「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

17181958

グラズノフ 交響曲第5番
Glazunov: Symphony No.5


1718

尾高忠明 BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団  1995年
Tadaaki Otaka
BBC National Orchestra of Wales

ほぉ〜良いヤン

録音状態は良い。自然なホール感あり。演奏は、おとなしく奥ゆかしく、品があり、穏やか。自然の風を感じ、まあ言えば中庸。
カップリング:グラズノフ 交響曲第5番、同交響曲第7番
交響曲全集5枚組BOXもある。
 

1楽章
斉唱風に、堂々と低弦の重々しい響きで始まる。
「ど〜み〜ふぁそ〜 どみ〜れ ど〜みそ」
木管「らそみれど」と、合いの手を入れるが、再び斉唱風に奏でられる。
「ら〜みそしら〜 どみ〜そしら〜 どれみそどしら〜 そ み どし〜ら〜」
木管「そみどし ら・・・」 その後は、風が吹いてくるような爽やかさが感じられる。
どことなく東洋風で、カリンニコフのような青臭い青春の息吹のようなモノも感じられる。斉唱風で歌謡的なフレーズは、随所に現れてくるし、そのうちに口ずさめるものだ。
尾高さんの音は、ずしり〜っと重厚ではない。丁寧だけど、ぐぐ〜っと来るモノじゃないし、軽やかにチェロで、「どみ〜そしら どれみそしら〜どみそしら〜」と歌われ、フレーズがのぼっていくところでも、太陽が昇っていくような堂々さには欠けている。
風のような爽やかが感じられ、フレーズが変わるわけでもなく、単に楽器が変わっただけじゃん。と思ってしまうところがある。確かにグラズノフは、同じフレーズを使い回しているし、単調と言えば単調。
弦のしっかりした丁寧な響きが、「どれみそどしら〜」  タララ ラララ タララ ラララ・・・ん。
クラリネットとフルートが、「そ〜ふぁみれ〜し そしみれしそ しそどし〜そ そ〜ふぁみ れしそしそどし〜」
やっぱ、イメージとしては風のように、ふんわりした暖かさが基調となっている。
この楽曲は、「英雄」との別名を持つと言われているが、う〜ん。とても、尾高盤を聴いている限りは、英雄という雰囲気ではない。ブラームス的な重厚さも、う〜ん。感じられないかな。
むしろ、フレーズの持つのびやかさが、自然の風景を彷彿させ、スケッチ画を見ているような感じを与える。小春日和のなかに花々が咲き、明朗に歌謡を口ずさむような、素朴感あふれる風景。
チューバやトロンボーンも鳴っているけれど、どんよりせず、あくまでも青空が広がる。
う〜ん。んじゃ、あの冒頭の斉唱は、いったい何だったんだろう?

2楽章
フルートの二重奏になった素早い動きのスケルツォである。
小鳥たちがピチピチ鳴いているかのようだ。そのうちにクレッシェンドしていき、ティンパニーが合わさって舞曲に変わる。
「そそそら そそそら みみみふぁ みみみれ・・・」って感じのフレーズが、繰り返される。
「みっみそ らどしら そみどれ み〜」「みっみふぁ そっそら れみれみ ふぁそふぁそ〜」
タッタタ タラララ らっららら〜 は? 
あのぉ〜 とっても失礼かとは思いますが、幼稚園のお遊戯風に聞こえちゃうんですけど。
マーラーと同時代人なんでしょ。うぐっ。あの巨大化した複雑な交響曲で、シンフォニーという歴史が、まもなく終焉を迎えようとしているような時代に、まー なんて暢気なんだ。プリプリ。
なーんて思っちゃうような、なんて幸福な、ノー天気と言われても仕方ないような楽曲であります。

3楽章
スケルツォが、結構のんびりしていたのに、この楽章も〜 なだらかな穏やかな、まどろみ風で。
寝てしまうかも。フレーズに凹凸が少なく、冗長的かな。
フルートと弦の中域音で、「ふぁ〜しどれみ〜 ふぁ〜どみ〜れ れどしら〜」
どこが内省的な楽曲なんじゃ?ふむ。縁側の猫になっちまうよ。これじゃ。
ちょっとは不安なフレーズも出てきてもトロンボーンで、「れっれ れれみっ」「どっどれ れっれふぁ〜」
すこし陰りの顔も覗かせるが、憂鬱でも、悲しみでもなさそうで。「らそみど らそみど・・・」という木管のフレーズも間に挟まるのだが、どこか深みが足らないようだ。
もっと落ち込んでも良いのかもしれないが、中庸的すぎるかな〜と思いながらも中庸で良さそうだし。
よくワカラナイ。

4楽章
ブラスが加わった、祝典のような華やかな最終楽章だ。
尾高盤では、あまり賑々しく演奏されていない。これがロシアのオケだと、めいっぱい頑張っちゃって、ブラスが大活躍、盛大に、大袈裟に鳴るのだろうが、この盤は上品だ。
「どっそ どれ〜み どっそ どっれ〜みど みふぁ〜そみ そらっし〜そ」
トランアングル付きの華麗な舞踏会のような音楽で、はあ。やっぱノー天気だなあ。と思いつつも、まあ。
素朴な農民たちが歌う演歌っぽさもあって、その親しみやすさは随一だと思う。
民族調であるところは面白いし、その要素もちりばめられている。
「しっら し〜そっら しっら し〜そっら しれ〜 どっししららし〜」
「みっれ み〜どれ みっれ み〜どれ みっそ〜ふぁふぁみみれれみ〜」
フレーズが総体的にわかりやすい。予測可能という感じで、歌謡的なフレーズがちりばめられている。
で、口ずさみやすい反面、印象が深く刻まれずに、直ぐに消えてしまう運命にあるかも。
例えるなら、NHKの大河ドラマの主題歌っぽいかな。しかし、最大公約数的に感じるなら、これもあり。
尾高さんのオケは、ひとくちで言っちゃうと「爽やか」。これにつきる。
金管のまろやかな中庸的な響きと、弦の爽やかな響きと、奥ゆかしさ。で、ハチャメチャな演奏が好きな方は、他をあたってください。
ワタシも他の盤、例えばスヴェトラーノフ、ヤルヴィ盤を購入しようかなあ。っと迷っているところデス。

1958

ワレリー・ポリャンスキー ロシア国立交響楽団 1997年
Valery Polyansky
Svetlanov State Academic Orchestra
(Russian State Symphony Orchestra)

ほぉ〜良いヤン

録音状態は良い。ちょっと響は多めだが、重厚さがあって、爽やかに良く歌う。
カップリング:グラズノフ 交響曲第4番、第5番
 

1楽章
「どぉ〜 みぃ〜ふぁそぉ〜 どぉみぃ〜れっ どぉ〜みそぉ〜」
斉唱風に堂々と粘りを持って金管と低弦の重々しい響きで始まる。
クラリネットとフルートが、柔らかいフレーズを入れる。「らそみれど れみれ〜ふぁら〜しらどぉ〜 どぉ〜」
再び重低音が鳴る。
「らぁ〜〜みそしらぉ〜 どみぃ〜 そしら〜 どれみ そどしらぁ〜 そぉみ〜 どぉ〜しぃ〜らぁ〜」
フルート「そみどしぃ〜 ら そぉ〜みど しぃ〜ら れふぁら どぉ〜し」
重々しいのは最初だけで、ふわーっと爽やかな木管が絡んで、「みぃ〜そらしぃ〜 みそ〜ふぁみ〜」
歌謡風のフレーズが、するする〜っと始まって流れていく。

ポリャンスキー盤は、スムーズに、軽めに歌っていく。
ロシア音楽とはいえ、旋律の美しさと親しみやすさは、随所に現れており、草原の爽やかな風って感じのイメージで、若々しい。軽めとはいえ、堂々とした響きも持っており、たらら らっらら らん。たらら らっらら らん。と、歌いながら青春を回顧しているようだ。
木管のフレーズも、瑞々しさがあって可愛い。さらっとした雰囲気を持っており、これ、ロシア? うっそーっ。信じられない。ハープの響きも絡むし、主題はシンプルなのに、結構、多彩な織り込みが見える。
金管の華やかで軽やかな色彩感覚もあって、ロシア国立交響楽団の響きとは、へーっ 思えない。
ちょっと驚きだが、西洋風のスパイスが効いて、弦の軽やかさと、伸びやかさ。
奥まった金管のフレーズが、ちょっと前に出てきても良いかな。とは思うが、この程度で収まっているのが、良いのかもしれないし。いや、ロシア臭さが欲しい方には、ちょっと、モノ足らないと言われるかもしれないが、これだけ、爽やかに演奏されちゃうと、微笑ましい。

2楽章
残響多めのところに、ピチピチ ピチピチ・・・ 木管たちの可愛い音の、トライアングルが入ってくる。
なんて、可愛いんだろ。妖精の飛翔のように、メンデルスゾーンのように響く。
そこに、ロシアの歌謡風フレーズが、次に登場する。
「みっみそ らどしら そみどれ み〜」「みっみふぁ そっそら れみれみ ふぁそふぁそ〜」
「みっみそ らどしら そみどれ み〜」「みっみふぁ どっどれ みふぁっそっ〜」
う〜ん。メリーゴーランドに乗って遊んでいるかのような、幻想的な楽しさが、空中に描かれてくる。
そして、幸せな子ども達が、草原で遊んでいるかのような光景が広がって、のどかだ。
大きな空間に、音が、ふわーっと、天井に向かって放たれており、木管の飛び跳ねる音が、綺麗に舞う。
フレーズは素朴だが、速いフレーズと、落ち着いたフレーズ、主題の絡め方、ふぁっん!という音で終わる遊び心がニクイですね。

3楽章
この楽章は、歌謡風フレーズが無くなって、ふわっとしつつも、どこか沈静化しており、柔らかいフルートの中音域の音色が届けられる。
音の幅は少ないのだが、色あいが優しく、響きが広く、ちょっぴり沈む。
「どぉ〜れみふぁ そぉ〜ら〜み そ〜ふぁ ふぁみ みぃ〜れ みぃ〜れ」というフレーズが入ってくるが、前楽章のように、強い主張を持った歌謡風フレーズではない。
さらっとした悲しみを含んだ風が、そよいでいる。
心のなかに、雨粒のように落ちてくる音が入ってくるが、不安げではあるが、深刻さには至らない。
でも、かなり心理的に深く描こうとしているようで、音の響きとして魅力がある。
心理的に深く刻むというより、柔らかく客観的だが、ちょっぴり憂いを含んだ様相を見せている。
すーっと風が吹き抜けていく。その状態の描き方は、風景画を見ているようで、可視的だ。
ポリャンスキー盤は、とっても、柔らかい筆づかいの、色彩的なタッチを思わせる、まるで印象画の風景画を見ているような気分に〜

4楽章
出だしなんぞ、なんだか、派手な田舎臭いフレーズで始まる。
田舎臭いんだけど、重低音のブラスが、締まって聞こえてきて、とっても効果的だ。
舞踏風フレーズなので、楽しさがあり、単純なフレーズだが、ワクワク感が広がってくる。
チューバの「ふぁ〜ふぁ〜 ふぁっふぁ ふぁ〜 ふぁそみ〜れ どれ ど〜し」
弦の渋いフレーズも、チャカ チャンという響きも楽しいっ。
重さのある舞踏で、ドヴォルザークとチャイコを足しているみたいなフレーズの甘さと、憂いがあるが、決して派手に鳴りすぎることはない。、
「しっら し〜そっら しっら し〜そっら しれ〜 どっししららし〜」
「みっれ み〜どれ みっれ み〜どれ みっそ〜ふぁふぁみみれれみ〜」
このフレーズは、なかなかに劇的な効果を醸し出しており、疾風感があって、清々しい、キッパリとした決意みたいな意志力を感じさせる旋律となっている。
とっても、わかりやすくフレーズだが、音の響きに幅があって、ブラスも綺麗に入ってくる。
もう少しテンポが、推進力があったら、もっとメリハリ感と、パワーが出てくるかもしれないが、音の響きは、とっても豊かだ。
総体的には、爽やかで、瑞々しい歌いっぷりが良いと思う。最後の低音のブラスも、きっちり、お約束どおり、判を押したように盛り上がって終わってくれるので、満足感が高い。
   
1995年 尾高忠明 BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団 BIS ★★★
1997年 ポリャンスキー ロシア国立交響楽団 Chandos ★★★★

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