「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ハチャトゥリアン:交響曲第3番
Khachaturian: Symphony No.3


コンドラシン モスクワ・フィル 1969年
Kirill Kondrashin
Moscow Philharmonic Orchestra

 

録音状態は良い。69年とは思えないけれど〜音量が大きすぎて、壮絶極まりないファンファーレで、金管の響きの坩堝にハマッテしまう。
なので、録音状態なんてぶっ飛び。
ボリショイ劇場トランペット・アンサンブル、オルガン:ガーリー・グロードベルク  カップリング:ハチャトゥリアン ピアノ協奏曲(ピアノ:ヤコブ・フリエール)
ハチャトゥリアンの交響曲第3番は、シンフォニー・ポエム(交響詩曲)というサブタイトルがあるが、はあ〜 驚き、困惑してしまうほど、ド派手な楽曲である。

「どぉし〜ぃっっ〜」という弦の蝉のようなシンセのような音が鳴っているなかを、トランペットのファンファーレが鳴ってくる。
「らぁ〜 ららら ららら らっそら〜 ららら らっそら〜 ららら らっそら〜 らっそら〜・・・」
このファンファーレが延々に続く。小太鼓も入っている。一部、トランペットが2声にわかれるが、ちょっと危なっかしい。このトランペット15本が並んでいるという。
CDのクレジットにも、タイトルの続きに〜for full symphonic orchestra, organ and 15trumpets〜と書かれてあるのである。 引き裂くような音で、決して快感を生むようなファンファーレじゃない。

「ふぁ〜ふぁふぁ〜っし〜」不協和音が鳴る。
ジャンジャンジャ・・・と小太鼓がリズムを刻んだあと、「れらられ れふぁふぁれ〜」「みっそそ そららられ」「みっみっみっみ」「そっそ そそそ」「らしどれ〜」
↑ よくわからん。15本もトランペットがあったら、聞き分けられる筈がない。
なんか、てんで勝手にファンファーレ風の音が出ている。
これが終わると、今度は、パイプオルガンで、トッカータなのだろうけど、「ふにゃら ふにゃら〜」と、旋律のない音が、「ふぁみれ どれみ そ〜ふぁみれ〜ら○×○×」と、繰り返される。
うぎゃー なんじゃこりゃ〜!
「 れっれれれ れっれれれ ふぁふぁふぁ らっらら どっどどど みみ〜」
「 ふぁ〜そら ふぁっ〜そら〜」
まだ、「ふぁ〜ど ふぁ〜ど」と、繰り返してオルガンが鳴ってる。
「っどっどどど しっししし そっそそそ・・・」
また、狂気のファンファーレ、「どしら そ〜」
オルガンが、まだ執拗に鳴っているのだが、今度は、音だけは、しっかり聞こえてくる。
どうやら、 耳が慣れてきたらしいが、また、狂気のファンファーレ 「れふぁら どみそし〜し〜ら し〜ら し〜」
弦が、狂ったように駆け下りてきて、で、ようやく、音が静まってきたのが、約5分50秒。
約6分間は、なんとも凶悪で、気がちょいと飛んでいる、信じられないような音の洪水に巻き込まれる。
まあ。これに我慢できる人は少ないような気がするが、 最初聴いた時には、このぶっとび方に、畏れおののいた。

中間部分は、甘い民俗調の浪漫的な弦の歌がある。
弦と金管が、ふぁ〜っと鳴ったあとは、半音のついた「れみそらしれみそ ふぁ〜」「どれみそらしれみ ふぁ〜」
へんてこりんな音階が鳴る。
「れぁ〜らぁ〜 ららしらそ〜 そそらそ ふぁみふぁ〜」
「そしそし れどぉ〜 そ〜 そしら そらら〜 そそらそ ふぁみふぁ〜」
ハープ付きである。で、この音とれない。半音がタップリ鳴っていて、よくわからない。

でも、この旋律だけが、アラビアンナイトの世界のように鳴るのだ。この旋律だけっ。
3回ほど繰り返されるのだが、これだけが、唯一と言って良いぐらいの甘いところで、オリエンタルな雰囲気が、たっぷりで〜 アヤシイ。とっても妖艶なのである。

あの狂った冒頭からは、おおよそ想像もつかないエロティックで官能的なフレーズだ。
こりゃ〜やられる。単調な繰り返しだが、そこには、しっかり弦を支える木管や金管が寄り添っている。
「ふぁーみ ふぁーみ れ〜ど れ〜ど」と、歌われてしまうと、身もだえしながら、とろける。
これが、11分40秒頃まで続くのだが、甘いフレーズに、金管の短いパッセージがかぶさってきて、ピークを過ぎてしまうと〜また、様変わりして、金管がうるさく、キンキンと鳴り出す。

ジャーン ジャーン ジャーン あああ。テンポが落ちて、ジャーンが何度続くのか。
いったん鎮まったのち、「れみそらしれみそ ふぁ〜」という、再度、へんてこりんな音階が入って後半へ。
後半の最初は、「ふぁっし〜 ふぁしど〜 ど〜っしぃ〜」と、囁きのような音だが、段々と膨らむ。
クラリネットが、また、民俗調の「ぱらら〜っららら〜」と、蛇遣いのように動く舞曲風の音を鳴らしたあと、ホルンが鳴って「ふぁふぁ〜そら〜 ふぁふぁ そそら〜 らら〜」
これ、何を象徴したフレーズなんでしょうねえ。

「ふぁ〜 そそら〜」という短いフレーズだけが、妙に耳に残ってしまう。
弦が、狂ったような暗い音を出して、ティンパニーが奥から、「たたた た〜ら たたた た〜ら」
金管が1音。1音、「ふぁ ふぁ」音を出していたと思ったら、弦が狂ったようにのぼる。
ティンパニーは、「ドン そ〜ど ドン そ〜ど ドン そ〜ど」 これが繰り返される。
「ん〜 タララ らっらっらん」 トランペットが、パパパパパパパパ・・・ あ〜 勘弁してくれ。
怪獣が登場して、暴れまくっているような感じで、思わずシリアスに聴いているのが、ばからしくなってくるのだが、半分笑って、半分顔が強ばってしまう。
また、恐怖のパイプオルガンが、世の終わりを告げる。って響いている。
あ〜終末感たっぷりで、狂った感じです。中間の甘いフレーズが形を変えて、ジャンジャカ、パーカッションとシンバルが鳴るなか、登場してくるが、こりゃ、悪魔に変貌です。

ロシア革命30周年の記念として、1947年に作曲されたらしいが、 祝祭的な気分なんぞ、これっぽっちも無し。
狂気の沙汰としか思えないぐらいの鳴りっぷりと、不協和音で彩られており、メチャ皮肉たっぷりで 、まるで処刑場の狂乱の場の様相を呈している。
耳をつんざくファンファーレは、これでもか〜というほどに破壊的で、暴力的。
今まで聴いたなかでは、これほど、破れかぶれな鳴りっぷりは、なかったような・・・。気がする。
普段なら、ちょっと、苦笑いできる要素があるのだが、壮絶極まりなく、正直、これは笑えないほどに、突き抜けてしまってて・・・。唖然、呆然。
これだけ突き抜けてしまうと〜 ★5つでしょう。

フェドール・グルシュチェンコ BBCフィルハーモニー管弦楽団 1993年
Fedor Glushchenko
BBC Philharmonic Orchestra

あちゃ〜

録音状態は良い。ぶっ飛びの大音量の楽曲なので、音量は小さめにして聴きましょう。ご注意しましたよん。
カップリング:
1 ハチャトゥリアン 勝利の詩
2〜5 イッポリトフ=イヴァノフ コーカサスの風景
6 ハチャトゥリアン 交響曲第3番「交響詩曲」
ハチャトゥリアンの交響曲第3番は、超ど派手な楽曲である。
1969年録音のコンドラシン盤に比べれば、もちろん、93年録音のグルシュチェンコ盤は録音状態は良い。
それだけに爆音が、大音響のように広がり、宇宙まで飛んで生きそうなぐらい、爆発的な音の洪水に溺れてしまう。
交響曲という概念を、ぶっ飛ばすもので、1つの楽章で約25分ぐらいの曲だ。

金管のファンファーレで、冒頭から、15本のトランペットが一斉に同じフレーズを、執拗に繰り返す。
スネアの鋭い音が入っているし、まあ、それだけって感じなんですけど。
パイプオルガンが入ってきたら、わけがわかんなくなって、混乱状態に突き落とされていく。

なんとも違和感のあるフレーズで、勝手気ままに、パイプオルガンの旋律は、いや、旋律ってないような、ぐちゃぐちゃーっと、勝手に弾いていいよ。という感じの即興的なもの。
そんな、ぐちゃぐちゃーっと弾いていいよ風のオルガンのなかに、また、金管のファンファーレが再来してくる。
まあ、こうなると、阿鼻叫喚の世界ですよね。
従来の交響曲、いや、音楽のルールに基づいて作曲されているわけではなさそうなのだ。
既成概念をぶっ飛ばすぜ。というモノなのだろうと思う。
だから、確信犯なのだ。きっと・・・。トーンクラスター風ではないんだけど、従来の和声の姿はないと思う。

中間部は、とても甘い旋律となっており、まるでオリエンタル風味の映画音楽みたいである。
これが、本来のハチャトゥリアンの住んでいた世界なのだろうか。
冒頭からのファンファーレ、ぐちゃぐちゃーっとしたパイプオルガンが、何を象徴しているのか〜 気になるところ。
凶暴で、鬱陶しく、執拗で、圧倒的な音量を持つ、気味の悪いオルガンは、楽曲を支配し、壊してしまう。
オルガンにぶっ壊された破片が、宇宙の彼方へ飛んでいって、消えてしまう。という感じで中間部は終わる。

で、またまた、ファンファーレが回帰してきて、始まってしまう。
なんでしょう、ぐるぐる主題がまわってくる。
えっ 終わったんじゃー と思いきや、また、最初から出直しなのである。まるで双六をやってて、スタートに戻る。ってところに止まったみたいに、最初からスタート。
はあ?
また、民族風のフレーズも再来するし、金管ファンファーレが、勝利の雄叫びをあげているし。う〜ん。
聴いている方は、アタマのなかが、ぐちゃぐちゃーっとなってしまうのだが、作曲家は、計算しているようにも思うんだけど。
どんなルールがあって、どんな計算式になっているのかは、ホント、謎だ。
(ホント、計算してるのか? でも、偶然とも思わないし、完全な即興ではない筈だ。)
誰か、謎を解いて、解説してくださいませ。今のままでは、ホントに、とほほ〜な楽曲すぎる・・・。

あっ できたら、ヘッドフォンで聴かない方がいいかも。
また、聴く時間を考えないと、近所迷惑も甚だしいです。取り扱い注意の楽曲です。(笑)
3番 1969年 コンドラシン モスクワ・フィル Melodiya ★★★★★
  1993年 グルシュチェンコ  BBCフィル CHANDOS ★★★★★

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