「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

カリンニコフ 交響曲第1番・第2番
Kalinnikov: Symphony No.1&No.2


N・ヤルヴィ ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団 1987年
Neeme Järvi
Royal Scottish National Orchestra

中庸的な演奏で品が良く、コテコテでもなく、サラサラでもない。
金管は、腰が座りながらも柔軟性がありしなやかである。弦も豊かだし、シャンドス(Chandos)の録音は、透明感があり豊かに響 き、音響の醍醐味とも言えるぐらいだ。お薦め。

交響曲第1番

1楽章
ちょっと哀調のあるヴァイオリンの旋律から始まる。み〜ふぁみれみ〜 らしどれみっみ〜そみらそっみっ〜 
フルートが絡んできたところから、爽快な気持ちがいっきに広がる。まるで、草原に立っているかのようだ。
金管が最初のフレーズを奏でてくると ちょっと重いように感じるが、また今度は、ヴィオラが
そ〜しらそふぁそ〜 れ〜みふぁみふぁそ〜 ふぁみれどしらしどれ〜
そ〜しらそふぁそ〜 れ〜みふぁみふぁそ〜 ふぁみれどしどられれ〜
次に、ヴァイオリンが絡んで、同じフレーズを弾く。
この繰り返しのフレーズが、あとあとまで残る。4回。
あとは流れにまかせて爽快さを味わうという感じ。
繰り返しがあるので、自然と頭に旋律が残る仕掛けになっている。

この楽章では、金管がスパイス的に使われているが、ヴァイオリンの最初に聴いた旋律が主になっている。音が変わったり、変奏曲のような部分もあるが、主調となるフレーズやリズムは、底辺で そ〜しらそふぁそ〜 が鳴っているという趣向である。
大河ドラマの主題曲みたいに聞こえてしまうが・・・かなり覚えやすいフレーズなので、自転車に乗ってると、自分でも気づかないうちに口ずさんでいたりする。

2楽章
そみそみそみ・・・とハープの小さな音が刻まれ、オルゴールの蓋を開けたかのような雰囲気がある。
2音だけの繰り返しだけど〜これだけが繰り返されて、2楽章の底辺として流れてくる。
ところに、ヴァイオリンの甘い旋律が始まる。思わず顔がほころぶ。
小春日和の陽ざしのよううな。暖かい気持ちになる。
繊細だけど、脆いとまでは行かず暖かい。
私的には、やっぱり暖かい小春日和の小花でも見ているかのような雰囲気で、何か、思い出し笑いでもしているような雰囲気。縁側で寝る猫みたいな気分で、ヴァイオリン が哀愁にみちた旋律を奏でる。

3楽章
いきなりピチカート合奏で、リズミカルな合奏が、形を変えて繰り返される。
らっれっらっ し〜らっっ・・・ 音が追えない。
木管がリズムよく気ざまれて スケルツォ的だが、民族的舞踏的。ブラスの部分と弦部で、金管の分厚い音が鳴るが難しい旋律はない。オーボエ ピッコロ部分はもの悲しいが、だんだんとテンポアップしたり、ユニゾン部分もあって力強い。弾力性を感じる。
この3楽章は、無骨な男性的だが、ところどころ木管が メランコリックで〜 この対比がおもしろい楽章になっている。同じ旋律を多くの楽器で、テンポ良く合奏する部分が多いので、アンサンブルの完成度が問われると思うんだけど、心地よく決まってる。金管の音もいいし格好いい 残響もいいな〜

4楽章
1楽章の最初が現れる。ん? あの爽やかな旋律もいきなり現れて、大宴会的。
スピードアップ おっ 早い。いったん休止してヴァイオリンが、爽やかで甘い旋律を奏でるのだが、1楽章とは違ってリズミカル いっそう早い。
チューバ トロンボーン トランペットのパッセージは短いのに、アンサンブルが乱れていない。うまい!
旋律がのびやかで艶やかで う〜 いい。タメをつくって、大円団を締めくくる。トライアングルの音も聞こえてくるし。ブラスの低音も響いて録音状態もいい ホールトーンも好ましい。

全体的にみて、我々が口ずさめる音域の主旋律主導型 とっつきやすい。
ちょっと哀愁があるものの、悲観的にならず爽やか。1楽章、2楽章は、爽やか可愛い部分が多く、3楽章、4楽章には、ブラス部分が多く出てくるので、雄渾な感じもする。
反面、繰り返しが多いので、すぐに刷り込みされる。聞き込むと単調さを感じてしまうので、いささか飽きちゃうかも。

交響曲第2番
1楽章
冒頭は、重々しいが陰気ではない。なかなかに〜田舎臭そうな音で始まる。思わず苦笑い。
う〜ん。これは好ましい素朴感だなあ。干し草の香りがしてきそう。愛すべき風景が蘇る。って感じ。
まろやかな金管が、爽やかに風を運んでくるようで、爽快な出だしである。
弦が、涼しげに奏で始めると、もっともっと、すこぶる爽やかになってくる。
初夏のような華やかさもあり。田舎くさい〜って言うと怒られるが、田舎のちょっとした舞踏会のようだ。
楽曲は繰り返しが多いため、すーっと入ってくる。耳触りが良い。すぐに覚えられるのだが、すーっと抜けていくところもあって後に残らない。
ついBGM的に聞き流してしまいがちだが、これで良いのかも。
ロシアのクラシックだと言うものの、ヤルヴィ盤はド演歌ではない。 小節回しがほとんど感じない。ロシアということでことさら考えることもないような感じ。しかし、それでもローカル色は強い。
どこが、どうだからそう思うのか。なかなか明瞭には言いづらいが、執拗で粘らないところ。かな。
う〜ん。旋律派なんだよねえ。和音っていうよりも。音の重ねではなく、歌う感じ。

2楽章〜最終楽章
まろやかな金管類でヴァイオリンも泣かせてくれる。木管も巧いし。言うことないと思う。
3楽章は、ブラスバンドのようになってしまっているが〜 このヤルヴィ盤は、まろやかで、爽快。
迫力もあるが、重厚すぎず辟易しない。

クチャル ウクライナ国立交響楽団  1994年
Theodore Kuchar
Ukraine National Symphony Orchestra

クチャル盤は残響が多め。どちらかと言えば風呂場に近いのだが、この交響曲では、響きが混濁せず好ましい状態になっている。
耳触りが柔らかで、人気が出るのも頷ける。

交響曲第1番

1楽章
わりとさらさら〜と音が流れてくる。木管が浮かんで、金管は奥の方で聞こえる。
バシャとした音質ではないが、残響が多い。
チューバの音が、フレーズが短くで、少し途切れがちなのが気になるけど、そんなことおかまいなしにフレーズが、爽やかに流れてくる。ヴァイオリンがオンマイクじゃないようで、間接音的に 聞こえ、いささかぼやけているのが、ちょっと惜しいような気がする。
木管の音量より、もう少しヴァイオリンが聞こえて、艶っぽい方が、私的には安定するのだが、そ〜しらそふぁそ〜 れ〜みふぁみふぁそ〜 ふぁみれどしらしどれ〜 の旋律が、 いささか乾いて、かすれ気味に聞こえる。
ブラスの音量も タップリしており、コントラバスは、しっかり聞こえるのだが。。。音場が深いというか、遠くからブラスは聞こえてくる。木管は綺麗 美しく聞こえる
ハープの音色が綺麗で〜 ブラスに隠れてしまいそうなもんだが、う〜ん。しっかり聞こえている。

2楽章
ハープの音色より、フルート等の木管部分が強く聞こえてくる。
ただ残響が多いので、ハープの音色は響いて大変心地よい。
シンシンとした夜に、小さなふんわりした小雪が舞っているかのような。しずかーに雪が落ちてきているかのような 雰囲気が漂っている。ここはヤルヴィ盤とは異なり、夜の雰囲気だった。
ヴァイオリンが入ってきたら、静謐な感じが、よりいっそう感じられて、オーボエのソロなどは、この盤の白眉となっている。

3楽章
綺麗にまとまっているという感じがするが、ヤルヴィ盤を聴いた後だと、厚みがなく、おとなしい感じがぬぐえない。かなり女性的とでもいうのか舞曲にはなってない。ゆっくりすぎる 。
舞曲は、テンポが命だと思うのだが、同じ旋律を同じように奏でられたら、飽きる。テンポが悪い。
金管も熱くなって欲しいのだが、どことなく落ち着き払った金管で、いささか興ざめ。
3楽章で弛緩してしまうのは う〜 残念。最後、せっかくティンパニーが入ってきたのだが、盛り上がらない。トランペットのパッセージが、なぜか小声で遠くで入ってる部分があって、へっ?
かなり長めの残響なので、弦のパッセージが早いところだと、残響が濁ってしまう。残念。

4楽章
無骨なコテコテのロシア風合いではなく、綺麗でサラサラしている。
旋律は、シルクの風合いではなく、木綿かリネンか。クチャル盤は重さはないが、どことなく好ましい。
私的には、残響長めが好きなのだが、このクチャル盤は、どちらかと言えば風呂場に近い。
女性的な旋律をサラサラ流れていくのは、この楽曲では大事な要素になっていると思う。
しかし、クチャル盤は、今はAの主題です。今はBの主題を演奏しています。という感じの演奏の仕方に聞こえる。全体的な響きのなかで、きっぱり分離される瞬間があって、感情が纏まりきれない。
う〜 最終的にはヤルヴィ盤が好ましいが、2楽章は、クチャル盤が好きである。

交響曲第2番
交響曲2番は、1番との区別がわかりづらい。同じ傾向なので、イマイチ違いを楽しめなかった。
クチャル盤は、残響が多く、冒頭からヴァイオリンの強奏部分が始まるのだが、ワタシ的には、多少キツイ感じを受けた。ちょっとキンキンに聞こえてしまったのだ。
しかし、ヤルヴィ盤より、もっと爽快で軽やかで、初夏のイメージがする。これは初めてクラシックを聴く方でも、すんなり受け入れられると思う。旋律が命なので、大いに歌いたい。

このクチャル盤は、ナクソスから火がついて人気のクラシック盤になっている。
今は、こういう軽めの、さらっとした交響曲が流行るのねえ〜っと、改めて認識した次第である。
1987年 ヤルヴィ ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団 Chandos ★★★★
1994年 クチャル ウクライナ国立交響楽団 Naxos ★★
所有盤を整理中です。

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