これも勝手な聴き方ではあるが・・・)

2楽章
あまりアクセントが聴いていないので、音型が、はっきりと明瞭に浮かび上がってこないで、まろやかに包まれた〜という感じで終始する。それが良いのか、どうか・・・ すんなり行かれすぎて、ちょっと素朴すぎるかな。という印象になってしまう。
ボリュームをあげて聴いてみたが、う〜ん 難しい。
「たらん たたたた たらん たたたた・・・」というフレーズは、ワタシ的には、もっとカッチリ硬くてもいいんですけど。
歯ごたえがなさ過ぎて、ふにょっとしている。う〜ん これは、お好みによります。という言葉にしてしまった方が、感想として書くには楽なのだろうか。う〜ん ホント、感想の書きづらい演奏だ。
もしかして、昔の評論家さんが、この指揮者をあまり評価していなかったのは、感想が書きづらかった・・・だけでは?と、思っちゃったりする。(まあ、冗談半分ですが 笑)
オケの美音に、よりかかった演奏とも言えちゃうかもしれないが、金管の響きは、とても柔らかく、そこに美音の木管が絡んで来て、極上のサウンドに仕上がっていることは確かなようだ。

3楽章
この楽章は、さすがに美しくて声も出ない・・・。もう、黙って聞く以外にないでしょう。という感じだ。
いずれのCDで聴いても、3楽章の演奏は、う〜ん ここは白眉でしょって感じなのだが、ある意味オケの音質で差がついちゃうという感じがする。
で、ゆったりすぎて寝そうになるのだが、ハイティンク盤は、ある程度、理性的でありながら、詩情を交えた演奏のようで、かといって、きわだった感はしないし、淡々としている。
訴求力が、ないんだけどなあ〜  はてさて、どこまで、こっちが汲み取れるか、耳を傾ける余裕があるのかに、ある意味かかっているかもしれない。 ホントに、木訥としすぎるわぁ〜 社会人だと、アカンで、これじゃー もっと訴える力がなかったら生き残れないで〜っと、ある意味、叱り飛ばしたくなるような、まどろっこしさを感じる。
(ハイ、音楽を聴いていながら、会社での人間模様を思い浮かべてしまいました。無粋でスミマセン)
で、ブツブツ文句を言っていたら、だんだんと盛り上がってきてくる。
もう少し、トゥッティ部分は、カチッとシャープに描いてもよかったかもしれず、多少柔らかく少し弱いかもしれない。

4楽章
勇壮な楽章で、出だしのスピードは、おおっ・・・と、意外と前につんのめりがちで、速めに立ちのぼってくる。
だが、すぐに落ち着いて、あくまでも柔らかく、ホルンのフレーズが浮かんでくる。
奥まったティンパニーの響きはまろやかだが、幾分、金管が被さり気味で鳴り出す。
で、じーっと我慢してきいているうちに、ようやく、5〜6分程度で、火がいこってきたかのように、焔がメラメラ〜っと立ちのぼってくるのだが、ちょっと、遅いんだよなあ。
こんな感じで、もわっとして23分続くのだ。う〜ん。
まあ、ブルックナーを聴こうという時は、たっぷりとした、気持ちの余裕がないと聴けないな〜っと、改めて思っちゃいました。
こりゃ 朝には聴けない楽曲だわ。

ヴァントさんのブルックナーを耳にしちゃうと、どうも、このハイティンク盤は、中庸すぎて〜となりそう。
まあ、ヴァント盤は、あまりに硬くて歯が立たないんだけど、テカテカしたのも嫌いだし、即物すぎるのも困るし、羽毛布団すぎても困るし、う〜ん なかなかに、自分の好みにあうのが・・・難しい。
まあ、あれこれ細部にこだわるのは、どうも・・・ 複雑な楽曲だし、そこまで、ワタシもわからないし〜
総体的に言わざるを得ないのだが、ハイティンク盤を、ひとくちに言っちゃうと、淡々とはしているが、純粋無垢な、清らかな清水が流れてきているように感じられる。
それはわかるが、そこで、自分が、いつも立ち止まって気づけるのかと言われると、相当に疑わしい。
ワタシの器は、あまり大きくないので〜 実は困っている。結構、イラチなのだ。

また、純粋無垢なのも良いは思うが、ちょっと〜取り扱いが難しい場合もあって、特に、個性を競う演奏の場合は、どうだろう。受け取り手も、流れてくる演奏に、積極的にアプローチしようとする、寄り添う気持ちがなければダメなんでしょうけれど。う〜ん。これだけ立ち上がりが遅いのも珍しいかも。

それにしても、今どき、2枚組とは・・・
ちなみに1楽章16分48秒 2楽章15分4秒 3楽章27分26秒 4楽章23分47秒というクレジットになっている。
総トータル83分5秒になる。あのぉ〜もう1曲なにか余白に入れてもらっても〜という気がするが、この曲にアンコールは不要だしなあ。とにかく、スカッとしない、ワタシにとっては、何とも収まりの悪いCDなのである。

ウェルザー=メスト グスタフ・マーラー・ユーゲント管弦楽団 2002年
Franz Welser-Möst
Gustav Mahler Jugendorchester

ばっちグー!


録音状態は良い。引き締まった筋肉質で理知的な演奏。かといって、ガチガチにタイトでもなく、弾力もあり、結構熱い。バランスが良く、均整が取れている感じがする。
これが、ウィーン楽友協会でのライブ盤とは驚き。
1楽章
この盤は、ウェルザー=メストが、グスタフ・マーラー・ユーゲント管弦楽団を振ったもの。
最近、クリーヴランド管弦楽団を振った、第1稿を使用しているブルックナーの8番が出ているが、当盤は、ライブ盤で、通常演奏されるノヴァーク版である。

メストさんは、さっぱり系で、理知的にスマートに振るというイメージがするが、確かにそうだと思う。
でも、この盤を聴く限りは、さほどガチガチに硬いわけでもなく、引き締まったタイトな演奏ではあるが、わりと弾力もあるな〜っという印象を受けた。
ホルンの柔らかい抑制された吹き方や、弦のフレージングの厳しさ、たっぷりめの間合いなど、なかなか良いじゃん。
ライブ盤のわりには録音状態もよいし、鋭いシャープな音だが、最初は、快速でグイグイっと直線的に進むのかと思っていたのだが、たっぷりと取られた間合いの良さがあって、ほっと一息つける。
息を抜けるところが用意されている感じがして、思わず苦笑い。

弦はタイトで高音域のキレがあり、ティンパニーは恐ろしいほど激しく叩かれている。
最初っから、えー 熱いやん。と、いきなり先制パンチを食らう。
弦は、タイトで引き締まっており、 幾分筋肉質だ。木管の鳥のような囁きは、透明度が高いが、ちょっと忙しめ。
で、ここは、もっと〜ためて、堂々とインパクトを与えて欲しいっというフレーズも、ちょっと軽い感じがするためか、神々しさとは、ちょっと無縁となってしまう。う〜ん。響きの厚みも少なめかなあ。
でもね、陸上競技選手が、1万メートルをトラックで走っているかのような姿で、淡々としてて、でも、引き締まった太股が、トルクのように動いているみたいで。
見ていると、無駄のないスマートな筋肉質的な走りで、余分な情緒は、削ぎ落とされており、なんか感動は少ない。でもねっ じわ〜っとしてて、どこか熱いのだ。
強弱のメリハリが大きく、身振りは控えめなくせして、結構熱い。最初も弦の大きな厳しいフレージングと、ティンパニーの激しい叩きに驚かされたが、また、この楽章最後では、えっ 熱いっ。
キレ味は抜群というか、すぱっとしてて、お爺ちゃんくさい演奏も好きだが、これはこれで、ワタシには共感できる。

2楽章
「れっ ふぁそら ふぁ れっ ふぁそら ふぁ」っていう、単調なフレーズが続くが、メスト盤は、綺麗に引き締まったタイトな音が、すぽんっと、はまっていく。
低弦は、特に良く聞こえてて〜 めちゃ几帳面に音がはまっている。
「ん タタタタ ん タタタタ ん タタタタ」と、均一的で、なんだか繰り返して聴いていると、この楽章の冒頭は、いろんな音が、枠にはまって、音の響きが積み重なって、立体的に構成されていくみたいで・・・
う〜ん。なんだか、製造工場のように、気持ちよく、織り込まれて創られていくみたいだ。
で、このスケルツォは特に速いワケではないし、中間部では、これが、「ん〜タタタタ ん〜タタタタっ」とか、「ふぅ〜ん。タタタタ」と、同じ型の筈なのだが、ちょっと変わるのだ。これが面白い。 だが、、、
どことなく薄口で、たっぷり系の演奏になれていると、なんか足らない。

1回目は、まあ楽しめたのだが、中間部に入ってくると、せわしく動いているようで、息つく暇がない。
あっ あっさりと行かれちゃった〜。
中が、かすっとしているような、なんか、しっとり感がない。

2回目に入ると、う〜ん。どうも、アッサリしているのが気になってきて、「っれれ みれ っれれ みれ そらしど らふぁっ・・・ んっ タタ タタっ」という繰り返しが、段々と紋切り調に聞こえてきて、う〜ん。
回転度数が自然に上がってしまった感じで、音に厚みがないような気がする。硬質なら、もっと硬質感が欲しいところだが、ん〜っタタタ という、ちょっとしたノビが欲しかったかも。
ゆるやかな場面では、ハイ、優美さはありますが、「ふぁ〜 そぉ らぁ〜 どれみ ふぁっそ らぁ〜」
「ふぁ〜 そぉ らどれみ ふぁっそ らぁ〜(パパパ パっ)」
「しどどれ れみみふぁふぁ そぉ〜(パパパ パッ)」
「しどどれ れみみふぁふぁ そぉ〜(パパパ パッ)」 
なんとも・・・若いというか、可愛いのに愛想がないというか、際どい金管だ。もう、ちょっと色気が欲しいな〜っていうぐらいで我慢しなさいよぉ〜って言われているような。う〜ん。抑制されているような。
やっぱ、無愛想で可愛くないっ。

3楽章
まあ、この楽章は、8番の白眉であることは間違いなく、柔らかい和音と安定した音の歩みが特徴。
「し〜ど〜れ〜れ み〜ふぁ〜そ〜ら〜ど〜 ふぁ〜 み〜 み〜 れぇ〜 ど〜」という音の上昇とハープの響きで、ハイ、これは天国行きなんですけど。メスト盤も、まずまず宜しいかと思います。
まあ、雲が湧いてくるような、羽毛のようなソフトなところは、ナイスです。
完全天国行きという、もはや〜 というレベルの盤ではないが、それまで、ザッハリッヒ的だっただけに、これには、ころり〜っと参ってしまう。

音の響きも、他の楽章だと、やや硬いかな〜薄いかな〜って思うんですけど、ここは、たっぷり歌うしね。
柔らかい雰囲気が、たっぷりと響いて良いと思う。
堂々としているとか、時空間を超えていくとか、横に、縦に、ずーっと広がっていくとか、もはや宇宙的です。という感じはしないが、明晰さや理知的だと言われている演奏のなかでは、超満足できる。
で、この天国行きのフレーズの後、「どぉ〜 どみそ どみそっ みそ どっみ」「そらそ ふぁそらっ しぃ ど〜」というフレーズが出てくるが、うん。どっかスキップしているような感じがする。
ところどころ、ふっと隙間が空くような、息の出し方で、音が明晰に分かれてくるんですけど〜 えっ ここのヴァイオリン、こんなに区切るの。って場面もあって、う〜ん。と唸ってしまうのだが、嫌みはないしねえ。
スコアを見てないので、なんとも。でも、音を区切るタイミングの巧さって、独特かな。
うん。やっぱ〜 弦の区切り方は、メスト盤は、独特かも。

4楽章
「そっそそそっ そぉぉ〜 しっしぃ〜 どっれ〜みぃ〜れっ みっれ みっし そぉ〜っ そっ ふぁっそらぁ〜」
低弦のリズムを刻む音である、「そそそそ そそそそっ・・・」 という音が、綺麗に均一に力強く、入っておりメチャ、リズミカル。
ぱぱぱぱっ パパパっっと、パパパぁ〜〜 この後に続く、金管の華やかな音と、一気に行く勢いには、おおっ。金管のキレは抜群で、めの前で、スパークしているみたいで、はじけている。
おおっ・・・ こりゃすごい。目がぱっちり開いてしまった。(笑)
また、ダンダンダンっ!と入ってくるティンパニーの硬い音には、げっ! なんて激しいっ。
でも、メチャリズムがあって、この冒頭の力強さには、驚きつつも、嬉しいっ。
金管もティンパニーも、弦も、一緒になって、「タッタ タッタ タッタ たぁ〜」
こりゃ〜すごいっ。こりゃ〜良いですよ。切れ味抜群で、とぎすまされた刃物のスパっとした切れ味。
ここの部分は、メチャ、刻みのリズムが、瑞々しくて生き生きしてる。
で、一気に萎むんですよね。「どそらみ どそらみ どそらみ・・・」弱音になってしまって消える。

そこから、「らぁ〜 し〜れ どふぁみっ れぇ〜ど し〜ら そら れ」
ここの部分は、意気消沈しちゃって、どこか、もわ〜っとした感じだが、「ら〜し〜どぉ〜れぇ み〜 ふぁそらぁ〜」と高いヴァイオリンのフレーズが奏でると、フルートの響きがあって、雲をつきやぶって天上に来ましたって感じになる。このフルートのフレーズは、うふふっ。美しくて魅惑的。
あとに繰り返して出てくる天上的な響きも、ずっとだれることなく、木管群が活躍してて、まるで、天上で鳥が鳴いているような雰囲気がある。

また、低弦から階段を登ってくるが〜 ここは、また力強い。
「どぉ そらし ふぁそら そふぁそっみ そっ れみふぁ どれみ れどれっしっ」
ヴァイオリンが絡んで「れっ らしどっどっ しっ そらしっし そっれみふぁ どれみ しどれ らしどっ」というフレーズを奏でる。うん。弦の力強さは、ホント、意志の強さを感じる。
硬くもなく柔らくもなく、質感的には中庸だが、かっしりした歯ごたえのある重量感がある。

で、続いて対極のように、ふわっとした弦の声。
う〜ん。強さと硬さ、優しさと柔らかさ この2つの極を、変わるがわるに提示されて
で、いきなり、「どっそ どっそ どぉ〜 どっそ どっそ・・・っ」と、迷いを突き破って、軍隊みたいに行進が始まる。ホント、いつ聞いても、この楽曲には驚かされるが〜 メスト盤も、ホント唐突だ。
繰り返しながら、最後に向かう。
「どどぉ〜 どれみ〜 れっ〜 れっ〜っ  れみふぁ〜 みぃみっみふぁそっ・・・」

フーガの部分というか、コラール風の最後に至るまでは、すごい音量で荘厳に奏でられる。
総体的には、若い勢いのある、かといって、がむしゃらではなく、いっけんクールでザッハリッヒにも聞こえるが、なかなかに熱い。まだ成熟してないが、期待できるような。魅力的な若さが詰まっている感じがする。
均整が取れてて、筋肉質であり、コクは少ないけれど、柔らかさもあるし、聴きどころの歌もある。
総体的には、バランスは良いし、引き締まり感もあって心地良い。
改めて、これがライブねえ〜 メチャ感心しちゃった。ワタシは良いと思う。
1966年 ショルティ ウィーン・フィル Dec  
1975年 ケーゲル ライプチッヒ放送交響楽団 PILZ  
1976年 ヨッフム シュターツカペレ・ドレスデン EMI  
1982年 テンシュテット ロンドン・フィル EMI ★★★
1982年 インバル フランクフルト放送交響楽団 Tel  
1984年 ジュリーニ ウィーン・フィル ★★
1985年 レーグナー ベルリン放送交響楽団 DS ★★★★
1986年 スウィトナー シュターツカペレ・ベルリン De ★★★★
1987年 ヴァント 北ドイツ放送交響楽団  
1988年 カラヤン ウィーン・フィル ★★★
1989年 マゼール ベルリン・フィル EMI ★★★★★
1991年 アイヒホルン リンツ・ブルックナー管弦楽団 Camerata ★★★
1993年 ヴァント 北ドイツ放送交響楽団  
1993年 スクロヴァチェフスキ ザールブリュッケン放送交響楽団 ARTE NOVA  
1993年 チェリビダッケ ミュンヘン・フィル EMI  
1994年 バレンボイム ベルリン・フィル Tel  
1995年 ハイティンク ウィーン・フィル Dec ★★★
2002年 ウェルザー=メスト  グスタフ・マーラー・ユーゲント管弦楽団 EMI ★★★★★
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