「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

マーラー 交響曲第7番
Mahler: Symphony No.7


クーベリック バイエルン放送交響楽団 1971年
Rafael Kubelik  Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
(Bavarian Radio Symphony Orchestra)



録音状態は まずまず。大音量で、ジャン〜っとなる場面では、腰砕けで貧相な感じは免れないのだが、中間楽章の表情の豊かさには、う〜ん。さすがだと唸ってしまった。マーラーの交響曲が、流行る以前の演奏で〜 録音してくれただけも感謝です。他にも、1976年のライブ盤(Audite原盤)がある。
1楽章
テナーホルンの「そそぉ〜みらぁ〜 どみそ ふぁそらぁ〜ふぁれし〜」
「らら〜そらふぁ し ど〜みそど〜 しどれ〜 どしれ〜 どらふぁ〜」
結構テンポよく進み、淡々としている。テナーホルンの音色は、甘い音色ではないが太めの音でたっぷりと入っている。
弦の擦れと木管のフレーズが、ちょっと硬めのフレーズを描き、不安定さが出ている。
全体的には、サクサクと動いており、淡々と行進曲風のフレーズを進んでいく。
録音状態は、ちょっと硬めに聞こえるが、録音された時代を考えると、う〜ん。すごく綺麗に録音されていると思う。
金管に比べると、ちょっと弦の響きが、タップリ感に欠けているので、惜しいかなあ。

だが、中音域の弦が、あまり甘く歌ってくれないのである。
弦フレーズの膨らみ感が少なめで、すっきりしているのだけど、何か足らないような〜 とろみ感というか、ノビというか、直線的すぎるのかもしれないし、音の密度が低いというか。 なんだか、音が詰まってないような気がする。
フレージングの絡み感が、少し足らないような気がするのだ。
あと、ティンパニーの音が小さく、威圧感や切迫感が、ちょっと少ないのが気になる。
結構、奥行き感はあるのになあ。よく聞こえる音と、届かない音が混在しているのかなあ。高い音がたっぷりめに聞こえないのは、ちょっとツライかも。
また、金管の響きや弦の響き、木管の響きが、どうも直線的に聞こえちゃうので、外に広がっていかないような、世界が小さく感じてしまった。ハープが奏でられて、柔らかいフレーズに変わるところが、ちょっと息があがってしまったように、高い音が苦しく聞こえ、どうも首の絞まった感じがする。
不気味さとか怪しげな雰囲気は、まずまず感じるが、テナーホルンのソロが、もう少しチャーミングに吹いてくれていれば〜 嬉しいのだが、ちょっと魅力に欠けちゃうんだよなあ。

2楽章
「られふぁら れっしらぁ〜 れっふぁら〜 れっしらぁ〜 れられ〜」
「れっしら〜 らしれ〜 られみぃ〜 れ〜 られみぃ〜 られみ られみ・・・」
この楽章は、木管が大活躍するのだが、その点は、このオケの音色は良くって〜 渋いんだけど〜 まろやかで、細やかさがあって、すごくデリケートな色気が感じられる。
ホルンの二重奏も、弦も、ここでは甘く、生暖かい音色に包まれており、う〜ん、緩やかに緊張のある不思議な雰囲気が出ている。 この楽章は巧いよね。
中間音域の緩やかに、曲線を描いて膨らみ、すぼみ〜 歌謡風に歌う。
「どふぁ そぉ〜ふぁ れふぁそぉ〜ふぁ」 もう少しクラリネットが、粘っこく吹いてくれても、前面に出てきても良いかなあ。とは思うが、靄がかかっている世界のなかで、遠くから角笛が吹かれている、という描写が巧いと思う。
まっ 夜っていうよりは、どことなく、朝方に雰囲気が感じられるんですけど〜
1楽章とは異なり、もわ〜っとした、ぼんやり〜とした、空気感が出ていて、迷い込んでしまった迷路で、うろうろしているような〜 ちょいと不安げな、線をクッキリ描くのではなく、ワザとモワモワ〜 ゆらゆら〜としているので、不安で迷いそうな心情が出てくる。
「 ん パラパラ ラッタタ」という、ホルンのフレーズのうえに、弦の心許ない、ぐら〜っとしたフレージングが面白い。

3楽章
割れた太鼓のような音が鳴り出して〜 「ん みっふぁ ん みっふぁ っそらっ っそらっ みっふぁふぁっ」 
ブンチャッチャ ブンチャッチャ〜 
「し〜ら しっし〜ら〜 し〜  ど〜し どっれどしら どぉ〜 らっらそ らっらそ ら〜」
ティンパニーの音が不気味で、擦れた弦が、気味が悪い。
クーベリック盤は、この楽章の冒頭の不気味さがあり、割れ音っぽさがある。弦の擦れ、ブンチャッチャと奏でる低弦の音も大きいし、ツーンっとした音が、始終聞こえる。
テンポは一応、普通っぽいのだが、ところどころブレーキがかかり、音の出し方が、面白い。
三拍子特有の長さとアクセントがあるからだろうか、ちょっと、ばらけて聞こえてくる音の聞こえ方だろうか。フレーズとして、まとまりの悪さが、滑稽さや、不思議さ、面白さに変わるからだろうか。
グロテスクさが出ているというより、 蝶番がはずれたような、ギクシャク感がある。
「どっふぁ〜 どっふぁ〜」という合いの手を入れてくるチューバの音が、飛びでてくるし・・・  キャッキャッキャーっと叫ぶ声が聞こえてくるし、 なかなか、この楽章は、マジメなクーベリック盤の〜 意外や意外な表情が見られる。グッドっ!
いやいや、この楽章は、ヒットですねえ。
不気味な、お化けや妖怪や、ワケのわからない魑魅魍魎が飛び交う情景というよりは、どこか、チョウツガイのはずれた、足の長いオジチャンが、ガクガク、ひょこひょこ・・・ 夜道を歩いているみたいな感じで、まあ、ちょっと笑えるんだけど。
生暖かい空気感というレアさではなく、どことなく、可愛い漫画チックさを感じる。

4楽章
秋の風景のようにヴァイオリンの物悲しい旋律から始まる。 木管の柔らかい響きが重なり、ハープの音色と共に、穏やかな楽章を形成する。 クーベリック盤は、しっとりとした、暖かみを感じさせる演奏になっている。
「そっそ ら〜 らっら し れ〜どし れ〜どし そふぁみふぁ し〜らそし〜」
豊かな息づかいがあり、ふわっと、暖かく、風のように、そっ〜っと吹かれてくるような気配があるし、ヴァイオリンのソロが表情豊かだ。
淡々と、そつなく、余計なモノがないように感じるんだけど、なかなかに、じんわり〜っと暖かい。
それに、ぼんやりしそうな、緩い楽章を引き締めているみたいだ。隈取りヴァイオリン、隈取り木管ってところか。
ホルンが流れてくると、少し森っぽく、草原から森林地帯の雰囲気が出てくるのだが、ほんわかした暖かみのある、人の気配のするバイエルンの木管が好きだし〜 木質的で、人肌の感じられる演奏だ。
童話の世界のなかに、迷い込んだような素敵な風景が広がっている。

5楽章
いきなりティンパニーが叩かれ、「そっそ そっどそ そっそ そっどそ」
「どっそ どっそ れっれそ れっれそ・・・」
ハチャメチャぶりが出ていて、金管が、甲高く、音を外しながら、狂気の歓喜状態を描く。
「どぉ〜そ〜どぉ〜 みそど みどし〜らそ〜 ふぁ み〜そみど〜 どしら そ〜ふぁ みそらど し〜」
うへっ。この冒頭のフレーズは、崩壊しとるわい。このフレーズ、金管がメチャ下手くそ。
トランペットが、音を外しているのか、きちんと、節回しが出来てないのか〜 う〜ん。テンポが速くてついていけなかったのかなあ。
イチバン格好の良い筈の「どっ れっし どっら しっそ れみふぁ そらふぁ そみっ〜 ふぁっ」というフレーズが壊れている。
う〜ん。祝祭的なムード満点の格好良さが、ちょいとマズイ。
崩壊した神殿への凱旋行進しているみたいになっちゃっている。まあ、気宇壮大で、野蛮さもあり、グロテスクな雰囲気もするのだが、力不足なのか。少し惜しい感じがする。

その反面、ハチャメチャぶり満載のフレーズより、柔らかい旋律の組み合わせの場面では、室内楽のように優しく、フレーズを重ねてくるところの情緒感は感じられる。 まあ。この楽章に限って言えば、金管の能力次第ってところで〜
ティンパニーも、大活躍しているが、「どっそ どぉ〜 そみっれ どぉ〜」という推進力、カウベルが、ガシャガシャガシャ〜
今でこそ、マーラーの録音盤は多いんですけど、70年初頭だと、マーラーの曲を録音していたレコードは、まだまだ少なかったですもんね〜  ハイ、70年で、これだけ頑張って演奏してくれていたんだと・・・。感謝しちゃいます。

総体的には、中間楽章は聴きどころ満載で良いです。
録音状態については、レンジ幅が、もう少しあれば嬉しいのですが〜。ちょっと硬めで、ところどころ、ホール感が欠けて、飛び出してくる音があるが〜 それでも70年でこの録音であれば凄いかなと。まあ、マジメな演奏ですが、この時代では、精一杯だったかも。それにしても、 リマスタリング盤って、出てないのかしらん?

テンシュテット ロンドン交響楽団 1980年
Klaus Tennstedt  London Symphony Orchestra

いかすぜっ ←個人的には好きなアプローチだけど  これもありかっ ← 録音状態

録音状態は、とっても残念な状態だ。あまりよろしくない。もわっとしてて霞がかかっている。演奏は悪魔的囁きがあり、躁鬱傾向でもあり、スピード感やリズム感は、やっぱり面白く聴ける。でも、これから聴こうという方は、やめておいたほうがよろしいかと思います。
カップリング:マーラー交響曲全集 11枚組BOX
1楽章
録音状態は、あまりよろしくない。
冒頭の テナーホルンの「そそぉ〜みらぁ〜 どみそ ふぁそらぁ〜 ふぁれし〜」というフレーズも音が下がるというか、甘さも少なめで、気のない返事をしているかのように、音が落ちていく。
しかし、行進曲風の主題は、やっぱ音を軋ませながら、テンポ良く奏でているし、ほほぉ〜 やっぱ、ダークな、闇夜の世界を描かせたら一級品だな。と思わせる演奏だ。
金管の音は、まろやかさなんぞ不要っとばかりに、悲鳴のような甲高い音を、しゅるしゅるっと出してくる。
弦も、かすれてて〜 ちょうど良いぐらいに、乾いた録音のなかを、カシカシした音で主張してくる。

テンポも自在に操っており、タメ感もあるし、ぐぐっと圧をかけたり、緩めたり、急発進してみたり〜 主題によっては、圧に抵抗して、ずーっと抵抗して、力尽きたかのように、ぷしゅん。と空気が弾けて〜 そこから、あきらめ感が漂うというか、虚脱感みたいなモノが、音から感じられる。
そうとうに疲れてますねぇ〜というような雰囲気が出てくるのだが、主題が変わって、行進曲が鳴り響くと、さあ〜 頑張るぞっ。と、パワーを充電していくのである。アハハ〜 これでは、躁鬱傾向にあると言えるなぁ。
楽章の最後は、さすがに、天井的雰囲気を醸し出してくるが、矢折れて・・・という感じであるが、ためにためて〜それが嫌らしくならない程度に、精一杯歌い上げて、トゥッティまで持ってくるところのスピード感や、リズム感、テンポ感は、さすがだな〜って思う。

2楽章
「そ ど み そ どっ らそぉぉ〜ぉぉ〜  どみそそそ どっら そぉ〜ぉぉ〜 
「どぉ らそぉ〜ぉぉ〜  どそ〜 どぉ そどれぇ〜 どぉ  そぉ〜 そどれぇ〜」
ここのホルンとクラリネット、コーラングレのフレーズは、他盤の方が、ダントツに美しく、惚れ惚れするような美音で吹かれているのだが、テンシュテット盤では、はあ。美音とは、ほど遠いのだが、それなりに〜
音の、うおんうおん うぉん うぉんと、音だしの威力が感じられる。
スピードは遅めで、うねっとした感覚で、どこかもわっとした空気感で、ただし、奥から響いてくる音の雰囲気は、しっかり感じられるが、風呂場風の録音であり、もやっとしてて〜 また、そこにテンポ遅めで、湿気がすごい充満してくる。
ティンパニーの音も、低弦の響きも緩めで、そのうちに、気怠さが充満してきて、退廃的というか、カラダの切れが悪く肥満して、モノグサ的に、動きたくないっ。としているようだ。動きが悪い。
しかし、主題が、牧歌的な歌謡風フレーズになると、いやいや〜 爽快さを求めようとする空気に、入れ替わってくる。

3楽章
ティンパニーの音も、もわっとしてて締まりがない。木管のフレーズが、バラバラに聞こえて、まとまりのない表現になっているものの、ひぃ〜っという人の悲鳴も似た音も聞こえて来るので面白い。
リズム感も、アクセントも鋭く、なかなかに面白い。
「みふぁそふぁ〜 みふぁそふぁ〜 みふぁそふぁ〜」
「し〜ら しっし〜ら〜 し〜  ど〜し どっれどしら どぉ〜 らっらそ らっらそ ら〜」と、奏でられ〜  ブンチャッチャ〜というフレーズが刻まれ、奇妙に、裏返るような声でヴァイオリンのフレーズが入っていくし。
この面白い演奏の雰囲気は、テンシュテットさんから始まったのかも・・・と、ウキウキして楽しんでしまった。

「ぼん ばぁ〜ん ぼん ばぁ〜ん」と鳴る太い金管の音も、かなりの雰囲気があるし、弦の舞踏会のようなフレーズに繋がっていく。まるで、シンデレラに告げる真夜中の時計みたいなモンで〜夜中0時の合図、振り子時計なのだ。
真夜中に始まる、ワルプルギスの夜〜 そう、さしずめ、悪魔たちの夜会なのである。
滑り落ちるような、たらん たらん という弦のフレーズが歌い始め、生暖かい空気感が、なんとも言えず〜
鳥の鳴き声が、奥まったところから流れてきたり、あまり整理されすぎず、音の膨らませ方、滑らせ方・・・ そして、旋律よりも背景にあたる音の、ぼわん ぼわん と、ぼんやりした響きが、効果的なのかもしれない。
整理されすぎず、まとまりのなさが、魑魅魍魎という雰囲気を出して〜良いのかもしれないが、もう少し、低音の響きとか、ゴリゴリ感というか、厚みのある響きが欲しい感じ。
しかし、あーっ なんたって録音状態がイマイチなのだっ! もっと見通しの良いフレーズであって欲しいし、夜会は、しだいに眠けを催してくるのである。 最後に硬めのティンパニーが一発入る。

4楽章
優しいフレーズで気持ちは良い、秋の夜長のある日・・・という感じで物語が始まる。
同時に眠気が襲ってくる感じだが、弦の響きの柔らかさを活かして、歌謡風に歌うところはさすがだ。
ホルンや木管の柔らかさいっぱいの音が広がって、録音の悪さを一瞬忘れさせてくれる一面も。
旋律を歌わせているが、この曲の売りでもある マンドリンやギターの音は、鳴っていたのかしらん・・・ ん?

5楽章
最終楽章は、猛烈な速さから入ってくる。おおっ さすが。本領発揮という楽章だ。
低弦の弾きの力強い、パワーあふれる演奏で、霞がかかってはいるものの金管のフレージングも明確で、キンキン言うぐらいに吹かせている。
レールの上で、火花をあげて車輪が軋んでいるかのような、そんなスパークするような姿で〜 きーっと、見得を切って、雄叫びをあげて走って行く。

主題によって、ころっと姿を変えて、まろやかに金管を歌わせ、華やかに祝杯をあげている姿に変貌したり〜
そんなエグい演奏でもないし、狂乱的でも暴力的な演奏でもないし、ほんと通常って範疇だと思う。でも。芸は達者である。ちゃんとメリハリはついているし、なんたってスピード感が速いっ。速いっ〜 アクセルもぐいっと踏み込んで、チャンチャカ チャンチャカ・・・ 急発進。急ブレーキ。
タメ感もあるし、ぐわーんっと派手に銅鑼は入るし、理屈抜きに、底抜け的に、バカ騒ぎを楽しめるってところが、もしかしたら楽しい要素なんでしょうけど〜。音量をあげて、大げさな、大きな身振りで演技をするような感じで、シャンシャン ジャンジャン、パンパカパーンっ!と、花火を打ち上げているが、そこを拝見するのは楽しい。
カウベルも、打ち鳴らされて、派手に主題を廻していく。
聴いていると、テンデバラバラで、脳みそのなかが、ぷっつん・・・どこか、切れているみたいに思うのではないだろうか。

総体的には、録音状態が良くないことと、精緻な演奏ではないこと。音のバランスも、あまり良くないし、音が外してるやん〜っという場面もあり、拙いと言えば拙いし、他盤のように美しくまとまっているわけでもない。
でも〜 テンシュテットさんでなければ成し得ない演奏って感じだ。
もちろん、個人的な感想だが、このアプローチは好きだ。
人のずるさや嫌らしさが、露呈しているかのような、メフィストフェレスや悪魔の誘いなどが、入れ替わり、立ち替わり、誘惑しに訪れる世界である。
7番に限って言えば、93年の超弩級のライブ盤があるので、このCDは、かすんでしまった演奏なのだけど・・・。
先般、ちょっとぬるめの演奏を聴いたところだったので、あーっ やっぱり、テンシュテットさまの演奏を、お聴きしたい。
これはお出ましいただかなくては〜と思ってしまったのだ。(笑)

マーラーの交響曲の6番・7番は、とっつきづらい、超わかりづらい、晦渋な曲想だ。
主題がバラバラで、一筋縄にいかないし、耽溺していたと思えば突然覚醒し、天上に昇っていたと思ったら、冷えたクレパスに、いきなり突き落とされた感じになる。
悪魔の囁きというか、歪な心理で、ある意味魂を売ったかのような、ダークなサイドに行かないと見えてこないような世界でもあるように思う。(思うだけ・・・ だって。実際に行ったことがないので論証できない。笑)
まあ、メフィストフェレスが、入り込んで来るような〜 心理世界なのだろうと思う。
このCDは、最初の1枚目、いや10枚目ぐらいでも〜 まあ、お薦めはしませんね。

アバド シカゴ交響楽団 1984年
Claudio Abbado  Chicago Symphony Orchestra

これもありかっ

録音状態は良い。1楽章はエレガントで上品で良いのだが、曲が進むにつれて、なんだか、ちょっと違うんじゃーないかしらんとは思うのだが。
いつまでも、健康体で明るくって、屈託がない。安全に、毒抜きされたかのような演奏で、楽天的に盛り上がって終わるのも、はあ。
確かに、精神状態には良いけれど・・・。
1楽章
「そそぉ〜 みらぁ〜 どみそ ふぁそらぁ〜 ふぁれし〜」早口にテノールホルンが、滑り落ちるように奏でて曲が始まる。
録音状態も良いし、ダイナミックに演奏されており、ちょっと信じられないほどに〜
行進曲風のフレーズも、これがシカゴ響かと思うほど、上品でエレガントな美音で彩られている。
ホルンの音色も柔らかく前面に出ており、金管の鳴りかたも柔らかく、残響も適度に奥行きも深く、たっぷりしている。
ほほぉ〜 ホール感の豊かな84年の録音とは思えないほど。
怒濤のようななかの金属音とかも、綺麗に入っているし、いったん静まった後の、金管の小さなファンファーレの音も、奥まったところから、ほのかに聞こえてくるので、かなり生に近い感覚があって、聴き応えあり。

主題が、何を意味しているのか、ちょっとわかりづらいほど、異質なモノと浄化されたモノが、複雑に絡むというか、天上的なフレーズが突然、降って降りてくるようなシーンが登場したりする。
ハープが、ぱらぱらぱら〜っと弾かれると、あらら〜 ここはどこ?ワタシは誰?って感じであるが、アバド盤は、そんな不安を完全に払拭するかのように美音で奏でていく。
難しいというか、晦渋というか、とっつきづらさは〜 安定していない心理状態だろうか。
豪華なトロンボーンの響きが、歓喜を表すのか不安に落とすのか、ちょっとワカラナイ 一瞬の間合いがある。
ふっと、足元の音が抜け落ちるかのような間があって、その間合いが怖いと感じるところがある。
しかし、アバド盤は美音で、それを覆い隠そうとしているかのように、甘い音で、不安を払拭し、高揚させるかのような歩みを進めて行く。

淡々としたマーチングではなく、意図した甘さがある。そんな感じがする。いや、ホントに意図的なんだろうか。
う〜ん 1楽章はなんとも美音が彩られており、これが、3楽章にどう対比していくのか、ちょっと怖い気がする。
健康的、天上の世界を、この1楽章に存分に描き切ってしまったような〜 う〜ん。
まるで交響曲第4番のような、健康的な天上さがあって、う〜ん。
まあ、とりあえず、シカゴ響のブラスが、ホント綺麗に、まろやかに後光のように光輝いているところが、大変すばらしいっ。
へぇ〜 シカゴ響も、これほどシルキーな音が奏でられるんですねえ〜 惚れ惚れっ。
多彩な弦のなかの木管の煌めき、弦の後ろの金管、このバランスが良く、綺麗に、多層的に聞こえてくるところが、とっても嬉しい。

2楽章
「らぁ〜れ〜ふぁ〜 らぁ〜 れっしらぁぁ〜」「れぇ〜られぇ〜  られみぃぃ〜 」
黒い森のなかで木霊を聴いているかのような、不思議な永遠的な響きが続く。ホルンの音色がとっても優美で、
「少年の魔法の角笛」のなかにある、歩哨の夜の歌 と、続く行進曲風の主題、チェロで奏でられる主題
「らぁ〜れ〜ふぁ〜 ら れっしらぁ〜」
記憶の底から、ふつふつと蘇るかのような主題が、ちょっと不気味でもあるけれど〜 アバド盤で聴くと、和らぎのようにも思えてくるし、舞台裏から聞こえてくる金管やカウベルの音が、すごく綺麗で〜 ほほ ほぉ〜 まるで舞台を見ているかのような錯覚に陥ってしまうほど。
すごいっ すごいっ 「られふぁ られふぁ・・・ 」っと、遠くから何かが飛来してくるかのような、音の出方というか、音の近づき方という感じで、とってもリアル。
音場のクリアーさといい、回ってくる残響の広がり方も、とっても美しい。これだけ聴いても、聴き応えはあると思う。
「ど ふぁ そぉ〜ふぁ れ ふぁ そぉ〜ふぁ」 メルヘンティックという感じはあまりしないけれど、夢見心地な雰囲気があり、素朴でもあり、とってもしている。夢のなかで、牧歌的なシーンと、悪魔的な怖いシーンとが入れ替わり立ち替わり登場しているかのような楽章だが、アバド盤では、わりと健康的に、優美に描かれている。

3楽章
いよいよ〜 悪魔的なスケルツォが始まるが、あまり軋まない。
「しぃ〜ら しっしぃ〜ら〜 しぃ〜  どぉ〜し どっれどしら どぉ〜 らっらそ らっらそ らぁ〜」
オーボエの音は悪魔的というか、不気味さが足らないというか、完全に優美な感じで、美しい女性が枕元に立っているという感じで、まさしくエレガントっ。
テンポは揺れてはいるが、滑るような弦がヴァイオリンの音色も美しいままだし、3拍子夢をみつつ踊れる感じはあるし〜
ティンパニーの音が、遠めに叩かれており、優美な弦が、絡んでいる。
ごっつい金管が。なんとなく遠くから、ぶぉ〜 ぶぉ〜と鳴り始めたら、シンデレラのように焦って帰らなければ〜という心境にはなるものの、う〜ん。相変わらず、美しい舞踏会は続いている。って感じだ。
優美で、健康的で、魑魅魍魎という世界よりも、明るく開放感もあるような感じで奏でられており、むしろ楽しそうだ。

4楽章
セレナードのような雰囲気を持つ楽章だし、中音域の弦の響きと、クラリネットのほろほろ鳥が鳴いているような感じ出始まるのだが、穏やかで、ほんわか〜している。
オーボエの木管の声が豊かに響き、柔らかな弦のハーモニーが、ふわっとした甘い風のそよぎのように奏でる。
マンドリンの音色が、う〜ん はじめ聞き分けられなかったけれど、高音域でパラパラパラ〜っと奏でている。
ギターやマンドリン、チェロ、ホルンの優しいフレーズだ。フレーズが断片的に流れて行く。

5楽章
唐突にティンパニーが、「パンパラ パンパン パンパラ パン パンパン・・・」
「れぇ〜らぁ〜れぇ〜 みそど ふぁ どぉ しぃ〜らそぉ〜」
ちょっと、前のめりに音砕けして、ミスしたみたいに、合ってないような感じがするが、響き自体は、 祝祭的なファンファーレの雰囲気があって、やっぱりスマートで、光輝く感じである。
弦の弾きも強いし、リズミカルでメリハリが強い。
強奏した後、さっと音の引く場面や、主題の入れ替わりのめまぐるしさもあるが、ファンファーレの主題が、嫌がらせみたいに出てくる曲だし、 節操のなさを露呈しているかのような、錯綜してくる楽章だ。
アバド盤で聴くと、端正な感じがする。というか、木管の美しい主題の方を、まったりと演奏しているが、強いところと優しいところのコントラストがはっきりしており、最初の主題に戻ると、ティンパニーや金管がスケールアップして強烈度を増してくる。で、最後に近づくにつれて、 なんだか、まるでギリシャ神話の劇を見ているというか、古代ローマ史を題材にした映画音楽のような感じに。
まるで、グラディエーター、剣闘士が登場っ。って感じのテーマ音楽みたいで〜。
う〜ん。ちょっと笑えてしまった。違うんじゃーないの?

1楽章は確かに美音で、美しいし、交響曲第4番のような天上的なシーンも多いので嬉しかったのだが、3楽章になると、さすがに・・・違うんじゃーないかなあ、と思いはじめて〜
なんて屈託のない楽天的な演奏なのだろうと、驚いてしまった。
アバド盤で聴くと、美音で、明るくて健康的で娯楽的に最後はなってしまって、ダークサイドや深淵は見えてこない。
この曲は、主題が短めで、ものすごく、めまぐるしく、入れ替わりの激しい曲である。 そのためか、心理的に不安になって、何を聴いているのか。わからなくなってくるところに面白さがあり、合わせ鏡のように、別の世界が存在して、そこに、毒が含まれているかのように、ワタシは思っているんだけど〜
どうもその要素は抜けてて、安全に、毒抜きされたかのような演奏にも思える。楽天的に盛り上がって終わるのも、確かに、精神状態には良いんですけどね。
はあ? それで良いのやら〜 違うんじゃーないのかなあ。と、ワタシは思うんですけどねえ。
屈託のない方に申してみても、こればっかりは〜 ワカラナイものはワカラナイと思うけど。

ベルティーニ ケルン放送交響楽団 1990年
Gary Bertini  WDR Sinfonieorchester Köln
(WDR Sinfonieorchester)

昇天しちゃいました


録音状態は良い。ライブ盤 1楽章なんぞ、フレージングの曲線美にうっとり〜かなりの絶品だが、魔界の3楽章は、おどろおどろしさの形はないし、5楽章は羽目を外しては演奏してくれない。しかし、これだけ理想郷のような世界を緻密に描かれていると、う〜ん。これは美しいとしか言えないかも。
第1楽章
ライブ盤なのだが、序奏の部分の弦の響きも綺麗に入っているし、録音状態は良い。
クラリネットと絡むテナーホルンの響きも、まずまず。もう少し甘めで、たらん〜としている方がワタシ好みだが、少し淡泊だ。行進曲風の主題に入っても、さほどスピードは上がらず、タンタン タ タン・・・と、テンポはゆったりめ。
文字どおり、タンタンと、淡々と進む。
う〜ん 少し鈍くて、金管や弦のシュルシュル・・・という動きは綺麗だが、切れ良く加速していくという風ではない。
弦の細やかな動きが、とても綺麗に感じられて、ひとことで言うと、とても繊細っ。
タタン タ タ〜ンっ というフレーズも、他盤の紋切り調さながら、語尾の最後が、怖いようにバンっと響くような着地ではなく、ベルティーニ盤は、柔らかく持ち上がって、語尾も柔らかく、ふわっと、まろやかな着地をするのだ。
弦のふんわり感が、最大の持ち味なのである。

奥のほうから、打楽器のタムタムなのか、木魚風のパーカッションの音もよく聞こえる。金管も、力強く咆吼するのではなく、「どぉ〜 どぉ〜れみど〜 れみど〜」というフレーズや、細かいトランペットのファンファーレの音が柔らかい。
柔らかいだけではなく、きちんと音が受け継がれているし、見通し良く、耳を傾けさせる、ふっとした間合い。
フレーズのなかの間合いが、嬉しい指揮者である。
木管と金管の役割分担が、きっちりと、互いの音を聞き、互いに尊重しているかのように、響き合うという感じ。
フレージングの巧さというのか。聴いている人の感じる間合いを、時間を与えつつ、音楽進行していくような〜 夢を与え脳みそで、音楽を咀嚼する時間があるので、この人の振る音楽は、きっと。エロティックで、耽美的だと言われるのではないかと思う。
そのうちに、歌い方が、尋常でないぐらいに、曲線美で盛り上がってくる。
どろどろに甘いのではなく、うっすらと甘く、テカテカしてないくせに、美しいと感じさせるのは、ひとえに弦だろう〜
奥行きのある、妖艶を感じさせる、急発進急ブレーキではない、総体的に、ゆったり感のあるタメ感だ。
この7番の1楽章は、弦の柔らかさ、木管の色気が十分に感じられるので、こういう耽美派は、腕の鳴るところかも。
後半の行進曲風主題のところでは、テンポをあげて走って行くが〜 金切り声をあげて走るのではなく、あくまでも上品だ。でも、綺麗に高音域の鳴り物、フルートなどが入っている。

2楽章
ホルンの響きが、とっても良い。呼応するところと、残響の美しさ。倍音の美しさ。クラリネットの甘く太い声と絡むところ。
嬉しいのが、木管群の音色の美しさと、それぞれが共鳴しているのが、手にとるように見えること。
音が見えるというのは変だけど〜
打楽器の動きも、見えるかのようだし、弦の響きも見通しが良く、柔らかく、まろやかに響いているのが見えること。
これだけ、それぞれのパーツの動きが見えるように聞こえてくるのは、嬉しいんじゃーないだろうか。
ワタシ的には、超喜んじゃうなあ。波打ち際のように音が、はしゃいでいるというか、音がさざ波のように押してくるというか、気持ちの良い、ふわっとした空気感に包まれるような、幻想的な雰囲気がある。

行進曲風の主題も、まろやかで、旋律の曲線的な揺れが心地よく響く。
ティンパニーの響きも柔らかく、小声で、囁くように各楽器が、音を出している。
これだけ、いろんな楽器が、この部分で動いているとは、ベルティーニ盤を聴くまで知らなかった。へぇ〜
歌謡風フレーズでは、チェロが、さりげなくフレーズに参加してくるし、音の置き方、出し方が、ホント繊細で、そろっと入ってくるようで、すごく自然なのだ。かなりうっとりとして聞き惚れてしまった。

「どどみそ どっら そぉ〜 どどみそ・・・」 木霊のようにホルンが響くところも、音量が適切というか〜 
旋律がかぶってくるところも、この重なり具合、重ね具合というのが、巧いというか、う〜ん。
それぞれ、弦、木管、金管の部分が、綺麗に分離されてて混濁しないのが、すごいなあ〜と思うし、旋律がよくわかる。音のクリアーさと、フレージングの入りと、終わりかたのセンテンスが綺麗にわかるというか、そのくせ、それぞれは、当然重なるわけで〜 
音の出入りがクリアーというか、情報量も多いのだが、すごく整理されている。音を聞き分ける必要がなく、音が、音が届けられる〜って感じだ。すげっ すごすぎる。(ちょっと興奮気味)
がなりたてる音でなくでも、適度な音量で、きちんと聞き分けられるのは大変嬉しい。

3楽章
ティンパニーの音や、金管の短いパッセージで、ブンチャチャ・・・と、人の悲鳴が木霊する。
ベルティーニ盤では、奇妙な、生暖かい空気ではなく、ちょっぴりひんやり気味の、魑魅魍魎の舞踏会風って感じだ。
透明度の高い演奏という感じなので、真夏の夜という、肝試し風ではないが、楽天的、健康的っというところまではいかず、中庸的だ。もう少し粘りがあって、ぅ〜ん チャチャ・・・と、前で引きずる感覚が欲しいかなあ。
悲痛さとか、妖艶さとか、怪しげな感じが欲しいところだ。
3楽章に関しては、怖いもの見たさのような、ちょっと、悪魔的な雰囲気が欲しいのだが、その点は、モノ足らない。
綺麗なフレーズが連なってはいるが、ここは、ドグマのように底知れぬ・・・というところが欲しいかなあ。

4楽章
ここは、最大限に牧歌的で〜 これまた美しい風景が、すわーっと広がってくる。
さきほどの3楽章が、もっとエグい演奏だったら、その対比の極端さに絶句することだろうけど、その点、2楽章の続きという感じだ。じゃー 3楽章は、なんだったの? ってことになるんだろうけど、まあ。悪夢でしょうか。
で、この楽章では、弦の細かいフレーズや、特に、木管群の細かなフレーズが、多彩に聞こえて、ほほぉ〜
やっぱ情報量の多い演奏だと、ライブ盤だということを忘れて聞き惚れてしまえるほど。
木々の間を、すーっと見通しよく見えて、気持ち良さ、美しい。
歌謡風の主題は、もちろん良く歌うし、揺れながら、伸びやかで〜 なんて巧いんだろうと、また惚れ惚れ。
優美さも兼ね備えているし、美音だと思うなあ。
ワタシ的には、この4楽章は、他盤で聴くと、その良さが、さっぱりわからず〜 蛇足的な楽章だと思っていたぐらいなのだ。アバド盤でも、確かに綺麗ではあるのだが、クラリネットのほろほろ鳥は綺麗だったけど、うっとり〜とまでは至らず。
テンシュテット盤だと、はあ? ラトル盤で聴くと、まるで場末の居酒屋風という感想だったし(← なんということを書いてるんだ と、自分でびっくり) ベルティーニは、牧歌的です。草原の木々のなかを散歩している爽やかさ。

5楽章
賑々しい楽章だが、スピード感をもって華やかに演奏されている。優雅に演奏していr場面もあって、そこではテンポはゆったりめで、雰囲気に合わせて多彩に演奏されている。
この演奏の華やかさは、多少細身である。
でっぷりとした、ファンファーレではなく、引きしまっており、意外とおとなしいかもしれない。ピッコロの響きは甲高く入ってくるが、これがスパイス的に効いている。
ドンドコ ドンドコ、ティンパニーが雄叫びのように鳴って、シャンシャンとシンバルが鳴らされ、ど派手には鳴っていくのだが、どこか落ち着いており、打楽器の通りの良い響きに、カウベルの響きが重なっていく。
弦の「どっどぉ みぃ〜 れどしら・・・」チャンチャカ チャンチャカ チャカチャカ・・・ 滑り落ちるような痛快さもあって、そこそこ楽しめる派手さであり、落ち着いた演奏で、妙に高い、狂気に近いテンションの演奏とは、全く異にしている。
う〜ん この最後の楽章は、もっと、バンバン、ドンドン 花火を打ち上げるように、かっーっ と演奏して欲しいところだが、力不足というか、派手に鳴らしてこない。
う〜ん ここは、モノ足らないんだけど・・・ 

このベルティーニの演奏は、穏やかで、品の良い美意識に裏付けられた演奏という感じがする。
特に、弦のフレージング、木管の見通しの良い、繊細な演奏で〜 録音状態も良く、健康ではあるが、緻密で知的に描かれているため、もちろん、楽天的とかノー天気には感じない。
3楽章は、人間のドロドロとした欲望の渦で描かれていたり、魔界がぽっかりお出迎え〜という演奏もあるが、ここでは、それは、描かれておらず、幾分物足りなさも正直感じる。
が、えぐみのある演奏であって欲しい反面、ここまで、清潔で、自然な豊かさが感じられ、平和的な好ましい理想郷を描かれていると、う〜ん。さすがに、嫌みを言う気持ちもなく、素直に、すばらしい〜と言う以外にないと思われる。
モノ足らないところもあるが〜 う〜ん、ちょっと悩ましいかもしれない。どろっとした、人間臭ささが欲しい方には、ちょっともの足らないかも。

ラトル バーミンガム市交響楽団 1991年
Simon Rattle  City Of Birmingham Symphony Orchestra

げっ ぞっ    

録音状態は、あまりよろしくないが、ライブ盤で、最後は、強烈に盛り上がって終わる。複雑に旋律が入り組み、いろんな要素が詰めこまれているので、戸惑う面もあるが、ドライビングテクニックの巧さは感じるし、熱狂させる点は巧い。悪魔的要素も、毒づくところもあり、綺麗さもあって〜多彩だ。ライブ盤(最後に拍手が入っている)
ラトルが、若い頃、バーミンガム市交響楽団と収録したマーラーの交響曲第7番である。
7番は、サブタイトルが、「夜の歌」とついているんだけど、夜の歌なあ。どこが夜なんだろう〜 昔は よくわからなかった。マーラーの交響曲のなかでも、わりとマイナーな方である。

1楽章
トロンボーン? トランペット?と思っていたら、テナーホルンなんですねえ。
弦と木管が絡んでくる最初のフレーズが大変印象的だが、う〜ん イマイチ奥行きのない録音だなあ。と思ってしまった。それに、金管が、イチバン格好良さをPRするフレーズなのに、余裕が感じられずイマイチなのだ。
「そそぉ〜みらぁ〜 どみそ ふぁそらぁ〜ふぁれし〜」
「らら〜そらふぁ し ど〜みそど〜 しどれ〜 どしれ〜 どらふぁ〜」 
「ふぁそ ふぁ そ〜ふぁみら〜 どみそ〜 そそら〜」

弦のテンポが、かなりゆったりしており、一歩一歩踏み出してくるような感じ。
それでいて、「みっしぃ〜 れどら〜 らどみ らっふぁ〜らっそみぃ〜」のバックで、ティンパニーは威圧的な叩き方をしており、どどど どどど どどど〜っと鳴ってきている。
最初のフレージングは、意外と硬く、切れは良いが、手堅いのかテンポは遅めである。
まずは、やっぱ金管 テナーホルンの出来如何だろうか。 で、短いトランペットフレーズからテンポアップしていく。
「ふぁっどぉ〜 ふぁらど ふぁしっ しれっふぁ らそふぁ しれっど しふぁれみふぁっ」 ここからテンポは良くなる。
音質はざらついており、録音状態は、お世辞にも良いとは言いがたい。
テンポが勢いのある時は良いし、緩やかに安定しているところは、弦のみのふわ〜っとしたフレーズに変わり、するする〜っと上昇させており、気持ちが良い。

やっぱ音質かなあ。金管の咆吼と木管の強く吹くところとかは、幾分、粗いかなあ。
シンバルが鳴って、バッバ バンっと鳴るところとか、フルートが、ぴふゅーっと吹くところなど、げぼっ。
おいおいアマチュアじゃないんだからなあ。 オケの力量が、う〜ん。やっぱツライかも。
それに、テンポが変わるところ、フレーズの変わり目は、う〜ん、あまりスムーズではないとい感じを受ける。
全体的に、この楽章はテンポが遅めで乗りきれないことと、楽器間の音のバランスがイマイチなので、カスカスして聞こえちゃうところがツライ。 まあ 難しい楽曲なので、バランスが良く聞こえてこないと、他盤には劣って聞こえてしまうかも。

2楽章
「られふぁそ れっしらぁ〜 れっしら〜 れっしらぁ〜 れふぁら れっしら〜」
「れっしら〜 らしれ〜 られみぃ〜 れ〜 られみぃ〜 られみ られみ・・・」
それ以降は、クラリネットが引き継いでいく。
この冒頭のフレーズも大変印象的であるが、なかなかに巧いんだけど、木霊のような雰囲気が少し足らなくって、、、ホルンの二重奏にもう少し余裕があるといいのになあ。 マーラー独特のフレーズが、う〜ん。
この楽章が、夜の歌なんだけど〜 森のなかの光景って感じだろうか。
マーチ風に変わるところは、爽やな風に聞こえるしバッチリ。「どふぁそ〜ふぁ れふぁそ〜ふぁ」 
でも、そこから以降がメイン旋律が聞こえないやん。えー 遠いの?
ホルン 「それふぁ れっしふぁ〜」 色づけに使われているハープや銅鑼が、少し遠いのかなぁ。
怒濤の前触れのような旋律が入ってきたり、その勢いを邪魔する旋律が入ってきたり、かなり難しい楽曲なんだけど、ちょっぴり退屈しちゃう。

3楽章
ちょっと変わり者のスケルツォである。
ティンパニーが鳴っていて、戯けた雰囲気があり、キャーっと絶叫する声も聞こえる。
ブンチャッチャ ブンチャッチャ〜 「み〜ら みっみ〜ら み〜 ど〜し どっど〜し どぉ〜」
ちょっぴりブラックユーモアがかかっているようで〜 オチャメな妖怪が遊んでいるような感じだ。
名づけて、マーラー7番「夜の歌」第3楽章「お化け屋敷」である。
うん。ホント、お化け屋敷に入って、いきなり、キャーっという悲鳴があがるんだもんね。
ラトル盤では、幾分、ドライに、軽めに仕上がっているので、日本的お化け屋敷って感じじゃないんだけどね。
しかし、この妖怪たちは、オチャメでもあり、愉快に踊るのだ。
カチャカチャと音を鳴らしてみたり、戯けてみたり、ガシャっとモノを壊してみたりしている。
う〜ん。遊園地みたいにも鳴っているし、イマジネーションしやすい楽曲である。
これが、マーラーのイメージした夜の歌ねえ。
不気味さよりも、どちらかと言えば滑稽だし、ラトルは、わりと、おもしろがってイマジネーションを提示してくれているように感じるのだが、妖艶な濃厚な美しさは、イマイチ表出していないような気がする。

4楽章
セレナーデという感じの楽章で、大変落ち着いた穏やかな曲だ。ヴァイオリンが、オクターブをかけのぼり、そして降りてくる。
秋の夜、ほっこりした気分で、ギターとかマンドリンも出てくる。
しかし、秋風は冷たく、すわーっと吹いているような場面もあり、単に柔らかい、優しいセレナーデという感じは受けない。
ホルンの音色や、甘いチェロの旋律は、母性を表しているようにも感じる。木管が子供の遊ぶ姿のようでもあるし〜
想像力をかきたてられるフレーズが満載だ。
歌謡風のフレーズがちりばめられているし、歌曲が元になっているのかしらん。とも思う。
マンドリンなんぞ、どこか場末の居酒屋風に、カシャカシャと鳴っているし。う〜ん。 マーラーって、いろんな要素を持ち込み過ぎるんだけどなあ。
ラトルは、場面描写を丁寧に描いてくれてはいるんだけど、柔らかさが、弛緩しちゃう面もあって〜 ドライな点は、それはそれで良いんだけど、のっぺり〜 ずぶずぶしない点が、モノ足らない感じがしちゃうかも。(まあ、これは好みなんですが) 感傷に浸らない点は、今風で良いのかなあ。

5楽章
今までの楽章が、夜で統一されていたのに、何故か、イメージが覆され、夜どころか、何ジャーこれ。
いきなりティンパニーが叩かれる。
「そっそ そっどそ そっそ そっどそ」「どっそ どっそ れっれそ れっれそ・・・」
祝祭的なムードが出てくるというか、いきなり、ローマのコロッセオのような闘技場に入ったような気分になる。
威勢のよいティンパニーとトランペットで高らかにファンファーレが、何度も奏でられると、まるで英雄にでもんなった気分になるんだけど〜 
どうして、この楽章だけが高らかに歌われるのか。謎である。

それにしても、いろんな要素がイッパイ。これでもか〜というぐらい詰まっている楽章なので、次々と、いろんな場面が出てきて、その展開が速い。
聴いていても、めまぐるしく〜(目がまわる)。
気宇壮大な楽章を、きまじめに振っているわけではなく、結構、おもしろがって愉快に振っているんじゃーないだろうか。
そんな気がするんだけど。
ジャーンっ、と、結構エンターテイメント式に、ゴージャスに〜 ハリウッド映画みたい。やっちゃっている。 ピッコロの、おっそろしく高く強い、ぴーしゃらら〜も、目立っているし。(目立ちすぎなんだけど 笑)
なにせ、コーダに至るまでの、ごちゃごちゃ〜とした要素から、抜け出て、ぐわーっともってくるところは、凄い。最後の直線で、一気に抜き出て、ゴールインっ! という爽快さも持ち合わせており、この点は、やっぱ、すごいパワーです。
ドンドコ ドンドコ・・・ティンパニーが鳴って、シンバルが、ジャンジャン。
弦が一斉にカシカシ カシカシ・・・ 金管の馬力も相当なもので、カウベルが鳴り響き〜 圧倒的に終わって〜 拍手ですわ。

まあ、ラトル盤だけじゃないんですけど、この長大な交響曲、聴いてて爽快に終われるか、疲れ果てるか。相当な違いがでるんですけど、この盤は、終楽章は、やってくれますね。
マーラーというより、R・シュトラウス的な交響曲って感じもするんですけどね。
なにせ分析不可能って感じの長大さ。もう少し聞き込みたい気もしますが、ちょっとお疲れモード。

ライブ盤ならではの最後とも言えるんですが、ドライブの良さ、切れの良さは感じるし、いろんな要素をぶち込んでいながら、さらっと聴かせちゃうところはニクイと思う。
もう少しだけ、録音状態が良ければ、嬉しかったんですけど、今でも、斬新な演奏だと思うし、夜のテーマは、2楽章と4楽章だけだとも言われますが、ワタシ的には3楽章なんて、メチャ面白い。
まるで、おもちゃ箱をひっくり返した要素もあって〜 悪魔的な毒素もたっぷり含んでいるし、いひひぃ〜っと言う、底意地の悪さも感じさせてくれるところもあり、なんとも痛快で〜 やっぱりラトルは、多彩な顔を持っている。
描写力もあるし、イマジネーションもかきたてられるという点では、かなり面白い盤だと思います。
ただ、ちょっとドライなので、好みが分かれちゃうかも〜 しれないかも。
オケも、確かにイマイチだし、録音もイマイチですが〜 でも面白いですよ。それにしても腹立たしい録音である。
人類の遺産を台無しにしている〜って感じだ。憤懣やるかたなしっ!!

デ・ワールト  オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団  1994年
Edo de Waart  Radio Filharmonisch Orkest
(Netherlands Radio Philharmonic Orchestra)

ばっちグー!


録音状態は極めて良い。ホールトーンが豊かで、ふくよかな響きを持って優美だ。ただ、妖しい夜というか、肝試し風、化け物の世界のような妖しい演奏とは明らかに違っていて、良い意味でのノーマルな演奏である。 聴きやすく、初めて聴こうとチャレンジする方にお薦め。
1楽章
テナーホルンの甘い太めの音と、クラリネットの絡みの音が良く絡んでいる。
「そそぉ〜みらぁ〜 どみそ ふぁそらぁ〜ふぁれし〜」
「らら〜そらふぁ し ど〜みそど〜 しどれ〜 どしれ〜 どらふぁ〜」
金管の透るストレートっぽいフレージングが、新鮮だ。弦の怪しい音の響きも、多層的でとっても良く聞こえるのと、金管の鳴り方を聴いていると、ふっと意識が高揚していき、まるで、スクリャービンの交響曲を聴いているような感じになる。
いや〜 ここのトランペット素敵だわ。と思わずつぶやいてしまった。
主題が、行進曲風のところに進むと、テンポが、あれっ 遅い。
ギリシャ神話やローマ神話のように、ファンファーレが鳴る。なんだか、昔のハリウッド映画、チャールトン・ヘストン主演の史劇を見ているような、そんなパラフレーズとなっている。金管のファンファーレなんか、パラパラっと金管のわざとらしいズレを生じて。晴れやかに、ちょっと安物くさく、トランペットが輝いているかのように、世俗的な要素というか大衆的というか〜
大層に行進していく感じだ。
う〜ん。なぜ、こんな風に聞こえるのか理論的に説明するのが、とっても難しいのだが〜 でも、面白い。

ハープのパランパランっという響きのなかで、金管がまろやかに、ふわぁ〜っと音を出して、弦がそれに乗っかって、天井の世界を描き出す。ひぇ〜っ こりゃ 凄い世界を。恍惚感まるだし〜という世界があって、どひゃん。
素敵すぎる。ホント、このオケと指揮者でスクリャービンの演奏ってないのかしらん。
金管の吹き方が。ぶわっと音量たっぷりに、多少息が漏れている感じで音が出てくる。湿度があるというか、乾いた音で飛び出してくるというより、少ししめった感じで音が、少し遅れて出てくるという感じかなあ。あー 巧く言えない。
チューバの音も、すご〜く良く聞こえてきて、それも素敵な音なのだ。
ワタシが、チューバの音で素敵っと感じがことは、あまりないように思うんだけど・・・ いや。その存在を積極的に、しっかり認めたくなる音です。(変ないい方だけど)

2楽章
このホルンの「そぉ〜どぉみそ ど らっそぉ〜  (どみそそ どっら そぉ〜) どぉ〜 らそぉ〜 どそ どぉ〜」
管楽器独特の音の流れというか。次の音に移行するときの微妙な音の流れ、音の移動の仕方。移り方、弦では、こうはいかないという〜 その音の微妙な流れが、すごく気持ち良いんですけど。
まるで、ひとり木霊しているみたいで・・・ ひぇ〜っ。もう、ここの出だし聴いているだけで、超満足って感じで、すごく嬉しいフレーズを聴かせてもらって、耳のご馳走だ。
旋律がゆったりと流れていく。優美さ、優雅さ、夢見心地の世界のなか、音が沈み込まずに浮いていく感じだ。
残響の良さと、普通の録音だと、弦が前に出て来るのだが、ここでは、弦は、多少後ろに置かれているように聞こえる。
かといって、ぼんやりしているわけではない。しっかり明確に音の像も描かれているが、弦の音が強くないのである。
不思議な光景というか、夢幻の世界観があるようで〜 
このオケの金管は、すごく音が広がりが柔らかい。

3楽章
魑魅魍魎としたスケルツォの楽章だが、う〜ん 綺麗過ぎて・・・ 残響が豊かなのが、軋んだ感覚を生まない。
う〜ん ちょっと残念な感じがする。
人が、ひぃ〜っと、叫んで、穴に落ちていくようなシーンも、悲鳴に聞こえないので、あまり迫力がない。
「し〜ら しっし〜ら〜 し〜  ど〜し どっれどしら どぉ〜 らっらそ らっらそ ら〜」と、奏でられるところは、弦が前面に出てきているので、よく聞こえているし、見通しも良くはなっているが、生暖かいレアさは少ない。
まろやかな響きが、仇となってしまったかも。

「ぼん ぼぉ〜ん ぼん ぼぉ〜ん」と鳴る太い金管の音はインパクトがあるが〜 チューバの音だと思うが、シャイー盤と同様に、港に停泊しているような舟の汽笛っぽい。弦のソロや木管のフレーズは、シンデレラに告げる真夜中の時計みたいな感じはしているし、夜中0時の合図、振り子時計のように、ブンチャッチャを奏でている。
ワルプルギスの夜会的な雰囲気はしているが、もっと、粘っこいフレーズであって欲しいかなあ。
金管や木管、弦の絡みは、すごくよくわかるし、巧いと思う。
金管のぶっとい音はインパクトがあるが、でも、全体的には粘着質的ではないし、ねちっと。ねっとりした。重いアクセントというか、糸を引くような音の歪な長さがなかったので、おどろおどろしさが少なかった。

4楽章
大変穏やかな弦楽奏曲のような楽章で、セレナーデ風の楽章ではあるが、ところどころ、悪魔的なフレーズが顔を覗かせる。
「っれ そっそぉ らぁ〜 そふぁ らっそふぁ らっそふぁ しぃ〜  れぇ〜どし れぇ〜どし」
「れっしら れっしら そぉ〜」
いずれの盤を聴いても、この4楽章のアプローチは、なんだか、よくわからない。デ・ワールト盤の演奏は、見通しの良さと、まろやかな響きが好ましいし、マンドリンの音もしっかり聞こえてくる。
が、何のための4楽章なのかなあ。ホロホロ鳥のようなフレーズは、あまり強調されておらず、単なる風景描写という感じには仕上げていない。かといって妖艶でもないし、

5楽章
ティンパニーの柔らかい残響のなかで、ホルン、トロンボーンのファンファーレが始まる。
トランペットの音質はストレートにノビのある音で吹かれている。
「たららぁ〜 たららぁ〜」と平べったく鳴っているオーボエなど、意外と、オリエンタル調に吹かれている木管のフレーズも良くわかるし、華麗さ、誇らしげに、派手には鳴ってこないが、多層的で、賑々しい旋律が満載なのが、よく見えてくる。
晴れやかだが、決して底抜けに楽しそうにも演奏されていない。品よくまとまっているという風にも感じないが、時間が経過していくにつれ、主題が、おもちゃ箱を覗いているような無邪気なフレーズが挿入されていたり、「パンパカ パンパカ ぱーん ぱーん」というのが、はいはい、次の場面展開のお時間ですよぉ〜という感じにも聞こえるし、
ホルンの斉唱が転調しているのか、明るく鳴っていくのが、ちょっと見えてきた。
それにしても、しゃーん しゃーん 豪勢な銅鑼の音だし、カリヨンの音も晴れやかに演奏されて、意外と、まわり道をしてしまったけれど、最後は、きちんと、目指してきたゴールに無事到着しました〜的な喜びを感じる演奏になっている。
なんか、ハスに構えた演奏でもなく、暗くて、じめじめした毛嫌いする演奏でもない。いたって中庸、きちんと、まっとうな演奏だと思う。

それにしても、これがライブ盤とは・・・にわかに信じがたいほど、キズはないように思う。
録音状態は良い。残響が好きじゃない方にはあまりお薦めしないし、おどろおどろしい、奇抜で奇想天外な個性盤でもないので、モノ足らない向きもあるかもしれないが〜
決して、面白くないわけでない。
主題が、あれこれあって、それらが、巡ってくるのが、きちんと丁寧に描かれているし、わかりやすく演奏されている。
もし、いっぱい同曲異盤を聴いても、元に戻ってこれる演奏でもあるようにも思う。
安心して安定感のある演奏で、見通しも良いし、最初に7番を聴くには、お薦めかな〜っと、ワタシ的には思う。

シャイー コンセルトヘボウ  1994年
Riccardo Chailly  Royal Concertgebouw Orchestra
(Amsterdam Concertgebouw Orchestra)

う〜ん。どうだろ

録音状態は、極上といって良いぐらいなのだが、演奏が平和すぎて〜
つまんないというか、特徴がないというか、7番らしくないというか。
1楽章
録音状態も良いし、まろやかな豊穣感あふれる響きが良い。「そそぉ〜 みらぁ〜 どみそ ふぁそらぁ〜 ふぁれし〜」
テノールホルンが、滑り落ちるように奏でて曲が始まる。暖かみのある音が綺麗に響いているし。優雅だ。
最初は、ゆったりした歩みで、たっぷり気味に膨らんでいくのが好ましい。

ホント、柔らかさも、しなやかさもあり、余裕で、進んで行くのだが、主題が変わって、行進曲に移るところは、へ?
なんで〜 こんなに遅いのぉ?
「しぃ〜 らそみらぁ〜 しぃ〜 らそどぉ〜」
サイレン映画のコマ送り状態だ。「みっしぃ〜 し れっどらぁ〜 らどみ らっふぁ〜 らっそぉ〜 みしぃ〜」
こりゃ なにがなんでも遅いでしょ。この超スローで、主題を繰り返すので、ぎゃふん。
少しだけ、テンポアップしてくるのだが、それでも遅めだ。

天上的な歌謡風のフレーズが、突然、天から降って降りてくるのだが〜 なんとも、ふぁ〜っとした、羽衣のように、ふんわか〜っとしたフレーズになっている。
もっと、芯のある厚みのある、かっしりした音の響きでも良いのではないかと、思うほど。頼りない。
いやいや、音が悪いとか、フレージングが悪いのではない、演奏はしっかりしているのだが、で、やっぱり、シャンシャンとした鳴り物も聞こえてはいるが、マーチング部分は、なんとも緩いのだ。

かったる響きと、生暖かい風と、とろみ感のある甘美さが、もわぁ〜っと醸し出されてくるところがあるのだが、ちょっと・・・
やっぱ、きっちりと対比して欲しいかも。主題の違いを、明暗をクッキリ描くというか、陰と陽、夜と昼を、明確に描き切ってこそ〜という気がするんだけど、主題を。同じように扱っているというか、均質化、平準化しようとしているみたいだ。
ちょっと、この点は、ワタシ的には、ハテナ?
アバド盤のようには健康的ではないが、どこか、オリエンタル調に、甘美に仕上げて〜 シエスタのように、まどろんでいるかのような世界である。ハープのグリッサンド、ぱらぱらぱら〜と、奏でられると、もはや、完全に、天上の世界である。
天使が踊るような世界が、天井ドームに描かれているようで〜 それを見上げて、うっとり。
ため息の出るような、完全に、頭のうえに輪っかが描かれている天使が見える。うっとり〜とした世界が描かれている。
しかし、交響曲2番とか、5番ならねえ〜 う〜ん。 これ7番なんだけど。
どうなんでしょ。アバド盤と、同じようなアプローチなんでしょうか・・・。

2楽章
「そどみ そ れっ しらぁら〜 れみそ そそそ どっ しら〜」
「どぉ らそぉ〜  どそ〜 どそれぇ〜 ど そどれ〜」
ここのホルンとクラリネット、コーラングレのフレーズは、ホント美しいっ。
天井の木霊を聴いているかのような、多くの木管のフレーズが、丸天井に木霊するかのような、残響がすばらしい。
行進曲風の主題、チェロで奏でられる主題が穏やかに始まる。打楽器の余韻も良いし、まろやかだ。
主題が奥の方から、ふわーっと流れてくるところの雰囲気は、すごいっ。風のように音が運ばれてくる。
舞台裏から聞こえてくるような、劇場の雰囲気があって、音は柔らかいし、奥行き感があって〜
まるで、丸いドームのなかで、多彩な音が描かれ、それらが、走馬燈のようにドームのなかで回る。
蘇る場面が、いろいろあるようで〜 記憶の映像の本数が多いって感じだ。で、場面展開が速いのだが、穏やかな演奏なので、ふーっと、記憶の彼方に飛んでいる感じがする。
そうだなあ〜 夢のなかで、メリーゴーランドに乗っているかのようで、記憶が回転する。この冒頭のホルンの主題は、幻想のなかのシンボルなのだ。このフレーズが鍵となって、記憶の扉が開き、記憶が回転するって感じだろうか。
アハハ〜 こんな表現だと、まるでアニメチックで、笑われるだろうけど〜。

3楽章
ぽっかり底の開いた闇の世界という感じではない。序奏の後、ひぃ〜っという悲鳴も聞こえてくるが、淡泊で単調。
ブンチャッチャ ブンチャッチャ〜 
「し〜ら しっし〜ら〜 し〜  ど〜し どっれどしら どぉ〜 らっらそ らっらそ ら〜」とは奏でられるが。
「ぼぁん ぱぁ〜 ぼぁん ぱぁ〜」と鳴る金管は、雰囲気はあるものの、靄のなかの港での汽笛のようだ。
冒頭で、ひとの悲鳴のような音が出てきたので、超期待したのに・・・ 
悪魔的世界を描いてくるのかと思ったのだが、う〜ん シャイー盤は、やっぱ健康的だ。
体育会系というか、スマートというか。闇夜の世界という感じでもないし、闇というか、心理的に不安定な要素は、ほとんど感じられない。
悪魔的というか、 不気味な、お化けや妖怪や魑魅魍魎の世界観は、全くといってよいほど描かれていない。
楽天的というか。陽気というか。
想像が想像を生み、恐怖におののく〜 なーんて感じは縁が遠いようだ。夜の世界でもないし、リズムも平坦で、刺激的でもないし、多彩な音は聞こえてはくるのだが、リズムに乗れてないというか、あまり揺れてもいない。
綺麗に丁寧に演奏はされていると思うのだが。なんか、ヨタヨタした演奏というか。よりあわさった糸というか紐が、ほつれているというか、フレーズが、綺麗にかみあわさっていないというか、フレーズの構成が弱いというか。
なんだろ? 初見で演奏されているかのような感じで、聴いてて気持ちが悪い。
迷いがあるというか、アプローチに不安な感じがするというか、全くもって面白さに欠けてる。

4楽章
ホルンの音色は、柔らかいが、ヴァイオリンのフレーズが、秋の風景を描くように、抒情的で〜 デリケートだ。
この楽章も、どことなくかみ合ってないというか、楽章の間のアプローチに、凹凸が少ないので、淡泊に聞こえちゃう。
マンドリンにギターの音は、綺麗に聞こえてくる。

5楽章
唐突にティンパニーが叩かれ、マーチングバンドさながらに格好よく登場する楽章だ。
トランペットとトロンボーンのファンファーレが鳴って、つんざくような金管が放出されるが、
ホルンの柔らかい音と、それを彩る木管の音が、良く聞こえてくる。
ここのオケは、よく木管が聞こえてくるというか〜 大活躍というか〜 木管のフレーズ情報の多い盤である。
パーカッションの多彩な音も、入っているし〜 何度も繰り返して聞いている人にとっては、ある意味嬉しいのかもしれないけれど、う〜ん。どうなんでしょうねえ。

スピード感は、さほど無いのだが、やっぱ音の多層的で、色彩感の多さ、まろやかさ、良く言えば品がありすぎて、ハチャメチャ感が描ききれないというか。 はじめから描けないとして、アプローチを変えているというか、きっと、えげつないことは、描けない・・・という感じなのではないだろうか。着想がわかんないですねえ。練れてないのかなあ。

唐突感のあるフレーズで、驚かしてやろう〜なんていう下心のない、平和な演奏である。
劇的で、白黒はっきりした主題が、対照的なパッチワークのように構成されたバラバラのピースのように存在している。
シャイー盤は、過激な、苛烈な演奏はしていないし、バラバラ感を、無理して、まとめようとも思っていないように聞こえる。 しなやかだし、弾力性があるし、残響も美しいし、穏やかで美音だし、オケも巧いし、ホール感もあって、録音状態も文句のつけようのない極上の状態なのに、なぜこんなに面白くないのか。
はぁ〜 なんという皮肉なんでしょうねえ。
面白い演奏は録音がイマイチだし・・・ 
総体的には、品の良い演奏で、情報量も多いので、単純に聴く分には良いが、意外性はない。
なにか、ぶれない、確固たるこれっという特徴を持って演奏しないと〜 曲の個性に呑み込まれて、平凡になるというか〜漫然とした感覚で、バラバラに流されてしまう結果に陥るという、とても難しそうな曲である。

アバド ベルリン・フィル 2001年
Claudio Abbado  Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

完全に怒っちゃった ← なんだこりゃ。録音悪いっ。

録音状態は聴いてられない。音像がクリアーでなく、お風呂場的というか、どうなってるの? ライブ盤 ラストに拍手が入っている。
1楽章
アバドさんの2001年のベルリン・フィルとのライブである。
84年シカゴ響と収録したCDもあるのだが、確か、このライブ盤は、復帰後のものだったと思う。録音状態は、奥行きがもわっとして、ピントがピシッと合っておらず、ぼんやり傾向にある。
シカゴ響との演奏は、馬力のあるシカゴ響を、魑魅魍魎が跋扈する、どろっとした演奏にせずに、えらい、あっさり〜美音で整然とまとめており、健康的な演奏になってて、とっても仰天させられた。
さて、このベルリン・フィルは、確かに馬力はあるのだが、録音のためか、低音の響きに迫力がなく、リアル感に欠けている。
で、エグミの少ない、アクの抜けた、さっぱりしたフレージングという感じがする。
あーっ やっぱり綺麗にまとめてくるんだ・・・。
戦闘的でも、ツンツン、とんがってもいないし、いろんな音が聞こえて結構情報量の多い演奏なのだが、単にバラバラとも言えるし、音の芯が、ふにゃ〜っとしてて、どうも聞きづらい。なんか、変だよ、この録音。
膜がかかったように、ティンパニーや低弦の音が、届いてこないのだ、あ〜っ。もどかしい。音の輪郭が、ぼやけてる。

2楽章
「られふぁら れっしらぁ〜 れっふぁら〜 れっしらぁ〜」というフレーズから、られみぃ〜 っと、木霊のように響かせて、スピードをあげて、畳みかけてくる。ホルンとクラリネット、コーラングレのフレーズは、いいのだが、カタカタ・・・と木片を叩いているかのような音が入っている。えっ テンポ、ここで落とすの。
また、美音とは言い難いほど、音がまじりあって、混沌としているし、音の分離が悪いのだ。
完全にソフトフォーカスされてて、え? 何これ? もわもわ〜 ぼよぼよ〜ん。
低弦が、遠いところで、間延びした団子状態になってて、これではお風呂場である。聴いてられない。
各楽器のマイクを、ツギハギして平面的に布のように1枚に繋いだ感じで、う〜ん、これはないだろう。
もはや、ギブアップ!

3楽章 途中でギブアップ
音としては、たくさん入っているが、まとまりがないし、音が団子状態で、泥沼化している。
象が鼻をあげて、ぶひぃ〜んと泣いているかのような音だ。で、原初的な感じはするが、おどろおどろしい〜以前の録音で、これは録音状態はアカンでしょ。旋律も停滞しており、これは聴いてられない。どうなってるの?
これは、大変申し訳ないが、録音状態は酷すぎて、聴けませんでした。
1971年 クーベリック バイエルン放送交響楽団 ★★★
1971年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec  
1979年 コンドラシン コンセルトヘボウ TAHRA  
1980年 テンシュテット ロンドン交響楽団 EMI ★★★
1982年 ハイティンク コンセルトヘボウ Ph  
1984年 アバド シカゴ交響楽団 ★★★
1985年 バーンスタイン ニューヨーク・フィル  
1986年 インバル フランクフルト放送交響楽団 De  
1989年 小澤征爾 ボストン交響楽団 Ph  
1990年 ベルティーニ ケルン放送交響楽団 EMI ★★★★★
1991年 ラトル バーミンガム市交響楽団 EMI ★★★★★
1992年 シノーポリ フィルハーモニア管弦楽団  
1993年 ギーレン 南西ドイツ放送交響楽団 haenssler  
1994年 デ・ワールト オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団 ★★★★
1994年 シャイー コンセルトヘボウ Dec ★★★
1997年 ティルソン・トーマス サンフランシスコ交響楽団  
2001年 アバド ベルリン・フィル
所有盤を整理中です。

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