「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

2270

リスト ファウスト交響曲 〜3人の人物描写〜
Liszt:
Eine Faust-Symphonie in drei Charakterbildern (nach Goethe) und mit Schlusschor


ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 1982年〜83年
Riccardo Muti
Philadelphia Orchestra
テノール:イェスタ・ヴィンベルイ Gosta Winbergh
ウェストミンスター・クワイヤーカレッジ男声合唱団

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は、よろしくない。決して褒められたモノではなく、こもっている。
しかし、この演奏は、すごく劇的で〜リマスタリングして欲しいっ。
ムーティ盤は、たっぷり〜 ゆったりと演奏されており、76分38秒というクレジットになっている。
う〜ん ホントに長大なスケールで、たっぷり歌われており、熱演だ。
録音状態は、決して褒められたモノではなく、冒頭から流れてくる音は、くぐもっている。
金管は、少し割れ気味の音で咆吼しているので、これは一瞬、ラジオ放送か・・・と、泣きたくなっちゃう気分なのだ。
ホント、率直にいって、音は悪い。

しかし、劇的に演奏されているので、いっきに、引き込まれていく。
また、ワーグナーのオペラのように、ダイナミックで、とても面白い。ワーグナーのライトモチーフのように、ファウストのモチーフとして、主題が、繰り返し登場してくる。ムーティ盤で聴くと、音は悪いが、スピーディで、チェロの歌わせ方が巧い。
不気味に、そろり〜そろり〜っという感じで、弦のフレージングが、ホントに劇を観ているかのように、音を繰りだし、表情づけが細やかだ。人の息遣いそのままに、いや、それ以上のフレージングという感じがする。

「どぉ〜 れぇ〜ふぁ ふぁ〜みぃ (れみらそ ふぁれぇ〜ど)」
このフレーズのチェロの入り方が、ぞくぞくしちゃうぐらい絶妙で、語り口の巧さが感じられる。
弦のうねり、クレッシェンドしていくところとか、威勢よく奏でるところなど、メリハリがついてて、まあ、劇を観ているかのようでわかりやすい。
「どぉっ ふぁっ それふぁ〜 (ドドドン) どぉっ ふぁ それふぁ〜(ドドドン)」
「ふぁっ みぃ〜れど し〜らそ ふぁみれど しぃらそふぁれど・・・」

シンバルだって、お猿のシンバルのようで、音がカスカス、乾燥しきって、お肌がカサカサしているような感じだ。
ホント、貧相で悲しい音なのだが、歌うかのようなフレージングは、繊細で豪快という両面を併せ持ったもので、聴いてて楽しい。緊張感があり、この整ったフレージングは、聴いてて、とても気持ち良いものなのだ。
特に、低弦のピチカートの緊張感と、木管が出てきて「られみし れぇ〜 られしれ〜 れっどぉ〜しら・・・」と、主題が出てくるところは、どろどろっといた雰囲気があり、一筋の光が見えてくるような神秘性なども感じられる。
そこから、一気に開放的に、ドラマティックに一種コミカルに描いていくところは、ダイナミックで、うぉ〜んと、力があって、起伏の大きな波となって、強烈に、炎のように立ちのぼっていく。
地底から音が炸裂して、ひきずり落とされるかのような怖さもあり、地獄の釜が開いたかのような感じで、魑魅魍魎なモノたちが出てきそうな〜 音の映像化は、天下一品だ。うっ これは、やられる。

2楽章
たれっとした耽溺型のフレーズが、木管で表現されている。
グレートヒェンの心情を描いたモノなのだと思うが、優しいフレーズを、オーボエで綴っていく。
この柔らかい包み込むかの表現は、とっても美しい。
オーボエとクラリネット、そして弦に引き継がれていくところは、まるで、ワーグナーのようなオペラの1つのシーンだ。

3楽章
低弦の蠢くようなフレーズと、ヴァイオリンのピチカートで幕を開けるが、その後、スピーディーにめまぐるしく駆け巡る。
どんな光景を思い浮かべていけば良いのだろう〜と思っていると、今まで聴いた主題が、雰囲気を変えて変奏曲のように巡ってくるので、楽しい。(楽しいって言っても、不気味さや滑稽さが含まれているのだが)
ファウストがお酒に酔っているのだろうか〜とか、ウツウツと悩んでいるのだろうか。いや、派手に鳴っているところは、きっと、英雄になりきって誇大妄想狂のように、想いだけが膨張していくようだし、気分が、ジェットコースターのように、あがりくだりする。
急に静まったと思ったら、グレートヒェンの主題が登場するが、またまた、阿鼻叫喚の世界に戻ってみたり〜
躁鬱みたいな感じで、スピーディに展開する。ついていけないやぁ〜っと思い始めたら、神秘の合唱が始まる。
美しい分散和音が奏でられ、世界が変わる。コーラスが入ってくると、神々しくなり〜
一気にクライマックスへ やっぱり、このムーティ盤は、劇的で、ダイナミックに鋭く展開し、気持ちを鷲づかみにする。

とっても長い楽曲だが、主題をちりばめて、ストーリー性を持たせて、時空間を支配している。
曲想は、かなりダイナミックで、素速く急展開を見せていく。そのスピードと共に、大きく曲線を描いて、垂直に登りくだりするので、怖ろしいほど、縦に横にと、聴き手を揺さぶってくる。
で、ムーティ盤は、この時空間を無限大にひろげるかのような勢いがあり、それでいて、表情がとても細やかだ。
人の感情のツボを、全部知っているかのように、見透かしたように押さえてくる。
いや〜 下手な映画を見ているよりも、映像が浮かんでくるので、面白すぎるのだが〜

なにせ、う〜ん 音が。もう少し音質が良かったらなあ。
ワタシの所有している盤(輸入盤)が古いのだろうか。リマスタリングして欲しいっ。

2270

シャイー コンセルトヘボウ 1991年
Riccardo Chailly
Royal Concertgebouw Orchestra
(Amsterdam Concertgebouw Orchestra)
テノール:ハンス・ペーター・ブロッホヴィッツ

う〜ん。どうだろ

録音状態は良い。少しさっぱりしていて、もっと粘ってほしい気がする。
もっと、ドラマティックでも良いのに〜

難解な交響曲の1つ リストのファウスト交響曲・・・
この曲は、何度聴いても、なーんか、とらえどころがなく、ワタシ的には、いつも、ぼわーっと聴いては終わってしまうというパターンを繰り返していた。リストの作品は好きだし楽曲も恰好が良い。想像力を掻き立てられる。
リストのおかげで、文学的な素材が音楽と融合して、世界観が大きく広がったと思うし、ワタシとしても、想像世界が大きく膨らむので、クラシック音楽が好きになった〜理由の1つが文学、絵画的世界との融合である。

しかし、このファウスト交響曲〜 いくら好きな世界でも、これは想像を遙かに超えちゃう。
そもそもテーマが、素材がデカイ。よくこんな素材を、音楽に取り込もうって考えたよなあ〜とって思う。
ファウストっていえば、もちろん、ゲーテの戯曲「ファウスト」を主題にしているのだが〜 
思想的、哲学的とも言える深い素材だ。
ひぇ〜ん、避けても通れないのは十分承知しているのだが、ぼやいてしまうほどの世界観が広がっている。もちろん、ため息をついていても仕方がないので、とりあえず書棚から本を取り出して戯曲を読み、何度かCDを繰り返して聴いたのだが・・・まあ、やっぱ難しいですねえ。
音楽においても、文学においても、広く思想的にも影響を及ぼしたような、人間の永遠の課題みたいなテーマを取り扱った素材なんだもん。そりゃ難しいわ。

ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら、この交響曲では、物語の筋を追うのではなく、3人の主要な登場人物の性格描写を、1楽章ずつ使って行っている。
3人の性格像を、8つの主題と幾つかの副次的なモティーフを循環的に用いて、造形的に描写したものである。とあった。
8つも主題があるのか〜 と、再び、ため息をついてしまった。
まるで歌のないオペラのような感じでもあり、ワーグナーの楽劇風でもあり、なにせ長大すぎる。
8つの主題がどこに散りばめられているのか、手探り状態である。

1楽章なんて
CDのブックレットには、自由なソナタ形式で、ファウストの性格を描きだすために、5つの主題が使用されているとあり、
第1主題は、レント・アッサイのチェロとヴィオラ 神秘的な世界の謎を解明しようと沈思瞑想し
第2主題は、オーボエで、情熱や孤独といった感情を、
第3主題は、アレグロ・アジタート・エド・アッパシオナートで、心理を追求、闘争心が情熱的に、
第4主題は、苦悩の描写で始まり、クラリネットとホルンが、憧れに満ちた自然と人生への愛が、
第5主題は、第2主題から派生したもので、偉大な業績を遂げた英雄性を表す〜とある。
あ、とにかく、主題を聴くこと。そして、戯曲を読むこと。これしかないような気がする。

それにしても、1楽章だけで、シャイー盤で28分である。全曲を通して聞くと、1時間超である。
最初は、ワタシの耳に、「ら られみしれぇ〜 られみしれ〜」「そぉ ど み し れぇ〜  れっ どぉ〜 しらそっ」「れれ そ らみそぉ〜」という、金管のフレーズしか、耳に残らない状態だった。
まあ、ホント、この楽曲は解説が必要である。
金管を伴って奏でられる主題が、恰好よいのだが、そのほかの主題には、ワーグナーのように同じモチーフを用いているわけでもないし、3楽章なんぞ、メフィストフェレスが登場してくるが、ファウストと重なっており、パロディっぽいフレーズが、そして、グロテスクというか、悪魔のささやき風に登場する。
まあ、自分の心のなかの悪魔的存在、心の二面性を表して来るので、より一層複雑なワケだ。
最後、声楽が入ってくる「神秘の合唱」においては、悪に打ち勝つという構図なので、輝かしさを放つが、悪魔的世界に吸い込まれそうな気配があるので、なかなかに恐ろしい世界が広がる。

ところで、シャイー盤は、録音状態が良い。でも、どこか、どろっとした要素が少なく、スポーティで、まるで映画を見ているようで〜 さらっと流れていく。
そうそう、映画「スターウォーズ」も、ある意味、ファウストを下敷きにしているよなぁ。って思う。
暗黒の闇に引き込もうとするダースベーダーは、ありゃ、メフィストファレスだ〜っとワタシは勝手に思っているのだ。(笑) 
まあ、良き魂vs悪魔的魂となると、ファウストでしょ〜ってことになるのだが・・・。
シャイー盤を聞いてて、ハリウッド映画的だというつもりはないけれど、映画音楽みたいな感覚で、リストの交響曲「ファウスト」を聞くってアプローチでも、良いのかもしれないと思った。
(もちろん邪道ですけど)
視覚的要素がほしくなるかな〜 単純にそのまま聞くには、ちょっと退屈かもしれない。
全体的には、もう少し、粘りがあってほしいし、オペラチックにもっと大きく抑揚をつけて、ダイナミックに演奏してもらう方が、わかりよいかもしれない。
1982年〜83年 ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 EMI ★★★★
1991年 シャイー コンセルトヘボウ Dec ★★★
所有盤を整理中です。

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