「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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マーラー 交響曲第2番
Mahler:Symphony No.2 "Resurrection"


メータ ウィーン・フィル 1975年
Zubin Mehta  Wiener Philharmoniker  (Vienna Philharmonic Orchestra)
ソプラノ:イレアナ・コトルバス Ileana Cotrubaş
メゾ・ソプラノ:クリスタ・ルートヴィヒ Christa Ludwig
ウィーン国立歌劇場合唱団

ばっちグー!


録音状態は良い。パワフルでエネルギッシュ。メータの代表盤とも言われていて、LPからCDに、時代と共にリマスタリングされつづけている。 
1楽章
ワタシにとって、マーラーを聴き始める、きっかけになった懐かしい盤である。
当時はLPだったが、瑞々しい音響で、何度も繰り返して聴いていた盤で、 久々に聴いたけれど、おおっ 冒頭より、むち打たれた感じになった。
冒頭より、緊張感が漂ってきており、結構硬くてハードなのだけど〜 しなやかさもあって、筋肉隆々の引き締まったタイトさが、心地良い。

アナログ録音なので、レコードだと、もう少し幅の広さや奥行きが出ていたようにも思うのだが、それに関しては、もうLPを所有していないため、なんとも言えず。 しかし、CDに変わっても、その後、リマスタリングされ続けてて〜結構出回っている盤なのだ。 メータさんも、80年代、90年代にイスラエル・フィルと演奏したCDが発売されているけれど、このウィーン・フィル盤に軍配があがると言われている。(ワタシは、イスラエル・フィル盤を所有していない)

フレーズによっては、ゆったり柔らかい優美さがあり、たっぷりと豊穣感のある響きが、スピードアップされ重量感のある怒濤のシーンが見られたりする。 この変わり身の激しいところが、マーラーらしい個性だが、響きの豊かさに支えられてて、ガチガチのガチンコ状態に陥らない点が、メータ盤の良いところだろうか。
全体的には鋼のように引き締まっているのだけど、ちょっぴり深みが足らない気もする。
まあ。その分、キビキビした、瑞々しい逞しさがあるので、若々しいという表現が良いかもしれないですねえ。
ゆったりした弦の艶のある美しい音色は、まるで天上の響きのように聞こえてくる場面も多いし、息の長さと深さ、ゆったりしたフレーズと、爆発的な劇的な演出と、力強さと優美さの二面性を 、巧く使い分けている感じがする。

2楽章
ゆったりと優美なワルツ。古典的な優美さを持っており瑞々しい。とにかく柔らかい太めの響きが、まろやかで、ふわーっとした感覚で広がっていく。幻想的でありつつ抒情的。
なんという、まろやかさなんだろう〜 真綿でくるまれたようなソフトタッチで、金管の響きも、音が空気感を伴って出てくるようなのだ。
カメラでいうとソフトフォーカスがかかっているような感じなのだが、もちろん、ピントが甘いってワケじゃない。
木管の響きも、よく通っているが、暖かみのある録音で木質感がある。
アナログ録音だからかな〜 弦の響きが、やっぱり柔らかさがあり、ハープの奥行きのある響きが、心地良い。ちょっぴり緩めの甘さが 感じられ、それが古典的、浪漫的になっているようだ。

3楽章
冒頭のティンパニーの響きは、揺れた響きがリアルだ。タタンっ タ タン 強烈っ。
残響が面白く、まるで、ティパニーの皮の横で録音したみたいだ。
面白い響きが波のように表れ出てくる。
ンタタ ンタタ ンタタ・・・ 悪魔風なワルツなのだけど、んちゃちゃ んちゃちゃ〜が、小気味よいものの、ちょっと優美すぎるかなあ〜と思っちゃうぐらい上品 である。
厚みと 、繊細さが、絶妙なバランスで、芳醇な香りが漂う響きがする。このメータ盤は、柔らかさと硬さが、妙なバランスで保たれているというか、ヤジロベエのように、どちらに傾くわけでもなく、一点で揺れているような感じがする。それが聴きどころ かなあ。
ティンパニーは強烈ですけどねっ。金管もまろやかで、カッコウの鳴き声のような木管も巧い。
マーラーの持っている、ある一種のグロテスクさには欠けているんだけど。
これはこれで・・・芳醇な香りを放っていて、フレッシュで、キビキビとしてて〜 
テンシュテット盤のような、えぐるような怖い怒濤、荒々しい激しさは無い。あくまでも、優美で華麗さが表面に出ている。
すーっと上に昇っていくフレーズの華麗な曲線を描くみごとさには、う〜ん。さすがに巧い。
決して、心情的でもないし、えぐってくるような彫りのシャープさは無いし、えげつな〜と思わせるような、ささくれだった険しさもない。
アプローチとしては、全体的にまろやかで、芳醇という雰囲気である 。
ただし、ティンパニーは怒濤のように連打されている。この響きが、厚みを与えているし、硬い楔を打ち込んでいく。
あくまでも芳醇さを失わないところが、ウィーン・フィルの弦の綺麗さ、個性なのかもしれない。それでいて、大変ドラマティックな、頂点を描きだすパワーある演奏 だ。思わず息を呑む。

4楽章〜5楽章
5分26秒の「原光」は、柔らかく、ゆったりと歌いあげられている。息の長い深々とした旋律美で、安定感がある。ルートヴィヒさんの声の柔らかく暖かい声が、大変心地良い。
最終楽章は、33分36秒もの長い楽章だが、たっぷりと歌いあげてて一大スペクタル風になってて、こりゃ〜 メチャ壮大である。
冒頭は、ド迫力で、唸らされてしまう。これがアナログで録音されたとは、ちょっと思えないほどのパワーが入っているのだ。銅鑼とティンパニーと、低弦のうねりと・・・。 75年とは思えないほど、デッカの録音の良さに、まず唸らされる。
奥行きも充分あるし〜たっぷり。 で、下手すると、ローマ史劇の映画音楽になりさがってしまうのだが〜 う〜ん。
幾分、メータ盤は、この系統にあるけれど、格好は良い。 図太さたっぷりめに、ぐいっ。と描かれている。
しかし、場面が変わって、繊細な場面では、やっぱり美しい。オケだよねえ。やっぱオケの技量っ。そう思わされる。
静寂さもあり、暖かい空気感もあり、のびやかだ。 チューバやトロンボーンの響きも、弦のピチカートも、ナチュラルな響きで柔らかい。いくら強靱に強い音で鳴りっぷりが良くても、耳に突き刺さる嫌な響きが無いっていうか・・・。不思議な 相反するモノを、包み込んでしまうかのような優しさがある。
中間部のティンパニーの連打は、これは圧巻っ。すげっ。のけぞってしまうほどのリアルさ。 ホント打楽器は総じてパワフルで、豊かに鳴り響く。
期待を裏切らない迫力が用意されていて、そのくせ、かつ、美音で幕を閉じられ、大曲でありながら冗長しない。また、最後の合唱部分もみごと。

復活というタイトルではあるけど、宗教音楽とは、ちょっと次元の異なる人間賛歌だろうとワタシは思う。豊かに響き渡って、クライマックスを描く様は、文句がつけられないほど堂々としている。
ちょっぴり賑々しい楽曲だが、いや、賑々しい、これ見よがしな楽曲だと思うが・・・。人間臭く、はったりをかましてみせる、虚勢を張って、見栄を切るところが、若々しいというか。その若々しさが、ちょっぴり微笑ましく、まあ。許してあげよかなぁ〜って感じの演奏だ。
まあ正直言うと、その思い切りの良さが、ちょっぴり羨ましいような感じがする。
スペクタル調なダイナミックさがあるのだけど、充分に繊細さも持ち合わせてて、決して嫌な気分にはならない。反対に、妙に、老人臭くないところが良さだろうと思う。
爽快さも充分に感じさせてくれ、格好良いなぁ〜と、素直に思えるところが、今も息の長い現役盤、人気のある所ではないだろうか。ワタシはそう思うし、好きな盤である。
ショルティ シカゴ交響楽団 1980年
Georg Solti  Chicago Symphony Orchestra
ソプラノ:イゾベル・ブキャナン Isobel Buchanan
コントラルト:ミラ・ザカイ Mira Zakai

あちゃ〜


録音状態は大変良い。80年代初頭で、これだけ入っていたら文句はない。大音量でスピーディに、賑々しくパワフルに鳴り響く。通常の範疇を突き抜けてて、完全に別世界行き。あっけにとられて苦笑いしつつも、勢いに押されて拍手しちゃう。
1楽章
冒頭、擦れ気味の低弦が、厳しく鳴り響く。切れ味の鋭い、硬い音質である。
フレーズも、キッパリしてて歯切れが良い。カシャカシャカシャ・・・  チェロとコントラバスの彫りの深い音が聞こえてくる。なにせテンポが、抜群に良い。
まるで、ピチカートのように弾みながら、弦が鳴ってくる。(ピチカートじゃ、ないんだけどねえ)
音が踊っているというか、弾けてるんだよなあ。
オーボエのフレーズも、なかなかに厳しく、曖昧さは一切無い。乾いた音質で「タッタ ター」とリズミカル。
この冒頭、出だしがモタモタしていると、ばらけてしまうのだが、シッカリ硬めに、グイグイと行ってくれる。
ある意味、テンポの速さとリズム取りは、痛快だと言えるぐらいで、低弦のアクセントがしっかりついてて、早口で、音が出てくるようだ。
ティンパニーの硬めの響きが合わさってくるところも、金管も突き進む推進力がある。
「ど〜れっふぁら どぉ〜」と、開放的で勇ましい。 軍隊っぽいと言えば、解りやすいかなぁ。切れ味スッパリで、ホント痛快だ。 荒々しく、辺りを蹴散らし駆けだして行くようなパワーがある。
シカゴ響の弦は、艶が少なく擦れ気味だが、勇ましさがあって抜群に格好が良い。 ウィーン・フィルのメータ盤とは違う持ち味で、しなやかさは皆無に近いけれど、それでも、荒々しい表現ではなく、ミリタリー調に勇ましい。

で、 速い、なにせ速い。手綱を緩めないタイトさがあり、音はあまり伸びてこないが、緩くもならないのだ。
引き締まってて、息ができないほどに速い。軟弱なモノは、容赦しないぞ〜と言わんばかりに、突き進むパワーが持ち味なのである。
そのくせ、テンポを落とすところは、音が、きちんと丁寧に置かれている。
強弱、メリハリがついているので、カサカサしたヴァイオリンの音色でも、綺麗に聞こえちゃう。 (これって、騙されているような気もするが〜)  全ての音が、まるで付点リズムように活き活きと、そして、まるで、うねる曲線のように見えてくる。
ティンパニーは、乾いてて軽めに響くが、その分、低弦の残響がスゴイ。ごっつう〜太いっ。
弱音から、一気に爆発するところのエネルギッシュさが、痛快である。アハハ〜っ  このショルティ盤を聞き込んでしまうと、テンポのゆったりした盤は、うっ ヌルイ。と思ってしまうかもしれない。

2楽章
この楽章は、冒頭、かなり、ゆったりめで演奏されている。
弱音で、寂しげで、意外や意外という雰囲気なのだが、艶はないものの、結構、甘い。
「た〜らら たぁ〜らったぁ〜」と、粘りが存分にある。 前楽章が、軍隊調だったのに、すごい変身ぶりなのだ。
ちょっと、ギクシャクした、くねぇ〜っとした腰のうねりで踊られているようで、わざとらしさが鼻につくほどだが、これぞ退廃っ。と思わず苦笑いしちゃいたくなる。やりすぎるとクサイっ。でも、この臭さがいいのだあ〜
弦の細かい動きが続くが、これもリズミカルだし、木管が合わさってくるところは、サッパリしているが、音質は硬めながらも、低弦の深い響きと、チェロの甘い音色が合わさっており、変にマイルドになっている。
ティンパニーが鳴って、「みそそ〜 みそそ〜 しみふぁ そしし〜」「そしし しらそふぁ らどどぉ〜っ」と、悲痛な音に変わる。この変わり方が、劇的効果を生む。

3楽章
ティンパニーの「どっそっ! どっ そっ  どっそっ どっそっ どっそっ」
「どっふぁっみっ」「どっふぁみっ」「タラん タッタ タラん タッタ・・・」
冒頭のティンパニーの響きはさほど大きくもないのだけど、なんたって、このリズムの良さがスゴイ。 ファゴットのリズムに、弦、クラリネット オーボエかな。う〜ん これは、何度聴いても良いわ〜っと唸ってしまう。
特に、クラリネットの巻き舌風のうねりの良さ。天性のノリの良さというか、オマエは蛇遣いかぁ〜と言いたくなるほど、すごいうねり方だ。 この盤を聴いちゃうと、他盤が聴けないほどのノリの良さである。

歌曲「子供の不思議な角笛」からの「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス(聖アントニオ)」の旋律が、大変滑稽で、コミカルなモノに聞こえてくる。 この聖人は、ポルトガル生まれだし、パドヴァはイタリアの都市名なのだが、どことなく、アラビア風に聞こえちゃうぐらい。(笑)
どう巡り巡って、マーラーの歌曲に採り入れられることになったのか、また勉強しなきゃと思うが・・・。 それにしても、穏やかなフレーズもあるが、全体的に不安定な拍感覚で、木管が、グロテスクに皮肉っぽく歌われている。
ホント、ここの木管は巧いっ。にひゃひゃ〜と笑いたくなってしまう。
最後には穏やかで光が射し込んでくるかのような、柔らかいフィナーレ風になっていくのだが、ハープの音色と、弦の旋律が優しいフレーズへと変化するところが、スピーディに流れていく。
色彩感覚も豊かだし、迫力も充分。めまぐるしく変化するところが、劇的で〜 圧巻だ。

4楽章
短い、女性の声楽が入りの楽章である。
ショルティ盤では、ミラ・ザカイさんが歌っており、メゾ・ソプラノではなく、コントラルトと表記されている。
コントラルトとは、メゾ・ソプラノの領域よりも低い領域の声になる。 盤によっては、メゾ・ソプラノとも、コントラルトとも表記されているのが見受けられる。 で、この声質は、う〜ん。イマイチかもしれないけど・・・。
苦々しいというか、苦悩の表情が声に表れているというか。なにせ苦しげ〜 えっ それは演技ではないの?

5楽章
怒濤のような派手な鳴りっぷりで、度肝を抜かれる。
たらら たらら らぁ〜 ジャーンっ! 荒々しいわけではないが、なにせ大音量なのだ。
銅鑼とティンパニーのド派手な音量で、ドドドドドドド・・・・ と、目が覚める。
突然、騎馬隊に襲われるような気がするというか、地響きが立って大きな揺れに襲われるというか、地獄に突き飛ばされたかのような感じ。
なにせ、苦しそうに歌っていた4楽章から、間髪入れずに続くのだもの。そりゃ〜目をむいて驚くよね。
33分48秒というクレジットのある長い楽章で、冒頭は、恐ろしい目覚めの一発だが、オーボエなどの木管で主題が現れる。
「れ〜ど れ〜し みれど れふぁし〜ら ど〜し ど〜ふぁ みふぁみれ〜 どぉ〜」
ここからの壮大な大伽藍へ突き進むのだが、呼吸は、結構深く、慎重に進んでいく。
まあ、大音量で賑々しく始まりだが、弱音での間合いはタップリ取られているし、コラール風の雰囲気も出ている。
長大で壮大な楽章だが、ショルティ盤は、余裕を持って威風堂々という感じで演奏される。
英雄譚を見ているようで、恰幅良く、痛快そのもの。かといって、バンダ(舞台裏)からのトランペットも、そこそこ雰囲気も出ているし、活劇を見ているかのような感じだ。
まあ。派手って言えば、派手。いや、相当に派手です。
金管の鳴りっぷりは、他の盤を寄せ付けないほどの馬力があり、またスピーディ。 速い速い。間髪入れずに攻撃して突撃するタイプだ。 パイプオルガンや、鐘まで入った荘厳さを持って演奏されるのだが、タクトについていくいくのが、大変だろうなあ。という感じで、鐘が鳴っている。

後半は、合唱が入って、神々しく、一応神妙には演奏されているのだが〜  なにせ、前半が、怒濤の渦で、元気ありすぎ。これでは、魂が苦しんでいるというより、暴れん坊将軍状態で、ドタバタ劇になりかねない。
で、総体的に、人間臭く、汗くさく、体力勝負的。軍隊の行進曲と間違えそうなほど、ハイテンションで、まあ。これだけ鳴らせば、聴いた値打ちはあるし、もとが取れました。という苦笑い状態になるのだが・・・。

しかし、およそ、魂の救済を歌いあげる〜という感じには聞こえてはこない。
後半は、凄くテンポを落としてて、壮大に歌いあげるため、これはこれで、ころり〜と、やられちゃう気分になるかも。
(苦笑いしつつ〜 これじゃーなあ。とは思いつつ、のせられちゃう感があるのは、否定しない。全肯定である。)
鳴りっぷりのすごさに圧倒され、エネルギッシュで、体力有り余っている人を見ているようで、 毎日つきあうのは、疲れるものの、まあ、これもありかなあ。と苦笑いしちゃう。

他盤と比べると、鳴りっぷりの良さだけが、取り柄のようになってしまうが、芸術的か? 崇高さはあるのか? と言われたら、いや〜 ちょっと首をかしげて、違うな〜と思いますと、一応、かぶりを振って否定します。
しかし、これだけ、メリハリ付いて、演出されていると、まあ、一度聴いてくださいよ。とは、言っちゃいますねえ。
特に、初めて聴こうかなという、元気なワカモノだったら良いかもしれません。お薦めする盤です。
でも、年齢を重ねていくと、かなり疲れるでしょうけど〜 
マーラーは、モーツァルトとは違って、年齢に合わせて聴く、盤を変えていくという必要に迫られるかもしれません。
まあ。若い番号の交響曲は、特に、その傾向にあると思います。

ショルティ盤は、 大いなる人間賛歌で、自己肯定型かもしれず、悩みも、どっかに、ぶっ飛ぶ勢いがある。
巨大な交響曲で、長大な楽章だが、最終楽章の33分は、あっと言う間に終わる気がします。
で、反対に、神妙に、落ち着いた宗教的な要素を求めるのであれば、他の盤を聴いた方が良いと思います。
ワタシ的には、全肯定もできないけれど、否定するのも抗えないかなあ〜。
いつ聴いても、圧倒、圧巻っ! ここまでやるかぁ〜 すげっ!凄すぎ〜 で、終わってしまう盤である。
ハイ。単純でスミマセン。でも、これが2番の良さ。個性だと思います。乗れない人は、ちょっと悲しいですね。
インバル フランクフルト 1985年
Eliahu Inbal  Radio Sinfonieorchester Frankfurt
(Frankfurt Radio Symphony Orchestra)

 さっぱりワカラン

録音状態は、まずまず。潤いは少なめで、幾分擦れぎみの音質だが、パーカッションはド迫力。でもなーんか、熱くなれなず、テンポが気持ち悪いです。
1楽章
冒頭より、なにか、すっきりしない、もわ〜っとした感じで、重苦しい。歯切れがイマイチで、どんよりした冬空のようで、なんとも陰鬱としている。響きにヌケが良くないし、うじ〜っとした感触だ。
テンポは、ゆったりしており、全体的に遅い。
ショルティ盤を聴いたあとで、インバル盤を聴いてしまうと、う〜ん。メリハリのない、何とも言えない、ねちっとした感触に、うへっ、と思わず肩をすぼめてしまう。
音の分離が悪いのと、ダイナミックさに欠けていることが致命的かもしれない。
で、中間部の、のびやかさを感じたいところで、セカセカ、スカスカした感覚になってしまっており、残念な結果になっている。銅鑼やティンパニーは、大きく入っているだけど、低弦は骨太感に欠けている。

2楽章
淡々と進んでいくので、つい眠くなってしまって〜 甘みには欠けているし、心地良いとはお世辞にも言えないのだが、独特の語り口があって、じめ〜としたところがある。

3楽章
ティンパニーの一撃で始まり、微妙な残響を残しながら、結構、テンポが揺れている。
この楽章は、クラリネットのねっちり型の吹き方で、雰囲気があって面白い楽章になっている。すっきりしているけれど、ほの暗く、すきま風が吹いているような感じ。
フレージングは弦主体で、木管やシンバルは、ちょっと薄めだけど、腰をクネクネした揺れがあって、面白い。小節が効いているというよりは、波の揺れに近い。
音質はイマイチだし、淡泊なのだけど、突然、シャカシャカ〜と金管が小刻みに入ってきたり、テンポを急にあげたり、変化が大きい。
金管の音色の膨らまし方は良いし、ところどころ、う〜ン。耳を澄まして聴きいってしまう。変わり種タイプで、テンポの変化が大きく、振り子のように、重りがついて右左に揺れていく。
最後は、怒濤のように、なだれ込んでいくパワーあり。タメにためて〜というのではなく、一気に、ぐいっ。と突きの一手のようだ。パーカッション群の細かい音が刻まれていて、ところどころ面白く聴けるが、 全体的なまとまり感というのは、ちょっと希薄のような気がする。っていうか、線が細いのかもしれない。
音に厚みがない分、損しているのかも。

4楽章〜5楽章
4楽章は、静謐さが出ている。テンポはゆったりしており、特に最後の方は、のろいぐらい。
で、5楽章のアタッカは、えっ と思うほどの大音量で入ってくる。ジャーんという金属的な響きが、すごい。
それまで、弱いな〜と思っていたので、ボリュームをあげていたのに、これには、のけぞった。
この音量が頂点になっている。
金管のバンダは雰囲気出ているし、音の広がりもあって、清潔な感じがする。
端正で、遊び心があるわけでもないし、ハッタリをかますタイプでもないので、枠を超えた面白さは無いけれど、丁寧で几帳面な感じを受ける。
ショルティ盤やメータ盤のような、パワーは少なめ。スコアが透けて見えるというところまでは行かないけれど、ちょっと音の厚みが少ない分、細かい動きは見えてくる。
また、テンポ良く、勢いでガンガンに乗ってくる、乗せてくるのではなく、おっとりしているし、息が、長く深く〜というよりは、慎重にも思える。
金管は巧いと思うし、ティンパニーと小太鼓が良く響いて、パワーアップしてくるところは迫力あり。

ただ、なーんか全体的に、熱くなれないんだよなあ。
下の方から、音の圧力で巻き上げてくるというか、畳みかけてくるような感じが無いというか・・・。う〜ん。音の層の厚さが少ないのだろうか。
一気に突きだしで勝負あり。というでもなく、どっしり構えたところがあるわけでもないし。
でも、パーカションは、本当良く響いてパワフルです。
特に最終楽章は、スゴイです。でも、なんか薄いんですよねえ・・・。金管は金管、木管は木管、弦は弦と、なーんかばらけちゃって聞こえてしまうところが、ちょっと薄いって感じるのかも。
最後の最後は、ド迫力なんですけどねえ。なーんかなあ。
う〜ん。幾分、腰高のような気がするようなところと、テンポでしょうかねえ。
それに、変なところでチェンジが変わるんだよねえ。
最後の拍であげるの? えっ なんか変。う〜ん。ワカランって感じ。
ワタシ的には、このテンポが、妙にギクシャクしてて気持ちが悪いんだよなあ。
腹までは立たないんだけど、なーんか、よくワカンナイなあ。という気分になっちゃうのだ。スカッとしない。
バーンスタイン ニューヨーク・フィル 1987年
Leonard Bernstein  New York Philharmonic
ソプラノ:バーバラ・ヘンドリックス Barbara Hendricks
メゾ・ソプラノ:クリスタ・ルートヴィヒ Christa Ludwig

倒れました。

録音状態は良いのだが、中低音域の音があまり入っておらず、バランス的には悪いように思う。良くも悪くも、レニーさん色に染まっているライブ盤で 、ねっとり〜 こってり〜 超遅めで、ワタシ的には疲れ果ててしまう演奏である。
1楽章
マーラーと言えば、バーンスタイン盤でしょ。と、昔から名盤とされてて、この2番なんぞ、これしかないでしょ〜って感じで、極めつけ。とっておき。最後 の真打ち登場って感じの存在となっている。
久々に取り出して聴いてみたのだが、う〜ん。確かにねえ。
最終楽章まで聴いていくと、そう感じる。大きな感動を与えては終わってくれるのだが、ワタシ的には、1楽章と2楽章は、とっても遅くて、他盤を聴いてくると、どひゃん。なんて遅いんだぁ〜って感じてしまう。
推進力に欠けてて、超遅いのである。
スピード感は、停滞しちゃってて遅いし、鈍重に感じる。また、音の響きが、どうも薄く感じられる。
ライブ盤だからなあ。仕方ないかな。とは思いつつ、ここで弦の響きが、もう少し前に来て欲しい。とか、あれっ 低弦の響きが弱いな〜とか、ところどころ感じるところがある。
全体的に、低弦の響きは抑えられており、弦の細かい動きが、明瞭に聞こえてこない。
また、過度に弱々しく聞こえてしまう嫌いがあって、音の響きとしては、中抜けしちゃっている感じがする。
だから、急に、ティンパニーが目立つ響きとなって現れ、驚かされる。

テンポも、立ち上がってくるスピードは、速くなったり遅くなったりする。
迷いに迷ったあげく・・・という、心情を描いた、意図されたモノなのだろうが、このテンポ設定で、かなり、2番の曲のイメージが変わるように思う。
バーンスタイン盤で聴いていると、聴く人が、自分の心の痛みや悩み、迷い等を、重ね合わせ、このゆったりしたテンポのなかで、癒されたり、自分の心情を、重ね合わせて〜思い入れたっぷりに、聴いてしまうのかもしれない のだが、う〜ん。ワタシ的には、どうかなあ。
元気な時は、バーンスタイン盤は、聴かないですね。元気な時は、スイスイ、推進力タップリの曲を聴いちゃう。お疲れモードの夜、身も心も疲れましたという時に、メメシク聴きたい時には、ちょこっと聞きかじって、 このテンポに同化されちゃうかもしれませんが、余計落ち込んじゃいそう で。(笑)
普段は、手がのびないCDとなっている。

2楽章
これまた、超遅い。1楽章以上に遅く感じられるので、ドヒャン〜
弦の厚みがないのと、艶がなく、総体的に、アンサンブルが、さほど美しく聞こえてこない。
ハッキリ言っちゃうと、マズイです。(笑)
木管の響きは遠くてインパクトがないし、ティンパニーの叩きが、ずーっと入ってくる場面でも、控えめすぎて、弱音過ぎて〜 まったく聞こえてこない状態に感じられる。
弦のピチカートも、はあ。何人で弾いているんだろ。って感じの音しか、聞こえてこないし、響きが弱いんである。実際、そんな弱々しく弾いているんだろうか。死に至る病としか、聞こえてこないんだけど。
まあ、それが演出です。と言われたら、はあ。そうですか。としか言えないが、ワタシ的には、総体的に、音の響き、音の厚みが、相当に薄いとしか感じられないし、味が薄い。薄すぎ〜
この楽章は、全くダメである。としか、ちょっと言えないですね。

3楽章
バーンスタイン盤の場合、2枚目の3楽章から聞くのが一番良いかも。(笑)
さて、こっから〜って感じです。
冒頭のティンパニーの叩きは強烈っ。ババンっ! 残響も豊かに、ここだけマイクがセットされているかのような大きな音が鳴り響く。
この音、ドソっ。だと思うのだが、絶対音感に欠けているワタシなので怪しい。
そっそぉ〜 そっそぉ〜というリズム感が重くて、テンポはやっぱり遅め。
クラリネットの響きは悪くはないのだけど、軽妙さに欠けてて、揺れないのだ。アクセントが適度について、ノリ感のあるフレーズに仕上げてくれたら良いのだが、キビキビと、活き活きとした感覚ではなく、音が流れていかない嫌いがある。
まあ、後期ロマン派という、たれっとした優美さがあるかと言われたら、う〜ん。どうでしょ。
金管が入ってくると、テンポアップしてくるし、それなりに活気が出てくるんですけどねえ。ここで描かれている魚へ説教するパドヴァの聖アントニウスは、どうなっているのか、さっぱり描かれていないように思う。

それよりも、 躁鬱の世界のような感じで、鬱々と落ち込んでいたかと思ったら、やる気満々になって、テンションがいきなりあがってくる、そんな変な演奏で、鬱と躁状態を、行きつ戻りつなんですけど〜 
まあ、ひとりよがりに、急に、幻想的で甘美な世界が、目の前に広がっていくという感じかなあ。
ちょっとアブナイ世界観は、みごとに描かれているというか・・・(笑) 
アハハ〜 一般的には、ちょっと変な演奏かもしれません。
アクの少ない健康的な演奏も、いかがなモノかとは思うけど、その点、この盤は、躁状態のように、突き抜けた感じで、かなり金管もティンパニーも派手に鳴ってくるので、結構、ワラケテしまう。
総体的に、録音状態のバランスが少し悪いような気がする。弦の響きは、高音域に焦点があってて、ティンパニーと、金管は良く聞こえるが、中域から低域の音の像がぼけて、クリアーではない。
かなり偏っているような気がする。

4楽章
「原光」は、柔らかく、ゆったりと歌いあげられている。ソフトフォーカス風で、ビブラートのかかった声は、柔らかくて、うっとりさせられるが、かなりテンポは遅い、音の持っていき方が、とても長い。
たっぷり傾向にあって、ハマル人は、かなりハマルだろうが、う〜ん。ここまで長いと、ワタシ的には気力が持たない。

5楽章
相当にキンキンした銅鑼の音と、ティンパニーのシャン〜っとした鳴りっぷりである。
ドスンっという低音の 低弦のうねり感は少なめだ。金管のパワーに依存しているというか・・・。
遠くから聞こえてくる雰囲気もあり、雰囲気は良い。でも、なーんか弦の響きがほとんど隠れてしまっており、弱音が綺麗とも、ちょっと言えないような感じがする。何故なんだろう。

ただし、金管が、「れぇ〜どぉ〜 れ〜し み〜れど れそ どぉ〜しぃ〜」
「どぉ〜しぃ〜 どぉ〜ふぁ〜 みらそふぁ〜 みぃ〜」
「そぉ〜らぁ〜 そぉ〜 れふぁしら そぉ〜 ふぁぁ〜」
「れふぁしど れみふぁ そ れ〜しぃ〜 そぉ〜 どぉ〜 しらそふぁ みぃ〜っっ らぁ〜〜」 と、吹いていくところは、鳥肌が立つ。
金管のトロンボーンのハモリは巧いですよぉ。和音が綺麗に決まっているし、これだけ長いフレーズを吹き続けるのは凄い。トランペットのつんざくような音も、聴きどころかなあ。って思います。
まあ、冗長的すぎるかもしれませんが、これライブ盤だから。これを生で聴いたら、鳥肌通り過ぎて〜フリーズ状態で、既に、凍っているかもしれませんが。

これ以降の怒濤のフレーズも、なかなか、迫力を増して、金管主体で引っ張っていく。
低音は完全に籠もりがちですけど、金管のフレーズに耳が行ってしまうので、ばらけている鐘の響きも、するりと通り過ぎてしまうし、弦の細かいフレーズも通り過ぎてしまうし。
弦はキツイ音で、荒々しく存在は薄め。
バランスは悪いけど、金管パワー炸裂なので、まっ いいかぁ〜状態でしょうか。この盤は、ティンパニーと金管のつんざき。これに尽きるでしょうか。
バンダ 奥から鳴ってくるトランペット、コミカルな合いの手を入れてくるシャンシャンとした音など、立体的には、あまり響いては来ないんです。
しかし、間合いの長さを持ちながら、緊張感はあるし、勢いと熱気で押し切られるってところでしょうか。
感情たっぷり、情感入れ込んで聞き込みたい方には適した演奏かもしれません。

ワタシ的には、あまり手に取ることのないCDです。
楽曲自体、最後には、カタルシスを得られるようになっているものの、そこに至るまでのプロセスをどう描くのか難しそうです。分析しすぎても嫌みがでそうですし、当盤のように、感情たっぷりに入れ込んでこられても、聴く方が、疲れ果てそうで〜 
実際のところ、普段の日は、躁と鬱を同時に相手には出来ません。と、拒絶反応が出ちゃう感じです。
↑ 決めつけてはいませんが〜(笑)
また、ストーリー的に描く、持っていき方が、難しい楽曲であるように思えます。
当バーンスタイン盤も、一期一会のライブとして聴くには、大きなカタルシスを得ることができるでしょうが、この最後まで、アナタ持ちますか。って感じがします。 ワタシの場合は、正直に申し上げると、ついつい、3楽章から流して聴いてしまいがちとなっています。 結局のところ、普段聴くには、耐え難い〜 つまり、つきあいづらい演奏です。

2番の持っている荘厳さを表すと共に、大袈裟で、誇大妄想的とも言われそうな演奏のようで、紙一重という感じがしますし、 ホント、ワタシ自身が、この楽曲を聴く日によって、受け止め方が変わりそうなのです。
のめり込んで聴くことのできる時もあるが、あー 聴いてられない。こんな大袈裟に演奏しなくても〜と、言ってしまう時もあるという、 つきあいづらい、紙一重的な際どい演奏だと思います。
昔からの名盤と言われる演奏を、こんな風に言って申し訳ないのですが〜 ハイ、紙一重なんです。 ホント、際どいですね〜 あくまでも個人の感想ですので、スミマセン。怒らないでください。(苦笑)

ギーレン盤は、これでもか〜っと細密画のように描き出してくるので、目眩がするような感じで、見えすぎてクラクラしちゃうんですが、このバーンスタイン盤は、音としては、ぼんやりして、ピントは合っていません。
でも、息が長くて長すぎて〜 聴いているワタシの息が続かず、呼吸困難になって倒れてしまいます。
ベルティーニ ケルン放送交響楽団 1991年
Gary Bertini  WDR Sinfonieorchester Köln  (WDR Sinfonieorchester)
ソプラノ:クリスティナ・ラキ Krisztina Laki
メゾソプラノ:ローレンス・クイヴァー Florence Quivar
シュトゥットガルト放送合唱団

満足っ満足っ

録音状態は良い。少しくぐもった感がするが、繊細で耽美的。もう少し前半の楽章で、アクの強さが出ていれば、もっと後半で泣けるんだけど。
1楽章
久々に、マーラーの2番を聴いて、こんな長大な楽曲だっけ〜と、今更ながらに驚いている。
1楽章だけで、短いシンフォニーだったら1曲分を聴いているぐらいの満足感があるというか、すでに満腹状態になってしまった。で、ベルティーニ盤は、そこそこに迫力があるが、ねっとりとは歌わない。
どこか、繊細な感じがして、音が痩せている感じを受ける。大きな編成なので、できる限り良い録音の良い音響で聴かないと、どうもモノ足らないのだが、低弦の響きのボソボソ感や奥の金管の音が痩せている。
奥行きや左右の広がりがイマイチ。そのためか、どうしても彫りが浅く感じられる。
筋肉質か、重低音を活かして馬力を出すか、もっとシツコク歌うか、もっと馬力でもって奈落の底に落とすか。
いやいや、それでは、あまりにも世俗的でしょ〜 
いやいや、中庸で行くなら、もっとその妖しげな美意識を、より強く出していただかなければ〜個性的ではないですねえ。
長い1楽章なので、いろんな要素がつまっているのだが、もう少し、しなやかさと、怪しさと、ミリタリー調の主題にメリハリがあれば嬉しいかも。ちょっと淡泊な感じを受ける。

2楽章
1楽章はツマンナイなあ〜と思ったのだが、2楽章は、テンポが速めに設定されており、サクサクと推進していく。
木管は、さらっと演奏され、金管は華やかだ、
旋律に、とろみ感が出てきており、「みぃ〜れぇ〜どぉっしら そぉ〜 そぉ〜ふぁ〜そ〜ふぁ〜っ」と、美しく耽美的な雰囲気を醸し出してくる。そうそう、こうこなくっちゃ〜 ベルリーニさんの演奏らしくない。
爆発するところの迫力も、まずまず。ティンパニーの打ち込みは、乾いているが、どきっとする迫力がある。
ただ軽量級なので、他盤と比べると、やや迫力不足かもしれない。

3楽章
諧謔性のあるエグミ感のある楽章だが、う〜ん さらっとしている。
楽器のフレージングや、弾んだリズム感など、個別的には良い演奏だと思うのだが、総体的にはやっぱり軽量級という感じが否めない。どす黒さを感じさせる低い音に、少し粘りけが少ないのかもしれない。
テンポは速いのだけど、金管も淡々と吹かれているし、ンっ チャッチャ〜 サクサクしすぎな感じがしちゃう。
ブラックユーモアに欠けちゃって、すべっとした、フレージングに命を燃やすタイプなのか、そういう美意識なんだろうなあ。
ちょっとやり過ぎるかなというぐらいのパフォーマンスが、必要となる楽章なのかもしれない。もう少し、うねって、どろっとしないと長大な楽曲なので、間が持たない。

4楽章〜5楽章
わっ 遅いっ。ベルティーニさんは、きっと、この楽章は好きなのだろう。まってました〜て感じで、長いフレージングで歌わせている。思い入れたっぷり気味に、ゆっくりと〜 たっぷり〜 豊かに歌いあげていくのだが、確かに美しいとは感じるし、 耽美的だな〜っと、陶然としつつ・・・。次の楽章へ
シャーンっと、結構、豪勢に鳴る。
すごい間合いたっぷりの演奏で、う〜ん 遅いっ。残響をずーっと引きずって長く、充分な間合いととってバンダが演奏されていく。この前半の雰囲気は、とても美しく、浸っていける。
ただ、行進曲風のミリタリーな主題になると、う〜 もう少しテンポアップしていただくと、もっと強烈にコントラストがはっきりして良いのだが、遅いっ。
鐘が鳴ってくるシーンになると、また少しテンポが落ちてくる。歌いたい気持ち。その気持ちわかりますが〜 ここは一気呵成に行かないと〜 面白くならないのに〜 もっと速く行ってくれーっ!
(あ〜 髪の毛を掻きむしりたい気分に・・・ いらっ)
走って、走りつつ、パワーを上げていかないと、あーー またここでテンポを落とすんだ。
派手さはあるんだけど、金管のパワーもあるし、いいんですけどねえ。

美しい、確かに美しい演奏で、惚れ惚れします。特に、後半は、充分すぎるほど、時間をかけて、たっぷり〜
しかし、粘り気のある耽美派ではなく、細身でさらっとしており、厚みがなく、エグミや嫌らしさ、アクやタメ感の少ない演奏です。どこまで、やれば〜 嫌らしくならないか、その瀬戸際を探って演奏したのか。その点が気になります。
もっと、ぐぐぐ〜っと、深みにはまっても、ハチャメチャになってもいいや〜という、投げやり的なところが見えれば、ある意味面白いんですけど。そこまでやるか〜って的に、やけっぱちなところが見えてこないと、う〜ん。
これでは、まだまだ〜 アナタのマックスじゃーないですよね、と、わかっちゃいますもんね。
聴き手も、その芸達者なところを見ている。前半の楽章が、決めてなんですけどねえ。泥沼につかって、もがいてこないと・・・。後半は、ある程度、だれがやっても盛りあがって泣けるんだけどなあ。

この楽曲は、指揮者にも聴き手にも、パフォーマンスを求めますよね。
なんか、単純に宗教性だけを求めてないし、そんな簡単に救済を求めて得られるもんじゃーないぜ。そんなモノ格好だけだぜ〜的な、あーっ 嫌らしいっ。そんな、やらせ〜的な面があって、ホント、いやらしいなあ。この曲って思います。
って、ベルリーニさんの演奏を聴いて感じちゃいました。
あー どっちら表で、どっちが裏なんだろ。って言うわけではなく、どっちもなんですよね。
清濁併せ呑む気概がないと。あー 深読みしすぎかなあ。これこそマーラーの罠なのか〜アタマのなかがグルグル・・・。

ブロムシュテット サンフランシスコ交響楽団 1992年
Herbert Blomstedt  San Francisco Symphony Orchestra
ソプラノ:ルート・ツィーザク Ruth Ziesak
メゾ・ソプラノ:シャルロッテ・ヘレカント Charlotte Hellekant
サンフランシスコ交響楽団合唱団

昇天しちゃいました

録音状態は極めて良い。 端正で淡泊な感じを受けるのだが、表情は細やか。
力強い響きと神々しさを兼ね備えている。2枚組BOX
1楽章
弦の「そそそそ・・・」
「れみふぁそら ふぁみふぁそら れっみふぁそらし どっそど そっど そっど そっどぉ〜」
この冒頭の弦の力強く、切れ良く、速いこと。この冒頭だけで、げっ 結構いいやん。
端正で明晰、ピーンと張った緊張感、スピード感がある。アクセントのつけかたが巧いっ。
低弦の響きが、力強く入っていて気持ちが良いのと、フレーズの柔らかいヴァイオリンが入ってきた時でさえ、下支えとなっている低弦の呻くような響きが聞こえてくるのだ。 明晰で静謐なくせに、裏から、動物的なうめきが聞こえてくるようで、面白い。
それにリズミカルだ。金管の音の刻みも、極めてクリアーだし、無駄がないっていうか。う〜ん。 幾分明るめ音質を持つオケだとは思っていたのだけど、いやいや〜 落ち着いた骨太な音である。
音のノビも申し分なく、しなやかに歌う。
いっけん、シンプルで派手さはないのだけど、表情が豊かで細やかなくせに、厚みもスピードもあって、端正なくせに、まとまり感がある。
総体的に点数が高いかなぁ。結構、熱いしねえ。粘って落とすようなアコーギクなところもあって、硬いけど厚みがある。録音状態も良いし〜 いやいや、なかなか良いです。
ちなみに、ブロムシュテット盤は2枚組で、1枚目のCDは、1楽章で終わっている。で、ここで休憩ってことになるのだろう。マーラーの指示どおりってワケである。

2楽章
まるで、優雅なワルツのような楽章で、チェロの甘い音色で奏でられたフレーズの膨らみも優美。
ホルンがかすかになってから、木管の「どみ〜ど しそみ〜 れ どみど し〜」
主題が、代わり代わりに演奏されているけれど、細やかに弦の動きがあって表情の付け方が、繊細だ。
ホント、細やかで、儚げな夢を見ているかのような雰囲気だ。
ショルティ盤のように、こってりとした味付けではない。この盤は、セピア色の色彩感覚と、貴族的な優美さを持っているところが個性的だ。
金管の音色は繊細だが、低弦の力強さ、そして不安げな金管の音色が出てきて、影を落とすところなんぞ、短い楽章なのだが、ストーリー性を感じさせるし、小説でも読んでいるみたいだ。
ティンパニーの頃合いの強さが微妙だし、またハープの絡みが、映像的でもある。
なかなかに、魅力的な楽章に仕上がっている。劇的に、ドラマティックな演出ではないのだが、へえ〜っ 2番は、最終楽章だけじゃーないんだ。なかなかに美しい・・・。と思わせてくれる演奏だ。

3楽章
うって変わって、グロテスクな楽章に突入する。
ティンパニーの「どっそっ! どっ そっ  どっそっ どっそっ どっそっ」「どっふぁっみっ」「どっふぁみっ」「タラん タッタ タラん タッタ・・・」冒頭のティンパニーの響きは 、結構力強い。残響もある。
で、そこからのテンポは良く、スピード感があって、蛇使いか〜というほどのノリの良さはないけれど、推進力がある。さらり〜とした淡泊系で、中間色の音質だが、高音の色が特に明るく、輝きを放っている。
粘りは少ない。もう少し、グロさがあっても良いんだけどなあ。
この点は、イマイチ。スイスイ行きすぎ〜っ。皮肉ぽく、不安定さが、もっと有っても良い。
ホルンが鳴って、柔らかい光線が入ってきて、雰囲気が変わるところは、あ〜っブロムシュテットさんらしいというか、テンポはそのままなのだが、音質が、中庸的で中性的だ。
特に、金管が柔らかいねえ。弦の揺らめく弱いのだが、線の綺麗さが、レースのようにはためいて感じラれ、透けて見えるかのような美しさを持っている。
独特の柔らかい暖かい空気感があり、押し付けがましくない、圧迫されない、奥行きのある懐の深さを感じるところが、この盤の良さかもしれない。
そのくせ、最後には、メチャ熱くて、ぐわ〜っと音量を増してきて、恐ろしいほどにティンパニーが鳴り響き、圧倒的なパワーで、地響きのような銅鑼が鳴ってくるところは、う〜ん。スゴイ。思わず唸ってしまった。
さっきは、あれほど柔らかで、優美だっただけに、その変わり身には驚かされるし、まっ、決めるところは決めてくるので、男性的、女性的な両面を持ち合わせた両性具有タイプ。表裏一体型だと思う。

4楽章
すこぶる弱音で入ってくる楽章で、静謐に穏やかに歌いあげられている。
ゆったりしているなかで、シャルロッテ・ヘレカントさんの「おお、紅の小さな薔薇よ。人は大きな苦悩の元にある。」と歌われるのだが、声質が良いし、とても、奥行き感のある録音で、バックのオケが、清潔で、宗教的に聴ける。

5楽章
すごく派手な鳴りっぷりで、げぼっ。度肝を抜かれた。
4楽章が、とても穏やかだっただけに、メチャ驚かされる。 しかし、ド派手でもないし、荒々しいわけでもない。ティンパニーや大太鼓の打楽器の大音量を除けば、結構スマートなんだけどね。 すーっと変わって、一気に穏やかに変わっていくが、さすがに表情づけは細やかで、巧いと思う。

かなりの間合いを取ってから、バンダが始まりを告げる。 ホント、この弱い音でのフレーズの制御が巧いですねえ。呼吸が巧いというか、いや、ワタシ的に合っているのかもしれないけど、音を置いていくようなフレーズも、派手さはないのだけど劇的だ。 木管が入れ替わり吹かれていく主題も、細やかだし、弦がピチカートで添っていくところも、繊細で〜。
特に、金管の柔らかいフレーズが、たまらないほど美しいです。官能的でさえあるし・・・。 パーツパーツが、綺麗に決まって絡んでいく。この息の柔らかさ、音の間合い。 ゆったりとした間合いが、なんとも言えない。

で、ティンパニーが打たれて、金管がセカセカと吹かれるのだが、また、鎮まって〜 主題を吹いていく金管の間合いも、優美だが、悲しげで儚げ。
フレーズ自体を、優雅にしつつ、崇高さを感じさせつつ、テンポをあげていくので、ゆったりとしてながら、ナチュラルに、上昇指向を感じさせてくれる。決して自己主張は強くない演奏なんだけど、神々の世界を絵画的に描くような感じで、 壮大な教会の天井画を見上げているような雰囲気がある。
受け取り手にも、イマジネーションを描く隙間があるというか、想像できるような空気感がある。
どういえばよいのか、巧く言えないのだが・・・  密度は高いものの、音の広がり感に、ゆとりがあるというか。
結構、テンポを変えてるし、アコーギクなところもあるし、結構、表情づけがなされているのだが、切迫感が嫌らしくないというか、一人いきり立って演奏されていないというか。 圧倒的な音のパワーで、押しの一手という感じでもない。
フレーズは柔らかいが、伸びる弦の強さを同時に感じながら、スピードに乗せられつつ、上にあがり、下にさがり、ドンっと落とされて、また、ふわっと乗せられて〜  滑らかなジェットコースターに乗せられているかのような・・・。
際どいながらも、優美な曲線美で、スゴイ快感だ。(変な感想だけど)

合唱の入ってくるところは、う〜ん。これ一度聴いてください。って感じがします。 弱音のシーンは、結構、神々しいですねえ。他の盤、特にショルティ盤なんぞ聴くと、汗くさい、パワフルな、ミリタリー調の英雄賛歌だと感じるのだが、ブロムシュテット盤は、特に合唱部分が素敵に仕上がっている。とてもとても・・・同じ曲とは思えない。
まじで、まるで雲の上の神々の世界のようで〜  教会音楽っぽく聴けちゃうところが、ブロムシュテットさんの手腕だろうと思います。この錯覚をさせてくれるのが、ブロムシュテットさんのらしいところかなあ。
マーラーって、ものすごく世俗的だと思うし、世俗的だからこそ天上の世界に憧れる気持ちって、相当に強いと思うので〜このあたりの心理的な描写を、どう描くのか、指揮者の宗教観まで表してくるように思いますね。

最終楽章の録音の長さは、ショルティ盤は33分48秒というクレジットである。
ブロムシュテット盤は、33分08秒のクレジットである。ブロムシュテットさんの方が短いのだが、これが、感覚的には逆転してて〜  長大で荘厳、とても長く感じちゃう演奏になっている。
淡泊だけど、きめ細やか。端正だけど熱い。という、わりと両面を楽しめちゃう盤である。最後のパイプオルガンも、綺麗に入っていて〜満足できるし、この演出 いや、人柄を含んで、ブロムシュテットさんに勝負あった〜って感じでしょうか。
最後の一音が、執拗に伸ばされず、シャンっと終わっているのは、うふふっ。である。
全くと言っていいほど話題になっていない盤だが、穴馬的存在で、ワタシ的には、断然にお薦めである。
デ・ワールト オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団 1993年
Edo de Waart Radio Filharmonisch Orkest
(Netherlands Radio Philharmonic Orchestra)
ソプラノ:シャルロット・マルジオーノ Charlotte Margiono
アルト:ビルギット・レンメルト Birgit Remmert
オランダ放送合唱団

まっ こんなモン


録音状態は良い。角がとれて丸くなり、まろやかで、おっとり系。でも、打楽器はなかなかに迫力あり。幾分、残響が多めだが、ホールいっぱいに広がるコンセルトヘボウでのライブ盤である。
1楽章
録音状態は良いのだが、あまり切れが良くなく、キビキビした感じがしない。低弦の響きは良いのだが、冒頭の低弦の厳しい表情が、まろやか系なのだ。厳しさや逞しさは影を潜めている。
低弦のメチャ厳しいガッシリしたボーイングで、いきなり始まる盤も多いなか、えっ。なんて優しいんだ。と驚いちゃうほど、ガッシっとした骨太な演奏ではなく、 腰が柔らかく優しい。
ゆったりとした歩みで進み、残響豊かに、とろっ〜とした響きが、総体的にイメージに残る。
良く言えば抒情的で、女性っぽい。
恐らく、残響がちょっと多めだからだと思う。

で、オブラートに包まれたような雰囲気がして、金管の咆吼も、ふんわりした空気感に包まれている。
特に、弦が強奏する場面が、がしっとした歯ごたえが無いというか、ガッツが無いという感じに受け止められちゃうかな。
嫌みな演奏でもないし、中庸的で、綺麗なんですけどねぇ。
ちょっと綺麗すぎるかな〜って感じですが、まあ、線が細すぎるわけでも、音の重ねも薄いワケでもなく、音量も充分です。ただ、ショルティ盤とか、メータ盤などを聴いた後だと、コシが無いというか、コクが薄いというか。 なんかモノ足らないヤワな奴と思うかもしれない。
しかし、反対に、キツメ、タイトな演奏を聴いて、幾分シンドイと思った向きにはお薦めだと思う。
ちょっぴり淡泊だな〜って感じもしないでもないが、立派な演奏です。
やっぱ〜 鷹揚すぎるかもしれないけど・・・。
(えっ はっきりしろって〜 立派な演奏だとは思うのですが、なんか足らないんですよ。) 
まあ、ぴったり相性が良い盤って、人それぞれだし、なかなか無いです。(笑)
ティンパニーの残響が緩めで、ちょっぴり、まったり傾向ですけど〜 よく響いてます。木管のフレーズやヴァイオリンも、繊細な音で、すーっと伸びてます。
ちょっと早口で行っちゃう場面があるのが、愛嬌なんですけど〜 
どーして、ここが速いのぉ? ワカランってところもありますが、テンポ設定は、ワタシテキには許容範囲でした。 これは1楽章だけに限らずなのですが。多かれ少なかれ、他盤でもそう感じるし。
残響多めの大きめのホールで聴いているようで・・・ 
(あっ そうそう。録音会場はコンセルトヘボウでした。) ホント、打楽器は気持ちが良いほど残響あり。

2楽章
中庸的な演奏だが、少し緩め。
まろやかに過ぎるかなあって感じがしないでもないほど、優雅であり、ほんわかしている。
表情が柔らかで、ふんわか・・・。弦は、結構カシカシと弾かれているのだが、良い意味で鷹揚で、丸い演奏といえば良いだろうか。もう少し、細やかでも良いかもしれないが、たるいわけでもないし、まあ、オブラートに包まれたソフトフォーカス的な演奏で、 気持ちは良い。
特に、ハープの音色なんぞ、聴きようによっては、ぼやけてしまっているかもしれない。
もっと少し、クリアーでも良いんだけどなあ。

3楽章
ティンパニーの「どっそっ! どっ そっ  どっそっ どっそっ どっそっ」「どっふぁっみっ」「どっふぁみっ」
冒頭のティンパニーの響きは良いのだが、力強さ、エグミが無い・・・。
う〜ん。スピード感はほど良くあるのだけど、なにせ柔らかい。
優美ではあるのだが、なにか足らない。ノリが悪いわけでもないんだけど、クセが無く、面白みに欠けてしまう。木管は、綺麗ではあるが、う〜ん。すーっと行ってしまって、「たら〜 たら〜ん」という合いの手を入れているのに、インパクトに欠けちゃう。
全てを織り込んで1枚の布に仕上げちゃうというのも良いんだけど〜 浮かび上がって、ごわごわした感覚が面白い楽章なんだけど。
すべっとして〜 う〜ん。柔らかいだけでは、うーん。これはイカンぞな。淡泊にすぎる。
平面的で、ソフトすぎて、アクセントもなく、テンポの揺れも少なく、苦みや影、嫌みや臭みが、抜けきっちゃった感じがして・・・アクのない演奏になっちゃっていた。
この楽章は、図太く、アクの強そうなオジチャンが、ベタな方言で、だみ声が喋っているように、ゴチャゴチャ、混ぜご飯的に演奏してくれないと、2と4楽章の間の意味が、ちょっと薄れちゃうような気がする。

4楽章
この4楽章前にCDを入れ替えるのだが、いきなり柔らかい声で歌われて〜 なんか拍子抜け。
珍しいんだよなあ〜。3楽章終わりでの入れ替えって。で、レンメルトさんの声は安定感はある。ワタシ的には、もう少しノビを感じられたら嬉しいかも。

5楽章
打楽器のパワーが、結構あり。柔らかいだけの演奏じゃーなかった。と思わず呟いたほど。
特に、銅鑼のシャーンっが、デカイのだ。
ダダダ・・・ シャーンと、ダダダの前振りが、もっとパワーがついてれば、もっと良いんだけど。
で、なーんか、勢いが無いんだよなあ。ゆったりしたテンポで行っちゃうからかしらん。息が長めで、間合いが長いんだよなあ。で、せっかくの冒頭の勢いが、すぐに萎んでしまって。うぐぐっ。モッタイナイ。 総体的には、ゆったりしてて、幾分、締まりがなくなってしまう傾向にある。 ゆったりとしたフレーズの場面では、なぜか緩いなあ。と思ってしまうのだ。
もう少し、ピンっと張ったところが欲しいかも。 音が置いていくようなところは置いてますって感じだし、主題を告げるような雰囲気にはなってない。 まるで、お告げを告げているかのような、神秘的で、辺りを払うほどのカリスマ性、主張する力には、幾分弱いかも。空気感の柔らかさが、アダとなっちゃうのか。
意思の強さの、音が、ぐい〜っと出てこないっていうか。同じフレーズを重ねて、出てくるようなフレーズが続くのだったら、もっと〜ぐい〜っと来てくれ。そうでないと、意味をなさないんだよぉ〜。
もう少しテンポよく、シャープさが欲しいかなあ。
で、前半、怒濤のように頂点を刻んだ後、音が、一瞬、ばらけてしまったのは惜しい。
フレーズが長めの場面は良いんだけど〜 刻んでバリバリ突き進む要素に欠けているような気がする。

まっ うだうだと書いてしまったが、立派な演奏で聴き応えはあり。特に打楽器は、ハイ、なかなかに頑張ってます。大きく入ってます。天と地、両極を行き来しているわけでも、伸び上がるパワーも、少し足らないんですけど〜
まっ そこそこに出世し、全体的には、角がとれてまろやかになっちゃった銀髪の優しいおじさま風デス。
ギーレン 南西ドイツ放送交響楽団 1996年
Michael Gielen  South West German Radio Symphony Orchestra, Baden-Baden(SWR Symphony Orchestra)

 倒れました。

録音状態は極めて良い。 1楽章の急ブレーキ、急発進のテンポ設定は、どうも馴染めないが、あとは綺麗な演奏で巧いな〜って思う。透明度の高い、緻密な演奏で、いろんなフレーズが聴き取れて面白いが、感情移入型の演奏ではない。最終楽章は、堂々として有無を言わさない演奏となっている。
1楽章
冒頭、厳しい響きで始まるが、あまり推進力は良くない。はっきり言ってしまうと、かなりテンポが遅めにとられており、うっ。と唸ってしまった。なんで〜ここで遅いんだ〜っ!て感じなのだ。
さあ、走っていくぞ〜というフレーズになるのに遅い。
例えば、「らぁ〜しっどぉ〜 らぁ〜しっど どっみぃ〜 らぁ〜しどみ ら〜っ」と、勢いがつきそうなフレーズなのに、前段のフレーズより遅いのである。
あんた天の邪鬼じゃっ。と言いたくなるような、変なテンポ設定だ。
ワタシ的には、このテンポ設定には、ちょっとつきあいづらい。ギクシャクした感じが否めない。
えっと、思うところで、突然ギアが変わるし、段々テンポアップするのではなく急発進だったり、急ブレーキだったりするので、車酔い状態だ。うっ 気持ちが悪い。

しかし、低弦の響きは硬めだが、まろやかだし、見通しが良く、精密機械のように入っている。
ホント、この響きは、丁寧だし緻密だ。無粋な感じがするのに、結構、優美に歌うところもあって、木管のフレーズや低弦のフレーズは、ホントよく聞こえてくる。
なにせ旋律が多様的で、層が厚めな部分が多い楽曲だが、このギーレン盤は、録音が良いし、透明度もあるので、見通しが良いモノになっている。へえ〜こんなところに、こんな音が入っていたのね〜という、他盤では聞き逃してしまう驚きも発見できちゃうし、アナリーゼしたり、分析好きな方とか演奏家さんには、良いかもしれない。
まっ、ワタシ的には、この1楽章のテンポ設定がねえ〜せっかく録音状態が良いのになあ。このテンポだけは、う〜ん。ダメだあ。玉に瑕である。
それに、あまり爆発的なエナジーは感じられないのだ。うねりが感じられないというか、うぐぐ〜と感情が移入していかないっていうか、何故、この曲が演奏されているのか、う〜ん。よく解らない感じ。
わざわざ長大なシンフォニーを聴いているのに、何か、あまり感じないというか。
するり〜っと行かれて、単にテンポが変な感じを受けて終わっちゃう。

2楽章
「ふぁ〜れ みふぁそ ふぁらっら ら〜そらし ら〜どっど」
と、フレーズ自体は優美なんだけどなあ。適度に甘くて、チェロの響きも抜群によろしくて〜
柔らかく、ゆったりとした、甘くも渋めのフレーズの美しさがある。綺麗なのよねえ〜響きが。
「どぉ〜 み〜ど しそみ〜 れ ど〜みれみ ど しそみ〜」というフルートの響きも、抜群だし、弦の細かいピチカートの響きも綺麗に入っている。う〜ん。バッチリだ。
ホント、綺麗に演奏されているのだが、綺麗って以上の言葉が、、、続かないんだけど。いやいや、美しいと言っても良いかもしれない。
適度に速めに細かく動いて、ゆったりとした旋律を描きながら、精密に描く。
さっぱりしているようで、いやいやなかなかにコクもあり、とろみ感も持ち合わせている。
この2楽章は、繊細でありながら、引きずる感じのロマンティシズムにあふれているし、低弦の響きも大きく、刻みも勇壮だ。金管の大きなフレーズも、堂々と描いているし、太めにぐい〜っと執拗に鳴らしている。この2楽章のギーレン盤は、とっても良い。すごーく美しい。
緩くなってしまいそうな楽章を、引き締めつつ、とろん〜とした感覚も持ち合わせてて、凄いっ。
こりゃ〜白眉って言っても、過言ではないかもしれない。

3楽章
ティンパニーの大きなリズムがある。「どっそっ!」
「どっ そっ  どっそっ どっそっ どっそっ」「どっ ふぁっみっ」「どっ ふぁみっ」・・・ 
諧謔に満ちた滑稽なリズムで始まり、クラリネットの甘い響きが、プンプンと臭っている楽章であり、この場面では、速めに展開していく。
クラリネットの音質が良く、よくまろやかに響き、ソロとしての技能もバッチリだ。
んっタッタ んっタッタ んっタッタ。。。と、まろやかに響きながらスイスイと進んでいくので、すごく楽しい。
ただ、執拗な感じの粘着性や、ニヒルで、いっひっひ〜っと笑うような嫌らしい感覚はなく、すこぶる健康的で、ブラックユーモアが漂ったり、コミカルさも味わうことなく、さっぱりとした、完璧技巧派って感じの演奏で、音符がスイスイと泳いでいく。
「魚へ説教するパドヴァの聖アントニウス」の詩のとおり、聖なる言葉が、愚直に響く筈なのだが、不安定さとか、オリエンタルな雰囲気とかがあまり感じられず、臭みが抜けた、爽快な演奏というか、う〜ん。
匂いが臭くないというか。
しかしながら、ホント、いろんなフレーズがちりばめられているのが解るし、とっても良い演奏だ。
雰囲気としては、ワタシ的には、もちっと、ねばっこく、蛇遣いか〜と言われるほど、くねくねと演奏されている方が面白いんだけど・・・。いやいや、ギーレン盤は、聴かせ上手だよなあ。この楽章最後は、金管が慌ただしく、怒濤の世界を描いているし、透明度の高い巧い演奏だなあ〜とは感心しちゃった。

4楽章
アルトのコルネリア・カレシュさんの美声が、柔らかく、しっとりと穏やかに響く楽章だ。
柔らかい響きが、ふわーっと残響を伴って響いてて、大きなホールで聴いているような心地よさがある。
ゆったりとした伴奏も、透明度高く、まろやかに歌っているし、静かに温かみを持って、ホントに息の長いフレーズを途切れさせず、すーっと音を繋いで演奏していく。
ここの木管フレーズは、ホント、美しい世界を描く。
清潔さがあるし、丁寧だし、精緻で暖かい。すごい録音だな〜って感心しきり。静謐さを持ちながらも、なんか暖かい音が紡ぎ出されており、このふわーとした広がり感のある空気感には、絶句。
ライブかと思ったらセッションだし、柔らかい心地良い緊張感があって、奥行き、高さともに、すごいっ。

5楽章
テンポはゆったりしているが、豪勢な音で銅鑼が鳴り響き、凄い低音の響きがあって、地獄の釜が開いたみたいで〜じゃっジャーンっと派手に入ってくる。
超低音の響きがよく聞こえるし、特に低弦の和音と木管の清々しい音の調和が良いと思う。
テンポはホントに遅め。で、つま弾く弦の響きのうえに金管が、丁寧に音を積み重ねていくスタイルで、推進力は低下しちゃうけれど、オケの響きが積まれているのが、よーくわかって、単なる派手な楽曲じゃーないことが解ってくる。
ちょぴり恐ろしくもあり、虚無感も漂うが、勢いの方が勝っている。
演奏も、ソロ部分が大事に扱われており、充分すぎるほど、慎重に、慎重に積まれた音の響きが、なーんていうか、積み木のように合わさって 巨大な音楽を創っている感じがする。
そう、立体的というか、立ち上がってくるような感じが、リアルに見える感じがする。
音と音に間合いがあるのだが、響きが良いので、その間に、心理的には納得させられるようだ。

かといったら、また1楽章のように、ちょっとテンポを速めてくる場面もあるし、ちょっと難しいんだが・・・。
ちょっと、チェリビダッケさんのような演奏スタイルというか、息が相当に長い。
それと、残響の綺麗さは、ホント納得、得心しちゃう。
金管の綺麗さなトーンと、弦のフレージングが、まろやかに溶け合っていたり、反発しあっていたり、結構考えて聞かされちゃう。(って言っても、頭のなかで整理するのが難しいんだけど)

軋みのあるフレーズも、丁寧に描かれているので、綺麗に仕上がった織物を、じーっくり見ている感じで、大きな絵巻物を取り出して、じっくり見せてくれるような 見せる演奏だ。
ノー天気に、どどどーっと走っていかない。
ギーレン盤は、知能的で理知的で、丁寧なのだ。もちろん推進力が、全くないわけではない。ギリギリの線で引っ張っている感じで、さほど、かったるくなく流れていく。
いや〜 こりゃ、考えて聴かないとダメかな〜
いや考えさせられて、じっくり聴けっと言われて、聞かされているような感じ。
(まっ お仕着せには聞こえないんですけどね、嫌みはありません)
ワタシ的には、体育会系のスポーティーな演奏も好きだけど、このギーレン盤は、まあ、全く違ったアプローチですねえ。違う音の織り目が見えてくる楽しさがあって、面白い。

ドタバタした楽曲なのですが、破天荒さも持っていながら、破天荒なんだけど〜 違う場面もしっかり描かれてますよん。というような、思わず、覗き込んで見たくなるような細密画のようだ。
まっ ちょっと派手すぎて、大きな音で出てくる嫌いはあるのだが、演奏自体は、遠近感が出てきて、ざっくりとしたタッチの部分と、丁寧に描かれた細かい一筋のタッチもあって、複眼的 。
遠くから見て感じる印象と、近くに寄って見る感じと、ちょっと違うような〜 えっ。と思わせるような感覚が織り込まれている。とっても意外性がある。
どろどろ〜っと鳴り出すティンパニー、シャンシャン鳴り出すシンバル。
行進曲風のフレーズは、超重たい。ぐぐっとテンポを抑えて、重厚さと高揚感を増してくる。鈍重さの一歩手前かな〜って感じだが、叫喚地獄のようでもあり、パワーポケットに入って、げっ。と、のけぞりたくなるような大きな空洞が用意されていたりする。
そんななかで、バンダのトランペットが入ってくるし、静かな木管のフレーズが前に出てきて、はあ。虚無感もあるんだ。って具合になっている。

何度も、繰り返して聴かないといけないとは思うが、なにせ長大すぎて〜 体力・気力の必要な楽曲なので、そうそう何度も聴けないのだが〜
構想の複雑さと共に、シンプルさが隠されたり、シンプルだと思いきや複層的であったり〜 しんどぃ。
5楽章だけで、場面転換が激しく、ついていくだけで、心がヘトヘトになっちゃう。
舞台裏からのトランペットも、フルートも、すごい。ものすごいホール感のある空気感のなかで響く。
震撼とさせるような神秘的な響きのなか、舞台は整いました〜 と、復活の讃歌が始まる。
ゆったりとしたテンポで、感動の渦を巻き起こしながら、右左のスピーカーから、堂々とした圧倒的な旋律を押し出し、宙に舞っていく。

う〜ん。総体的に言うと、ギーレン盤は、じっくり聴く姿勢が必要だ。
しかし、最後まで通して聞くには、大変疲れて、最後の一音が消えると同時に、ほっとして解放された感じを味わった。はぁ〜っ!しんどっ。と、放心状態になっちゃった。
最初、テンポの設定は気になるが、じっくり〜っと練り込まれた演奏だと思うし、録音状態は良い。空気感のある広いホールで、残響を交えた立体的な演奏となっており、細部も緻密に描き込まれている。

で、その気になれば、緻密に描かれた細密画を、俯瞰したり、分け入ったりして音を楽しむことができるだろうと思う。しかし、聴き手にも、しっかりと、気力や胆力要求されるので、う〜ん。それなりに頑張って聴かないとダメかもしれない。流して聴くには不向きだし、流せない。
それでいて、どっぷり浸りきって、感情移入して聴けるタイプではないので、う〜ん。どうだろ。心を鷲づかみにして離さないって感じでもないし、昇天もさせてくれない。
ので〜この長大なシンフォニーを聴くには、ある意味、ちょっとツライかもしれません。

ワタシは、3度繰り返して聴いたが、首が、耳が、音に埋まりそうになり、アップアップ状態。
かなり緻密で、盛りだくさんなのと、ちょっと最後の圧迫感に押され気味。
天上へ昇天させられるというよりも、地獄絵図の細密画を、これでもか〜と見せられて、くらくら〜目眩を起こしました。って感じがする。
(ギーレン盤を聴いた直後の感想としては・・・という条件つきだが、)ちょっとノー天気風に、信じるモノは救われる式で、勢いに流れて聴いた方が、マシな楽曲かもしれないとも思っちゃったぐらいである。
う〜ん。ナマハンカなワタシにとっては、かなり息苦しくなる演奏だが、演奏家さんが、細部を 取り出して、繰り返し、聴くにはうってつけかもしれない。
細部を描く能力のすごさには、圧倒されました。
ハイ、とにかく、疲れました。ワタシは、しばらく復活できそうにもありません・・・。(バタリ・・・)
小澤征爾 サイトウ・キネン・オーケストラ 2000年
Seiji Ozawa  Saito Kinen Orchestra
ソプラノ:菅英三子
メゾ・ソプラノ:ナタリー・シュトゥッツマン Nathalie Stutzmann
晋友会合唱団

ねむうぅ・・・

ライブ盤(演奏後、拍手あり) 繊細で丁寧、美しい演奏だが、人間臭く突き抜けるような爆発的なパワーには不足している。
1楽章
小澤さんのサイトウ・キネン盤は、2000年の東京文化会館において録音されたライブ盤である。
歯切れの良い低弦の響きから始まる。テンポはゆったりめ。
ゴツイ図太い響きが、あまり無く、低弦のフレーズは細切れのように感じてしまうが、木管とヴァイオリンのフレーズは、レガート気味である。
畳みかける怒濤のような激しさや、えぐるような荒々しい感じは、初めはほとんど無く、几帳面とも思えちゃうほど一定のテンポを保っている。 しかし、速めにドンドンと進めちゃう展開部なんぞは、えっ〜っと思わせる。テンポ設定は、個性的で独特な感じだ。
ライブ盤にありがちな、熱いだけの演奏ではないし、みとごな鋼鉄のようなアンサンブルで、硬めの怖い印象を受ける。
で、高音域の弦の緊張感は感じるけれど、全体的に、響きの厚みが少ないようで、ちょっぴり薄口な味付けに聞こえちゃうところが、淡泊な感じを与えちゃうかも。
全体的にはテンポがゆったりしているので、もう少し、ぐいっと乗れる推進力があれば嬉しい のだが、腕力重視でもないし、しなやかでもなく、全体的には硬い緊張感に覆われている。
なにせテンポが、ワタシテキには適合せず、律儀すぎて、変な感じがする。
細かいフレーズの重ね合わせは、丁寧だし繊細。

2楽章
特に、この楽章は、繊細な弦の響きが表出されていて、これが美しい。ちょっぴり硬めの静寂感が漂ってきている。
フルートの音色も透明感が高く、弦のピチカートが添えられているところも、綺麗だ。
ただ、弦の刻みが際立っているのに、甘美な、とろり〜っとした感覚には乏しいため、独特の粘りが少なくて、人間臭い退廃的なムードが漂うというよりは、寂しげで悲しげな、虚無的な感じがしちゃう。
まあ、聴きようによっては、弦の透明感のあるフレーズに、ほろり〜っとさせられちゃうのだけど、心情的な表現というより、北欧的な空気感が漂う、ひんやり系の演奏。
ナチュラルさが勝った演奏だ。ティンパニーが随所に聞こえるし、ハープの刻む音などが、よく聞こえてくる。

3楽章
ティンパニーの硬い響きで、グロテスクなワルツが始まる。端正で、繊細な演奏だ。
木管の響きも良いし、みごとなアンサンブルだと思う。
ホント、ライブ盤とは思えないほど高い完成度だと思う。録音状態も極めて良いし・・・。
でも〜 なーんか楽しい演奏じゃないだなあ。妙にケチをつけているみたいで申し訳ないんだが、リズミカルな演奏でもなく、ホント、軽やかなブンチャチャ・・・を刻まれてしまってて、演奏としては申し分ないんだろうけど、ワクワク、 ドキドキ、白熱するようなエネルギーの放出が無いのである。
で、思い入れが出来ないままに、どんどんと楽章が進んでいくのだ。
粘っこく、やらしい〜までに、ねちっこくフレーズが揺れないところが、妙なところで。
美しいだけでは、う〜ん。綺麗なんだけどなあ。ホント、繊細で綺麗なんだけど〜 なんか、ひと味足らない、というか、妙な、嫌らしさ、毒気がすっかり抜けきってしまっているような気がする。
マーラーの独特の匂いが無くって、無味無臭っぽくなっているのだ。
怒りたければ怒れよぉ〜 泣きたかったら大泣きしろよぉ〜 と言いたくなっちゃう。

4楽章
弱々しいほどの優しさ。繊細さかなあ。
なんだか、繊細で抒情的な世界なのだが、霞がかった世界のなかで、仙人が歌っているような感じがする。大地の歌のような、虚無的な感じが全体を覆ってしまっている。
艶のある声ではあるけど、甘美ではない。

5楽章
出だしのテンポに推進力がないため、冒頭の炸裂したパワーが、すっーっと抜けてしまう。
綺麗なのだが、あきらかに炸裂パワー不足だ。
打楽器と金管が弱いのか、どどど〜っという、音圧というか気配が少ない。
頂点に至るまでのパワーと、その後の持続する音量が少なく、すぐに萎んでしまって、余韻が緩くなってしまっている。
緊張感が続かないというワケじゃないが、弱音の美しさはあるのだけど、ガツンと一発かましてくれるような、怒り炸裂パワーがないし、破綻するぐらいに行ってくれないと〜 これじゃーモノ足らない。
ティンパニーが硬くて小さいし、低弦の響きが、う〜ん、イマイチ拾えていないのかもしれない。
身振り手振りの大きな演奏ではなく、こぢんまりしていると言わざるを得ないかも。
そこそこに速度も上がるのだが、粘りが、ねちっこさが少ないんだろうか、大音量での音の広がりを、タメてくれてれば良かったのに。
弱音の時には、ものスゴイ長い余韻のタメがあるのに、爆発する時には、粘りと余韻が少ないのだ。
で、美しい演奏なのだが、美しいだけじゃーダメなのではないだろうか。この楽曲は。
大きな感情を抑えきれず、ぶつけてしまう。大きな感情の揺れが、揺れに揺れ、表出してしまう。
マグマ的なところが、ほとんど感じられない。
抑制することを美とする意識が少なからず働いたのかもしれないけど、この楽曲では、果たして良いのかどうか・・・かなり疑問。綺麗に美しくまとまって、抒情的に演奏されれているが、ワタシテキには、モノ足らない。
アンサンブルもみごとだし、文句のつけようのない演奏だと思うが、人間臭い活力あるパワーが無い。
ドロドロの濁った世界を通り、そこから這い上がってくるエネルギーを、芸術的に演出してくれていないように思うのだ。
この楽曲は、劇的で、パフォーマンス臭く、過程が語られている。
でも小澤さんの盤は、完成された美を、クローズアップした1枚の絵画を見ているような感じ。
エグミや嫌みな感情は除外されてて、大きなうねりのエモーショナルな世界は、避けてしまっているようにも思える。なので、達成感や高揚感を味わう頂点は、う〜ん。迎えられないような気がする。
エッシェンバッハ フィラデルフィア管弦楽団 2007年
Christoph Eschenbach  Philadelphia Orchestra
ソプラノ:シモーナ・サトゥロヴァ Simona Saturova
メゾソプラノ:イヴォンヌ・ナエフ Yvonne Naef

あれ〜変 だよ。


録音状態は良いのだが、1楽章は低弦ばかりが目立つ。感情移入できない、哲学的なマーラーで、演奏としては完全っぽいのだが、う〜ん。ワタシ的には、共感を感じなかったデス。ライブ盤 ラストに拍手入り。
1楽章
このエッシェンバッハ盤は、2007年、フィラデルフィア管弦楽団の本拠地ヴェリゾン・ホールでのライブ盤である。 一連のマーラーの演奏はSACDハイブリッド盤で発売されているのだが、何故か、この2番は、通常のCDである。
で、1楽章は、超低弦の響きが、ものすごく入っている。
冒頭、ギシっと悲鳴を上げるような弦の響きがあり、低弦が、「られっ られっ られぇ〜ら れどれ みどれ れっら しっそ らふぁ らっふぁ らっふぁ らっふぁ・・・」と弾いていく。
このコントラバスの響きは、良く聞こえるのだが、ホール全体で響くような感じで、ぼわ〜んとしている。
直接音というよりは、ホールの上部のマイクなんだろうか。奥行き感があるというよりは、球体のなかに放り込まれたような感じがした。聴き始めた当初は、イマイチ、ヌケが良くないような感じがし て、う〜ん。
聞き進むにつれて、馴れてきたというか、ライブの臨場感が伝わってくるようになったのだが、ちょっと変。

で、演奏は、テンポは遅め。
ヴァイオリンの音色が聞こえてはいるが、どうも、耳が、コントラバスの響きに気をとられてしまって。
主旋律より、コントラバスのフレーズに耳が行く。(笑)
「れどれみれどれ〜 れどれみれどれ〜 どしどれどしど〜 どしどれどしど〜」
ふ〜む。ずーっとこのフレーズを弾いているんだなあ。と、地味な役割のコントラバスさんを聴きつづける。
木管のフレーズが出てきて、「そぉ〜 らぁ〜し しっどぉ〜 そぉ〜らし しっれぇ〜 そぉ〜らし れっそふぁ〜」という金管パワーの勢いのある場面に展開しても、どーも、低弦の響きに押されて、主旋律である金管が目立たないのだ。
う〜ん。始終こんな感じで、なんとも暗くて、地底で蠢くような響きしか、マーラーには無いんかい。と言いたくなるような気分で、ウツウツとしてしまった。
フレーズが硬くて重たくて、平板な感じがする。
テンポの設定も、一定という感じがするし、音が、波打った感じで出てこない。
複層的にフレーズの絡んだところが、1本の筋が、浮いて聞こえてこないし、ティンパニーとか打楽器の響きに、せっかくの金管が埋もれて、うー。あんまり聞こえてこないです ねえ。
木管のすーっとした響きは、単独であれば聴けるんですけど、これだけの重量級の楽曲では、今鳴っている音に焦点をあててもらわないと、う〜ん。ちょっと 、聴きなれないとシンドイかも。
最後、少しは、推進力をあげて、テンポをあげてくるんだけど、音が前に出てこないっていうか。全体で、ごろごろごろ〜っという、ティンパニーのロールが前に出てきて おり、ぼわ〜んとした響きで、聴きたい旋律が埋もれたり浮かんだりを繰り返し、ワタシは、酸素不足の魚のようになってしまった。
う〜ん。1楽章だけで、もう、ヘトヘトになってしまいました。

2楽章
えー テンポ遅いっ。「みっ み〜れみふぁ み〜らっら らぁ〜そらし らぁ〜どっど」
「どみみ〜れど み〜しっし らど ど〜しら みっ」 あー このテンポで行くのか。
ちょっとクセがあるな〜と思いつつ、何度か聴いているうちに、このCDの録音状態に馴れてきたのだが、綺麗な旋律を丁寧に演奏しているし、ちょっぴり、とろみ感もあり甘美なのだが、どこか、平板な感じは否めない。
あんまりオーバーな演出をしていないため、そう感じるのかもしれないが、なーんか、弱音のなかで奏でられる音楽を聴いていると、精緻な模様を描く、黒く光るような、隠微な美意識って感じがするのだ。
どひゃー ゆるやかに、緻密に重ねて、弦の細かいフレーズを重ねに重ねて、まるで漆を塗っていくかのような作業をみているみたいで、う〜ん。濃密に重ねていくという、なんとも凝った、芸の細かさを感じるんだよなあ。とにかく 低弦の響きは、弦の細やかな動きなんぞ、すご〜く感じるし、細かいところをキチンと丁寧に描いてて、まるで細密画を見せられているかのような演奏なのだ。
いや〜 彫刻風っていうか、すごく立派な欄間を、1本のノミで、精緻に、立体的に彫っていく作業を見ているっていうか。いずれにしても、ひやぁぁぁ・・・
大雑把なワタシの感性は、悲鳴をあげそうになってくる。

3楽章
冒頭の、ティンパニーの音がすごくリアル。
「ドドンっ  どっそっ  どっそっ どっそっ どっふぁっみっ どっふぁっみっ どっふぁっみ・・・」
この楽章はエッシェンバッハさんの真骨頂でしょう。
隠微で、うねるような妖しい香りを、あたりイッパイに放ちながら、蠢き呻く。
「子供の不思議な角笛」のなかから、魚に説教する聖アントニウスが、引用されているのだが、まるで〜
謎めいてて、妖しい儀式を執り行っているかのような感じで(笑) 
ふわふわ〜っと、誘惑されちゃうような感じがするんだよなぁ。
ホント、とろみ感や甘美さ感じさせるフレーズもあり、なかなかに妖艶だ。
特に、低弦の響きと、弱音のなかの細かい弦の動きには、目を見張る(いや、耳なのだが)ものがある。
低弦のフォーカスは甘めだが、情報量の多い演奏となっているが、一種不思議な遠近感がある。
瞬間瞬間に、全ての音にバチっとフォーカスが合っているという感覚よりは、写真のように、確かに一点にピントは合っているが、他は、ぼやっとした感じに仕上がっているような、どこか独特のぼかしが入っているみたいで、 音楽というよりは、写真というか、絵画的な音像って感じがする。

4楽章
メゾ・ソプラノのイヴォンヌ・ナエフさんの美声が、ふわーっと出てくる。
柔らかさと、弱く暗く沈む音の響きがあって、すわーっと、明るく抜けてこないところが、独特の美意識って感じがする。で、人の声の響きが入ると、すごく広がり感が出てくる。
なんとも不思議な感じなのだが、フルートの音色とか、柔らかく暖かい響きが伝わってくる。
ただ〜 美しいなあ。とは思う仕上がりなのだが、感情の起伏っていう点では、なーんか伝わってくるものが少ないのだ。う〜ん。エモーショナルな演奏ではないのが、モノ足らないかなあ。

5楽章
冒頭、どどど〜っ シャーンっという銅鑼の響きがあるが、なーんか、破綻のない、完全演奏を目指しているかのような感じがする。音は凄いが、熱のない響きだけが伝わってきて、あーっ。モッタイナイ。
ライブ独特の臨場感というより、まるで完璧なセッションのようで、ちょっと驚いてしまう。
これはこれで、完璧アプローチなんだろうが、人が演奏しているような熱っぽさが、抜けてしまっている。
破綻のなさが、かえって、拍子抜けを生んでしまって、がっく。
グロテスクさは感じるものの、硬いし、こわばった完全さというか、哲学的で、人のエネルギーをあまり感じさせない演奏っていうか、考え込んでしまった、マーラーって感じがする。

ひとつには、テンポの設定なんだろうけどなあ。まるでカタツムリ状態で、動きが遅いんである。
結構、インテンポで、ところどころ畳むのだが、計算してますって感じが想定内だし。悩んで、カラダが、うずくような痛みとか、もうっ!って、爆発しちゃうような怒りは、ここには描かれていないように思う。
はぁ。なーんで、マーラーを演奏しているのか、ワタシ的にはよくわからない。
これが、エッシェンバッハさんの考えるマーラーなのだろうが、う〜ん。破綻を感じさせない、哲学的マーラーかぁ。いつもなら、行ききってしまうエネルギー爆発系、そして、上昇指向の強い演奏を聴いているからかもしれないが このエッシェンバッハ盤を聴いているうちに、 テンポの遅さに不覚にも寝てしまった。
(えぇ〜 2番で寝るかぁ。自分でびっくり)
でも、内声部まで聞こえる良い録音だし、1楽章は低弦の目立つ独特な録音だけど〜 最後になってくると録音に対する違和感は消滅しているし、メチャ立派なマーラーの演奏で、頭が下がる。
ワタシ的には、 テンポ遅めの演奏であることと、感情の起伏の少ない演奏で、あまり共感を感じない演奏となっているが、生で聴いていたら、また違った感想になっていたかもしれません。
CDで聴く分には、う〜ん。エッシェンバッハさんと、ワタシの相性も悪いのかなあ。あまり、感動が湧き起こる演奏ではありませんでした。とにかく聴いてて疲れました。
2番で疲れるなんて〜ワタシ的には信じられないんですけど(笑) スミマセン。
1962年 クレンペラー フィルハーモニア管弦楽団 EMI  
1969年 クーベリック バイエルン放送交響楽団 G  
1975年 メータ ウィーン・フィル Dec ★★★★★
1980年 テンシュテット 北ドイツ放送    
1980年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec ★★★★
1981年 テンシュテット ロンドン・フィル EMI  
1982年 クーベリック バイエルン放送交響楽団 ライブ アウディーナ  
1983年 スウィトナー シュターツカペレ・ベルリン DS  
1985年 シノーポリ フィルハーモニア管弦楽団  
1985年 インバル フランクフルト放送交響楽団 De ★★★
1986年 ラトル バーミンガム市交響楽団 EMI  
1986年 小澤征爾 ボストン交響楽団 Ph  
1987年 バーンスタイン ニューヨーク・フィル ★★★
1991年 ベルティーニ ケルン放送交響楽団 EMI ★★★★
1992年 ブロムシュテット サンフランシスコ交響楽団 Dec ★★★★★
1992年 アバド ウィーン・フィル  
1993年 ハイティンク ベルリン・フィル Ph  
1993年 デ・ワールト オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団 ★★★
1996年 ギーレン 南西ドイツ放送交響楽団 Hns ★★★★★
2000年 小澤征爾 サイトウ・キネン・オーケストラ SC ★★★
2001年 シャイー コンセルトヘボウ Dec  
2005年 ブーレーズ ウィーン・フィル  
2007年 エッシェンバッハ フィラデルフィア管弦楽団 ONDINE ★★★★
所有盤を整理中です。

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