「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

マーラー 交響曲第1番
Mahler:Symphony No.1


グスタフ・マーラー(Gustav Mahler)は、1860年生まれで、主にウィーンで活躍した作曲家です。交響曲は番号付きが9曲と大地の歌(第10番は未完)を作曲しています。 

第1番「巨人」は、ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、
第1楽章は、ニ長調4/4拍子序奏付きの自由なソナタ形式
弦のフラジオレットによるA音の持続のうえに、オーボエとファゴットが4度下降する動機が表れます。全曲の統一動機で、カッコウの鳴き声を模したものとも言われています。ホルンの牧歌的な響きが挿入され、低弦に半音階的に順次上行する動機が現れ、4度動機が繰り返されるうちに主部に入り、チェロが第1主題を出します。
「さすらう若者の歌」の「朝の野原を歩けば」に基づくものです。

第2楽章は、イ長調 3/4拍子 複合三部形式のスケルツォ
低弦による4度下降動機のオスティナート・リズム、ヴァイオリンによるオクターヴ上昇する動機の繰り返し、木管が歯切れよくスケルツォ主題を出します。主部は、三連符を含む律動的な動機を繰り返し転調して戻ります。中間部はヘ長調で、ホルンの4度下降動機に次いで、弦が優美なレントラー風の主題を奏するもの。

第3楽章は、 ニ短調 4/4拍子 複合三部形式
ティンパニに乗ってコントラバスが物憂く虚ろな印象の主題を奏します。童謡「フレール・ジャック」として知られるフランスの民謡をカノン風に扱われ、オーボエのおどけたような旋律が加わります。主部は、哀調を帯びた俗っぽい進行を経て主題が戻ります。中間部は、ト長調でハープに導かれてヴァイオリンが夢見るような表情で「さすらう若人の歌」の「彼女の青い眼が」から採られた旋律を奏でます。

第4楽章は、 ヘ短調 - ニ長調 2/2拍子 自由なソナタ形式
シンバルの強烈な一撃で開始され、第1主題の断片や半音階的に下降する動機を示して、戦闘的な第1主題が管楽器と低弦で提示されます。ヴァイオリンの激しく上下する音型を伴っており、一段落して出る第2主題は嬰ハ長調、ヴァイオリンによる息の長い美しい旋律です。金管が第1主題の動機を繰り返して、激しくなるところから展開部となり、高揚して頂点に達し、序奏部が復帰すると再現部となります。第1主題は再現されず、ハ長調で凱歌をあげようとしますがニ長調に上昇し、ティンパニの連打、トランペットの勝ち誇ったような旋律、ホルンの4度動機と続いて1楽章の序奏が戻ってきます。第2主題の断片につづいて、ヴィオラが警告的な動機を示し、繰り返されてやっと第1主題が再現されます。主題の順番を逆にして再現する発想は、第6交響曲の終楽章にも現れています。1楽章のファンファーレが現れ、ニ長調で頂点に達し、そのままニ長調の長いコーダになだれ込みます。フィナーレの第1主題と4度動機に基づき、勝利感に満ちた終結となるものです。

この複雑な構成は、読み解くのも大変で、とほほ〜状態ですが、これでも比較的、演奏時間が短く、約55分です。

ハイティンク コンセルトヘボウ 1972年
Bernard Haitink  Royal Concertgebouw Orchestra
(Amsterdam Concertgebouw Orchestra)

こりゃ良いわ〜拍手


録音状態は良い。最終楽章こそ重低音が不足しているが、奥行き感や70年代の豊かなコンセルトヘボウの音色が聴けて、文句はない。自然で、音の重なりが綺麗だ。
1楽章
ここでご紹介するのは72年録音である。
ハイティンクとコンセルトヘボウのマーラー交響曲全集は、1962年〜71年までの間に録音され、10枚組BOXとして発売されているが、そこに収録されている1番の「巨人」は、62年の録音である。
だから、この盤は、2回目の録音になるのだが、う〜ん、改めて考えると、ハイティンクって、結構、早い時期から、マーラーを録音しているのだ。当然その頃は、CDはまだ生産されておらず、LPレコードだったのだが、確か、バーンスタイン盤かクーベリック盤がもてはやされていたのではないかと思う。
さて、ハイティンク盤〜 個性がないところが個性というか、まったりした演奏だが、コンセルトヘボウの響きが好きな方にはお薦めだと思う。

冒頭、ずーっと弦の長い持続音のなかで、「し〜ふぁ〜 しぃ〜 ふぁぁ〜」 緩やかに暖かい音でじーっくりと響いていく。
持続音が、意外と大きめに響いており、合いの手を入れていく「カッコウ」の音色。
実際、舞台裏で吹かれているのではないかと思われるトランペットの音が、そこに重なっていく。
とても立体的だ。
透明度の高い、シーンとしたクリアーで冷たい録音でなく、あくまでも暖かさがありながら見通しが良い。
流れていく音の横の流れというより、音の重ね方の美しさというか、縦の見通しの良さという感じ。 色を重ねていきながらも、音が全く濁らず、独立してながら、協調性を持っているというか、 旋律の流れのなかのが綺麗に見えるというより、縦の層の綺麗さを見せてもらっている感じがするのだ。
あー 巧く言えないけれど・・・。

テンポは、ホントゆったりしている。
柔らかく、自然で、清潔感のある、丁寧な演奏で、ゆったりと進む。あまり急激にはテンポを変えない。
「ふぁふぁふぁぁ〜 どしらし どぉ〜 どしらし どぉ〜」
天然かしらんと思うほど、のんびりしている。
今時の若者に聴かせると、アホほど、のんびりしてますねえ〜っと言われかねないほどだが、まあ、そこが個性だろう。
なにかしら。とんがっている若者時代に聴くではなく、中高年向きって感じの演奏なのだ。
それにしても、ハイティンクさんって、1970年代から、老練だったというか、とんがった若者ではなく丸かったのねえ〜
まろやか。ゆったりしているというか、臈長けているというか、でも、ホント、じっくり聴くには、ホントよろしい。
ゆったりと、コクのあるホルン、フルートに、弦の音色に聞き惚れるなあ。ホント、うっとり〜。
カッコウの音色も、耳元で、太い声で、カッコン と鳴かれる場面もあったりして。ふふっ。うっとり・・・
ミュート付きのトランペットの音色も、優しいし〜
低弦のゴリゴリ感も、柔らかい。かといって、爆発するところは力強い。
チューバの音色はキツくない、「そぉ〜ふぁ れぇ〜 そぉ〜ふぁ れぇ〜」 「しぃ〜ふぁ〜 しぃ〜ふぁ〜」と鐘のように、振り子のように揺れる場面は、きっちりメリハリつけて、後ろを、きつめに鳴らしている。
全てが緩いのではなく、きっちり、しめなきゃーいけないところは、きちんと、締めている。

2楽章
「しぃ〜ふぁっ しっしっ ふぁ〜 しぃ〜ふぁっ しっしっ ふぁ〜  ぱら ぱぁ〜 ぱら ぱぁ〜」
低弦の響きが、適度な重さをもって響いており、弦の豊かな音が、リスミカルに、そして、多層的に響く。
この弦だけでも、なんて美しいんだろう〜
ゆったりとしたスケルツォだが、そこに、木管の音色が重なり、ホルンの副旋律が美しく絡む。うわ〜 メチャクチャ美しい。
2楽章冒頭のここだけでも、結構、聴き応えがある。いやぁ〜 凄い、これは耳のご馳走だ。
弦の強弱も豊かについているし、甘く、豊かな、柔らかい音は、これはたまりません。
弦の響きや、ホルンの響きが大変美しい楽章で、特に流麗ではないのだが、奥行きの豊かな倍音が〜 響く。
中間部の主題は、たっぷりタメを効かせてて、優美で耽美的。
おお〜っ こんな、ゴージャスな歌いっぷりもできるんですねえ。 ニクいなあ。これは結構、役者ですよ〜 
中年のリッチな、臈長けたおばさまが、媚びを売っているかのような〜 
まあ、上品なおばさま風ですけど、あれだけ、純朴で、木訥としたハイティンクさんのイメージだったのに・・・。
えっ うっそーっ!だまされた。と思うこと間違いないです。この2楽章は、意外と〜 この盤の白眉です。

3楽章
わざと響かないようにしているのか、響かない ティンパニーが、ボンボン、ボソボソと鳴っている。
「みぃ〜ふぁ〜 そふぁみ みぃ〜ふぁ〜 そふぁみ そらし〜 そらし〜」と、単独で弾いているような、とても枯れた音のコントラバスとファゴットが出てくる。
木管は、響きを抑えていて、あくまでも、ここは低弦の演奏がメインになっている。
で、弦が終わると、いっせいに、木管の響きが前に出てくる。そして、オーボエの悲しくも滑稽な二重奏やクラリネットが続くというストーリーになっている。そう、主役が交代するのだ。
で、滑稽さが強調される場面と、タメを十分にとった場面と、弦の響きに重点が置かれて場面と、木管が前に出てくる場面と、結構、言いたいことがはっきりしている。
特に、おどけたコミカルさや、風刺を強調しているわけでもないのだが、聴いているうちに、音で創られた劇を見ているかのような気分になってきて〜 場面の展開力があるというか。構成力があるというか、聴かせ上手というか。
見えていたと思っていたのが、まだ、さらに奥がありますよ〜って感じで、促されていく。
次から、次へと場面が展開するというか、あれっ。と、合わせ鏡をみているかのような気持ちになっていくというか・・・。
奥が深いなあ〜と思わせられる。

4楽章
温厚な演奏から、いっきにヒートアップした加熱した楽章が始まる。
シンバルの一打と、きゃーっん、タタン タン ターン パパパ パーン バンバン どろどろどろぉ〜 パパパ ぱぁ〜ん
ティンパニーの強いロールと、金管の咆吼がある。
ドドン、ドンっ!という、大太鼓の響きも迫力があるのだが、驚いたのは、弦の旋律が前に出てきていること。
めちゃ弦の音が近いのである。コンサートの最前列に座っているかのようだ。
この楽章で、ヴァイオリンの旋律が、こんなに聞こえてきたのは、初めてかもしれない。(笑)
もちろん、金管の咆吼は、とても良く聞こえてくるし、ドスン ドスン バババ バーンっ、と、打楽器の響きも大きい。

で、静まったあとの中間主題が、とろとろ〜 ふわふわ〜の卵料理のような、ハイ、とろみ感が抜群なのだ。
「そふぁみ そふぁみ しそふぁ れし そふぁ〜 そぉ〜ふぁ みれぇ〜〜 み れぇぇ〜」
ちょっと、さきほどのガシガシで、声がすっかりかすれてしまったのか、他盤よりは甘さが控えめだが〜
で、最後。金管が悲鳴をあげたように、再度、咆吼していくが〜 ちょっと音がヒス気味だけど、奥行きがあって、金管の鋭い悲痛な叫び、弦の高音域の悲鳴、声の閉まった音の感覚が、とても生々しい。
また、場面が展開するかのように、舞台裏からのファンファーレが響く。
すると、すーっと、目の前に、すわーっとした空気が漂い、1楽章の自然満喫の世界に連れ戻してくれる。
う〜ん まるで魔法の呪文のようだ。
最後は、72年の響きの限界か、重低音の響きこそ薄めになってしまって、底に響く音が欲しいのだが、ちょっと録音に限界が感じられるものの、なんとも熱くて〜 かーーっと盛り上がって、タタンっ。と終わる。

なにげに聴いていると、すーっと流れてしまって、ありきたり風の演奏だが、ふと、耳を澄ましているうちに、交響曲なのだが、聴いていながら劇を見ているというか、絵本の世界が広がってくるというか〜  ついつい、引き込まれてしまった。
昔は、マーラーは、バーンスタイン盤のような情念の世界か、ショルティのようにドライでスポーティ。また、グロテスクな面を強調した盤が多かったように思う。しかし、昔っから、こんな演奏もあったんですね。(笑)
今まで、なんで気づかなかったんだろう。中高年になってきたから、妙に、懐の温かい、安定感のある演奏が好きになってきたためか〜 超掘り出し物な感じで喜んでしまった。むふふっ。

テンシュテット 北ドイツ放送交響楽団 1977年
Klaus Tennstedt  Hamburg North German Radio Symphony Orchestra
(NDR Sinfonieorchester Hamburg)

    

ライブ盤 録音状態は、まずまず。冒頭は良いのだが、 ティンパニー等の打楽器と大音量の部分は収録しきれなかったのか、少しヌケが悪い。かなり熱っぽい演奏で、崩壊寸前というところまで走る。 カップリング:1番巨人(1977年)、2番「復活」(1980年)
1楽章
シーンとしたなかを、蝉の鳴き声のような高い音「ラーーーー」が響く。
録音状態は良く、豊かに響きヌケも良い。ホールトーンも充分あり、客席で咳き込む音が、ほんのわずかに聞こえる程度。この録音状態では文句はない。
さて、最初の序奏部分では、テンポはゆるやか。
牧歌的なフレーズのなかで、舞台裏からのトランペットも、奥深くから聞こえてくるし、カッコウの鳴き声も、大きな声で響き渡っている。 この序奏だけ聴くと、テンシュテットさんが振っているとは、到底ワカラナイ。
チェロが主題を奏で始めると、テンポが緩やかに加速され、生き生きと歌い始める。
ティンパニーが叩かれ始めると、えっ?

音が籠もっているというか、このティンパニーだけ、なぜか音が悪いのだ。
弦のフレーズなんか、とてもよく録音されているのだが、ティンパニーだけ音が悪い。アナログの白黒画像にガシガシに傷が入った古い映画のようだ。う〜ん。なぜなんだろ〜?  まっ とにかく、打楽器類は、靄がかかったように音が悪い。

「さすらう若者の歌」の「朝の野原を歩けば」のフレーズが終わった後、序奏のフレーズが戻ってきて、いったん沈んだ感じになるが、大きな振り子状のフレーズが勢いを付けて上にのぼってくる。
頂点に達したところで、ホルンなどの金管の爆発が起こる。
さあ。この爆発後は、猛烈な勢いで駆け抜けていく。 畳みかける勢いは相当なモノ。ティンパニーがガンガン叩かれ、金管の短いパッセージが、渦巻く弦を、更にかき混ぜるように吹いて、ティンパニーの連打・・・。
どひゃん、強烈だ。唖然としてしまう。

2楽章
「ぱらら〜ぱらら〜 たっ たーた たたぁー」
だみ声で叫ぶおばちゃんの声のように割れた音で、不気味に擦れ、乾いた音で、弦がガシガシ弾いている。
アンサンブルも危なっかしい・・・ (笑) ミュート付きのトランペットが、カシャカシャカシャー
なんとも音が悪いのだが、そんなことお構いなしに、弦が切れそうな感じで、ガシガシ・・・
中間部分は、とてもレガートが掛かって綺麗なのだが、どことなく、華麗さを繕っているものの、埃っぽいホールの舞踏会という感じで、落ちぶれた貴族の館という雰囲気がする。
主題が戻ってきて、「ぱらら〜ぱらら〜 たっ たたた たたぁー」
三連符の途中から火がついてしまったらしく、ひぇ〜 またまた、最後に、ぼーぼー燃えている感じだ。

3楽章
葬送行進曲のような旋律、「みふぁそふぁみ そらしー そらしー しーどしらそふぁみ〜」が続く。
ジメジメしているというか、カラリ〜っとしていない。テンポは遅くない。速めかな。乾いた不気味さだ。
「さすらう若人の歌」の「彼女の青い眼が」というフレーズは、ちょっと軽めで、おどけた風で場末的な雰囲気があり、 ちょっと〜だみ声の安っぽい歌手が歌っているような感じだ。
歌謡風のフレーズは、テンシュテットさんにしては、かなり歌っていると思う。
主題が戻ってくると、今度は、ティンパニーが重々しく、悲しそうに若干強めに叩いている。
なんだか痛々しい感じもするが、 金管の音が、やや平面的に響く。木管のちょっと羽目を外したような、ひょうきんな歌い回しが独特だ。 物悲しいのか、明るいのか、複雑な心境で・・・ 
泣き笑いしているような、とっても複雑な心境で、言葉には表しづらい感じだ。
また、 無理に押し込めた感情が、ストレスとして、段々と溜まってくる気がする。

4楽章
シンバルと音の悪いティンパニーの連打と銅鑼が、爆発する。
シチャン!  (ドロドロドロ・・・)  たたぁんたー たぁーん  (ビドロドロドロ・・・) 
ドン (ビドロドロドロ・・・) ドン (ビドロドロドロ・・・) ドン (ビドロドロドロ・・・) 
パパパ パーン ぱぱぱ ぱんぱかぱーん。(ビドロドロドロ・・・) ドン (ビドロドロドロ・・・) 

落雷と猛烈な風が吹いたあと、弦がガシガシ音を立てて急下降する。
まあ〜 スゴイ。何度雷が落ちているやら。バリバリ・・・ ガシガシ、ギシギシ・・・
もうオケが崩壊寸前で、バラバラに飛び散っていきそうな感じで、割れた音が響き、ボンボコボンボコ悲鳴をあげている。
アクセントが強く、バランスが取れず、弦が加速度をつけて、 ティンパニーが叩かれるたびに、全体的に、前につんのめっていくようだ。
あちゃー 建物が、傾きかけているような気がするんだが・・・。
 嵐が過ぎたあとは、虚脱感に陥って〜 ふわ〜っとヴァイオリンが奏で始める。 艶はないが、あの猛烈な後だけに、何でも美しく聞こえてしまう。いやいや、ホント・・・。(苦笑)
甘美なメロディーなので、ほっとひと息なのだ。ホルンも、柔らかく〜  神々しいフレーズで、救い主が現れたと思うほど。あ〜 これで救われた。と思ったのだが、またまた。 ジャジャン ジャーン! 激しい銅鑼の響きで、嵐に巻き込まれる。
地響きを立てて、地面が、ぱっくり割れたような気配が漂う。

鐘のフレーズは、これは何を意味しているのだろう〜 この楽曲を聴く度に、そんな疑問が湧くのだが・・・ 1楽章のカッコウも鳴いてくれるのだが、 この最終楽章場面では、主題が入れ替わり立ち替わり〜 複雑な構造になっている。
ヴィオラの強くて速い たららーたららー  これが聞こえると、あー また恐怖が再現されると身がすくむ。
地響きが鳴ってきて、鐘が鳴ってファンファーレとなり、最終コーダに流れ込んでいく。これは爆発的だと思う。
最後なんぞ、猛烈に速い畳みかけておいて、意外とあっさに終わるのだが・・・。 ライブだからかもしれないが、とても生々しく、ぱっくり開いた生傷が見えるようで、なんとも痛々しい。ここまで自虐的に演奏しないとイケナイのだろうか。
聴き手も、かなり追い込まれた心境になってしまうが、演奏している方も、かなりのストレスがかかっているだろう。
とても荒々しく、とげとげしい演奏で、すっかり疲れて倒れてしまいました。

ショルティ シカゴ交響楽団 1983年
Georg Solti  Chicago Symphony Orchestra

録音状態は良い。金管の鳴りっぷりの良い、ダイナミックな演奏で、スポーティである。やっぱり、ショルティだよねえ。格好の良い演奏だ。
最初に聴くのには、お薦めしちゃう。
1楽章
冒頭は、テンポはゆったりめなのだが、ふわーっとブルックナーの原始霧のように出てくる盤とは違って、そこはショルティ。
ちょっと速めで格好良く、快速で走って行く。
木管のカッコウなんぞ、鳴き方が速いので、まるで早口で鳴いているかのよう。
普通の鳴き方は かっこう〜 かっこう〜 なんだが、ショルティ盤は、カッコッ カッコゥ!
若々しい〜鳴き方短めの畳みかけるカッコウちゃんなのだ。 でも、嫌みなく、テンポ良く演奏している。

ずーっと「ラー」音が、底辺に流れているので、緊張感が続いているし、見通しの良さを感じる。
目の前の世界には、奥行き、左右の広さが充分に感じられ、なかなか雄大さがある。
「さすらう若者の歌」の「朝の野原を歩けば」の歌い出しのフレーズは、ショルティらしくないほど優美なのだが、ティンパニーが鳴ってくると、ああ やっぱショルティだなあ。と思ってしまった。
フレーズの最後は速いのだ。弦のトリルも回転が速い。 でもね。管が鳴らないところは、ホント、なかなかのうたいっぷり。
即物的ではないし、そっけなくもないし、無愛想な感じはしない。ちょっとした、ひんやり感はあるが・・・。
こんもりとした森というより、大地のイメージ・・・。かと言って木が1本も生えていないという感じではない。

2楽章
おお〜 ガシガシ言ってる。速い。
「ぱらら〜ぱらら〜 たっ たーた たたぁー ん〜たららっ〜たたぁ〜」
アハハ・・・痛快なほどテンポが良い。小股のきれあがった感じで、スマートだ。 オケの機能美が満喫できるスケルツォになっており、繰り返しの2度めのフレーズは、さらにテンポがあがっている。 早口カッコウの続きである。
レントラー風舞曲では、ちょっとした乾いた不気味さもあり、優美さとは言えない。
旋律に、歯ごたえがあり、まろやかな口当たりでは終わらない。 無骨とまでは言わないが、フレーズに丸みがないので、ちょっと骨っぽい。というか、 チェロに甘さがないし、フレーズが細切れになって出てくる。
主題が戻ってきたら、また、バージョンアップして、ガシガシ、ギシギシと、かすれた弦がしなる。
そのうえに、鋭い咆吼の金管が鳴る。
かなり、太くて、ごわごわ感のある、大変エッジの立った演奏となっている。

3楽章
葬送行進曲のようだが、さほど暗くないし、テンポも速め。
ショルティは、てれてれ〜遅くならない。ドロドロもしておらず、極めてドライ。
物悲しいオーボエと たらら〜 たららら らっらら〜と、クラリネットなどの木管は、さほど柔らかくはないが腰は充分にある。フレーズとしては、かなり歌っているのだが、どこか爽やかだ。

ティンパニーが奥の方で叩かれているが、始終、小太鼓が鳴っているような、テンポの良さがある。
不気味な明るさや、感情のウラハラさを、なんとなく感じる。
ハープの音色が聞こえて、「さすらう若人の歌」の「彼女の青い眼が」奏でられているが、まずまず歌っている方だと思う。夢のごとし・・・とまではいかないけれど、ショルティにしては、精一杯の皮肉っぽい傾向にはあるが、まあ、ロマンティックな演奏と言えるのではないだろうか。
つづけて、ティンパニーが弱音で叩くなか、強めに木管が吹かれ、また不気味な葬列が、泣き笑い状態で続いていく。
このショルティ盤は、コミカルで、ニヒルで、ブラックユーモア的に演奏している点は、好感がもてる。
一筋縄でいかないマーラーの二面性は、かなり良く出ているように思う。

4楽章
シンバルの一打と、ティンパニーの強いロール、金管の咆吼がある。
最初は、疾風怒濤ではあるが、どこか抑えており、爆発的ではない。
この楽章では、トランペットなどの金管が、極めて前面に出ている録音で、バランスは〜 ちょっと不自然かなあと感じる。
中間部の天上的な音楽は、 ショルティも、かなり歌っている。
歌ってはいるが、シノーポリ盤のようには、エロティックではないんだよねえ。このフレーズは、シノーポリの方が、役者が一枚、二枚上なのだろうか。 泣き節というか小節まわしが全然違う。
歌謡フレーズは、ショルティは苦手なようだ。
もう少し弦のフレーズに伸びと振幅があれば良いのだが、息が浅く、タメが、もう一押し足らない。
たらら〜ら〜 と短いフレーズでがあり、弱音で呼吸を整えたあとは、金管が、まるで風の神さまのように一気に吐き出す。猛烈なエネルギーで、一瞬、タジタジ・・・

でも、ホント弱音にしたり、タメたり〜 劇的で、ドラマティックに演出している。
ただ、弦の音が軋んでいる感じが否めない。 鐘のようなフレーズは、ガシガシガー ガシガシガー とリズムを刻んでいる。
天上のフレーズそのものは、それらしく、ふわーっとしているが、それよりも、天上への憧れがよく伝わってくる。
まあ。強い意志を持ちながらも、弱々しく迷いも描いており、その点、心情的に理解できる。
弦の響きや弾き方が、不安定な心情を表しているようだし、金管は、力強い意思を表して、その複雑な心境が交錯しているように感じられる。

最後の最後には、それらの感情を自分自身で斬り棄てて、すぱっ!と、ふっきって強く出てきます。 この切り替えは、鮮やかで気持ちが良い。押し出しの強さが気持ちよく、 ある意味、スポーティな演奏だとは思うものの、最後のシーンは内面の葛藤に強い意志で望むという、エネルギーも若さも持ち合わせていて、羨ましいような共感をおぼえます。
ショルティ盤の「巨人」は、聴き終わったあと、不思議な爽快さがあり、人間臭い部分に共感してしまうかな。 で、若いエナジーの源は、やっぱ強い憧れなのかな〜と。 なかなか痛快で、やってくれるな〜と、どこか、応援したい気分になってくるという、不思議な盤です。(笑)

マゼール ウィーン・フィル 1985年
Lorin Maazel  Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)

録音状態はイマイチ。全体的に靄がかかってクリアーとは言い難い。
ティンパニーもドンシャリ気味。98年に再度録音している。
1楽章
テンポは遅い。めちゃくちゃ遅い。あれれ〜 いつものマゼールと違う。
怒濤のように走るくせに、どうなっているだろう。冒頭は、なにせ遅い。靄のかかったような雰囲気があるのだが、そこで眠くなってしまう。 「しーふぁーそーれー みーどーしーー」「 みっしー みっしー」 (カッコウの鳴き声のよう)

何度か繰り返して、ホルンの牧歌的なフレーズが出てくるのだが、そこからテンポが少しあがる。
それでも、遅めで、う〜ん。チェロが歌い出すのだが、なんともまったりしている。
「さすらう若者の歌」の「朝の野原を歩けば」のフレーズも、テンポは遅め。基本的に、わざとテンポを落として歌い上げているのかも。ワタシには、 珍しく歌うというか、叙情的に演奏しているように感じたのだが。どうだろう〜。
ティンパニーが、途中ドカンドカンと、ドンシャリ系の音で叩かれている。
まあ。ここだけ迫力はあるのだが・・・。ちょっと、他がいただけない。

2楽章
スケルツォは、ガシガシ弾いている。遅め。
ギクシャクした乗らない舞曲で、「ぱらら〜ぱらら〜 たっ たーた たたぁー ん〜たららっ〜たたぁ〜」
ん? なんじゃ。こりゃ。
中間部も、図太い音のレントラー風舞曲ギクシャクした骸骨踊りのようで、のっぺりしている。
突然ブレーキがかかって弱音で聞こえなくなるし。強く鳴るって言ったらガンと強いし。よくワカラン。
マゼールさんには、いつもながら驚かされる。

3楽章
葬送行進曲風 コントラバスが弱音で、「 みふぁそふぁみ そらしー そらしー しーどしらそふぁみ〜 しーどしらそ〜」
「 たらら〜 たっ〜ら たったたらら〜 たららー たららー」
テンポがメチャ遅い。
葬送だからそれでも良いのだが・・・ 雰囲気が変わって、中間部分では「さすらう若人の歌」の「彼女の青い眼が」奏でられているが、ここでは、なんとも儚げにためて歌う。
しかし、かなり退廃的というか鬱々しており、あまりのリアルさにたじたじしてしまう。で、また葬送行進曲風に戻る。はあ。

4楽章
疾風怒濤の楽章になっている。
んじゃーっん。とシンバルが鳴ったと思ったら、最後の審判です〜と言わんばかりに、ティンパニーがバン!
「 たたったんたぁ〜ん」と、豪快に金管が鳴って、ティンパニーがバンバンバン・・・
弦が、ガシガシガシガシガシ・・・ 旋律が金管に移っているのだが、ガシガシガシ・・・
なんとも激しいアタック攻撃で、タンタカタンタカ・・・・ ガシガシガシ・・・ ギシギシシギシ・・・
歯ぎしりしているようで、う〜ん なんとも不快きわまりなく、なんとも個性的なこと。
それまで溜めていた怒りを爆発させたのか、いかにも暴力的、破壊的。

第2主題になると、ヴァイオリンが美しく奏でてくるのだが、この破壊的演奏の後に、何が誕生したのか。よくわからない。
う〜ん。破壊の後に垣間見られる天国的なフレーズなのだが。
マーラーだからかマゼールだからなのか、このあたりは、かなり気怠い。
ただ〜 もちっとレガートで演奏してよぉ。と言いたくなるほど。美しいフレーズが細切れになっている。

タメは溜められても、下降線をたどる時に、なんかギクシャクして降りてくる。はあ〜 なんとも。
最初から最後まで、ギクシャクしてて〜 超がっくり。
で、再度、怒濤の旋律が蘇ってくる。今度は、暴力的というより、断末魔的に聞こえる。
鐘の音が、貧相である。レクイエム的には鳴ってない。速いし。素っ気ないし。なんだ〜これっ!

最後のコーダ部分では、充分にタメて、悲鳴をあげながら迸しって出てくる。
恐ろしいパワーで強奏されている。鐘の和音の音自身は美しいのだが、どうも音の響きとしては充分ではなく、平べったくジャンっと鳴る。金管は鋭く炸裂する。
ウィーン・フィルのマーラーは少ないのだが、う〜ん 悲しいことに音色があまり良く聞こえない。
ティンパニーの音が、強烈に叩かれているとしか感じなかったという、コワモテ一面だけのマーラーという感じがする。
力まかせにマーラーを振っても、、、う〜ん。どうでしょ。う〜ん。ダメなんじゃーなかろうかと思う。

若杉弘 シュターツカペレ・ドレスデン 1986年
Hiroshi Wakasugi  Sächsische Staatskapelle Dresden
(Staatskapelle Dresden)



録音状態は良いのだが、シュターツカペレ・ドレスデンの音色としては、もうちょっと渋くて芯があった方が良いかもしれない。大変まろやかで、明るめなのだが、残響がありすぎて、3楽章ではコントラバスの音が、 ボンボン響きすぎて気になる。でも、演奏は贅肉を落としすぎて〜という感じ。
1楽章
すーっと「ラ」の音が鳴ってくる。持続しているなか、遠くで角笛のようなホルンの音が鳴ってくる。
おおっ。これぞドレスデン!カッコウの鳴き声が透き通っている。
まろやかなホルンとヴァイオリンの透き通る音に、思わず。はあ〜すげっ。絶句。
チェロがフレーズを歌い出す時には、もう〜 へろへろになってしまった。「さすらう若者の歌」の「朝の野原を歩けば」のフレーズも、 ふわふわ〜 夢を見ている気分になってしまった。シュターツカペレ・ドレスデンの音色が好きなので、これは、たまらん。いや〜 いつもより、少し明るい雰囲気が漂っている。
ホルンがカッコウフレーズを吹くところなど、もう〜天国気分になってしまって、音色を楽しむだけで、誰が指揮者であるか忘れてしまっていた。
若杉さんの無理のないテンポが、大変心地よく、自然に流れていく。
ごくごく自然なフレーズに聞こえて、マーラーの楽曲であることが、何処かへ飛んでしまった。
楽章最後クライマックスへを迎えるところは、大変テンポが速くなる。メチャ快速で、すっ飛ばし状態だ。
ティンパニーが残響豊かに、ジャジャンと終わるが、えっ? 驚かされた。

2楽章
低弦が豊かに響く。しかし・・・あれぇ〜 いつもなら、もう少し低音が響いているんだが。
この盤は、ちょっと軽めに聞こえる。いや。フワフワしすぎかも。
しかし、チェロの甘い音は、これたまりません。弦の響きの大変美しい楽章で、変にアクセントがなく、とても素直で、レントラー風舞曲が、純朴なワルツ的に聞こえる。
やっぱ、木管の和音がとろけてしまって、ちょっと芯がない。
遠くで、カシャカシャカシャーと鳴っている。
ミュート付きの短いトランペットなんだと思うが、あまり奥行きを感じない。

3楽章
葬送行進曲風 コントラバスが弱音で弾いていくのだが、この盤では、
ものすごーく音にならない程度の低音が響く。
みふぁそふぁみ そらしー そらしー しーどしらそふぁみ〜 しーどしらそ〜 
コントラバス、クラリネットが、まるで輪唱のように同じフレーズを追いかけて続けていく。
この時、すごい低音が、ボンボンボン・・・と響いている。猛烈にすご〜く低い。
残響がよいため、あまり明瞭に音としては聞こえず、低音の響きだけが印象に残る。おそらくコントラバスの音だろうが、これだけ響くと〜 まあり葬列の歩みという感じがしない。
まあ。葬列は遠ざかっていき、引き続いて、ハープが流れてきて、大変夢見心地の気分になる。
ああ〜 天国的な世界がやってきたようだ。
「さすらう若人の歌」の「「彼女の青い眼が」が流れてくる。これは一瞬で、再度、葬列がお越しになる。

4楽章
じゃんじゃん じゃーん。と、シンバルをはじめとして大音量で、疾風怒濤となっている楽章なのだが、さすがに、ドレスデン。あまり強烈に、えぐい音では鳴らない。
そして、緩やかな場面では、さすがに美しい。う〜ん。美しいんだが・・・。
最後の4楽章に至って、マーラーの演奏としては? と考えた時、この演奏では大いに疑問。
すごい強い箇所もあって強烈なのだが・・・ 全体的には、どうもスマートな演奏で、スマートすぎて、無駄がないという感じを受けてしまう。余計な贅肉がついてないのだ。
菜食主義者のマーラーで、血もしたたるレアな肉なんぞ食べてないでしょ。って感じ。

この若杉さんのマーラーは、悲鳴をあげて泣き叫び、怒濤のように怒り、感情むき出しで迫ってくるという風ではない。
マーラーの持っている二面性。 両極端で、結構、ギリギリで生きている二面性が、若杉さんの盤では感じられない。
天国的な面は、確かに美しいし申し分はないのだが、それだけじゃー モノ足らないんだなあ。 ワタシ的には、精進料理のようなマーラーになってしまっていては、う〜 ちょっと違うかも。と思います。 精進料理的マーラーなんぞ、ワタシ的にはマーラーを聴く意味がないような気がするんです。えらそうなことを言って、スミマセン。

バーンスタイン コンセルトヘボウ 1987年
Leonard Bernstein  Royal Concertgebouw Orchestra
(Amsterdam Concertgebouw Orchestra)

もえてるぅ〜   あちゃ〜 

録音状態は良い。ライブ盤 ひや〜やっぱり 相当な粘りのある情感たっぷりの演奏で、じらして〜じらして〜 爆発させるエネルギーは凄い。泣ける演歌が好きな方には、ツボにはまるが、肌にあわない方には全くあわない。個性的な演奏。
1楽章
この盤は、マーラー交響曲全集にも収められているコンセルトヘボウとのライブ盤である。
昔ながらのファンにとっては、バーンスタイン盤といえば、60年代のニューヨーク・フィルとの録音の方が有名なのかもしれない。バーンスタイン盤のマーラー交響曲全集は、旧録音のソニーから発売されている分と、2回目のグラモフォンから出ている16枚組BOX・11枚組BOXがある。コンセルトヘボウとのライブは、この新しい方の全集収録されているものだ。

バーンスタインさんは、マーラーに限らず、あまりに濃厚すぎて、ワタシとの肌質は合わないので、かなり敬遠気味の指揮者なのだ。で、今、ワタシの手元にあるのはグラモフォン盤だけで、ソニーから出ている旧録音の全集は、残念ながら所有していない。
コンセルトヘボウのマーラーっていえば、シャイー盤が有名だが、そうそう〜バーンスタイン盤があったわ〜と、ホント、久々に1番を聴いたが、あーっ やっぱり濃厚すぎて〜 うぷっぷぅ〜 (笑)
最初の出だしは、確かにスピードは遅めだが、特別に変ってわけでもないし、綺麗に収録されており、なかなか良いな〜と聴いているのだが、そのうちに、ぐぐーっと遅めになって。
「らっそ れぇぇ〜 そぉ〜ふぁみ そ らぁ〜 そぉ〜 しぃ〜そぉ〜 しーぃぃ〜〜 」 引っ張って爆発するのだ。
そこからは、スピードアップして快速して流していく。

2楽章
ゆったりとしたテンポだが、変でもないし、きちんとメリハリをつけたリズム感で、ぐっと足元を踏み固めているかのようなリズム感である。「ん〜 ぱっぱぁ〜」  「ぱらら〜 ぱらら〜 たっ たーた たたぁー」
コンセルトヘボウって、なで肩の柔らかい音が魅力だが、弦も管も、暖色系の柔らかい音質で響いている。
ライブ盤だが、まずまず奥行きも感じられるし、コンセルトヘボウなので巧いのである。
まあ、変なのは、テンポの揺らし方 これにつきる。
で、この2楽章中間部、叙情的で、歌謡風フレーズが流れてくるのだが、そこが、超ゆったりなのだ。いや、ゆったりという言葉が当てはまらないほど、もう〜異常なほど、ねちっこいというか、遅すぎ。
かったるい。音の流れとして止まるんじゃーないかと思うんですけど。やっぱ変だわ〜 
この指揮者のスピード感には、ワタシは、やっぱ、ついていけません。

3楽章
この楽章は、意外と速い。えーっ?
ティンパニーに続き、コントラバス、ファゴットで、「みぃ〜ふぁ〜 そふぁみ みぃ〜ふぁ〜 そふぁみ そらし〜 そらし〜」
「しっ どしら そふぁみ しっ どしら そふぁみ」
葬礼風にゆったりと歩みを進めるのかと思っていたし、2楽章があのテンポでしょ。んじゃー と思っていたのに。
サクサクと歩いて行くのである。
で、主題が変わって、コミカルな滑稽なフレーズが始まっても、ニヒルでもなんでもなく。さくさく〜
で、さらにスピードあげて、淡泊に演奏される。
主題の変わりめには、テンポを落として〜というのが、カレの決まり事でもあるのかもしれないが、節目節目の、このテンポの上げ下げは、ギクシャクしてて、急ブレーキ 急発進って感じで、スムーズには移行しない。
天の邪鬼という以上かもしれない。このスピードの変化には、ちょっと対応しかねる。
弦のフレージングの美しさは認めるものの、特定の箇所、特定のフレーズのみに焦点があたっているようで〜 あまりにも近視眼的で〜 鳥瞰した聴かせ方、見せ方、構成美というのは〜 ちょっと感じられない。
エキセントリックで歪だ。

4楽章
疾風怒濤の楽章で、シャンっと一発、最後の審判です〜と言わんばかりに、ティンパニーがバン!
「た たっん たん たん たん たぁぁ〜ん」という、この間合いがまた長い。
大太鼓の音も、しっかり入ってて迫力満点なのだが、「たんたんたん たぁ〜らら たぁ〜らら」 と、持ってまわった節回しなのである。
弦が、ガシガシガシガシガシ・・・ 
旋律が金管に移っているのだが、ガシガシガシ・・・
マゼール盤も、相当、激しくウィーン・フィルを大型ノコギリみたいに弾かせていたが、バーンスタイン盤も、コンセルトヘボウを大型ノコギリで、ガシガシ言わせて、乱雑に弾かせて軋ませている。
歯ぎしりしているようで、う〜ん なんとも乱暴な感じがして不快だ。
で、 第2主題になると、弦の美しいフレーズに焦点をあてて、まるでスポットライトをあてて、さあ〜 舞台に出てきて頂戴と言わんばかりに、ねっとり〜と歌い上げる。

うわぁ〜 なんだか、このテンポ スピードの具合が、耽美的すぎて、息継ぎがしづらいほどに、(弦だから、まだまだ伸びるのかもしれないが・・・) ここまで思い入れたっぷりに歌われても、ねえ。
カラオケボックスで、人が歌っていても、ああ〜巧いなあ。とは思うものの、さほど入れ込んでは、聴けないでしょう〜普通。
で、たまりかねた頃を見計らったかのように、人をじらして じらして〜 じらしたあげく、爆発させてフレーズが堰を切ったように流れ落ちていく。

う〜ん。客観的にしていただいた方がねえ。ワタシ的には、ちょっと・・・。疲れる。
最近は草食系がはやっているので、この演奏は、たまげて引くか、大笑いされてしまうか〜 ちょっとわかりません。
レニーさんが好きな方には申し訳ないのですが・・・。ワタシ的には、全くダメ。(笑)

演奏は、もちろん指揮者の主観では良いのですが、エキセントリックで、本能のおもむくまま〜 情感を露わに、周りのことは気にならない、空気を読めない的に聞こえてしまって〜 
ワタシ的には、特定の箇所、特定のフレーズのみに焦点があたっているようで〜 こりゃ〜アスペ系だと思ってしまった。
ねちこく、執拗にされても、全体像が見えずらく、結局、何がおっしゃりたいのか要点がつかみづらい。

シノーポリ フィルハーモニア 1989年
Giuseppe Sinopoli  
Philharmonia Orchestra of London



録音状態は良い。弱音と強音、テンポの速さ遅さ、硬いところと柔らかいところとの差が大きく、振幅が大きい。濃厚で、ドラマティックで、エロティックな演奏だと思う。こんな濃厚な演奏されちゃうと、ちょっと驚きだが、んじゃー怖いながらも、次に進みたくなっちゃって、他の番号も聴きたくなっちゃう。という心境になる。  
1楽章
静謐感あふれる冒頭で、「しーふぁーどーれーみーどーしー」 遠くから金管がファンファーレを奏でる。
舞台裏からのファンファーレだと思うが、音場の深さを感じさせてくれる。 また、カッコウの音色が、テンポよく速めで鳴いている。 う〜ん。冒頭、まずここで、耳を澄ませて聴かされてしまう。
自然のなかのふわ〜っとした空気感があって、のびやかで、朝靄のなかの静けさと、ひんやり感を味わうことができる。
ハープがあわさってきてテンポがあがる。
高音域にのびてくるときには、ちょっと強めに弾かせているようだ。のびやかさのうえに、更に伸びを感じる。 弦の持続音の響きが、ちょっとキーンとした「ラ」音で、この持続だけでも大変だろうな。と思うんだが、いささか金属ぽいかな。
歌謡的なフレーズは、やっぱ巧い。「さすらう若者の歌」の「朝の野原を歩けば」のフレーズは、ホント、よく歌ってくれて嬉しい。それに、弦の響きが優しいし柔らかい。まろやかにとけあっている。 金管のファンファーレが鋭く吹かれた後、コントラバスの低弦が、ものすごい音で迫ってくる。 テンポがかなり落ちて、オケ全体で鐘が鳴り、咆吼してくる。このテンションの上がり方は、尋常ではなく、一気に登る。楽章最後のおどけた終わり方は、う〜ん。巧いっ。

2楽章
スケルツォのテンポは速め。シャキシャキしながら進んでいく。
変なアクセントもなく、さらっとしているが、これなかなか曲者で、3音目が充分に伸びており、リズミカルに感じるし、ソフトなくせに、しこしこした芯を感じる。 奥の打楽器類も聞こえて立体的だ。
弱音と強音の差が大きく、振幅の大きな演奏である。

3楽章
葬送行進曲では、あまり重々しくならず、低弦の余韻があり、その振幅が鐘の音色に聞こえてくる。
トランペットの気怠いフレーズが、たまらん。これは快感・・・ 凄い。
葬送のなかで、こんな気怠い、ベタベタなエロチックなフレーズが奏でられるとは、すご〜
このエロさが、たまらん。(変な感想で恥ずかしいが・・・) ちょっと肉感的過ぎるけど、死の恐怖に怯えながらエロスを感じるなんて、ハハハ・・・なんとも。
「さすらう若人の歌」の「「彼女の青い眼が」も、かなり官能的である。
ティンパニーの音が死に神の足音のように聞こえる。このシノーポリの3楽章は、こりゃ〜凄い。

4楽章
テンポを揺らしながら進む。迫力もあるし、音の鋭さも持ち合わせているが、全体的にどっしり感がある。
金管にルバートがかかっているようで、ぶわ〜っと吹いている。
反対に、弦と木管の歯切れは抜群に良い。弦は、カシャカシャカシャ・・・ 木管の甲高い音が特徴的。
中間部の天上的な音楽は、シノーポリの演奏では、かなりエロティックな場面に感じる。
単に緩い演奏ではない。これ、とろけている世界なのだ。
私的には、マーラーの恍惚とする世界観を描いていたらシノーポリは抜群だと思う。
で、かなり劇的な展開で、コーダに持って行くテンポは、ゆったりしているが、頂点に立つと速い。
バンダがあって、再度、盛り上がっていくのだが、これまた、恍惚世界に入り浸りになってしまう。
とろとろになったところで、ティンパニーにより、目覚めよ!と、強打される。
最終コーダも、テンポをあげて、すぱっ。スケールの大きさを感じさせる。

シノーポリのマーラーの良さって、振幅の大きさと剛柔あわせ持ったところ。
強打しておいて、突然甘美なメロディーを奏でて、トロトロ〜にさせてしまう。この点に、ころり〜と行ってしまう。
緩いメロディーがエロティックに感じられるかどうか。ここで、マーラーが好きか、また、シノーポリが好きか、嫌いか大きく分かれてしまうかもしれないが、とっても個性的だることは確か。

ベルティーニ ケルン放送交響楽団 1991年
Gary Bertini  WDR Sinfonieorchester Köln
(WDR Sinfonieorchester)



録音状態は良い。サントリーホールでのライブ盤 スピードを変えながら、流麗に歌う。
なかなかに美しくて煽られる。甘美な耽溺型だが、メリハリのついたタイトな熱い演奏なので、だれない。カップリング:マーラー 交響曲全集11枚組BOX
1楽章
ベルティーニさんの演奏は、サントリーホールでのライブ盤である。
暖かい空気感が漂う、ホールの広がり感のなか、冒頭、ヴァイオリンとオーボエの持続音が続く。
テンポは遅めだが、「 しぃ〜ふぁ〜そぉ〜れぇ〜みぃ〜どぉ〜」 クラリネットの三重奏は、とても柔らかな響きでふわっとしている。
「みっし〜 みっし〜」というところは鋭くないが、ホルンの音色は柔らかい。
そんななか、弦のピチカートは鋭く、再度の「みっし〜 みっし〜」は、鋭角に鳴らすなど、場面ごとに、大きなメリハリがついている。最初はテンポが遅め。「さすらう若者の歌」の「朝の野原を歩けば」のフレーズになり、チェロは優美に旋律を奏でる。トライアングルが鳴り、ワルツのように踊り出す。
最初は、「たん たん たぁ〜ん」と、のんびり歌っているのだが、「たぁ〜ん たぁ〜ん たりらら たりらら〜っ」とリズムがつくと、急にテンポアップして、えーっという感じで速くなっていく。あらら〜 目覚めた途端、いきなり走り出したわぁ〜って感じだ。他盤は、あまり極端にはスピードアップしないのだが、ベルティーニ盤は、極端に変えてくる。
確かマゼール盤も、いきなり走り出したが、ベルティーニ盤も、結構、いきなりの加速で〜 面食らう。速いっ。はや〜っ。
ひぇ〜 転げ落ちるように、足がもつれるぅ〜
落ちるかのように走る。猛烈な走りっぷりが、強烈なインパクトを残す。(呆然・・・)

2楽章
「しぃ〜ふぁっ しっしっ ふぁ〜 しぃ〜ふぁっ しっしっ ふぁ〜  ぱら ぱぁ〜 ぱら ぱぁ〜」 
冒頭に低弦の硬めの音が、しっかり入ってくるのでリズムに乗れる。
それにしても〜 1楽章の続きで、 スケルツォのテンポは速め。速いっ。はや〜っ。
速めの3拍子で、軽やかで優美で、しなやかにノビている。
打楽器と低弦の音の芯が柔らかく、木管の響きが、香り立つように軽め。
高音域の弦の響きが優美であるが、しっかりと硬めに聞こえるので、シャリ感が出ているのかもしれないが、全体的には流麗に流れていくスケルツォとなっている。ギクシャクした感覚よりも、角が丸くなった綺麗さ。
木管の響きの開放感、遠くからホルンの「ツツツツツ ツー」という合いの手の音が入ってくると、またまた、つつつーっと、テンポを加速してティンパニーが叩かれて、テンションが急にあがってくる。、ちょっと・・・。
う〜ん この加速には、1楽章同様に違和感があるんだけど〜 いきなり血圧が急上昇って感じだ。
中間部は、ホルンの「しぃ〜しぃ〜 しぃ〜ど しっしぃ〜」というフレーズに、甘美な弦と木管が絡む。
また、冒頭のフレーズが舞い戻ってくるが、総体的には、流麗すぎるほど流麗だ。

3楽章
ティンパニーに続き、コントラバス、ファゴットで、「みぃ〜ふぁ〜 そふぁみ みぃ〜ふぁ〜 そふぁみ そらし〜 そらし〜」
「しっ どしら そふぁみ しっ どしら そふぁみ」
「そぉ〜ら し どっしどしどぉ〜」オーボエの悲しくも滑稽な二重奏、クラリネットの甘さが続く。
ここは、とても流麗な響きがあり、大変美しい。
弦のとろみ感、独特の粘り〜 とろけて行くような、耽美的な甘さが、猛烈に香ってくる。
ハープ、ヴァイオリンの甘美さには毒があるんだろな〜アブナイな〜と言いつつ、近寄ってしまう。おどけた風であったり風刺をイメージしているのかな〜というのは感じる。
健康的なオーボエの音色だが、やっぱり甘く誘惑される心境になってしまうし、実際、これを拒める人はいないでしょう〜て感じで、うっとりすること間違いない。
この3楽章は、ソロの部分もあるし、木管や弦など、耳のご馳走場面が多い。
で、また冒頭に戻る。「ふぁ〜そぉ〜 らしどぉ〜」「みっ み みっ そっ みぃ〜」
滑稽な舞踏が始まるが、どこか、怯えて震えるかのような音色が支配する。まあ、そうは言っても、不気味というより、ベルティーニ盤は、綺麗だ〜 美しい〜という感じが勝っている。ベルティーニ盤の白眉であろうと思う。

4楽章
シンバルの一打と、ティンパニーの強いロール、金管の咆吼がある。
「タタン たん たん たぁ〜ん!」「ふぁふぁっしっ れぇ〜」「バンバンバン」
「そっ ど れ みぃ〜れぉどぉ そぉぉ〜」
う〜ん、ここはやっぱ、ライブ盤の悲しさか、音がはみでちゃった感があって、ドンっという大太鼓の響きがイマイチだ。
しかし、金管の咆吼は、とても良く聞こえてくる。
ドスンとしう響きが、どろどろどろ〜っとぬめりを持って響くので、もしかしたら超レアかもしれない。
弦のガシガシ音が極めて良く入っており、弦の軋んだ悲鳴音と、鳴り物と、金管の歯切れが良い。

で、いきなりアクロバット系に豹変して、硬い鎧を着て戦闘態勢となる。
まるで、それまで、19世紀末の場末のバーに座っていた人が、20世紀末の世界にやってきて、サイボーグに変身したみたいで。なんだかねえ〜 ロボット攻撃のような、しゃちこばった攻撃をしてくるのだ。
硬めの引きつるようなエキセントリックな弦のボーイングで、「らっ しぃっ れぇ〜 タンタカ タンタン タぁーン  タンタカ タンタン タぁーン!」
いきなりホント。あれほど流麗で3楽章まで来たのに、ガツガツした角張ったフレーズになるのだ。
四角四面に、なんで〜 いきなり戦闘的になって、暴力をふるって大暴れ。

第2主題は、まあ、うって変わって耽美の世界に。どっぷり〜 
まあ、なんてことでしょう。美しすぎる。
クラリネットの音色の甘さもやられるし、チェロの音色も良いし、弦のフレージングの滑らかな香りにも、やられると思う。
とにかく最終楽章は、あまりの豹変ぶりについて行けない。
結構、バーンスタイ型のように陶酔できるのだが、スピード感があるためか、あまりだれない。
主題も、綺麗にメリハリをつけて描かれており、テンポの変え方も巧い、策士だ〜と思う。
ライブ盤だが、録音状態は良いし、見通しも良いし。スピードの速い演奏で、熱いし、良い演奏だと思う。

デ・ワールト オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団 1993年
Edo de Waart   Radio Filharmonisch Orkest
(Netherlands Radio Philharmonic Orchestra)



録音状態は良い。ふかぶかとしたマーラーである。コンセルトヘボウ(ホール)でのライブ盤。これでライブ盤っ。すごすぎ〜演奏は、中庸的だが、そこが良いかも。聞きやすいので初めの1枚には良い。← マーラー交響曲全集
1楽章
弱音の蝉が鳴くような「ラー」音が鳴るなか、ホルンのまろやかな音色が広がった。 オランダ放送フィルは、中音域が特に美しい。女性の声で言うと、丸みを帯びたまろやかで、ちょっと太めのアルト。う〜ん。NHKアナウンサーで例えると、加賀美幸子(かがみ さちこ)さん風の声なのだ。ちょっと古いかぁ。(笑)

オケ全体的が、アルトの音色のようで、ふかぶかとした暖温系で、のびやかな音色がする。 ホルンの音色は、途中までストレートで、すーっと。最後、ふわっと広がる感じで吹かれている。  艶やかさは少ないけれど、チェロも、くすんだいい色をしている。へえ〜 すごいいいやん。 落ち着いて、穏やかな雰囲気がする。中年女性の魅力満載風かあ。(大笑)
デ・ワールトのテンポは、全体的にはゆったりめだが、ところどころ〜伸び縮みさせており、「さすらう若者の歌」の「朝の野原を歩けば」のフレーズは、爽やかに歌っている。
中庸といえば中庸だが、ティンパニーが要点を締めているし、緊張感がガシガシに伝わるほどではないが、適度に緩めで、適度に締まっていて、細やかなフレージングがみごと。 この楽章の最後は、テンポをぐぐーっとあげて、相当に速くなるのだが、弦が豊かに歌い続ける。かなり急いでいる箇所もあるのだが、ぴたっ!と、オケがくっついて行 く。
打楽器の響きは、ぱっと広がる。残響があって良く響いている。

2楽章
テンポは、ちょっと速め。1楽章からの勢いを持ってきている。
太く、ぐぐ〜っと弾力性のあるスケルツォで、弦の太いアクセントが効いている。
特に1音目と2音目が強く、低弦の音がよく響き、速いのだがリズミカルに聞こえる。
これがまたアルトの良い声(音色)なんだよねえ。
遠くで、カシャカシャカシャーと鳴っている。ミュート付きの短いトランペットなんだと思うが、なかなか良い合いの手だと思う。これは何を表しているだろう?
中間部分は、レントラー風舞曲は、かなりまろやか。よく歌う。

3楽章
憂鬱なコントラバスで、力なく歩いている。オーボエが入ってきたが、これまた、脱力感あり。
しばらくすると、低弦の響きのうえに、木管が楽しそうに奏でてくるのだが、一瞬で終わり。
ハープが奏でられて、「さすらう若人の歌」の「「彼女の青い眼が」のフレーズが、まろやかに歌われる。
シノーポリのように官能的ではないが、まずまず。色気がある。主題が戻ってきて、コントラバスが、前回より、少し力を入れて弾いてくる。最後の方は、少し明るくなって、重々しい。

4楽章
シンバルの次のティンパニーと銅鑼の共鳴が凄い。いや〜この残響はすごい〜 
金属音の派手な1発モンの「じゃーん」ではない。
雷の雷鳴のように、どどよよよぉ〜ん。どぉぉぉぉ〜ん。
と響く。この響きが何度が鳴るのだ。この響きが大変良い。雰囲気満点。こりゃ〜すごい。
で、この雷鳴のうえに、ヴァイオリンの弦が、しっかり乗ってくる。ややガシガシめで、はっきり、くっきり弾いている。ちょっとイカツイ感じで弾くのだが、これがまた、怒りや不安を表している。
それにしても、この楽章の打楽器群は、相当凄い。強打していると思うのだが、猛烈・強烈ではなく、さほど暴力的で、破壊的な活動に聞こえない。これも残響の多さのせいだとは思うが、自然の驚異的な描写で、かなり雰囲気がある。

中間のフレーズは、弦が深い音色を奏でて、ホント美しい。この弦の音色は、ホント魅力的である。
テンポを揺らしながら朗々と歌うこの弦のフレーズは、涙が浮かぶ。
逞しく筋肉質的に盛り上がっていくのだが、多少粗く感じるものの、感情をモロに出さず、抑制されている。トロンボーンも綺麗なのだ。 最終コーダに至るまでは、ホールトーンが豊かなので、かなり豊穣感がある。 2つのティンパニーの連打は、まろやかによく響く。

やっぱ、、、中庸だと評されてしまうんだろうが、ワタシ的には、これは良いかも。
あまり美化するつもりはないが、 デ・ワールト盤は、穏やかな中年女性のたおやかさ。落ち着いた色気を感じさせる。
もちろん、天国的なフレーズでのお話なのだが・・・。 そして、最終楽章ですら、おおよそ岩山のような「巨人」であったり、強烈・峻烈でもなく、また、破壊的なマーラーの「巨人」ではない。
う〜ん なんと表現すればよいのだろう。 ところどろ強烈なところはあるが、全体的には、1枚の布でくるまれているような。まとまりの良さを感じる。 で、デ・ワールト盤では、力強くも、物悲しく、燃焼しながら昇華していく様が目に浮かぶ。
う〜ん。巨人というより、これは、火の鳥って感じがするかなあ〜。
飛翔していくような。そんな、美しさすら感じさせる演奏だった。んじゃー ダメじゃん。(苦笑)

セーゲルスタム デンマーク国立放送交響楽団 1993年
Leif Segerstam  Danish National Radio Symphony Orchestra



録音状態は、極めて良い。テンポは揺れるし、振幅の差がダイナミックで、かなり個性的な演奏である。シノーポリ盤でも酔っちゃうのだが、それ以上。酔いたい〜と進んで聴く方には良いけれど、フツーは敬遠しちゃう。すごい変わり種って感じの演奏である。
1楽章
「ラー」が静かに聞こえてくる。テンポは、さほど遅いとは思わないのだが、う〜ん。
なかなか、テンポがあがらない。カッコウが鳴き出して、弦がハープのように「ぱらら〜」と鳴ってから、ギアチェンジするのが普通で、そこは、無事にテンポアップしたのだが、その後、また遅いのである。
このセーゲルスタムさんのテンポは、ちょっと〜 思わぬところでギアが変わる。
最初は、とまどってしまったのだが、しかし、深々とした息づかいで、堂々とした歩き方というかアプローチなので、常に緊張感が漂っている。
この弛緩させないところは凄い。正直すごいと思う。
静謐感漂うなかで、思わず引きずり込まれて耳を澄ましてしまう。
カッコウの鳴き方1つでも微妙に違う。「かぁっ こうぉ〜」「かぁっ こう〜」
この楽章のなかで、何度、カッコウが鳴いているのかは数えたことはないのだが、いろんな鳴き声があるんだなーっと感心してしまうほうど。セーゲルスタム盤の「カッコウ」は、通り一遍ではない。
3回鳴くところで、最後だけが、微妙に長くのばしていたりする。
で、録音が極めて良い。透明度は高いし、ホールトーンも充分で文句なし。
そこで、暖かいくせに静謐な音が流れてくる。
楽章最後に至るところは、テンポをじわじわ〜っとあげて、パワフルに押してくる。
低弦が「そ〜ふぁれ〜 そ〜ふぁれ〜」地底で蠢いている感じがするが、この後、たまりかねたように、怒濤のように流れてくる。そのテンポの切り替えが、速くて、しなやかである。
「らららっ らららっ」と、3連音の咆吼する金管が、優美であるとさえ思える。
ホルンのトリルが良い音だし、弦が細かく動く。音の響きがまろやかで、ティンパニーが奥から豊かに響く。 う〜ん。やられたっ。壮大なドラマが展開している。

2楽章
「ぱらら〜ぱらら〜 たっ たーた たたぁー」軽快なテンポで、「しーふぁしーふぁ」と響いている。
低弦が豊かに響き、高音域の弦の軽やかなこと。これは心地よい。
ミュート付きの金管が、カシャカシャカシャーっと鳴って、弦の揺れが大きく感じられる。
いったんテンポを落とすが、繰り返し部分に入ると、テンポをあげている。
テンポを緩めるところと、テンポをあげるところとの差が、セーゲルスタム盤では、ものすごく大きい。
レントラー風舞曲では、穏やかに優美さを伴って奏でられる。
このテンポの遅さには、ちょっとまいってしまったが・・・密やかに奏でられ、まるで恋心を抱いた2人が、ひそひそと、むつまじく密談をしているような雰囲気がある。
しかし、ここまで、ゆったりされると驚いてしまう。
また、主題が戻ってくると、テンポがアップ・・・ 今度は快速バージョンに早変わり。うへっ。

3楽章
オーボエなどの木管で奏でられる「たらら〜 たららら らっらら〜」物悲しいフレーズ。
金管で奏でられるフレーズは、ものすごい遅いのだが、弦が絡んでくるところは、速いし。
う〜ん。このテンポの揺れに、とまどうところが多いが、つい乗せられてしまう。
ドライに演奏されても困るんだが、ここまで情感こもっているのも、ちょっと驚かされる。
ハープの音色が聞こえて、「さすらう若人の歌」の「彼女の青い眼が」奏でられている場面では、かなり甘い。明るいが、とろける要素が多分にある。テンポが、またこれ遅いんだなあ。
再度主題が戻ってきて、「たらら〜 たららら らっらら〜」が流れる。
この時は、木管が強めに、重々しいなかに語尾をあげて歌う。
葬列の泣き笑いのような、複雑な心境までは至っていないが、舞曲風のリズムが刻まれおり、この点は、皮肉や諧謔的な要素を多分に含んでいる。最後には葬列の姿が消えて行く。

4楽章
シンバルの一打とティンパニーの強い連打・・・ あまりテンポが速くなく、堂々としたアプローチだ。
まだまだ〜っとばかりに、抑制が効いている。
もちろん、パワーがある。ティンパニーと大太鼓の音は、すごい音で入っている。地響きがする。
全体的に、まろやかな録音なので、耳がつんざいてしまうような音でもないし、爆発的ではない。
歯切れが悪いなあ〜って感じたところもあるが、全体的には、堂々と、ゆったり〜豊かな音で、鳴り響かせているという雰囲気である。 残響に助けられている面もあるだろうが、豊かな音響で、大いに迫力あり。

弱音になったら、メチャ、テンポを落とす。う〜っ。ひぇ〜っ ちょっと、やり過ぎデワ?・・・と思っちゃうのだが、これが、妙に、ツボにはまったりするんだよねえ。
確かに、この場面は、普通なら、たいていテンポは落とす。確かにねえ・・・ でも、ここまで落とすかぁ。というぐらい、ゆっくり〜になっちゃうのだ。 で、金管のファンファーレで、テンポをあげていく。(う〜ん。予測可能になってきたぞ〜)

シノーポリ盤のようなエロティックさまでは至らないが、なかなか甘美である。
バーンスタイン盤のような、とろとろの液化状態ではない。 セーゲルスタム盤は、クールである。暖かさはあるが、かなりクールだ。 テンポは落としていても、緊張感が持続し、息を潜めているところは、なかなか〜 シタリ顔が見える。
しかし、大芝居がかっていることも確かで、演奏自体に破綻は無いと思うが、、、う〜ん。どうだろう。
マゼール盤のように、人工的とも策士的とまで言わないまでも。う〜ん。

甘めだが、クールで、辛めの要素もあり、味が一辺倒ではないところがセーゲルスタム盤の特徴だろうか。
テンポを変えるところは、う〜ん。唸るところがあり、作為的過ぎると感じてしまう面がある。
で、テンポが変わったり、息づかいや、間のとりかたとか、迫力だとか〜 そんな個性が気になってしまって、実のところ、「巨人」を、のめり込んでは聴けていない。
ってことは、セーゲルスタム盤には、あまり、共感をしていないということになる・・・のかもしれない。

ブーレーズ シカゴ交響楽団 1998年
Pierre Boulez  Chicago Symphony Orchestra

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は極めて良い。さっぱりした理知的な演奏だが、ツボにハマる。
全ての音が、音として成り立っているというか、内声部の音が、ホント綺麗に入っており、情報量の多さに驚かされる。これは圧巻っ。何度でも、楽しめちゃう。
1楽章
冒頭のラ音の持続音から、線の太さを感じつつ、なかなか、クッキリと描くところが、さすがに明晰な演奏をするな〜っと思う。ホルンの和音も、まどろみのなかで響くようなものではなく、理知的な感性を感じる。
で、丁寧に、緊張感を持って音が繰りだしてくる。
木管のカッコウ カッコウと啼いているところも、透明度も高く、リズミカルでもあり、ほほぉ〜 なかなか良いじゃん。
静謐さもあるし、リズミカルだし、しっかりと弾みながら、ヴァイオリンのフレーズも、くっきり。
「ふぁふぁふぁぁ〜 どしらし どぉ〜 どしらし どぉ〜」
金管が、重なってくる場面でも、ドスン ドスンっと、重厚なティンパニの響きも、よく弾み、力強く聞こえてくる。
やっぱり、シカゴ響だ。と、思わず、ほくそえんでしまった。
それに〜 弦のフレーズが、しっかりと歌っている。この歌い方は、とろみ感のある、情感を引きずりながらのモノではなく、いたってクールなのだが、リズミカルなので嫌みは感じない。また、ドライなクールさでもない。
結構、面白い。

で、普段だと聞こえづらいフレーズ、内声部のフレーズが、クッキリと、浮かびあがるかのように描いており、とても好ましい。
それぞれの楽器の、多層的なフレーズが、クッキリとしており、楽器の構成、演奏の奥行きがあり、それに、結構、筋肉質というか、余分なモノが削ぎ落とされた感じがするので、キビキビした感覚となって、面白い。

普段だと遠くから、カッコウが啼いているようなシーンのようなのだが、ブーレーズ盤で聴くと、カッコウの啼き声が、とっても良く聞こえる。ホルンの響きの上に、クッキリと前で浮き上がってくるのだ。
単なる録音状態の奥行きではなく、譜面台での多層性というか〜 奥まって聞こえないようなところでも、低弦の音が、ハッキリと聴き取れるので、厚みがある。
ミュート付きの金管はとっても鋭いし、「っそらっし れぇ〜 っそらしっ れぇ〜 れぇ〜 れぇ〜 そふぁ れぇ〜」というところも、語尾が強めで鋭い。
「そふぁれぇ〜 そふぁれぇ〜 そふぁれぇ〜 そふぁ〜 そふぁ〜 そふぁ〜」
「しぃ〜 そぉ〜 しぃ〜 そぉ〜」と、繰り返して行くところは、なんていうか、ゲンダイオンガクっぽく、キーンという音質のように描いている。他盤とは、全く違う音質というか、音が違うみたいに聞こえる。
軋むというか、メタリック系の音というか、ぼんやり、曖昧な感じではなく、鋭く、キ〜ン コ〜ン キ〜ン コ〜ンって感じで鳴っているのだ。それでいて、しっかり歌っているので、ほほぉ〜っ、すごい。
これは、面白い。それに楽しい。フレージングの繋がりが、わかりやすいというか、適度に歌われていくので、さっぱりした感じだが、ドライになってない。

で、それが終わると、一気呵成に走り出す。
ええっ あらま、結構、速いのね〜 でも、畳みかけるような速さでも、前につんのめった感がするものではなく、テスト前の一夜漬け、ゴール前の馬のように、文字通りのラストスパートって感じで、のびてくる。

2楽章
スケルツォのテンポは速い。
分厚い、重厚な響きを持ちながら、的確にリズムを刻み、シャカシャカシャカ シャーっと、鳴らしながら進んでいく。
意外と、スポーティなテンポで、ノリ感が良く、音が弾み、はじけていく感じがする。
弦は弦で、金管は金管の、それぞれの音が明確で、それぞれに連動して、次々に動いていくのがわかる。
まるで、それぞれの音が、核分裂のように増幅しているみたいに、それぞれが、エネルギーというか、運動体のように見えてくるというか、う〜ん これは面白いっ。
ワルツ部になると、まどろみ感があって、この落差がすごい。アハハ〜 歌ってるやん。この緩急には、驚かされる。
意表を突かれて、野球だと、空振り三振にさせられちゃう〜。こりゃ脱帽っ。で、派手に終わってくれる

3楽章
葬送の歩みのようで、他盤だと、暗くて〜 足を引きづって〜 おぼろに、陽炎のように聞こえてくるのだが、ブーレーズ盤だと、情念の塊ではなく、余計な感覚はなく、さっぱり。
木管のフレーズも、クリアーで、巧い。
締まる音で、語尾が転がっている。弦の響きも鋭く、アクセントになっている。
で、主題が変わると、やっぱり、ここでも歌ってくる。
それが、また、速め。スイスイ〜っと、軽やかに走るのだが、また、まったりとした、ほろ苦い歌が聞こえてくる。
まったりとしているとは書いたが、他盤に比べると、さっぱり系。でも、これが、また、軽やかに小節がきいており、粘りはないが、ドライにならないのだ。う〜ん、不思議な、ツボにはまった感じがして、とっても、わかりやすい。
聴きやすく、わかりやすく、多層的に響き〜 この透明度の高さと、適度なまったり感があって、さっぱりしているくせに、甘く誘惑されてしまう。特に、美しい〜っというほどではないのだが、聴かせ上手だ。

4楽章
爆発的なフレーズで始まるが、単なるドスン、という迫力ではなく、至ってスマート。音の響きが、シャンっとしているのと、金管パワーと、フレージングの鋭さ。音の出てくるストレートさ、打楽器の音と、そこに、きっちりと弦の響きが、入ってきており、全ての音が、きちんと均等に耳に届けられているような感じがする。

特に、これだけの弦の音が、木管の音も、しっかり聞けるのは〜 う〜ん、未だかつてなかったような気がする。
えっ〜 これだけ、弦が聞こえてくるなんて〜っ 超驚き。
ひゃ〜 大太鼓も入ってくるのに、なんてクリアーなのだ。目の前でコンサートを聴いているかのような錯覚に陥ってしまう。
あらら〜 ここで、こんな金管が入ってた? 、えっ ここで、弦が鳴ってる、えっ、ここでは・・・って、次々に、驚かされる場面に遭遇しちゃう。はあ〜 今まで、いったい、何を聴いていたのだろう・・・。
まあ、この曲を聴きこんできたワケではないが、新たな音に遭遇して、とても面白い。
ひゃ〜 ホントに、弦は、こんなに、いっぱい奏でていたんだ。
決して、1つの旋律として聴いていたわけではないが、これだけ明瞭に、いろんな旋律が聞きわけられるのは、他盤ではなかったように思う。

また、主題がかわると、美しい旋律に聞こえちゃうのだ。
あのぉ〜 他盤と比べると、特に、美しく演奏されているわけではないし、決して美音ではないのだが〜
美しく聞こえるのだ。(なんでだぁ〜) 録音状態が良いのと、ミキシング能力なのだろうか。いやいや、構成を、しっかり描き切っている演奏というか、演奏そのものを、しっかり聴かせてもらえてるというか。これだけ、聴かせてもらえると〜 余計な情感をつけたさなくてもいいんだ〜という、典型的な演奏のようだ。
まあ。もっとも1番は、マーラーの楽曲のうちでも、情念でどろどろ〜というモノではないんですけどねえ。
それでも、これだけ、譜面を、全て、描き切っているといか。情報量が多いと、とっても嬉しい。
これだけの多くの旋律を届けていただけて〜 ホント感謝しちゃいます。
しっかり、マーラーの歌も聴けて、ものすご〜い充実感がある。これは、文句なしに拍手っ!

ちなみに〜 1楽章16分 2楽章6分48秒 3楽章10分39秒 4楽章19分20秒というクレジットである。
今、他盤を探す暇がないので比べていないが、おそらく、相当に速いのではないだろうか。
ギーレン 南西ドイツ放送交響楽団 2002年
Michael Gielen South West German Radio Symphony Orchestra, Baden-Baden
(SWR Symphony Orchestra)



録音状態は、すこぶる良い。透明度も高く、各楽器の音色が響く。演奏は、クールだが迫力あり、ある意味、大変気高く、気品があるというか、尊厳があるというか、そのツボにはまると、大変心地よく安心して聴ける。交響曲全集
1楽章
録音状態が、すこぶる良い。 冒頭、「みーっ」という、超音波を発する蝉の鳴き声のように響く。
それもかなり弱音で、しーんとした空気なかで、持続して鳴っている。 う〜ん。もうこの出だしてノックアウト。こりゃ〜すごい録音なんだわ。 かなりの弱音なのだが、しっかり音を収録できているし、音の広がりも文句なし。響きも豊かだで、ホールトーンも充分。こりゃ〜良い録音だ。いい!
で、肝心の演奏だが、ひとことで言ってしまうとクルー系。
しかし、この楽章では、牧歌的で大自然のなかの営みが描写されているようだ。 テンポもほどよく、舞台裏からのトランペットも奥行きが感じられる。「 どっふぁ どっふぁ みっし〜みっし〜」 
カッコウの鳴き声も、遅くもなく。速くもなく。う〜ん頃合い。
ほぉ〜と感心するほど、よく響き、余韻が残る。改めて、すげ〜っ この録音!
マーラーの長大で複雑な交響曲が、これほど良い録音に恵まれて聴けるとは。すごい。これだけで、超ベタ惚れ・・・ こりゃ良いわ。
ギーレンの演奏は、ちょっとひんやりした感じだが、のびやかで、弦の艶もあり、底力もあって文句が無い。
金管とティンパニーが連打された頃から、少しテンポがあがる。
弦の響きが豊かだし、木管やトライアングルの響きも、弦のフレーズの合間に良く聞こえてくる。
木管が少し平べったい個性的な声だが、ミュート付きのトランペットの響きも鋭いものの、弦の音量調節もメリハリがついている。鐘のようなフレーズも、低弦のコントラバスがうねっているし。
で、ようやく、弦が両翼配置だと気づいた。うわ〜っ こりゃ広がる筈だ。

2楽章
ん〜 どふぁっふぁっど (どふぁふぁ どふぁふぁ) 低弦と中音の弦とが、こんなにテンポよく絡むとは。
まるで木管楽器のように弾んでいる。で、速い。
さらさら〜っと、風が吹くなかを音が流れていく。
「 タっタ タタタ〜 タっ タタタ タタぁ〜 (たーらったたた〜)」 
すごく小気味よく、ミュート付きのトランペットが、カシャシャシャシャーーー 
ものすごくリズミカルで、一陣の風のように勢いよく、進んでいく。
軽めのスケルツォなのだが 弦が力強く、伸びやかにアクセントがついてて気持ちが良い。
管も柔らかい。ショルティ盤も、テンポよく快進撃だったのだが、ギーレン盤は、弾力性が一段高いように思う。そう。フレーズが伸縮しており、柔らかいのだ。
ホルンの弱音 低弦の「しーふぁ しっしっふぁ」、 中音弦の タっタ タタタ〜 タっ タタタ タタぁ〜
このリズミカルな、タッタの前に、わずかだが巻き舌のように たらん〜という音が付いていることを知った。
はあ。なるほどな〜 このたらん〜っが聞き分けられることで、ふわっと出てくるように聞こえるんだ。
ふむふむ。まっ これは、ちょっとした例なのだが、いろんな音の構成が聞こえてきて、面白い。

3楽章
葬送行進曲風なフレーズが続くはずなのだが・・・。メチャ速い。
ギーレン盤は、冒頭は、弱音すぎて CDが止まったのかと思ったぐらいなのだが。
「みふぁそふぁみ そらしー そらしー しーどしらそふぁみ〜」と、いう場面では、 さらり〜っと行かれて、拍子抜け。
「 たらら〜 たっ〜ら たったたらら〜 たららー たららー」
はあ? ホントに、たらったた〜って感じ。踊っているワケじゃーなかろうに。
で、 「さすらう若人の歌」の「彼女の青い眼が」の歌謡風のフレーズは、歌っていると思うんだが。
まったりとは行かない。タメは、ところどころ、あるにはあるんだが。
草原での囁きのように、爽やか。
あれまあ〜 退廃的でもなく皮肉でもなく。アイロニーの気配も感じさせず、さらり〜と、ホント爽やかに奏でられる。う〜ん。困ったなあ。スマートすぎて。とほほ。
 
4楽章
この楽章は、はれ〜っと言うほど、凄い威力でパワフルに、ガンガンに行く。
思わずのけぞるほど、鳴りっぷりがすごい。いきなり、シャーン ドーンっ! ごろごろごろ・・・ 
銅鑼の音と、ティンパニーが、大音量で響く。これまた録音が良いので、よ〜響くのだ。
ただ、堰が切ったような大放流にはならず、テンポも一定しており、爆演にはなっていない。
金管と弦が、急上昇、急降下を繰り返しているが、キチンとテンポをとっており、荒っぽくはない。
迫力があるものの、品が良い。
金管がところどころで咆吼するが、アンサンブルは乱れず、弦がキッチリ弾いている。
ここらへんは、テンシュテット盤とは違って、安心して聴ける要素にはなっている。

第2主題になると、ヴァイオリンが美しく、長〜く、とろけるようなフレーズを奏でてくる。
「ふぁ〜そ〜 らしどみれれど みれれど みれどしらそふぁみ らー」
「 ららー そふぁら〜そ ふぁし〜らど〜しら〜 どみれ どしらそしみ ふぁみそどみれどししらそふぁふぁ」
「 そふぁふぁみ みどししら れしそふぁみ ふぁーみれどそふぁ〜〜ふぁみれ〜」
↑ ちょっと音が違うとは思うが、連綿と天上の音楽を奏でられて〜
 
これは、うっとりしえしまう。ヴァイオリンからチェロに受け継がれて、う〜ん。まいった。 2番「復活」にも垣間見られる、天上に憧れるような気分になってくる。 まさしく、この1番で、すでに、マーラーの世界、断片誕生というところだろうか。
で、この後、再度、雷鳴がとどろく。
裏舞台で、トランペットが鳴る。「ららっしれー らっれ〜れ〜みふぁそら〜」「 れっ どしら〜 しらそふぁ〜 そふぁみれ・・・」
表舞台で、嵐が渦巻いてくる。主題が入れ替わり立ち替わり〜 弦がギシギシギシ・・・
ティンパニーの一撃、ミリタリー調の軍靴のような響きになる。
鐘というより、ギーレン盤では、軍靴の響きのように聞こえる。

いったん静まったあと、1楽章のカッコウの音色が再現される。ここの複雑な構成は、よくわからない。
で、最終コーダは、切れがあり、金管の和音は美しいが、ちょっと硬め。 テンポ速めで、とろとろ。どろどろ。てれてれ しない。すっぱ・すっきりしている。 荘厳な賛歌を歌い上げる〜という雰囲気ではなく、スポーティというか、ミリタリー調というか。 テンポもあまり変えず、さほど攻撃的でもない。でも迫力あり。音響効果でやられる。
最後のティンパニー+大太鼓で、そのロールは、どひゃ〜ん。すごい音響である。
総体的には、 いかにもクールで、テンポ良く、スマートで、完全にストライプ柄の背広を着たエリート風である。
自由気まま風ではなく、どことなく、ミリタリー的なところも垣間見られる。
どっぷり〜 行かれるというのではなく、ちょっと律した点があって好ましい。バーンスタインが好きな方のように、どっぷり型感情移入タイプではない。 でも、響きが良いので、ギーレン盤も聞き応えあり。気がつけば、結構、マーラーの持っている雰囲気に、すっかり〜のまれてしまっていることに後で気づきます。

1961年 ワルター コロンビア交響楽団 SC  
1967年 クーベリック バイエルン放送交響楽団  
1968年 スウィトナー シュターツカペレ・ドレスデン  
1972年 ハイティンク コンセルトヘボウ  Ph  ★★★★ 
1977年 テンシュテット ロンドン・フィル EMI  
1977年 テンシュテット 北ドイツ放送交響楽団(ライブ) MEMORIES ★★
1979年 クーベリック バイエルン放送交響楽団(ライブ) audite  
1983年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec ★★★★
1985年 インバル フランクフルト放送交響楽団 De  
1985年 マゼール ウィーン・フィル SC ★★
1986年 若杉弘 シュターツカペレ・ドレスデン SC ★★
1987年 小澤征爾 ボストン交響楽団 Ph  
1987年 ハイティンク ベルリン・フィル Ph  
1987年 バーンスタイン コンセルトヘボウ ★★
1989年 アバド ベルリン・フィル  
1989年 シノーポリ フィルハーモニア管弦楽団 ★★★★
1991年 ベルティーニ ケルン放送交響楽団 EMI ★★★★
1991年 ラトル バーミンガム市交響楽団 EMI  
1993年 デ・ワールト オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団 ★★★★
1993年 セーゲルスタム デンマーク国立放送交響楽団 Chandos ★★
1995年 シャイー コンセルトヘボウ Dec  
1998年 ブーレーズ シカゴ交響楽団 ★★★★★
2002年 ギーレン 南西ドイツ放送交響楽団 Hns ★★★★★
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