「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

マルチヌー 交響曲第3番
Martinu:
Symphony No.3


ボフスラフ・マルティヌー(マルチヌー)(Bohuslav Martinů)は、1890年生まれのチェコの作曲家です。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
日本語の仮名表記ではマルティヌーとマルチヌーの両方の表記が用いられていますが、最近は、マルティヌーという表記の方が多くなっています。
パリではルーセルに対位法を学び、フランス六人組やストラヴィンスキーなどの影響を強く受けた作品を作曲していますが、1941年に、ナチスの侵攻を避けてアメリカ合衆国へ渡っており、6曲の交響曲の内5曲が、アメリカで作曲されています。交響曲第3番(H.299)は、1944年に作曲されており、45年ボストン交響楽団により初演されています。

第1楽章 
ヴァイオリンによる運命的な動機が提示された後、ファゴットが、悲痛な主題を奏でます。この主題は、イングリッシュホルンとトランペットに受け渡され、やがてホルンとトランペットによる強奏を経て一旦終止します。
休止後、弦で主題を奏し、金管が不安な動機を奏でるもの。中間部では。ハープとピアノの下降音やファゴットの独奏も散見されます。

第2楽章 複合二部形式
弦の下降音の後、チャイコフスキーの交響曲第5番の主題を奏でるヴァイオリンを背景に、フルートが美しい主題を提示します。その後、ヴァイオリンによる下降音の主題の転調が奏され、曲は締めくくられます。

第3楽章
トランペットとトロンボーンにより、激しい前奏の上で、ヴァイオリンが主題を提示します。コーダでは、ドヴォルザークのレクイエムが顔を覗かせるもの。
ドヴォルザークのレクイエムが引用されているのは、気づきませんでした。世相を反映しているのか、とても硬くて暗いというイメージのする楽曲です。ヤナーチェクのような民族的なフレーズが登場せず、少しショスタコーヴィチ風でもあり、怒りを含んだ暴力、やりきれなさが曲を覆ってくるように感じます。

ノイマン チェコ・フィル 1982年
Vaclav Neumann
Ceska filharmonie
(Czech Philharmonic Orchestra)



録音状態は良い。もう少し低音の馬力があって、歯切れが良ければ格好良いのにと思うが、この楽曲自体、どう聴けば良いのか、ワタシ自身が、イマイチつかめきれてないので〜 う〜ん。
カップリング:
1〜3 マルチヌー 交響曲第3番(1982年)
4〜6 マルチヌー 交響曲第6番「交響的幻想曲」(1984年)

マルチヌーの交響曲第3番は、6曲あるなかで、比較的聴かれているとのことだが〜 う〜ん。やっぱり、世相を反映しているのか、全体的には暗いなあ。と思う。
で、この交響曲第3番は、3楽章しかない。実は、このノイマン盤、昔にジャケ買いをしてしまったCDである。変なデザインで、青い女性が、悲しそうにうつむいているのだが、頭が球体でのように突起してて、おまえは、エイリアンか〜と言う感じだ。

1楽章
「ふぁぁ〜そふぁっ  そし〜そし〜そし〜・・・」 
「どれ〜み しれ〜ふぁ しれ〜み しれ〜そ しれ〜み しれ〜ふぁ・・・・」
「しれ〜 (らそふぁみれどしら・・・ピアノが堕ちていく) しれ〜み しれ〜ふぁ・・・」
「ふぁみ〜 ふぁ ふぁみ〜ふぁ〜そ ふぁ〜そ っれれれっれれれっれれれれ・・・」
「らぁ〜どし どぉ〜みれ れ〜ふぁみ そ〜しら み〜しら そ〜しら ふぁ〜どし ら〜どし ら〜どし」
なんか、初めて聴くと、不気味さのかきたてられるような感じもするが、変に、不協和音的な響きと、気持ちのよい和音が入り乱れており、なーんか不思議な不安定さを感じるのだ。
フレーズは、ほとんど短く、タぁタータ タぁタータ タぁタータで構成されている。
まっ それでも、打楽器が入ってきたり、長い「ふぁ〜ふぁ〜ふぁ〜」「ふぁ〜ふぁ〜ふぁ〜」と続いてみたり。

ファゴットの響きが、「そぉぉ〜れ〜み ふぁ〜み れみ〜 ふぁ〜 そらぁ〜し らしど〜し ど〜らし〜」と続いて、ソロで歌われるだけに、一層悲しみをかきたてるようで印象に残る。
短いフレーズのなかに、ちょこっと、ピアノの響きが隠されていたりするし、まっ 金管も入ってはくるが、完全咆吼することが少なく、音の動きに幅が無いというか、チマチマしているというか。
それに、色彩感覚が無いというか、虚無的というか。
ブラックホールに落ち込んでいくような感もするのだが、ノイマン盤では、う〜ん。なーんかイマイチ動きが少ないというか、インパクトが少ないので、狭い音域で、コチャコチャ細かく運動しているって感じだけに終わっちゃっているかもしれない。
最後は、音が切れ切れになって、パンパンパンっと鳴って、金管が、「そぉ〜ふぁそっ そぉ〜ふぁそっ」
「そぉ〜ふぁそっ そぉ〜 どっどっ」と、終わるんだけど。なーんか馬力が無い。
もう少し、打楽器にキレがあって、低音パワーがあれば、もっと格好良いのになあ。う〜ん。どうでしょ。

2楽章
低弦が不気味な1音を出し、その上に、ヒンヤリしたヴァイオリンの音色が滑ってくる。
「(そぉ〜)ふぁぁ〜そ みふぁれ〜ど (れぇ〜) そみふぁ〜 れみど〜 (ど〜) どど〜らそふぁれみ〜」
半音イッパイの音で、気がつけば、ずずっ〜と滑って、奈落に引きこまれるように落ちていく。
まあ、ヒンヤリとした曲だと思うのだが、どことなく空虚で、虚無感を少し感じながら〜落ちる。
ノイマン盤って、悲観的、悲痛な感覚が少なめ。
ぎーっと、首に青筋を立てて、奏でる音は少ない。まっ 簡単に言うと、子供の頃、爪を立てて黒板を引っ掻くような音は無く、まろやかに、穏やかに、平和的に奏でられると言えるかもしれない。
ちなみに、ヤルヴィ盤は、結構、1楽章よりメリハリがあり、重々しい。

で、チャチャチャチャ・・・と、小さな音が、ぎっしり詰まっているわけでもないし、かといって、綺麗な音がすべるように綺麗に続くわけでもないし。なーんか中途半端って感じの楽曲だ。
音色の幅が狭いのかな〜と思いつつ、いやいや、ピアノも木管も入ってくるし、いろんな楽器が入ってくるのだ。下のドンドンという響きが少ないのかもしれない。
もう少し色彩感が出てきても良いのだが、なーんかノイマン盤では、モノトーン気味に感じる。同色化しているというか、変化が少ない。
でも、この変化の少ないなかで、モソモソ動いている、湿気感のある鬱っぽさ。
「そどし どぉ〜(パコパコパコ)ふぁどし ど ふぁれどし ふぁれどみ」という、オーボエに、フルートが、虫の音色のように、パコパコと動くのだ。なーんとも変な感じがする。
「しどしどしど し〜  みれみれみれ み〜」と続くと、尺取り虫みたいに感じるし、押すと適度に硬い殻を被っているような感じで・・・。
まるで、カフカの変身のように、ある朝、目が覚めると虫になってました〜って感じなのだ。
なーんか、虫は虫でも、カラダの柔らかい虫ではなく、殻の硬い、甲虫類のようだ。
特に、チャッチャチャ 音が、チャッチャチャッチャ・・と刻まれたなかを、フルートだと思うが、「っどしら そしらそ ふぁそらし らそふぁそ〜・・・」と動いていくところは、ノイマン盤だと、軍隊の行進風ではなく、湿気た赤茶色の地面を、モソモソ6本の足を動かして、キョロキョロしながら歩いている感じがする。
それが、ワタシなのかもしれない。という、へーんな気分になっていく。

腹を這って歩く感じでもないし、深海魚でもないし、うーん。ムカデ風のような、忌み嫌われるような昆虫の行進みたいでもあるし。
少なくとも、立派なカブトムシではなく、丸虫みたいな、ブンブン、コガネムシみたい。
やだな〜 もっと、ガッツリ、ガッシリ、音を詰めて密度の濃い、ぎっぎっぎっと軋んで貰ってた方が、気持ちが良いかもしれない。う〜ん。まるで、背が縮んじゃったような後味の悪さが残る。

3楽章
「そっ しどれぇ〜 そっ どれっふぁ〜 そ・・・」
「れっど〜しど〜 れどっ〜しど〜」「みれっどれ〜 れっどれ」
えっ? 2楽章の虫から、3楽章冒頭では、ガッチャマーンが登場したみたいなシーンになっているのだ。男の子が、マンガを見ているウチに、甲虫類から、ガッチャマンに変身したかのようだ。

はあ。漫画チックだな。と思いつつ、何度聴いても、自分が格好ヒーローに変身したようで〜。
思わず、苦笑いしてしまう感じ。パラパラ〜っと木管が吹かれ、トランペットが静かに吹かれ、で、濁った音と澄んだ音とが、混じるんだよなあ。
混じっているところが、面白いんだと思うが。う〜ん。ピアノの音が、泥のなかから浮いてくるし、奥から木琴が鳴っているし。金管が、上がり下りしながら、「れぇ〜どれ れぇ〜どれ〜」
マーチ風になっているかと思ったら、心の静まりが感じられるフレーズもあるし、同じエリアのところを、チマチマ鳴っているかと思えば、突然、爆発的に鳴ってくるし。
「どっれ ふぁどぉ〜 どっれ ふぁっどぉ〜」と、金管の音が放たれるし。う〜ん。
鳥が鳴いているような場面もあるし。ユニゾンが奏でられ、最後には鎮まるし。
まだまだ、なーんか、つかみきれない楽曲で、解りそうで、良くワカラン。
ホント、う〜ん。わかりやすいようで、わかりづらい。

ノイマン盤は、ウツウツしたりしながら、そこそこ力強いのだが、シンコペーションの妙技も特に感じないし、完全跳躍して、決まったぁ〜と言う感じで、音が出てくるわけでもなし。
でも、これは楽曲の性格だろうか・・・。う〜ん。
特に2楽章は、聴いた感想を、まるで自分が甲虫類のようになっちゃた感じで書いてしまったが、これは、あくまでもワタシの勝手なイメージなので〜 どうか、気を悪くしないでください。
なんだか、いじけている時に聴くと、聴き方まで、いじけちゃうモノですから。スミマセン。
でも、なーんか、ウジウジしちゃう演奏です。

で、マルチヌーまたはマルティヌーとも表記されますが、このサイトでは、マルチヌーとして表記します。
「Martinu」の「U」の上に○がついてて、ホントは、「Martinů」って書きます。
チェコ生まれの作曲家ですが、戦争を避けて、主にアメリカで作曲活動を続けた方で、ゲンダイオンガクはムズカシイ、と言うなかでは、う〜ん。まあまあ聞きやすい方だと思います。

ネーメ・ヤルヴィ バンベルク交響楽団 1987年
Neeme Järvi
Bamberger Symphoniker
(Bamberg Symphony Orchestra)



録音状態は良い。分厚い豪快な演奏で、スケールが大きい。
まるで最終楽章は、旧約聖書の世界のようで〜圧倒されちゃった。
BIS原盤のブリリアント(Brilliant Classics)レーベル盤3枚組BOX

このヤルヴィ盤は、パーヴォ・ヤルヴィの父 ネーメ・ヤルヴィの交響曲全集からの1枚である。
ワタシが所有しているのは、ブリリアント盤なのだが、原盤はBISである。

1楽章
ノイマン盤に比べて、のっけから重々しく、分厚く、威圧感たっぷり〜
「ふぁぁ〜 そふぁっ  しれ〜み しれ〜ふぁ しれ〜み しれ〜そ しれ〜み しれ〜ふぁ・・・・」
「ふぁっそふぁ〜 ふぁっそふぁ〜」「っれれれっれれれっれれれれ・・・」
なんて音が続くんだろう。重くて、暗くて、硬くて、、、
この不協和音的な響きのなかで、重厚感があるのだが、意外とヤルヴィ盤は、スピードがあって、すばしっこい。
「そみふぁっ〜 ふぁっ そみふぁっ〜」という木管の響きも通っているし、ハープとピアノの落ちてくるフレーズも、なかなかに、リズム感バッチリ。がっちりとした鋼のような枠のなかで、1つ1つの音が、スチール製の玉が弾んでいるように弾かれて動く。
「らぁ〜どし どぉ〜みれ れ〜ふぁみ そ〜しら」
「み〜しら そ〜しら ふぁ〜どし ら〜どし ら〜どし」
暗い音が続くフレーズのなかで、えっ 長調に変わったの?と思わせる、ちょっと明るめの音が入り込んでくる。
ドンドンっと打ち鳴らされるティンパニーや、何が鳴っているのか、わかりづらい音が奥で蠢くし〜 なかなかに賑々しい出だしだが、段々とスピードアップさせるところなんぞ、やっぱ、パパ・ヤルヴィは才能あり。(笑)
なかなかに巧みな演出だと思う。
大袈裟にかき鳴らして行くところと、シーンっと静まりかえったなかの、おどろおどろしく蠢く感覚など、この動物的感覚が、この盤では面白く聴ける。
「タぁタータ タぁタータ タぁタータ 」という、シンプルだが執拗に鳴らされるところや、金管の咆吼は、身振りの大きい演奏だ。結構、インパクトの強い演奏で、馬力もあるし、力強く、確信犯的な演奏になっている。難を言えば、もう少しクールな録音であれば、もっと凄みがあっただろうけど。
いやいや、なかなかにクールさよりも、製鉄所の内部のような、赤々と燃えさかる高炉のような、火は生き物だ〜的な感覚が大事なのかもしれない。
ハンマーで打ち鳴らして来るようなところでは、造船所のような感じもする。
1楽章最後に、「そぉ〜ふぁそっ そぉ〜ふぁそっ」と、ぶっ飛ばし状態になった金管の響きと、ダンダンダンっ。と打ち鳴らされる迫力は、なかなか気持ちよく。
この力任せ的だが、ここぞぉ〜という時の、一発ムチを入れた時の馬力には、ハハハ〜 すごい。
キレと、シャキシャキっとしたリズム感。なかなかに痛快、格好が良い。

2楽章
「(そぉ〜)ふぁぁ〜そ みふぁれぇ〜れ (れぇ〜)そみふぁ〜 れみどぉ〜し」
「しし〜らそふぁみれ〜(ど〜) どど〜ら そふぁれみ〜どしら そふぁみれ〜ど しらそ ふぁ〜」
音は重さがあるのだが、バンベルク響の響きは意外と柔らかく、特に、弦の響きに弾力がある。
で、流れてくる音は不協和音なのだが、適度に柔らかく、温かみのある響きが、これまた、ほどよく、ビリビリっと鳴ってくるのだ。で、また木管が、柔らかいが、よく透き通る音で鳴ってくる。

まるで、丸い球体型の半透明の共鳴体のなかに、閉じこめられたような感じで、人肌の温かみはあるが、どことなく空虚感が漂い 〜 不安な気持ちで、水に浮かんでいるかのような。そんな気分だ。
オーボエの通る音が響く。「そどしらぁ〜 ふぁどしらぁ〜 ふぁれどし〜 ふぁれどみ〜」
音としては通っているが、暖かい空気が漂ってきて、頬をなでるようだ。
しかし、全体的には、穏やかさを持っているものの、不安感は拭えないという感じがする。
一瞬は、穏やかなんだけどなぁ〜 フレーズが不安定で〜 
「どしらそ しらそふぁ そらしっ らそふぁらそふぁみ そらし〜」と、緩やかに落ちていく。
首根っこを押さえられているかのような気持ちにもなってしまう。地球の重力に逆らいながらも、ぷわ〜っと落ちていくような感じ。

で、まるでパイプオルガンのような響きが鳴り、地球最後のような、そんな終末期を迎えるかのような音と になっている。えっ〜と思いつつ、なんか恐ろしい終末感が漂い、気持ちのなかに入り込んでくるのだ。
う〜ん。これは、不安感が増すなあ。で、金管が、段々と大きくなって、ダメ押しをする。
さっきまでは、確かにぽっかりと浮かんでいたが、ふっ〜っと瞬時に消えるかのような感じもするし。
う〜ん。ヤルヴィ盤は、弦の柔らかい響きが、柔らかいだけに真綿のように締まるというか。
ある意味、怖い楽章となっている。

3楽章
「(バンっ)そぉっ しどれぇ〜 そぉっ どれっふぁ〜 そぉ〜 れっど〜しど〜 れどっ〜しど〜」
豪快そのもので、ドスンっ。という音が、地面に穴が空いたような迫力がある。
まるで、空から爆弾が目の前に落ちたような感じで、爆発シーンのようで怖い。
もろ暴力的で、木管の震える音が、警告を発しているかのようだ。弦の小声で震える音のなかから、トランペットのフレーズが聞こえる。
どこか遠くの教会で救いを求めるているかのよう。「み〜みど み〜ふぁ そどぉ〜らどみ〜ふぁ・・・」
将来への不安、未来の閉塞感、それを突き破りたい気持ち。「どふぁっ どぉ〜」

ノイマン盤は、ワタシの頭のなかで、まるで「ガッチャマン」登場シーンのように聞こえて来たのだが、このヤルヴィ盤は、人としての気持ちが暖かく感じられ、よりリアルな不安感を描いているように思う。
ノイマン盤では甲虫類の蠢きや、ヒーローの登場のように感じられたフレーズが、どこか血が通っている人の気持ちのように感じられるのは、いったい、どういったワケなのだろう。
バンベルク響の音が、複雑で、入り乱れたフレーズなのに、優しく、天上的な響きを持って包み込むような響きで奏でてくるからかもしれない。また、ピアノの響きが、よくとらえられている。

特に、この最後の楽章、後半の弦と、木管の響きは、ホント、真摯に、穏やかさを求めているかのように聞こえてくるのである。天からの光が射しこんでくるかのような柔らかさがあり、一縷の望みがあるようで、鳥や動物の鳴き声のように響くフレーズから、「どれふぁ どぉ〜」と鳴ってくると、まるで、旧約聖書の世界のようだ。
ホント、創世記に描かれている、ノアの箱舟のようだ。
40日間の洪水が終わり、アララト山頂に到着。オリーブをくわえた鳩が戻ってきたことで、ノアは、ようやく洪水の終わりを知る。あの恐ろしい洪水は終わり、輝く太陽からの光が射しこんできたのです〜というような結末のようで、心の底から、神々へ感謝〜というような安堵感が漂っているのだ。
どひゃ〜ん。この交響曲は、1楽章から、キリスト教の旧約聖書の世界観を描いたモノだったのか?!
ヤルヴィ盤を聴いてて、ホント、そう思ったほどである。ハイ、いずれにしても驚きのスケール感です。

ブライデン・トムソン ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団 1989年
Bryden Thomson
Royal Scottish National Orchestra

録音状態はすこぶる良い。すっきりとした見通しの良さがあり、怜悧である。若々しい青年の未来を予見するかのような演奏。
カップリング:マルティヌー 交響曲第3番、4番
交響曲全集(6曲)3枚組BOXもあり。

1楽章
「ふぁぁ〜 そふぁ〜  しれ〜み しれ〜ふぁ しれ〜み しれ〜そ しれ〜み しれ〜ふぁ・・・・」
ヤルヴィ盤に比べると、幾分軽めの音だが、録音が良いので、とーっても見通しが良い。
重量級で押して押して、重圧感の漂う演奏ではなく、鋼鉄のように光る怜悧さがある。
ただ、始めのテンポは遅めだ。
「そふぁ〜そ そふぁ〜そっ」「ふぁっそふぁ〜 ふぁっそふぁ〜」「っれれれっれれれっれれれれ・・・」 と、ピアノとハープが重なって落ちてくるフレーズが、妙に遅く感じられる。でも、リズムが生まれてこないわけではなく、じわじわ〜っと、不協和音のなかで、うずっと、遅ればせながら登場っという感じで、テンポが生まれる。
「ふぁ〜どしっ ふぁ〜どしっ」

ゴンゴンとした打楽器の音が遠めだが、ずんずんっと奥で響いており、あまり主張しないくせに、ズシン ズシンっと、ボディーブローのように効く。テンポ設定が、なんか面白くって、すばしっこく、機敏に動かないのに、じわーっと効く。そういう意味では、レスポンスが悪いんだけど〜 
なーんか、妙にはぐらかされた感じがするものの、ニヤリと笑える感じで面白い。
ヤルヴィ盤が、巧みな演出だが、わりとストレートに表現するのに比べて、なーんか、妙に変化球が来ているようで〜 動物的直感で演奏されたような、身振りの大ききさは感じない。
でも、こいつ曲者っぽい。という理屈っぽさを感じる。

鋼鉄製の巨大昆虫、鋼鉄製のロボットマシーンみたいな感じがする楽曲なので、キャシーンっと動く、その音が、多少ギクシャクしている感じだ。
まるで、エネルギーを注入しているところって感じで、嫌みを感じない。えへへっ イマジネーションをかきたてられるようで、面白いっ。えっ、と思いがけないところで、テンポを落としたり、テンポをあげたり、ふふっ意外性があって面白いかも。メトロノームのようにキチンと刻み、縦糸があってないと気持ちの悪い楽曲だと、ダメっ。と言われるのかもしれないが、マルティヌーのこの楽曲では、そんなモノは求めない。
ところどころに、牧歌風フレーズが垣間見られるが、それを打ち破ってくるパワーがあり、素朴さだけでは生きられないんだーっと、叫んでいるみたいである。
どこで発火するか、予測できないところが、生きる青年ぽい悩みを発露しているようで、鋼鉄製虫になる前の蠢きみたいで〜とっても面白い。

2楽章
「(そぉ〜)ふぁぁ〜そ みふぁれぇ〜れ (れぇ〜)そみふぁ〜 れみどぉ〜し」
「ししぃ〜らそふぁみれ〜(ど〜) ど〜しら そふぁれみ〜どしら そふぁみれ〜ど しらそ ふぁ〜」
「ふぁ〜〜」
この楽章の見通しの良さは、おおっ。と驚かされる。
弦の優美な流れと、艶のある高音域のフレーズと、バババババババ・・・という低音のズシンと沈みぐあいのよい残響。バン バンっ・・・ という残響で、やられてしまう。絶望の淵ですかねえ。
テンポは、少し速めに変わっており、澱みがない。

「そどしらぁ〜(パラパラパラ〜) ふぁどしらぁ〜(パラパラパラ〜) ふぁれどし〜 ふぁれどみ〜」
透明度の高い録音なので、木管の響きが、すこぶる響いて、すわーっとした冷えた湖面のうえを、風が通るような感じがする。この感覚は、すごいっ。
「ふぁみみ ふぁみみ それれ それれ〜」と、細かく襞を重ねるフレーズが、すこぶる気持ちが良い。
柔らかいし、温かみもあるのに、ひんやりとした空気感があって〜 この絶妙なバランス。
不協和音の意外な組み合わせの音符が、ふぁ〜ふぁ〜っと踊っていくなか、シンプルな音が、「どしらそ しらそふぁ そらしっ らそふぁらそふぁみ そらし〜」と、緩やかに落ちていく。
あまり不安感はなく、不気味さも少ない。
半透明球体のなかに閉じこめられ、グルグル〜 湖面のうえを回っているような感じがするが、それでも、どことなく嫌みがなく、快感がある。
弦の弾みが、ちょとした遊び心を醸し出しているようで、子どもが遊んでいるかのような、ワクワク、ワクワクっ。とした弦の響きに感じられる。いや、この楽章も面白い。

3楽章
「(シャーン)そぉっ しどれぇ〜 (シャーン)そぉっ どれっふぁ〜」
「そぉ〜しどみれふぁ〜 そみれ〜どれ みれ〜どれ みれ〜どれ〜ふぁそ らし ふぁ〜しどし〜」
豪快なドスンっ。という音ではないが、シャキーンと鳴り響き、そっから以降のノビ感があって〜
するする〜っと進む。この爽快さっ。すこぶる気持ちが良い。
冒頭のシャーンは、爆発物投下という感じではなく、いきなり、鋼鉄製昆虫が、デカク成長したようなエネルギーを表しているかのようだ。
バンダのトランペットのフレーズは、いったん鎮まったなかで鳴り、怯えるかのような細かく震えるフレーズが、小声で奏でられる。

「どみぃ〜 どみ〜ふぁ〜 そどぉ〜 らみ〜 どみ〜ふぁ ら〜 らふぁ〜ど どし〜ふぁ〜 ふぁ〜」
うーん。まるで荒野のなかで神の光が落ちてきたみたい。
そのくせ、地表は、まだ荒くれがイッパイいてて〜 戦争中って感じがする。
地表の闘争の描写と、神の表れ、お告げを出そうとしているかのようで〜 世界観が広がる。
トムソン盤は、瞬間的な爆発的なエネルギーよりも、重苦しい葛藤の重圧感よりも、すわーっとした空気感があり、どこか怜悧でありながら暖かい。

3楽章後半は、室内楽的な柔らかい響きが、ふわーっと広がって、優しく包まれるし、細かな、木管や弦の震えるフレーズが、すごく綺麗だ。トライアングルや、弦の小鳥たちの鳴き声をイメージした響きや、金管の柔らかい拡散する響きが、とっても、平和な感覚を生み出す。
銅鑼の音も、オルガンのような響きのうえに乗っかっており〜 
神々しさと共に、人として誇りを失わずに、これからも生きていけるなぁ〜というような、若々しい爽やかな未来が広がるような感覚となっている。

録音の透明度の高い分、俯瞰して見られるような、視点の高い広がり感を感じる。
ネーメ・ヤルヴィとバンベルク響は、まるでノアの箱船的世界観か。と感じたほど、壮大なスケールの演奏だったが、トムソン盤は、主人公は、青年ですかね。
最後、確かに柔らかい天上的な響きを持ったフレーズが出てくるが、そんな空の次元ではなく、地に足をつけた感じでして〜 クールさ、理知的に分析するかのような、人としての雰囲気を持っている。
総体的には青年っぽい感じと言えば良いだろうか。
世情がどうであろうと〜 あまり悲観的にならず、落ち込まず、小さな虫であっても〜未来はあるさ〜的な、(決してノー天気ではない)、どこか爽快感があり、明るい未来を予見するものとなっている。
その点、ホント、若々しく、瑞々しい希望があって好ましく感じられる。
1982年 ノイマン チェコ・フィル Sup ★★★
1987年 ヤルヴィ バンベルク響 Brilliant ★★★★★
1989年 トムソン スコティッシュ・ナショナル管 CHANDOS ★★★★★
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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