「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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 ブルックナー 交響曲第9番 
Bruckner: Symphony No.9


ブルックナーの交響曲第9番(ニ短調)は、終楽章が未完のままで1896年に作曲者が他界しています。
で、ほとんどの演奏では、3楽章までですが、なかには、補筆した4楽章までを演奏した盤もあります。

第1楽章 ニ短調 2/2拍子 再現部の第1主題部と展開部が融合した自由なソナタ形式
冒頭のブルックナー開始で、空虚5度(ニ・イ)から始まり、第1主題は瞑想的なもので8つの動機によって形成されます。第2主題は、イ長調の慈愛に満ちた響きとなり、旋律は半音階的で2小節で12音全て使っており調性は不安定です。ハ長調の動機が突如として現れた後、第3主題はニ短調でオーボエに現れ弦が応えます。
展開部では、第1主題が拡大したもので、斬新な行進曲があります。再現部では、第2、第3主題のみ変形し、不協和音のクライマックスの後、葬送コーラルとなります。コーダ付近では、7番1楽章が引用され、持続する低音に重ねてナポリの6度(ト・変ロ・変ホ)を短く入れ、空虚5度(ニ・イ)によって決然と終わるもの。

第2楽章 ニ短調 4/3拍子 スケルツォ 複合三部形式
デーモニッシュなスケルツォの開始は、トリスタン和音を移調したもので、分散した感じで浮遊感がありますが、突如として暴力的なトゥッティとなります。オーボエの愛らしい主題が登場しますが、暴力的な主題が現れてコーダに向かいます。
トリオは、遠隔調の嬰ヘ長調で速いもの。舞踊風の主題とエレジーが、ロンド形式をおりなしています。

第3楽章 ホ長調 4/4拍子
冒頭、ヴァイオリンが9度上昇した後、コラール風の主題が挿入されます。
第2主題は、変イ長調で弦楽に現れ、木管に引き継がれ調が変わります。ホルンの動機を加えて、ワーグナーチューバが不協和音を奏で、フルートがコーダに登場する伴奏音形を予告する形で総休止となります。
展開部は、自由な主題展開を見せますが、ロ短調で不協和音なクライマックスで、結尾和音は属13の完全和音です。コーダの調性はホ長調となりますが、7番の冒頭の主題、8番のアダージョ主題をワーグナーチューバで回想して静かに終わります。

  ヴァント ケルン放送交響楽団 1979年
Günter Wand    WDR Sinfonieorchester Köln
(WDR Sinfonieorchester)

ガタガタガタ・・・

録音状態はまずまず。ちょっと霞がかかっているような気がするが、許容範囲だ。穏やかなアナログ的な響きがあるが、最後の楽章は変貌し、やっぱ迫力満点で、荒ぶる神のように神々しい。
カップリング:ブルックナー 交響曲第7番(ハース版)、第9番(原典版)
ケルン放送交響楽団との全集9枚組BOXも販売されている。
1楽章
ヴァントさんが有名な指揮者となって巨匠扱いとなったのち、遡る形で、このケルン響のCDを購入した。
当時は、う〜ん 今のようにインターネットはなかったし、レコード、CDで出てくる有名な指揮者ぐらいしか、存じ上げておらず・・・ 大変申し訳ないことに、ヴァントさんの名前を知らなかったのである。
で、このCD、ひとことで言っちゃうと、 素朴さがあり、フレーズは大らかで柔らかさが残っている。すごく素直で、清々しいし、しなやかで、自然な豊かな表情をしている。
後年の、ベルリン・フィルを振っているような、硬派な演奏とはちょっと違うように感じる。
ワタシ的には、なんか、逆じゃーないの、 こっちの方が、ひと皮、剥けましたって感じがするんだけど・・・。と思う。
ヴァントさんは、ケルン放送響とは70年代から80年代初頭に、北ドイツ放送響とは80年代の後半かな。
ベルリン・フィルとは90年代に、次々のブルックナーの交響曲を、ライブ盤を含めて録音している。

副旋律が綺麗に出てきて、見通しの良さを感じる
1楽章のラストなんぞ、すごい音で荒々しく金管が吹かれて、どことなく一本調子という感じがする。特に、トランペットは、甲高いキンキン声で、めいいっぱい吹けばいい〜 みたいに吹かれているような気がするんだけど。
で、音が落ちているというか、音が違うような気がするし・・・
う〜ん、あんな音じゃーないと思うんだけど。原典版ってこんな音だっけ、、、う〜ん。
ちょっぴりヘタな気がするんだけど、ヴァント盤だよねえ。
まあ、BPOのように、冷たくて、カッチリ、がっしり、ぎっちぎっち〜 というよりも、自然な感じがする。
アナログ的で、ライブ盤ぽくって身近に感じられて、これも、よろしいかと。

2楽章
弦のピチカートから始まる風変わりなスケルツォの楽章だ。
打楽器が、「たたた たんたんたん・・・」、 金管が 「ふぁふぁふぁ ふぁふぁふぁ・・・」と刻んで行く。
弦のキン〜っと張った、瑞々しい音は活き活きとしている。
霞がかった奥から、金管が聞こえてくるのだが、それが、ちょぴっとずれているというか、
テンポは中庸で、インテンポで進んでいくのだが、途中、へっ? と、ずれるところがある。2番手のトランペットだと思うんだけど、完璧ではないのだ。木管だって、えっ これ何の楽器が出てるの?クラ?
まあ、ライブ盤みたいなもんでしょうし、完璧すぎないところが、かえって新鮮というか。
あっ・・・そうか。ここで合わないと、こんな感じに聞こえるのかって、驚いたり、興味が持てて、これも、よろしいかと。
ホントかえって新鮮かも。(笑)

3楽章
金管の迫力が大きく、壮大さが感じられる。
98年のベルリン・フィルとは、かなり違うなあ〜と、前2楽章は感じたのだ、この楽章は、ひれ伏しました。
神々がお怒りじゃーっという感じで、豪快で鳴りっぷりも良く、怖ろしいほどの逞しさがあり〜 この息づかいというか、間合いのキッチリ感が、この頃から形成していたのかと、ちょっと感じます。
金管の吹ききった感というか、全開で、そのまま押して、ぐわっと伸びてくる、まっすぐに直線的に吹かせる芸当というのは、はい、紛れもなく・・・という感じだ。この3楽章で、ヴァント盤と確信したという感じ。

しかし、金管は目立つ。この骨太で、ブコツさ、ぶっきらぼうで、ちょっぴりへたな〜(いや、かなり〜かも)
汚い音のままで、放置されている感じだ。セッションでの録音だと思うが、ライブ盤のように一発どりなのか、やり直させていないようである。それでも、おっそろしほど神々しさを感じる。

中間部分は、砕け散った星くずたちが宇宙を浮遊しているかのようで〜
スケールの大きさは、永遠不滅のように、つくづく広がりを感じられるし、逞しく、恐れ多い、荒ぶる神のような神々しさもあり、圧倒されて、力尽くで押さえ込まれそうな、畏怖心すら生まれてくるようだ。
BPOの演奏と、オケは違うが、スタンスは同じかなあ。と感じる。
実は、前2楽章で聴くのをやめようかな〜と思っていたのだ。
あまりにも、へたというか、変なモノを聴いちゃったみたいで〜 自分でも、イメージ違うやん。と、がっくりきちゃってたんだと思う。でも、あきらめずに聴いててよかった〜 3楽章のど迫力はハンパないです。
マタチッチ チェコ・フィル 1980年
Lovro von Matačić    Ceska filharmonie
(Czech Philharmonic Orchestra)

いかさねぇ〜

録音状態は、まあまあ。ゴツゴツした感覚を彫りの深い演奏をイメージしていたが、良い意味で弦は柔らかい。その代わり、どうも金管の咆吼が、金属臭くて〜
ライブ盤なので、万全ではないだろうが、それにしても、らしくない感じがして。
う〜ん。期待していたのに、ちょっとがっかり。

1楽章
マタチッチ盤は、ブルックナーの5番や7番のように、ゴツゴツとした岩肌というか、鮫肌というか、ともかく、ざらっとした感覚だったので、9番も同じような演奏だと思っていた。
でも、へえ〜意外だな〜と思うほど、1楽章は、弦の優しい響きが、優美に流れてくる。
ホント、柔らかく、天上の音楽のようなのだ。
弦が、結構、柔らかく、ほそめの優美さで、ふぁ〜み 木管の細い音色と共に、ノビの良さを感じる。
息のながいフレーズだし、結構、シルキーなクリーミーな泡のような、きめの細かい音なのだ。
そうですねえ〜喉ごしキリリ、辛口のドライというアサヒビールの風味ではなく、サントリープレミアムの泡のような感じなのだ。つるんとした泡の風味って感じ。
その代わりに金管は、結構粗野な感じで、「どぉ〜 そぉ〜どそ どぉ〜」「ら〜み ふぁ〜どぉ〜」
割れ気味といか、ドスコイ気味というか。ぶわ〜っと、力任せというか、荒れ気味に吹かれている。
弦は良いのになあ。金管群は、まろやかではなく、キツメに感じる。う〜ん・・・もったいない。

2楽章
弦の高い音でのピチカート、「れられっ られられっ みられっ られられっ」
弦の弾んだ音いうか、弾んだ金属片の踊りのように、ピンっと張った弦の強さが感じられる。
打楽器 は、タタタ タンタンタン・・・と鳴っているが、さほど、ツヨメではなく、ごろごろ〜っと奥まった鈍さがあり、重さがあまり感じられない。鈍いとは言えないが、弦の響きのほうが勝っていて、マタチッチ盤にしては、硬くて重くて、びくともしない堅牢な感じが、あまりしない。
ある意味、超絶したゴツゴツさではなく、この盤での金管は、う〜ん。あまりいただけない。
金属くさくて、さび付いた匂いがする。
ライブ盤だからかもしれないが、熱っぽい演奏かと思っていたのに、う〜ん。
大きさは感じるのだが、イマイチ精緻さ欠けてて、ちょっとイマイチかも。
ワタシは、この楽章、悪魔の囁きのようにも聞こえるな〜って思っているのだが、冷たく、ニヤリとした笑いとか諧謔さとか、感覚的な重さとかは、イマイチ感じられなかった。もう少しタイトでも良かったかしらん。

3楽章
この楽章は、わりと広さ、大きさを感じつつ、ゆったりテンポで進む。
重量感は、さほど無いのだが、弦の響きは1楽章同様に柔らかく・・・と思って聴いていたら、どうも、ここの金管とは相性が悪いらしい。
なーんと、デリカシーのない響きだろう。
直裁なモノの言い方で、つっけんどん的だ。適当に吹いているワケではないだろうに、弦の響きを、ぶちこわしてしまう。
「どぉ〜 れふぁふぁっ どぉ〜 れふぁふぁっっ ふぁぁ〜れふぁふぁっ」
音が割れているというか、震えているというか、余計な響きが、どうもついている感じで。う〜ん。
いただけない。耳に触るというか、刺さるというか、強い刺激的な響きで、雰囲気ぶちこわし。

ブルックナーの9番って、他の楽曲以上に、ぶっ飛んでて、最後は、やっぱり天国でしたか〜って感じの、どっか人間離れしているところがあるんだけど、このマタチッチ盤は、そこまでには至らず。
あーっ。天国の門は、ついぞ見えませんなんだ。
60年代。70年代初めの演奏は、とってもゴツゴツした、ごろごろした感じだったのに、80年になると、オケが、ヤワになったのかもしれない。ワタシ的には、岩を登って、山頂で神々しいしご来光を拝みました。という構図を期待してたんですけど、ご来光は拝見できませんでした。残念っ。
このチェコ・フィルの他に、68年NHK響、83年ウィーン響盤もあるが、ワタシは未聴です。
ライトナー シュトゥットガルト放送交響楽団 1983年
Ferdinand Leitner
Stuttgart Radio Symphony Orchestra

ばっちグー!

録音状態は極めて優秀で、透明度も高く、低音から高音まで恐ろしいほど響き渡る。

1楽章
クリアーな音響で、まずライブであることを忘れる。
冒頭より、静謐で、ゆったりと落ち着きはらった感じ。木管の音色が響いたあと、ホルンと弦があわさって雄大なフレーズを奏で始める。
ゆったりじわじわ〜 音色があわさってリズムを刻んでいくが、一気に行かず堂々としている。
頂点では、不思議な和音の音色が放たれる。
弦の音は、ちょっと硬め。艶があって黒光りしているようで、特に、ヴァイオリンの高音域は神々しく響く。
残響もほどよく、ピチカートの響きが、夜空の天空をイメージさせる。
柔らかい弦の音色は、穏やかな安らぎがある。ライトナー盤は、安らぎの光が、まるで見えるように演奏してくれる。すごい。
特に、第2主題の弦の美しさったらないよぉ〜 ら〜 ららら〜 ららら〜 ららら〜
ブルックナーには、構造がどうのこうの。巨大な構造物などに例えられる盤もあるけれど、ガチガチ、ゴツゴツしている演奏ではなく、このライトナー盤は、美音につきる。
のびのびしていて自然で、人工の構造物ではないと思う。
そらし〜 し〜どれ〜 なんていうフレーズが何度も繰り返されるけれど、この語尾が柔らかいのだ。
そして、これが飽きない。何度も聴きいているうちに、体を委ねたくなる。
迫力満点の金管だが、咆吼するものの、耳につんざくような、キンキン声でもなく、痛くなるほどではない。渋い音だと思う。ティンパニーもよく響くが、単独で鳴っているわけではない。

2楽章
一風変わった楽章なのだが、このスケルツォは大好きである。弦のピチカートが響き・・・
打楽器が、「たたた たんたんたん・・・」、 金管が 「ふぁふぁふぁ ふぁふぁふぁ・・・」、 弦が、「ふぁれし らふぁれ・・・」と、順にあわさっていくところが絶品で、とても面白い。 
いささかクールで鋭い音色だが、小気味よい。なんとも小悪魔的に聞こえる。 ライトナーは、あまりおどろおどろしく演奏していないが、弦が、ちょっとした悲鳴をあげているようである。 テンポは中庸で、インテンポで進み、最後まで揺らさない。
ライトナー盤は、この楽章は、クールに進みすぎかなあ。
心理描写というより、悪魔が刻まれた彫像を見ているようで、にやり〜っと笑えるのだが、怖さが足らない。この楽章でテンポを揺らし、もっと〜不気味に演奏してくれていたら、もっと面白かっただろうに。
悪魔たちが踊っているに思える楽章なのだが、その雰囲気が、ちょっと足らないような気がする。

3楽章
結構なパワーで、冒頭より全開で、金管の音色とティンパニーが、よく響く。
繰り返しがあるので、ファンファーレのように華麗ではあるが、何が始まるのだろう。という期待が少ないかもしれない。多少、冷えているんで。ただし、ものすごーく美しい。甘く柔らかなフレーズには機敏に反応している。この弦の美しさは特筆もの。澄み切った輝く湖面のようで、透き通っている。
う〜ん。これはやられた!

全般的に、神々しいし光を、見えるように演奏してくれており、大変美しい演奏だと思う。
ただし、人の嫌な面、内面の汚れた部分や悪魔的な誘いについては、覆い隠しているのかワカラナイのか、人の嫌な面は描かれていない。陰影が深くないというかなあ。
ライトナー盤は、神から人への愛情表現という感じ。神の愛を感じたい人には、すこぶる良いかもしれない。汚れた中を経てきたというストーリーを描いているわけでもないし、その救済パワーを描いているわけでもないようで、人の苦悩はダイレクトには描いていない。
絵画で例えるなら、新古典派の絵画というか、アングルの絵でも見ているようだし、 4楽章なんぞ、映画で例えると、「十戒」でも見ているかのようだ。あまりこの例えば巧くないが・・・。
神の愛か、美をひたすら追求しているようで・・・ まあ。このブルックナーの9番が、神に近づいた人の作品のようなので、この解釈で良いようにも思うが、どうだろう。
サヴァリッシュ バイエルン国立管弦楽団(歌劇場管弦楽団) 1984年
Wolfgang Sawallisch
Bayerische Staatsorchester
(Bavarian State Orchestra)

こまちゃったなぁ

録音状態は良い。とても柔らかい残響がある。演奏も、とても柔軟でソフトタッチ。
もっと、カッチリして欲しいと思うぐらい淡泊で硬質感がない。綺麗なんだけどな〜
でも 、綺麗だけで終わってしまうという、モッタイナイ演奏のような感じがする。
1楽章
サヴァリッシュさんのブルックナーは、1番、5番、6番、9番の録音がある。
ひとことで言っちゃうと、録音状態はとても良いのだが、もう少しカッチリした構築性が表れてきていたら良いのだが、あまりにソフトで〜 緩い、ワヤイと言われるかもしれない演奏である。
カッチリした構築性の感じられる演奏が好きな方には、お薦めしない。
冒頭より、温かみのある、ゆったりとした演奏で、雄大なフレーズを奏で始めるが、弦の瑞々しさを感じるし、木管も、幾分細身だが綺麗だ。
じわじわ〜っと浸みてくるような、湧き水のような清潔さがあり、水っぽさを感じる。
ホント、山の水が湧いているような透明度と、森林浴ができるようなマイナスイオンを感じる。
弦の奏でるフレーズは、ホント、柔らかく、柔軟で、瑞々しいのだが、どこか柔らかすぎて、う〜ん。
ブルックナーといえばゴツゴツ、ガッツリした音のピラミッドがイメージされるが、そんな演奏イメージが浸透しているなかでは、やっぱり緩いと言われてしまうかも。 堂々とした石組みの教会をイメージするような楽曲だと、ワタシ的にも思いこんでいるので〜 う〜ん。腰に粘りがないって言ってしまうだろうなあ。と思う。

「ふぁ〜そ ふぁ〜ら れ〜みふぁ〜 みれ みぃ〜そふぁ しらそ ふぁ〜み」
う〜ん。綺麗、綺麗すぎるっ。
髪の長い女性が、まるで、泉の傍らで半身浴でもしているような、しっとりとした色ぽさがある。
バロック絵画の美しい女神が立っているみたいだし〜 または、東山魁夷さんの北欧をテーマにした絵画を見ているような感じで、あっさりとしたタッチの淡い色彩の日本画のようなのだ。 そういう意味では、すこぶる東洋的だ。

日本人感覚に近いのだけど〜 う〜ん。どうだろ。え〜 ブルックナーでしょ。これっ。やっぱり、ちょっと違和感あるなあ。
「みぃ〜 しぃ〜そし みぃ〜しそ み〜ど そらし〜 どしら〜 そふぁそぉ ふぁみふぁ〜」
低音のゴリゴリとした音があまり聞こえてこないし、下支えてのどっしり感が少ないので、腰高な和音形成になっているようだ。フレージング的にも、なだらかな日本の楽曲のように感じられてしまう。
たまに聴いたら、とっても新鮮な気分になるのだけど、あまりに、さらり〜っとした感覚なので、訴えてくるものが少ない。
高音域を支配する弦は、ほんと綺麗なんだけどなあ。
「どぉ〜 そぉ〜どそ どぉ〜」「ら〜み ふぁ〜どぉ〜」っていう金管パワーも少なめで、ガツンと響くモノも欲しいし、どどどっ〜っと畳みかけてくるパワー、勢いが欲しい。 なにせ、ごろごろ〜とした底流の響きが足らない。綺麗すぎ。
聴いてて疲れないし、飽きないんだけど、耳からこぼれ落ちてしまって、、、あー もったいない。

2楽章
弦の弾ける音「れらっれっ しっれ しっれ」「れられっ られられっ みられっ られられっ」 という、ピチカートが鳴ってくるが、やっぱり綺麗すぎて、音が丸くなっている。
金管の響きが、霞がかかっているなか、まるで原始霧のようで、雰囲気はそこそこにあるのだが。
音が丸すぎだ。
ツンツンしてないし、悪魔的な響きに鳴ってないし、シンプルで自然派である。ある意味、この楽章は、邪悪さがあってもワタシは良いと思うのだが〜
なーんていうか、堅牢感がないというか、木質すぎて響かないのである。
「ダダ ダンダンダっ ダダ ダンダンダっ」という、いかにも堂々とした押しの強いリズムが、充分に活きてこない。
テンポは速いんだけど、あまりにも耳に優しい響きで〜 力が分散されてしまって、突き進むエネルギーが感じられず、あーっ これも、もったいない。何のためのスケルツォなのか、わかんなくなっちゃう。

3楽章
「しぃ〜 れぇ〜 どし し どふぁそ ら〜しぃ〜」冒頭、半音マークイッパイのフレーズから始まる。
「し〜どれ〜みぃ〜 みそし みふぁそぉ〜 ふぁそ らし れ ふぁぁ〜」
「どぉ〜 れふぁふぁ どぉ〜 れふぁふぁ〜」
結構、大きな音で、綺麗な和音が響く。壮大さは、感じられるし、え〜 格好良いやん。と思ったのだが、やっぱり日本の障壁画を見ている感じだ。 健康的で、自然観をテーマに描いた障壁画。廻廊に掲げてあって、それを順次拝見しているような感じである。いたって平面的というか、絵画的であって、立体的な空間として浮かび上がってこない。
フレーズが、柔らかい曲線で、丘陵地帯のようだし、バリバリとした金管の咆吼もないし、凸凹感もないし確かに綺麗なんだけどな〜 綺麗で終わってしまうのだ。

熱情が足らないというか、ガッツがないというか。パンチが無いというか。
執拗なフレーズが、分厚い響きのなかで繰り返され、シツコイな〜って思うほど粘ってくる筈なんだけど、あまりに薄口で、、、どどぉ〜っと押してくる楽曲にはなっていない。
サヴァリッシュ盤は、意思力が不足してて、何が言いたいのか、ワカラン。
神々の世界に入りたいというような意思力も感じないし、何かを畏怖しているわけでもなく、さらり〜と描かれている描写だ。森林、丘陵地、あまり険しくない山をテーマに描かれた障壁画という感じだろうか。
最後の最後で、盛り上がってくるんですけどねえ。最後だけでは、、、う〜 ワタシ的には、9番という重みが感じられず、ちょっとモノ足りません。ごめんなさい。
ショルティ シカゴ交響楽団 1985年
Georg Solti
Chicago Symphony Orchestra

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は、すこぶる良い。凄まじい音響きの渦に巻き込まれてしまう。
特に、2楽章の邪悪で不気味さはピカイチだと思うし、その不気味さゆえに、後の神々しい世界が生きてくるような気がする。

1楽章
霞がかったなかでホルンが鳴っている。まあ。ここまではブルックナーらしい始まりという感じなのだが、弦が奏でて雄大な頂点を築き上げるまで、テンポを速めて格好良く持って行く。
ブル9っていうのは、どこか枯淡な感じがしないイケナイ。という勝手な思い込みあったのだけど・・・。
ショルティは、たっぷり歌う。
歌心ありのブル9って、こんなに伸びやかだったのかと驚いてしまった。
それに、いつもながら金管がよく鳴っているのだが、この盤では、さほど嫌みがない。ガンガンでもないし、ぶお〜っと、バズーカ砲のようにぶっ放す感じではない。意外と、まろやかなのだ。
厳しい面と穏やかな面が、交互にやってくる楽曲だが、このショルティ盤は、弦にしなやかさがあり、よく歌ってくれる。険しいところでも、いつものぶっ放しの金管が、まろやかなのだ。
どうなっちゃったの〜 と意外な拍子抜けだが、ほほ〜っ。良いやん!
弦に艶はないが、ちょっと擦れている方が、この楽曲には似合っている。
弦が、奥まったところから弱音で流れてくるようで、空間の広がりを充分に感じさせる。これは良い!

2楽章
弦のピチカートが響き渡る。擦れて骨張った弦の音色が、この楽章には似合っている。
打楽器が、ダダダ ダンダンダン 金管が ブ〜バババ ブバババ・・・ と鳴る。
ティンパニーが強打を繰り返し、恐怖に駆られたように叩き始める。この打楽器と金管のおどろおどろしさは、ショルティ盤はピカイチである。
また、弦が不協和音的なリズムを弾いていくのだが、金管の対旋律である合いの手の「ぷぉ〜っ」という金管が入っている。何番手の吹き手の方なのかワカラナイが・・・。おお〜っ これは、他の盤では気づかなかったフレーズだ。まるで、神の怒りを買って、吹き飛ばされているような感じがする。
で、ダダダ ダンダンダン・・・のお決まりの不気味な旋律が何度か繰り返されるのだが、そのフレーズとフレーズの隙間に、ショルティ盤では、テンポを揺らして、はしょってしまう。 これが更に、不安定な気分に追い込む。
う〜ん。なんともおぞましい光景が広がっている。この楽章は、ダークサイドなのだ。
弦の軋んだ音色が、暗黒の世界のなかで、筋肉が裂かれているような音に聞こえる。
ミケランジェロの「最後の審判」のように、上下にわかれた宗教絵画を見ているような気分だった。
和風で言うと、地獄絵巻を見せられて、どうだ怖いだろう。これから善行を重ねていくのだ。わかったな。と言わんばかり。
この楽章は、息の詰まるような緊迫感と不協和音がいっぱい奏でられる。
暴力的・破壊的・野蛮で、邪悪なモノが一杯である。気色の悪い・不気味さがあからさまにされ、目の前に広がってくるので、ワタシ的には良いのだと思っている。

3楽章
ゆったりテンポを遅めに、壮大な絵巻を描いていく。弦の響きが穏やかに響く。
前の楽章とはうってかわって天上の音楽が奏でられる。ワタシ的には、この楽章は、人が神を信奉する音楽ではなく、神が人に語る音楽なのだと思っているのだが・・・。
まあ。ショルティ盤は、ちょっぴり〜人間臭いけれど。かなり神々しく響いている。 とかくパワフルな金管だから、ときどき、大音量で咆吼するのだが、弦も美しい。 あはは〜 この金管はパンドラの箱が開いたみたいで、怖いっ。
弦のフレーズは美しい。泣ける。でも繰り返して聴くには、冗長すぎて寝てしまうかも。

ショルティ盤で、神々しい世界と世俗的な世界は、表裏一体だということに気づかされたし、金管の咆吼は、パンドラの箱が開いた瞬間だったり、神の怒りかな?という気にさせられた。
そう考えるとブルックナーの楽曲は面白い。
また、評論家や世評のご意見も参考にはなるだろうが、ショルティのブルックナーは、もっと見直されていいよなあ。っと思っている。ワタシ的には〜 このショルティ盤のブルックナーは良いと思う。
(まっ ど素人が、初心者感覚で勝手に言ってるので〜 その点はお許しを〜謝)
インバル フランクフルト放送交響楽団 1986年
Eliahu Inbal  Radio Sinfonieorchester Frankfurt
(Radio Sinfonie Orchester Frankfurt)

う〜ん。どうだろ


録音状態は良い。原典版 静かで綺麗なのだが、圧倒されるパワーがなく、足元が危うい感覚がしちゃう。ワタシが所有している盤は、1〜3楽章のみ収められている。
初期の発売分は、5番の余白に補筆部分の4楽章が収められている。
なので、カップリングにはご注意ください。(今は一緒に収録されているようですが)
1楽章
録音状態は悪くないのだが、どこか線が細いというか、冒頭から一直線に宙に浮いていく感じがする。
「み〜 み〜みみぃ〜 そぉ〜み〜 みみぃ〜 み し〜み〜」という冒頭のフレーズから、彼岸って感じがして、雲のうえを静かに歩いていくような感じがする。
勇壮なフレーズという感じではなく、魂の抜け殻とは言わないが、空を飛んでいるような、すーっとした静謐感と涼しげな感覚がするのだ。少し足元が危ういような感じもするが、透明度も結構あり、まるで、ジャケット写真のように、既に雲のなかを飛んでいるような感じだ。
音があたまのうえを飛んで行ってしまうような、飛行機雲のような感じ。

音の像がはっきりしないというわけではないが、どこか、音が広がらず、立体的にはなっていない。だからかもしれないが、音に、包まれた感覚には遠い。
決して、焦点がぼやけている わけではないのだが、音の像がクリアーではないというか。高音域は、通るんだけど、中音域から低音部分が、しっかりと固まってないような感覚がする。
だからかもしれないが、もう既に、冒頭から、この世のモノとはなっていないような〜 あちゃちゃ〜
「そふぁみれ そふぁみれ そふぁみれ そふぁみれ〜」
「みぃ〜 みみ れどしら〜らっ らそふぁみ〜」という、凄い音のピラミッド像が完成してくるところも、 直線的で、すーっと行ってしまう嫌いがあって、カッシリした構造物という感じがしないみたい。
でも、それと引き替えに、ヴァイオリンの「ふぁ〜そ ふぁ〜ら れ〜みふぁ〜 みれ みぃ〜そふぁ しらそ ふぁ〜み」 というフレーズは、はあ。溜息がでちゃうぐらい綺麗なのだ。

テンポはゆったりしており、木管フレーズの通りが良いので、針葉樹林のなかの湖を見ているような、静謐さと冷たさを醸し出す。ゆったりとしており、太さはあまりない。
揺れも、激しくないし、怒濤のような地響き的な感覚は少なめ。
ブルックナーは宇宙的とか言われる。で、9番は、もはや人の気配が無くなって、宇宙的な鳴動という感じがする〜というのが定説みたいだけど、インバル盤で聴くと、万年雪を抱く標高の高い山を仰ぎ見るような感覚で、自然に対する 美しさみたいなものを改めて感じる。
最後の盛り上がりは良いのだが、そこだけ。って感じで、どこかパワーがないというか、迫力がないというか、押しの強さみたいなものを感じない。

2楽章
弦の弾ける音「れらっれっ しっれ しっれ」「れられっ られられっ みられっ られられっ」 という、ピチカートが鳴ってくるが、やっぱり綺麗すぎて、とんがってこないので、迫力がなぁ〜 あまりないんである。
「ダダ ダンダンダっ ダダ ダンダンダっ」という、いかにも堂々とした押しの強いリズムが、充分に活きてこないので、ちょっと拍子抜け。
音は綺麗なんだけどなあ。テンポは速いんだけど、あまりにも耳に優しい響きで〜 力が分散されてしまって、突き進むエネルギーが感じられず、あーっ これも、もったいない。何のためのスケルツォなのか、わかんなくなっちゃう。どことなく、自然観いっぱいのサヴァリッシュ盤に似ているけれど、それを、少しヒンヤリさせた感覚かもしれないな〜っと思う。

3楽章
音の響きが細めで、細かな音が聞こえてくるのだが、壮大さっていう点は、ちょっと〜少なめだが、たっぷりとしたフレージングで、サッパリ系だが、透明度は感じられる。
静謐さは抜群にあるのだが、どことなく平板な感じが否めない。ただし金管が出てくると、パワーアップ して、ようやく生命感が出てくるような感じ。 あ〜 やっぱり低弦の響きが強くでてくると、構成に幅が出てくるというか、立体的に浮かび上がってくる感じがする。 だが、なーんか、他の演奏を聴いてしまうと、フレーズが短めで、持続力に欠けてしまっているような気がするのだ。どうしてなのだろう。
3楽章では、反対に、低弦だけが目立ってしまって、音の層として、1つの音として、まとまって響いて来ないのだ。
「どぉ〜れふぁふぁっ どぉ〜れふぁふぁっ・・・」というフレーズは、力強いが、唐突だなあ。って思ってしまう。突然、何かが噴き出した感じで、爆発しているみたいだ。
しかし、この噴き出し感も、最後には、やっぱりストンっと終わってしまい、締めくくり感が無いので、腑に落ちないまま。
あちゃちゃ〜 総体的には、なーんか、冷静で、冷たい感覚がある。ピチカートの響きは良いが、細切れ的で、ずーっと続くような、継続的な感覚が少ないので。う〜ん。 なにか盛り上がらない。

で、ブルックナーが書けなかった最後の楽章は、補筆されていて〜この補筆された部分(ニコラ・サマレ、ジュゼッペ・マッツカによる補筆完成稿)は、4楽章としてインバルさんは録音してくれているのだが、ワタシが所有している盤では、5番の2枚組の余白に収められてしまっているのだ。
うっ。これ不便なんだけど・・・。今売られている盤では、一緒に収録されているのになあ〜 それだったら、最初から一緒にしておいて欲しかった。(と、ちょっと、ぼやいてしまった。)
まっ この最後の楽章は、またの機会にコメントします。

それにしても、80年代にインバルさんが、徹底して、ヘ短調、ニ短調の00番とか0番とか呼ばれているシンフォニーも演奏して、CDにしてくれてた貢献度って高いと思う。初稿版とか、原典版とか、結構話題になったCDでもある。
ワタシは、単発で買って集めていたけれど、今は、リマスタリングされ、全集11枚BOXで売られている。
えっ 安くなっている〜と、改めて驚いてしまった次第です。
ヴァント 北ドイツ放送交響楽団 1988年
Gnter Wand  Hamburg North German Radio Symphony Orchestra
(NDR Sinfonieorchester Hamburg)

う〜ん。どうだろ

録音状態は大聖堂ゆえの残響があり、少し違和感を覚える。
カップリング:2枚組BOX ライヴ盤
CD1 1〜3 ブルックナー 交響曲第9番
4 CD2〜3 ブルックナー 交響曲第8番
1楽章
ヴァントさんの北ドイツ放送響とのライブ盤である。1988年6月、リューベック大聖堂におけるシュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭における収録だ。
で、このCDは、2001年のライブでの8番とのカップリングで、発売されていたもの。
大聖堂でのライブ盤なので、場所がらか、少し残響が多めで、奥行き感がたっぷり〜というより、音が反射しないで帰ってこないというか、力強く鳴っているのだが、どこまでも音が行っちゃった〜 無限大になってヌケてしまった感がある。
なので、ちょっと違和感はあるが、丁寧な演奏だし、独特の雰囲気があって、異次元空間で聴いているかのような感じがする。
この録音の状態で、冒頭を聴くと、まるで地球誕生した瞬間というか、黎明時代〜って感じがして、メチャクチャ神秘性の漂う、不思議な空間が形成されている。(ちょっと例えがオーバーだけど)
「そふぁみれ そふぁみれ そふぁみれ・・・ みぃ〜 みみぃ〜 れどどし らそふぁ〜 っふぁふぁぁ〜」
っていうフレーズは、すごい。残響と共にパワフルな音となっている。
ところどころ、木管の力づよいがゆえの割れた感、金管の音が、ん? というところもがあるが、それは、ご愛嬌かも。
独特の空気感だが、緊張感と、慈愛に満ちたふくよかさなどが、感じられるものだ。
1楽章のラストは、金管が、「たた〜ん たた〜ん たた〜ん」と、鳴り響くところの和音は、この大聖堂の空気を、びりびりいわせているような迫力があり。

2楽章
スケルツォの楽章なので、もともと、引き締まった感じのする楽章だが、より一層、ぐっと、喉が詰まるようなキリリ感がある。打楽器が、「たた たんたんたん・・・」、 金管が 「ふぁふぁふぁ ふぁふぁふぁ・・・」と刻んで行く。
厳しさと優しさが同居しているかのような雰囲気があるくせに、悪魔的というか、ダークな世界を描いていく。
特に、弦のピチカートは、大聖堂の地下から骸骨が起き上がって、カチカチ鳴らしているかのようで、かなり不気味だ。
そのくせ、緩い張りのティンパニーの音で、へっ?
背筋が凍るような気味の悪いところと、タイトなのだが、音が放出されてしまって戻ってこないので、なんだか頭がクラクラするような、へんてこりんな感じがする。
オーボエのフレーズは、チャーミングに吹いているのだが、なにぜ主題がタイトだし、強烈な打ち込みで、びびってしまっているので、変に可愛くされると聴いている方は構えてしまう・・・。(笑)
この楽章の険しさは、ケルン放送響、ベルリン・フィル盤と比べると、少し緩めに感じる。

3楽章
最初のフレージングは、ゆったりとしており、夢幻の世界に引き込まれるのだが、そこで浮かせておいて、ダダ〜んと落とされてしまう。
ティンパニーのロールと金管のストレートなフレーズは、凍らせる。
この落差はやっぱり大きく、レアな厳しさを突きつけてくる感じだ。ただ、独特の音の広がりがあり、ヌケてしまう感じと浮遊感があるので、たっぷりとした旋律のなかで、ぷわっと浮いて、漂って〜 どこかに流される感もする。
構築された堅牢な面よりは、ヌケ行くような、気味の悪さを感じてしまったのと、弦に美しさは感じるのだが、持続する力は少なく、自然に減衰する響きのなかで、身の置き所がない〜という感じもする。
金管が吹かれて、うえに向けて飛翔していこうとうするのだが、どこか、球体のなかに吸い込まれたり、音が立ちのぼって蒸気のように消えるかのような、そんな感覚ではない。
それに、ヴァントさんのCDのなかでは、初期の録音のためか、まだ引き締まった感が少なめ。
しかし、ラストの強烈な金管は、ホント、鋭く咆吼しており、超現実な世界に引き戻されるというか、戒められる感はとても強い。金管とティンパニーの迫力は、ホント半端ではない。

ヴァント盤は、冷めてて嶮しく、リアルな演奏である。総体的には、録音状態によるところが大きいかもしれない。
ケルン、ベルリン・フィル盤と、一度に聞き比べをしているわけはないので、ちょっと、比較はできないのだが、他盤の方が良かったかもしれない。ケルン放送響は、強烈なすごみがあった。また、神々しさ、 別世界に向けて上昇するかのような浮遊感を求めるなら、他盤がいいかも。またライブ盤なので、全てが完璧に精緻に演奏されているわけでもない。
ヴァント ベルリン・フィル 1998年
Günter Wand    Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

殴られた気分だ

録音状態は、まずまず。険しい厳しいブルックナーで、かなりタイトな演奏である。豪快で鳴りっぷりも良く、神々しさもあり。
ライブ盤
1楽章
ホルンとティンパニーの音が、じわじわ〜っと硬めの音で奏で始め、まるで儀式の始まりのように告げる。
この出だしは、う〜ん。かなり硬いし、迫力というか気迫がある。
まるで中世の騎士が、甲冑をまとって、朝霧のなかから出てくるような感じがして、ひぇ〜。凄みのある世界だ。弦が奏で始めて、雄大な頂点を築き上げるまで、テンポをじわじわ〜とじわじわ〜っと持って行く。
ヌケはあまりよくない録音だが、硬めの音色で、黒っぽい巌のようなブルックナーである。
頂点を築くまでは、ホント、隙間がないというか〜 ぎっしり、がっしりとした音で、巌のような音が詰まっている。
雰囲気が変わって、弦のピチカート、ヴァイオリンの旋律が出てくるところは、硬いままにも、柔らかさが出てくる。すごく堅牢で硬いのに、弦のフレーズは、繊細で柔らかい。
深みもあるし、ゆったりとした流れが出てくるところは、う〜ん。やっぱり圧巻だと思う。
大きな石が沈んで埋まっているなか、緩やかに大河が滔々と流れていくような・・・。なんか大きなうねりだな〜っと思う。それに、揺るぎのない、険しい世界で、何 ものをも寄せ付けない独特の静寂感が漂う。
硬い意思力で拒まれているような、厳しい世界が広がっている。

2楽章
弦の鋭いピチカートの響きと、打楽器の「ダダ ダンダンダンダンダン ダダ ダンダンダンダンダン・・・」
この鋭い響きが、う〜ん。氷の世界のように響く。鋭いし、キツイ。 せわしなく弦が動き、前につんのめりそうになりながら進行していく。ティンパニーの音も硬くて激しい。
柔らかさの皆無な厳しい演奏だなあ〜っと思う。本当にタイトなのだ。
ゲニ恐ろしき鋭さで、ハンマーを振り下ろしているようなキツサがある。金管の咆吼も鋭い。
また、高い弦の音の部分が、乾いた骨がぶつかるような感じがするし、中音域の弦が、それに呼応している。
なんて怖い世界なのだ・・・。これじゃー暴力だよなあ〜と身震いしてしまう。
中間部分でオーボエをはじめとする木管、弦の旋律が出てきて、ちょっと休憩してくれるのだが、また、弦のピチカートから、あの恐ろしい「ダダ ダンダンダンダンダン」が鳴り響く。
うへっ。やっぱり怖い。

3楽章
前楽章には硬さと険しさがあったが、このアダージョの3楽章に入ると、ふわ〜っと舞い上がる瞬間の美がある。
弦の柔らかと険しさを兼ね備えたところと、ホルンをはじめ金管がよろしいですねえ。
うふぁ〜やっぱ 凄い。 まあ。この浮遊感は凄いです。
大音量の咆吼で、「ど〜 れふぁふぁ (ら〜〜れれっ) ど〜れふぁふぁっ」 
この鳴りっぷりの見事なこと。メチャ堂々としてて恰幅がよろしい。ゼウス大神のお出ましのような感じで、強烈、圧巻。
弦の歌うフレーズ「れ〜 そ〜み ふぁそ らし〜らそふぁみ どれ〜」が始まると、う〜ん。やっぱり天上の世界が広がってくる。まろやかな弦の響き、チェロの甘い調べ。う〜ん。極上の世界だ。
この弦のフレーズは、恐ろしく官能的でさえある。いつ聴いても、この3楽章は、19世紀末の美って感じで、退廃的、耽美的で〜 この誘惑には抗いがたい。

ヴァント盤も、結構、耽美的で、特にヴァイオリンの繊細で透き通るような音が、すごいな〜って思う。
甘すぎない、陶酔的に溺れない程度の険しさ、厳つさが残っているし、オケの音色自体は、硬めで、重心が低い。
で、硬い音質でありながら、弦の各パーツが、結構聞こえてくるので、フレーズの織り豊かさが感じられ、決して一本調子にならないところが、う〜ん。これまた凄いと思うのだ。
まっ この楽章の最後は、なんとも言えない神々しさが醸し出されてくるが〜 もはや別世界。
誰が振っても、ブルックナーの9番は、恐ろしいほどの神々しさを感じるのだが、ヴァントのこの盤は、漆黒の闇のなかを、自分1人で、ヒタヒタと歩いていかなければならないような気がしてくる。 ワタシにとっては、ちょっと悲しい、寂しい、神々しい世界である。

総体的には、立派な演奏で、堂々としている。
険しさと、時折、垣間見られる繊細なフレーズ、重厚に織り込まれたフレーズの数々。
この楽曲を、しっかり噛みしめるだけ、ワタシに、まだ技量がないので、偉そうなことは書けないので〜
とりあえず、今のところは、こんな感想です。(苦笑)
ラトル ベルリン・フィル 2012年
Simon Rattle   Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

こまちゃったなぁ

録音状態はまずまず。第4楽章補筆完成版として発売されたもので、話題となったように思う。ライブ盤
1枚モノと、2枚組BOXとして発売されているものがある。
このラトル盤は、4楽章まで演奏されている。
超簡単に言うと、SPCM 4人の学者(サマーレ、フィリップス、コールス、マッズーカ)さんたちが、相当な年月をかけて研究し、ケンカ別れしつつ、2011年に改訂した版を使用して演奏している・・・ってことになるでしょうか。
一応、ウィキペディア(Wikipedia)には、イッパイ情報があるが、ちょこっと抜粋して記載させていただくと〜

終楽章の補作完成について
コールス完成版 (2004年改訂版/2008年改訂版/2011年改訂版)
2011年の改訂版では、コーダが改訂され初演された。
サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による録音が、2012年にEMIから発売されている。
全647小節中でブルックナーが完全に総譜として書き上げたのは207小節にのぼり、校訂者による完全な補筆部分は37小節に留まる。なお、このラトル盤では演奏時間は23分弱である。・・・とのこと。

ブルックナーの9番の未完部分の補筆については、専門家ではないので〜 ちょっと書けないです。
もちろん、このラトルさんが振っている補筆版だけでなく、インバルさんも違う版を振っているし、アーノンクールさんも振っているし、他にもあるようだ。これについては、いろんなところで書かれているし、他で調べていただいたらと思う。
まあ、ワタシ的には、完成している3楽章だけでも、とっても、複雑な楽曲で、とーっても歯が立たない。
なので特に、最終楽章の未完部分を聴きたくて買ったわけでもないのだ。

だって、ブルックナーの交響曲は、どだい構成が難しすぎる・・・。こんな巨大で複雑な楽曲は、ド素人には、ぽわ〜んと聴いているだけで、充分なのだ。主題を聞きわけるだけでも、何度も聞いてみないとダメだし、結構、時間がかかる。
記憶力のテストをされているようなモノだし、方程式をイメージして、理詰めで考えないと、ワカンナイ音楽なのだ。
(と、勝手に思っている。笑)

で、ラトル盤・・・肝心の1楽章から3楽章については、う〜ん。
録音状態がイマイチなのと(ワタシの所有盤は、SACD盤ではない)、どこか、間延びした感じがして、ワタシ的には、ふにゃふにゃ〜した感じがした。重厚な低音は、しっかり入っているし、ごごごぉ〜っと鳴っているのだ。
でも、もっと、カッチリ、シャキシャキした食感が欲しいと思ったのだが、う〜ん。どうしてだろう。
ヴァント盤の洗礼を受けすぎたのかなあ。時間的には特に遅いわけではない。

ラトル盤は、硬すぎて歯が立たないというような盤ではなく、柔らかいのだが、迫力はあるし、とても、流麗で、横に流れて美しいフレージグとなっている。おまけに、いろんな音がイッパイ詰まっている。
あっ もしかしたら、情報量が多すぎて、ワタシの単純なアタマが、パンクしているのかもしれない。すごく、繊細な音も聞こえてくるので、耳がピクンっと反応して、もしかしたら疲れてしまったのかも。
何故、ふにゃふにゃ〜していると感じたのか、ちょっとわからない。特に、2楽章の暴力的な主題「ダダ ダンダンダンダンダン」が、鳴り響く場面では、歪みを感じたのだ。
う〜ん、これは、日を改めて聴かないと〜 また、聴いてみます。
ちなみに、
1楽章 23分56秒
2楽章 10分45秒
3楽章 24分29秒
4楽章 22分40秒 全82分10秒というクレジットになっている。
1961年 シューリヒト ウィーン・フィル EMI  
1975年 カラヤン ベルリン・フィル  
1979年 ヨッフム シュターツカペレ・ドレスデン EMI  
1979年 ヴァント ケルン放送交響楽団 ★★★★ 
1980年 マタチッチ チェコ・フィル Sup ★★
1981年 ハイティンク コンセルトヘボウ Ph  
1983年 レーグナー ベルリン放送交響楽団 DS  
1983年 ライトナー シュトゥットガルト放送交響楽団 Hanssler ★★★★
1984年 サヴァリッシュ バイエルン国立歌劇場管弦楽団 Orf ★★★
1985年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec ★★★★★
1986年 インバル フランクフルト放送交響楽団 ★★★
1988年 ジュリーニ ウィーン・フィル  
1988年 ヴァント 北ドイツ放送交響楽団 ★★★ 
1995年 チェリビダッケ ミュンヘン・フィル EMI  
1998年 ヴァント ベルリン・フィル ★★★★
2001年 スクロヴァチェフスキ ザールブリュッケン放送交響楽団 OEHMS
2012年 ラトル ベルリン・フィル EMI ★★★
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