「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

17171958

グラズノフ 交響曲第4番
Glazunov: Symphony No.4


1717

尾高忠明 BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団
1995年

Tadaaki Otaka
BBC National Orchestra of Wales

ほぉ〜良いヤン

録音状態は良い。 聴けば、必ず、しみじみ〜とさせられる曲で、田園風景が広がり懐かしい気分になっちゃう。平凡だけどシアワセ気分だ。淡泊だけど、爽やかで曲にマッチしている。
カップリング:グラズノフ交響曲第4番、同交響曲第8番
交響曲全集5枚組BOXもある。

1楽章
グラズノフの交響曲って、メチャ地味なのだが、しみじみ〜とした味わいがある。
で、なんとなく和風のティストがあり、旋律美で、懐かしい気分にさせてくれる楽曲である。
「そっそぉ〜ふぁみ しらし〜そらぁ〜しら〜 そ〜ふぁ」
「そっそぉ〜ふぁみ しらし〜そらぁ〜しら〜 みれ〜しら れぇ〜 しらそ〜みれ〜られ〜」
導入部はイングリッシュホルン(コーラングレ)が、主要なフレーズでは、弦やホルンが活躍してて、この音色がたまりません。穏やかな弦の優しいフレーズが、続くのだが、単なる歌謡風と形容してしまうのも、なんだか、もったないほど、しみじみ〜とする歌で彩られている。

交響曲第5番でも感じることだが、どことなく東洋風なのだ。
それに、尾高さんの演奏は、爽やかで、爽やかすぎるんじゃーないのかなあ。と思うほど、ロシア臭くない。
あのぉ これイギリス風なんじゃないかしらん。とも思っちゃうほどで・・・。
いや、それどころか、日本ですよねえ。この雰囲気は。NHKの田舎ドキュメンタリーとか、ちょっぴりノーブルな雰囲気を持った、明治・大正時代の時代モノのドラマのバックに流れてくるような曲というか。
透き通る風、風そよぐ草原のような、のどかさで、日本の懐かしい風景を望んでるかのような、草や木のかぐわしい香りがするんだなあ。
あとは、なーんか、爽やかに流れていく、親しみやすい等身大の交響曲っていうか。いや、交響曲という感じが全くせず〜 う〜ん。
悪い意味じゃなくって、構えない普段着の楽曲ですかねえ。
で、交響曲なのだが、3楽章で終わっている。

確か、チャイコフスキーから、さほど離れていない流れの方なんですけどねえ。
斬新的というか、革新的な楽曲とは縁遠い存在なのだが、まあ。このショスタコ、プロコさんとは全く違う次元の楽曲だが、これはこれで、味わいが深い。
てなことを言っても、耳には心地良いものの、耳の残る旋律が無いというか。
「そっそぉ〜ふぁみ しらし〜そらぁ〜しら〜 そ〜ふぁ」
「そっそぉ〜ふぁみ しらし〜そらぁ〜しら〜 みれ〜しら れぇ〜 しらそ〜みれ〜られ〜」
↑ このフレーズのみ、印象に残る感じで、これが曲全体を覆っている。
味わいはあるのだが、どうも感想が書きづらい〜 笑)

2楽章
軽やかな舞曲風の楽曲で、木管、特に、クラリネットとフルートが、あわせもって、
「ししれ〜し らみ〜  ふぁれ〜ど ふぁれ〜ど」「そふぁ〜そ みふぁそらそし・・・」
タタタ タタタ タタタ・・・と弱いリズムが底で流れてて、そのうえに、軽やかに
「そふぁ〜そ みふぁそらそふぁ みふぁ〜 れ〜み」 
軽やかにホルンも同じフレーズを吹いてくるし、弦が、爽やかに、「みふぁそらそふぁ〜」「れど〜れど〜」
雰囲気を出してて、楽曲としては、まとまりが良いし、心地良くさせていただくのは、メチャ感謝って感じで、旋律の流れ、軽さ、爽やかさを醸し出すのは、メチャ巧い。
シンプルな旋律が、ホント、耳触り良く、環境に優しいって感じ。

春の田園風景を見ているような、田圃で、農家の人が、日々の農作業を楽しんでやっておられるような。そんな、のどかな風景を描いているようなかんじで、日々の営みが繰り返されてて、それが平凡なんだけど、シアワセなんだよ〜っと言われているような曲だ。
深みは無いが、不快感もないし。安心して、誰でも聴くことができます。って感じに演奏されている。

3楽章
木管が主体で、テンポもさほど変えずに、1楽章から3楽章まで流れてくる。
ホルンののどかな響き、「られぇ〜ど ら そらふぁ〜」「らぇれ〜ど ふぁそら〜」「どれそ〜」
あー 陽射しの柔らかいこと。
この楽章だけは、華やかで明朗、快活にトランペットが入ってくるので、どことなく、収穫祭っぽい。
「パ〜パララ〜 どぉ〜 どどど〜 どぉ〜 どどど〜」それもつんざくような咆吼ではなく、あくまでも柔らかい、優しい。
「そふぁ ふぁ〜み そふぁ ふぁ〜み」と盛り上げといて、「どれふぁ〜みれど どれふぁ〜れそっ」
こんなことを言っちゃマズイが、お子ちゃま向きみたいだ。 
最後、どことなく教会のオルガンのような響きも出てくるんだけど、主体は、あくまでも木管と弦だし。
ホント。柔らかく、疲れているときに聴くと、ほんわか。
難しいフレーズなんぞ皆無で、「どれふぁ〜みれど れふぁ〜〜らしどぉ〜」
旋律を紐解くこともなく、耳に優しく、心に優しく、柔らかいフレーズが、連綿と流れ、広がりが感じられ、時空間を自由に飛ぶことが出来て、平凡だけど・・・シアワセ。という気分に戻れるんですよねえ。

尾高盤は、日本人の心にしみじみ〜っと染みわたってくる演奏で。
これで良いのかどうか、ちょっと疑問もあるんだけど、風景を描いている画家のようで、オケを鳴らしているような感じがする。
それが、ロシアなのか、イギリスなのか、日本であるのかは、それぞれ聴き手の受け止め方、各人の心象風景にもよるかもしれない。まっ 濃厚な味付けではなく、淡泊だけど、上品だし、身近な旬の素材を、懐石料理で頂いているような感じかなあ。それでいて肩肘張らない曲だし。
あまり難しく考えないで、聴けば、結局、しみじみ〜っ。これは確約できちゃう。
4番は良い曲だし、ひととき耳を傾けて聴くのが良いと思う。ワタシは好きになっちゃた一枚です。

1958

ヴァレリー・ポリャンスキー ロシア国立交響楽団 1997年
Valery Polyansky
Svetlanov State Academic Orchestra
(Russian State Symphony Orchestra)

ほぉ〜良いヤン

録音状態は良い。シャンドス盤なので、ちょっと残響は多めだが、たっぷりとした大きな空間が広がり、ゆったり〜 のんびり〜
カップリング:グラズノフ 交響曲第4番、第5番

1楽章
とにかく、ふんわりしてて柔らかい演奏で、すこぶる、のんびりした抒情的な演奏である。
郷愁を誘うフレーズが、なんとも柔らかく流れ出してくるので、確かに、気持ちは良い。
「そぉ〜ふぁみ しらし〜そら〜しら そ〜ふぁ そ〜ふぁみ しらし そら〜 しら〜 みれしら〜」
「れ〜し〜らそみれ〜 れ〜られ〜」
すごく弱々しい雰囲気で、コーラングレで始まる。
尾高盤よりも、ずーっと、くぐもった、テンポゆったりめの演奏で、主題が浮いてこない。
もっと芯の硬い演奏の方が良いのかなあ。と思いながら聴いていたのだが、この弱々しい、フワフワ感は、ずーっと続く。こんな柔らかくて良いのかしらん。と、ちょっと、引っかからなくもないが・・・ 
録音状態は、ちょっと好みが分かれるかもしれない。
まあ、好みの問題って言ってしまうと、それで終わっちゃうのだけど。
ヤワイという、ひとことで片付けてしまうのも、なんだか、もったいないような気もする。
疲れている時に、ほっとしたい時。また、故郷でも思い出して、しんみり聴きたい時には、すこぶるマッチする感じがする。

オーボエやクラリネット「どれみ そふぁ ら〜ふぁど み〜れ」「れ〜ふぁそらどし れ〜しふぁ そふぁ〜」
「そ〜ふぁみれ れ〜みふぁ そ〜ら どし〜らし そ〜らし ど〜れふぁ〜」
木管が、拍感覚の薄いフレーズを、さらり〜っと演奏している。
主題を受け持つコーラングレや他の木管が、歌謡風フレーズを奏で、そして、弦の柔らかい伴奏がある。
その伴奏に埋没してしまいそうな主題で、あまり主張もせず、ホント、埋没しそうになりながら、垣間見えてくるモノがある。

目の前を、すーっと風が吹き抜けていき、思い出だけが、頭のなかで、ふわーっと浮かんくる。
目の前のモノが姿を消して、昔懐かしい光景が、頭のなかから、自然と浮かび、それらが回想シーンを呼び起こしてくるような、そんな感じである。
尾高盤は、爽やかで、目の前に風そよぐ涼しげな、田舎風景が浮かぶのだが、それよりも、ポリャンスキー盤は、どっか、ぶっとび状態になってしまう。頭で聴く楽曲というよりも、頭のなかで、ふわ〜っと包まれるような感触、感覚に陥ってしまう。まっ。録音のせいだとは思うのだけど。
演奏によって、受ける印象が異なるのかもしれないが〜 これは、もっと聞き比べてみないと、何とも言えない。
しかし、この楽曲は、若い人ではなく、ある程度年齢を重ねてきた人が聴くと、和まされて良いのではないかしらん。グラズノフの交響曲全般に言えることで、4番だけではないが・・・。
しんみり〜 心に滲みてくるモノがあるのだ。良いんだねえ。この地味さ加減が・・・。
癒し系、和みのような演奏で、ワタシ的には、ポリャンスキー盤には好感が持てる。

ただ、ちょっと残響が多めで、音像がクリアーではない。ソフトフォーカス系の癖のある録音だ。
明晰さ、明解さ、シャキシャキしたたリズム感や、新鮮さ、食感に近いシャリ感、瑞々しさとは、ちょっと縁遠く、どこか奥に引っ込んだ感じのする音の出方で、あまりに奥ゆかしい。(笑)
お風呂場に近いので、嫌う人もいるかもしれない。
まっ それでも、ド演歌ではないし、歌謡風のフレーズが主体となっているので、下手すると、すっかり寝てしまうかもしれないが、気持ち良すぎて・・・。特に、木管、ホルンの主題は、これほど、ふわ〜っと、背景に同化し、溶けちゃうような演奏も珍しい。

2楽章
軽やかな舞曲風の楽曲で、っそっそ そっそ そっそ そっそ・・・という細かいフレーズに、木管、クラリネットとフルートが、「しれ〜し らみ〜  そみそ みれど」「ふぁれ〜ど ふぁれ〜ど」と、軽やかに歌う。
さら〜っとした、ふわ〜っとした感覚で、羽毛のような感じ。1楽章も柔らかいのだが、この2楽章は、より一層柔らかい。
ちょっと高いピッコロが、印象を添えてくるが、総体的に極上の柔らかさを醸し出す。
牧歌的でシンプルなフレーズを、余韻を伴って、木管群が自然を描く。低弦の響きが、イマイチなので、リズムが、あまり生まれて来ないのが欠点かもしれないが、よく聴くと、いろんな楽器が細かく動いているのがわかる。
「そ〜られ〜 みれ  そら〜れ〜 そふぁ  らしみ〜らそ そふぁみ れふぁみれ〜」
フレーズの切れ目が解りづらい歌い方で、あまり縦の区割りがなされない演奏だが、まっ それでもこのフレーズだと、まっ良いか。

3楽章
序奏部分は、静かに木管が吹かれているが、その序奏は、春の到来を告げるかのようで。
のどかだが、静かに、密やかに、心なしか、楽しさを抑制しているように感じる。
序奏部分が終わると、リズムが「らしれ らしれ らしれっ・・・」と続き、トランペットが入ってくる。
「ど どどど〜どどど〜 (しれそれ しれそれ しれそれ)」
いっきにメリーゴーランド風に変わってきて、あらら〜 明るく鳴ってくるのである。
まっ それでも、尾高盤同様に、温和しく響いているんですけどね。
もっと、ここは、強烈に鳴ってきても良いですけどねえ。うぐっ。もの足らないっ。
チューバの響きが遠すぎて、金管の響きが少なすぎて、奥に引っ込みすぎて〜 あじゃじゃ〜
なーんか、遠いなあ。
弦が主体になっているのは解るが、ここは、ちょっとパワーが不足。いや、かなり不足だ。

最後にパワーを温存しているようで、まあ。段々パワーアップし、リズムもしっかり刻まれてくるようになるのだが、前に出てこない響きが、もどかしいっ。「らっれ〜 ふぁみそっ らっれ〜 ふぁみそっ」
爆発的に鳴ってこいとは言わないが、あまりにも奥ゆかしすぎて、拍子ヌケかも。
弦のフレーズが、弱いながらも、美しい曲線を描き、広がり感もあるのにねえ。
しかし、金管のパワーは、最後の盛り上げには、欠かせない彩りだし欲しいですよね。
まあ 最後には、ハイ、パワフルな鳴りっぷりに変貌してくれますが、気を持たせます。
やきもき〜しちゃうぐらい、オクテである。(笑)
田舎臭い楽曲であるのだが、その素朴さが嫌みにはならない。平和で素朴な歌を、ふんわり感満載で、ちょっぴりオクテで、気を持たせて届きます。

清潔感、爽快感は、尾高盤の方が勝ってますが、ちょっと硬さがありますかね。
ポリャンスキー盤は、ソフトフォーカス系の柔らかさが売り。
金管の重厚さは、ちょっとモノ足らないけれど、歌いぷりは巧い。
録音に癖があるので、好みが分かれるかとは思うが、決して甘いワケでもなく、バタクサイ、ド演歌風ではないです。郷愁を、そっと、温かく、触れてくる。そう、なでてくるような演奏になっているので、癒しの音楽として片時も放せない。なーんて方も、出てくるかもしれません。

ワタシ的には、尾高盤でもポリャンスキー盤でも、いずれでもOKかなあ。
この盤をもし選ぶなら、単発もので購入しても良いが、ブリリアント盤の交響曲全集もあり。
(1番〜6番までポリャンスキー ロシア国立交響楽団、7番だけは、尾高忠明 BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団)交響曲だけではなく、ヴァイオリン協奏曲等も収録された7枚組セットです。
1995年 尾高忠明 BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団 BIS ★★★★
1997年 ポリャンスキー ロシア国立交響楽団 Chandos ★★★★

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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